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市場構造の変化を受けて相次ぐ新たな事業戦略と機軸

スマートフォン、タブレットはじめモバイル機器市場の活況のもと、28-nmプロセスの製造capacityが、もっと作れれば売上げはもっと伸びるという状況であり、今後の見方ともなっている。一つは製造capacityのあり方、もう一つは次のビジネスを担う最先端技術への傾注のあり方が問われている。この昨今の市場構造の変化を受けて、TSMCはじめファウンドリーにおいて特に新たな事業戦略および機軸が相次いで打ち出されている。生産数量および最先端生産化の格上げを図っていく急ピッチ対応が現下の課題となっている。

≪TSMCにおける動き≫

TSMCを軸に関連する動きが相次いで見えており、まずは次の通り20-nm ICsの生産化を少量ながらも来年開始するとしている。数量拡充に備えたリードタイム確保の必要性を受け止めている。

◇TSMC Confirms Plans to Start Low-Volume 20nm Manufacturing Next Year.-TSMC Expects to Produce 20nm Chips Only in Low Volumes (7月22日付け XBitLabs.com)
→TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏。同社が、low-volume生産ながら20-nm featuresを擁する半導体製造を来年開始、20-nm ICsのフルvolume生産開始は2014年開始となる旨。

MEMS市場のデータの捉え方が難しいところがあるが、TSMCはこの微細加工分野でも参入の度合いを高めている。今や半導体 & MEMSと一層の密接度を感じるところがある。

◇TSMC tops pure-play MEMS foundry ranking from IHS (7月23日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。TSMCが2011年最大のMEMSデバイス専業ファウンドリーに、MEMS売上げを3倍に伸ばして$53.0M、Silex MicrosystemsおよびTeledyne Dalsaを上回った旨。IHSデータは、Yole Developpementとかなり違っており、TSMCを2011年売上げ$23Mで専業ファウンドリー第5位としている旨。例えば、STMicroeletronicsはMEMSメーカーでもあり除外の旨。
・≪表≫ 2011年世界専業MEMSファウンドリー売上げランキング(MUS$) [Source: IHS iSuppli, July 2012]
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/news/20120723pcIHSmemsRanking531.jpg

ARMとのFinFETプロセス協業合意が次の通り発表され、20-nmノードより先への対応が進められている。

◇ARM, TSMC sign deal to ease FinFET process introduction (7月23日付け EE Times)
→プロセッサIP licensor、ARM Holding plc(Cambridge, England)とTSMC(Hsinchu, Taiwan)が、FinFETプロセス技術に向けた次世代64-ビットARMプロセッサコア最適化で協働するmulti-year合意に調印、該合意は、TSMCが2013年に製造開始を進めている20-nmノードより先に両社のコラボを延ばすものである旨。

◇ARM, TSMC team up to deliver ARM cores on FinFET transistors (7月24日付け DIGITIMES)

数量アップ対応について、現実のニーズに合わせて"One-Customer Fabs"という考え方&対応が打ち出されている。

◇TSMC Ponders One-Customer Fabs (7月24日付け Electronics Weekly)

◇TSMC says single-customer fabs make sense (7月25日付け EE Times)
→第二四半期業績についてのconference callでアナリストに対してTSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏。市場はより少ない顧客がよりhigh volume生産を行う構造になってきており、いくつかは専用fabsを必要とするほどに大規模である旨。ファウンドリーとして1個のラインから多数の顧客に対応する能力でTSMCは上昇してきているにも拘らず、この事態がある旨。

3D IC化についてもXilinxとの積極的な取り組みがすでに見られているが、これについては台湾の後工程大手においてcapacityアップの動きを誘発している。

◇Taiwan's Leading IC Assemblers Boost 3D IC Capacity (7月25日付け Taiwan Economic News)
→TSMCの20-nmプロセス技術に向けた3-dimension IC packaging開発に直面、台湾の大手IC assemblersの3社、すなわちAdvanced Semiconductor Engineering社(ASE), Siliconware Precision Industry Co., Ltd.(SPIL)およびPowertech Technology社が、3D IC packagingおよびテストcapacityを精力的に強化している旨。

上記のARMとの協業を受けて、ARMからもIntel社に対抗していけるという力強いメッセージが出されている。

◇ARM, TSMC lead Intel in SoC, says CEO East (7月26日付け EE Times)
→ARMのCEO、Warren East氏が、同社がライセンス取引しているファウンドリーに対してプロセス技術でIntel社が先行リードしていることに懸念をもっていない旨。TSMCによるとARMプロセッサに向けたFinFET技術の量産化が2015年後半以降になりそうという事実にも拘らずの旨。

