Semiconductor Portal

HOME » ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

控え目な伸びの世界販売高のなか、引き続く我が国半導体の試練

米SIAから5月の世界半導体販売高が発表され、ここ数カ月は前月比伸びる基調となっているが、1月〜5月累積販売高は前年同期に比べてすべての地域にわたって下回っている状況である。奇しくもこの発表とほぼ同じタイミングで、マイクロンのエルピーダ買収およびルネサスのMCU事業にさらに集中して工場の売却あるいは閉鎖と人員削減を大幅に行うという再建施策が発表され、本当に慌ただしい事態の受け止め方となっている。最先端技術を先駆けて開拓、積み重ねて花開くやりがい、飽くなき半導体の面白さを我が国挙げてぜひとも維持していかなければならないというさらなる思いである。

≪5月の世界半導体販売高:問われる我が国半導体のプレゼンス≫

米SIAからの月次半導体販売高は、次の通り発表されている。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○グローバル半導体販売高、5月は増加、依然2012年控えめな伸びの軌道 …7月3日付けSIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2012年5月の世界半導体販売高が$24.4 billionで、前月の$24.1 billionから1.4%増加したと発表した。

この3月から5月までのグローバル販売高総計は、昨年12月から本年2月までのそれを6.4%上回り、これは2010年6月以降最も高い伸び率である。加えて5月は、3ヶ月連続で前月を上回る販売高を示し、2010年9月以来の前月比伸びの最長連続となる。しかしながら、2012年5月の販売高は、2011年5月の$25.2 billionを3.4%下回り、2012年1月からの累積販売高は前年同期よりもすべての地域にわたって低下している。月次販売高の数値はすべて3ヶ月移動平均で表わされている。

「グローバル半導体販売高の上昇基調には元気づけられる。」とSIA president & CEO、Brian Toohey氏は言う。「最新の販売高全体は、2012年の今後について控えめな伸びとする業界見通しに沿っているが、グローバル経済の停滞は引き続き実質的な逆風となり、よりしっかりとした伸びを抑制している。」

地域別には以下に示すように、3- 5月平均の12- 2月平均に対する比較で見ると、Asia Pacific, EuropeおよびAmericasは増加しているが、日本は僅かながら減っている。しかしながら、5月販売高を前年同月比で見ると、日本は増加している一方、Asia Pacific, AmericasおよびEuropeはすべて減少している。

                           【3ヶ月移動平均ベース】


市場地域
May 2011
Apr 2012
May 2012
前年同月比
前月比
========
Americas
4.63
4.56
4.48
-3.2
-1.8
Europe
3.29
2.82
2.84
-13.6
0.8
Japan
3.34
3.38
3.35
0.4
-0.6
Asia Pacific
13.98
13.31
13.71
-1.9
3.1
$25.24 B
$24.07 B
$24.39 B
-3.4 %
1.4 %

--------------------------------------

市場地域
12- 2月平均
3- 5月平均
change
Americas
4.41
4.48
1.6
Europe
2.72
2.84
4.4
Japan
3.38
3.35
-0.7
Asia Pacific
12.41
13.71
10.5
$22.92B
$24.39B
6.4 %

※5月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/clientuploads/May%202012%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた世界半導体市場の現況が、端的に次のように表わされている。

◇Chip market still shrinking versus 2011, says SIA (7月4日付け EE Times)

◇May semiconductor sales edge out April numbers for third growth month (7月4日付け ELECTROIQ)

米国の独立記念日を控えたこの米SIAの発表タイミングであるが、合わせたかのようにエルピーダおよびルネサスを巡る動きが次のように伝わってきている。マイクロンのエルピーダ買収については、時差があって日にちが前後するが、我が国内では次の要旨となっている。

◇マイクロン、エルピーダ買収発表、2013年前半に子会社化。 (7月3日付け 日経・朝刊)
→米半導体大手、マイクロン・テクノロジーが2日、会社更生手続き中のエルピーダメモリを買収することで両社が合意したと正式発表した旨。マイクロンは2013年前半にエルピーダの全株式を600億円で取得、マイクロンはエルピーダにDRAMの製造を委託し、その対価として1400億円を支払う旨。買収総額は2000億円、両社は同日、東京地裁の許可を得てスポンサー契約に調印した旨。

時間的には先行して、米国各紙の見出し&要旨である。

◇Micron Agrees to Buy Rexchip Stake Amid Elpida Takeover Plan-Micron looks to deals to expand DRAM capacity (7月2日付け Bloomberg)
→メモリ半導体メーカー、MicronがElpidaに向けての契約を固め、DRAM半導体市場シェア倍増を図るなか、同社は該契約の派生としてPowerchip TechnologyにおけるRexchip Electronicsのstake買収にも目を向けている旨。