一方、我が国内の半導体業界においては、TSMCを相手と見込んだ工場売却の動きが続く形となっている。エルピーダメモリの件と合わせ、ここでは台湾との一層の密接化を受け止めている。

◇富士通、三重工場を売却へ、台湾の半導体企業と交渉 (7月27日付け 朝日新聞デジタル)
→富士通が、半導体生産主力の三重工場(三重県桑名市)を台湾企業に売却する方向で交渉していることが27日わかった旨。ルネサスエレクトロニクス、パナソニックとのシステムLSIの事業統合に向け、生産部門を切り離して設計や開発に特化する狙いの旨。売却の交渉相手はTSMCで、経営再建中のルネサスも、システムLSIを作る鶴岡工場(山形県鶴岡市)の売却交渉をTSMCと進めている旨。TSMCは日本の技術を取り込むとともに、日本メーカーから安定的に生産委託を受ける狙いがあるとみられる旨。

◇Sources say Fujitsu may sell Mie fab to TSMC, but TSMC says no (7月27日付け Reuters)

UMCからも市場構造の変化を受けた次のメッセージが出されており、TSMCと同じトーンを感じるとともに、現下の半導体業界全体に投げかけられている共通課題と思う上記それぞれのアイテムである。

◇Chip industry undergoing structural shift, says UMC CEO (7月27日付け DIGITIMES)
→United Microelectronics(UMC)のCEO、Shih-Wei Sun氏。半導体業界は構造変化の過程にあり、同社には先端半導体分野で大きく伸びるopportunityがある旨。IC分野のある進化の形が市場leadershipの変化を徐々に引っ張っている様相、UMCのハイエンドファウンドリー事業は次の成長の段階に入っており、今後の成長の基盤強化に役立つ旨。


≪市場実態PickUp≫

アップルの拡大のほどを色濃く示す本年の半導体購入元ランキング、以下のデータである。

【2012年半導体購入ランキング】

◇Apple coming to dominate electronics supply chain (7月25日付け EE Times)
→IHS iSuppli社発。Apple社が、2012年に約$28Bの半導体を購入する見込み、2011年の$24Bから15%増、2位のSamsung Electronics Co. Ltd.(2011年$14.8B→2012年約$14.9B)以下より大きく伸びて差を拡げて市場席巻度を高めている旨。
・≪表≫ 2012年半導体購入ランキング予測
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120725_ihs_apple.png

堅実な市場という感じ方の産業用であるが、Texas Instrumentsの昨年のこの市場分野での急伸ぶりが以下に表われている。

【2011年産業用IC市場】

◇TI makes good on NS buy to lead industrial sector (7月25日付け EE Times)
→IHS iSuppliの最新レポート。Texas InstrumentsのNational Semiconductor買収により、TIの市場シェアが高まって2011年の席巻度を強めている旨。産業用エレクトロニクス半導体分野の売上げが$2.2B、前年の$1.8Bから24.9%増となっている旨。

◇TI top in industrial ICs (7月26日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IHS iSuppli発。Texas Instrumentsが、昨年の産業用IC市場を引っ張り、売上げが25%増の$2.2B、シェアが7.3%の旨。産業用は、2011年では車載に次いで成長の早い市場、半導体全体では1.4%に対し9.3%増となっている旨。

昨年で最も成長したのが車載用分野となっており、STMicroelectronicsでは売上げの2割に迫る比率を占めているとのことである。

【車載用半導体】

◇Driving ST's auto IC strategy: Manufacturing line can't stop (7月23日付け EE Times)
→STMicroelectronics executivesが、車載用半導体事業を最も安定で予測できる事業分野の1つとしている旨。同社2011年売上げ$9.6Bの約17%を占め、他の事業部門がマイナス成長で苦しむなか、二桁の速度で伸びている旨。車載市場で起きている大きな構造変化およびauto OEMsによるエレクトロニクス採用増加から、STおよびauto IC競合には市場の力強さが持続可能と期待させている旨。

3D IC、TSV(貫通電極)技術がますます市民権を得てきている状況を感じているが、これも堅実な欧州らしい以下のイベント発表が行われている。

【欧州3D TSVサミット】

◇3D TSV Summit planned for European semiconductor industry (7月25日付け ELECTROIQ)
→SEMI Europeが、新イベント、European 3D TSV Summit(2013年1月22-23日:Grenoble, France)を主催、初回のテーマは"On the Road towards TSV Manufacturing"、さらなる外形小型化での機能性アップを求めてデバイス設計&製造メーカーが2D packagingから3D化を如何に行っているか示していく旨。欧州のハイテク業界は、through silicon vias(TSVs)による3D IC integrationを擁してエレクトロニクス複雑化&高機能化のニーズに応えている旨。


≪グローバル雑学王−212≫

前回に続いて、アフリカ大陸の北から西へ1980年代に下記著者が旅した記事の後半である。"…ここは地の果て アルジェリア…"と口ずさんでくる「カスバの女」は、2番が"…花はマロニエ シャンゼリゼ…"、3番が"…明日はチュニスか モロッコか…"、と改めてこの記事の流れ、意味するところを確認させられている。

『日本はなぜ世界で認められないのか −「国際感覚」のズレを読み解く』
 (柴山 哲也/著:平凡社新書 636) …2012年 4月13日 初版第一刷

より、アルジェリアからセネガルと、さらにアフリカの真髄に触れていく。
国際関係や交渉の場で、アフリカやインド洋の島国への理解、影響力が雌雄を決するという事態が、次の章にわたって表されている。


第三章 遠くて近いアフリカ ≪後半≫

◆イラン人質解放交渉と大地震
・米国大使館員人質事件の解決が難航、仲介国を通じて解放交渉を行っているという記事を目に
 →大学生らが米国大使館を占拠、パーレビの身柄引き渡しを要求した事件
・(ちなみに、このときの学生のリーダーが現在のイラン大統領ではないかという疑惑
 →2012年2月現在、欧米対イランの軍事衝突の危機)
・アルジェリア政府外務省を取材、出てきた担当官の高圧的な口調
 →領事のアドバイスに従って、パリに戻ることに
 →エール・フランス機が地中海にさしかかったころ、アルジェリアで大地震が発生したというニュース

◆大使館専用の日本人医師
・先の(上記)大地震をきっかけに大使館付きの日本人医師が大使館に常駐へ
 →ところが、駐在の日本人の医療には使えないとの大使声明
 →呆れた駐在日本人たちの収まらない怒り
・アルジェリア、チュニジア、リビア、モロッコなど北アフリカ諸国は、国境を接してはいるが、親米・反ソ、反米・親ソと交互に分かれ、国境を挟んで敵対
 →空路でジグザグ状に入りなおすしかルートなし

◆「地中海の女王」に迫るアラブ化の波
・チュニジアのカルタゴ半島
 …「地中海の女王」と呼ばれるカルタゴの遺跡がその半島の付け根のところに
・夜になると女性の外出はなくなり、禁止されている酒を即席の屋台で飲む男たちの姿
・イスラム原理主義によって国民の不満を押しつぶすイスラム諸国の政策が今日まで
 →今日のジャスミン革命を招いた原因
・日本人にとって中近東・アフリカは石油のことしか眼中にない
 →人間と宗教の複雑な歴史が入り組んでいることの無知のため、必要な石油を確保する外交交渉もうまくできていない

◆ジャスミン革命は一度で終わるか
・2011年のアラブの春、独裁者を倒したチュニジアの民衆
 →約10ヵ月後、初の民主的な選挙、結果はイスラム教政党が第一党に
 →民衆自身の自立にはつながらず
・もともと北アフリカには、公正に物事を処理する交易とコミュニケーションの技術
 →徹頭徹尾、人間同士の摩擦や戦争を避け、双方が納得できる公正な取引
 →ヨーロッパが生んだ市場主義経済とは異なる交易の形が存在

◆奴隷島の大学からのメッセージ
・西アフリカのセネガルの首都、ダカールに、ゴレ島という小島
 →かつての黒人奴隷貿易の中心地
・この島に「ミュータン大学」という大学
 →目的は、世界文明の行き詰まりを「突然変異(ミュータン[仏語])」によって再生、「人類全体の成熟に役立つ人間を育てる」こと
 →セネガル元大統領で詩人、文学者、レオポルド・セダール・サンゴール氏による設立アイディア
・「芸術と平和」こそがアフリカの価値
 →世界芸術の潮流を作った黒人芸術
・黒人という「黒い肌」にまつわる虐げられてきたアフリカ人の歴史感覚
 →最も有力な革命のエネルギー

◆深夜に訪ねてきた黒人少年
・セネガルの町の路地裏、店の中から日本の演歌
 →日本の遠洋漁業会社の人たちが立ち寄る
・食事を終えてホテルに、黒人の少年が1人、パンフ冊子を(著者に)手渡して、無言で立ち去った
 →激しいサンゴール非難の文章
 →平和な西アフリカの国にも、ホメイニ革命のイスラムの影響力がじわじわと
・1980年代半ばのアフリカは、まだ深い眠りの真っ只中にいるよう

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