◇Micron doubles wafer capacity, adds mobile DRAM with Elpida assets buy (7月2日付け ELECTROIQ)

アップルとのDRAMのお付き合いは小生にも古い記憶として思い浮かんでくるが、マイクロンにはエルピーダの対アップルビジネスが有利に働くという、以下の見出しである。

◇Micron acquires Elpida, wins lucrative partnership with Apple (7月2日付け ExtremeTech)

◇Micron's DRAM buyout makes it a key Apple supplier (7月3日付け CIO Asia)
→Elpida Memory買収により、Micron Technologyは、tier oneサプライヤになるだけでなく、Appleはじめスマートフォンおよびタブレット大手メーカーに対するサプライヤとしてモバイル領域に勢いよく飛び込むことになる旨。

我が国、米国そして台湾のDRAMパワーを結集して韓国2強に対抗という今後の図式に注目とともに、我が国のDRAM最先端技術の蓄積が今後にどう織り込まれて展開していくか、問われるところと思う。

◇Micron likely to merge two production subsidiaries after acquiring Elpida (7月3日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Elpida Memoryを買収、Rexchip Electronicsにおけるmajority stake保有を経て、Micron Technologyが次の動きとして、RexchipおよびInotera Memoriesを合併していくと見る旨。

ルネサスについて見られていた観測記事、次の通りである。

◇Renesas to sell or shut fabs, says report (7月2日付け DIGITIMES)
→Nikkei Business Dailyを引用、中国語Commercial Times、日曜1日発。
Renesas Electronicsが、日本の同社19ウェーハfabsのうち10を売却あるいは閉鎖する計画を検討しており、microcontroller(MCU)製造にさらに重点を移す旨。

この見方を上回る規模の再構築施策が、次の通り実際には発表され大きな反響を呼んでいる。

◇ルネサス、12工場を売却・閉鎖方針、7000人に影響か (7月3日付け 朝日新聞デジタル)
→経営再建中ルネサスエレクトロニクスが3日、大規模なリストラ策を発表、3年以内に売却や閉鎖する工場を12に増やす旨。工場で働く計約7000人がルネサスを去る可能性がある旨。

◇人件費を年間430億円削減…ルネサス合理化策 (7月3日付け 読売)
→ルネサスエレクトロニクスが3日、業績立て直しに向けた経営合理化策を発表、国内19工場(売却済みの津軽工場を含む)のうち、11工場を閉鎖・売却の対象とし、今後3年以内の削減を検討する旨。9月中に5000人超の早期退職者を募集、人員削減で年間430億円の人件費削減を図る旨。

以前から取り沙汰されているTSMCのルネサス・鶴岡工場買収であるが、その計画はないとMorris Chang氏のコメントが業界各紙で表わされている。

◇Report: TSMC's Chang says no to buying Renesas fab (7月4日付け EE Times)
→Focus Taiwan発。TSMCのchairman、Morris Chang氏が、同社としてRenesas Electronicsからウェーハfabを買収する意向はない旨。

◇TSMC has no plans to purchase Renesas 12-inch fab, says chairman (7月5日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏。TSMCは、Renesas Electronicsの山形県鶴岡市にある12-インチfabを買収する計画はないが、Renesasとは引き続き緊密な関係を維持していく旨。

◇TSMC chairman says foundry won't buy Renesas fabs (7月5日付け The Taipei Times (Taiwan))

週末のNHKテレビ、NHKニュースウオッチ9では、ルネサスの件を引き合いに我が国の製造業の今後のあり方を問うコーナーが次の通り見られている。

・トヨタもソニーも… 高級ブランドは日本発 
 生産の現場を密着取材−国内
 →匠の技術を駆使したレクサス
 →日本製レッテルの力 …数万円に対し十数万円のパソコンでもそれだけの魅力

半導体は"グローバルな協調と競争"と表されるこの20年近く、我が国流を通してきたが、今日の事態に立ち至っている。来るところまできて、一層の"グローバルな協調と競争"に踏み込まざるを得ないなか、我が国の蓄積のプレゼンスの発揮の仕方、表わし方をしっかり考えることと思う。"グローバルに通用する優位性"とは、1970年〜1980年代によく目にして心に残るスローガンとなっているが、これは今でも変わりないのではないか、という受け止めである。下記の≪グローバル雑学王≫に取り上げている「国際感覚」のズレの問題意識であるが、相通じるところを多々感じている。  


≪市場実態PickUp≫

市場需要を満たせないQualcomm社のSnapdragon S4プロセッサについて、同社は28-nmプロセスcapacity充足を現在のTSMCに加えてUMCおよびSamsungと供給契約を取り交わす以下の動きとなっている。

【Qualcommの供給不足対応】

◇Qualcomm Contracts UMC as Second 28nm Process Supplier (7月2日付け Taiwan Economic News)
→Qualcomm社が、現在TSMCが主要contractサプライヤである最先端プロセスの供給制約に対応、UMCを28-nmプロセスcapacityの2番目のサプライヤとして選定している旨。

◇Qualcomm signs UMC, Samsung for 28-nm chips, says report (7月3日付け EE Times)
→Taiwan Economic News発。モバイルプロセッササプライヤ、Qualcomm社(San Diego, Calif.)が、28-nm半導体サプライヤとしてファウンドリーのUMCおよびSamsung Electronics Co. Ltd.と契約調印の旨。

◇Qualcomm enlists Samsung, UMC to help meet 28nm Snapdragon S4 demand (7月4日付け Engadget/China Economic News Service)

◇Qualcomm, Samsung to team up for chip (7月5日付け The Korea Times)
→業界筋発。供給不足打開策の一環として、QualcommがまもなくSamsung Electronicsと契約調印、Samsungのスマートフォンで用いられる半導体を生産する旨。

アップルの商標、特許を巡る提訴の件、くだんの「iPad」について和解金の発表があったかと思うと、また新たな提訴がこれまた中国から発せられている。

【アップル標的の提訴】

◇アップル、6千万ドル払い和解、中国のiPad商標訴訟 (7月2日付け 朝日新聞デジタル)
→米アップルのタブレット端末「iPad」の商標権をめぐる裁判で、広東省高級人民法院(高裁に相当)が2日、商標権を持っていると主張していた中国企業にアップルが6千万ドル(約48億円)を支払うことで和解した、と発表の旨。

◇アップル、中国でまた訴えられる (7月6日付け NHK NEWSWEB)
→米アップルが特許や商標権を侵害したとして、中国の企業2社が、上海の裁判所でアップルを相手取って訴えを起こしたことが明らかになった旨。
訴えているのは、上海の「上海智※シン網絡科技」(「シン」は「至」の右に「秦」)と、東部・江蘇省の「江蘇雪豹日化」の2社。上海の企業は、iPhoneに搭載された音声認識機能の「Siri」について、6年前に中国で取得したインターネットのチャット用に開発したシステムの特許を侵害したと主張、また、江蘇省の企業は、アップルが2009年に発売した「スノーレパード」というパソコンの基本ソフトの名称が、中国語では「雪豹」となり、商標を侵害しているとして、約630万円の損害賠償を求めている旨。
中国でも人気の高いアップルが訴訟のリスクにさらされていることが改めて示されている旨。

微細加工のMEMS市場の急展開が以下の通り予測されている。二桁成長と久しぶりに耳にする響きの感じ方がある。

【MEMS市場】

◇MEMS market to show 13% CAGR to 2017, says Yole (7月4日付け EE Times)
→Yole Developpement SA(Lyon, France)発。2012年のMEMS世界市場が約$11.5B、前年比約12.7%増と見る旨。

◇MEMS to top $20 billion in 5 years, with double-digit growth (7月6日付け ELECTROIQ)
→Yole Developpementの“Status of the MEMS Industry”レポート。2017年までのMEMS予測、下記参照。
http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/07/1207SSTyoleMems.png

グローバル市場をリードする"革新力"が今また問われているご時世であるが、向こう数年の影響力ランキング調査が次の通り発表されている。我が国の蓄積した根底、創意、応用、様々な力の発揮どころということと思う。

【革新力】

◇China, U.S. lead innovation, Europe nowhere, says survey (7月2日付け EE Times)
→auditor and consultancy、KPMG(Amstelveen, Netherlands)が行った調査。向こう2〜4年でグローバルなインパクトを擁する"disruptive技術ブレイクスルー"に最も到達しそうな2カ国として、中国および米国の旨。
回答データ例:
・今後のグローバルな革新に向けたhotspot
 中国 30%  米国 29%  インド 13%  日本 8%  韓国 5%
 英国は1%、第11位  
・向こう4年で最も大きなビジネスインパクトをもつ技術分野
 モバイルデバイス  28%
 cloud computing、ストレージ  17%
 先端IT、3-D技術   13%


≪グローバル雑学王−209≫

第二次世界大戦後の日米関係は、安保、沖縄と大きく圧し掛かる問題を孕んでいるが、

『日本はなぜ世界で認められないのか −「国際感覚」のズレを読み解く』  
 (柴山 哲也/著:平凡社新書 636) …2012年 4月13日 初版第一刷

では、放置された戦争責任が我が国について国際的に認められない最大の原因という見方を展開している。ジャーナリズムの世界に身を置いた著者の目を通して、事態、実態の認識を改めて深めているとともに、事実、真実の明確化の重みを一層のこと感じている。


第二章 太平洋戦争は終わっていない −日米間に横たわる歴史のトラウマ

1 蘇るパールハーバー・シンドローム

◆アメリカ社会の深層によどむ心理
・日本バッシングが最もひどかったのは、日本がGNPで米国を追い越し、世界一の経済大国になった1985年からの数年間
・物凄かった日本円の強さ
・優位に立っているときは、米国の対日感情に無頓着
 →これを放置した結果、1990年代不況から「失われた十年」へ、さらには「失われた二十年」へと続く日本経済の衰退を招くことに

◆ソ連に代わる新しい世界の敵
・経済大国・日本は、崩壊するソ連邦に代わる新しい世界の敵とみなされるように
 →同じころの日本観や主張は、「日本異質論」とか「リビジョニズム」(日本見直し)といわれた
・経済(金儲け)に邁進した日本
 →米国人の日本への「防衛ただ乗り論」、パールハーバー・シンドロームを一層深めることに

◆「記者クラブは座敷牢のようなもの」
・記者クラブの弊害や新聞の自己批判の記述を避けて、日本異質論の記事を正確に書くことはできない。
 →日本のマスコミの壁と限界
・「キシャクラブ」が、「ケイレツ」「ダンゴウ」「ネマワシ」「ヤクザ」などのように、日本型システムを表わす言葉に

◆日本企業のハワイ土地買い占め
・(著者は、)新聞社を辞め、ジャーナリズムと政治研究をテーマにした客員研究員としてハワイ大学への留学資格を得た。
 →第二の青春を迎えたような気分
 →日本では決して味わうことのなかった自由の味と香り
・バブル景気に沸く日本企業がホテルやリゾート地を建設するために、大規模な土地買い込み
・ハワイの日系移民は米国併合前の1885年から。その数はフィリピン系に次いで多く、ハワイ人口の中ではマジョリティ。
・一方、日本のミクロネシア統治の歴史からは、戦前、戦中の日本の統治に否定的な部分だけでなく、光の部分も
 →欧米の植民地経済から脱して、日本統治時代に自給自足の自立
・南太平洋には、戦後の日本で忘却され、ほとんど知られることのない光と影の歴史

◆日本人観光客が行かないアリゾナ記念館
・パールハーバーは1898年に建設、米国の太平洋戦略の要衝
・アリゾナ記念館には、暁の日本軍奇襲攻撃で撃沈された戦艦アリゾナと運命を共にした兵士約1200人の遺影
・ホノルルマラソンの参加者は圧倒的に日本人ばかり、なぜ彼らは一度もパールハーバーを訪ねようとはしないのか?

◆アキレス腱になっている真珠湾奇襲
・パールハーバー奇襲の謎は、いまでも続く日米論争の種
 …宣戦布告文書の米国への手交遅れの手違い
・駐米大使が米国国務省に趣き、米側に宣戦布告文書を手渡したとき、日本軍はすでに真珠湾を奇襲した後

◆米艦隊の動向を監視していたスパイ
・日本の石油は1年分の備蓄しかなかった当時
 →石油や資源獲得のためにインドシナから南太平洋諸島へ進駐
 →一方、中国戦線は拡大の一途、収束の目処はなし
  ⇒米国と一戦を交えて戦況を打開するほか、出口はなかった
・パールハーバーには、真珠湾奇襲の機をうかがって、元海軍少尉の日本のスパイ
 →戦後になって、このスパイ活動がパールハーバー奇襲を可能にしたことが米国で知られることに

◆あまりにも貧弱な外務省内部調査文書
・1994年、(著者が)新聞社を辞める前、外務省にある『「対米覚書」伝達遅延事情に関する記録』の公開を求めて外務省官房総務課と交渉した
 →真珠湾攻撃の宣戦布告文書のこと。対米覚書の手交(宣戦布告)が遅れた理由
・戦後半世紀を経て公開された真珠湾奇襲の顛末の外務省内部調査文書は、驚くほど貧弱なもの
 →遅延の理由は、外務大臣や外務省幹部の責任ではないということ
 →官僚組織のステレオタイプが厳然として存在

◆浮かび上がる構図
・学生アルバイトを含む駐米大使館の中堅・末端職員の職務怠慢に責任を負わせたパールハーバー奇襲、何だったのか。
 →ますます募る釈然としない違和感

◆ルーズベルトから天皇への親電はなぜ隠されたか
・元外交官(ニュージーランド大使)、井口武夫氏の著作『開戦神話−−対米通告はなぜ遅れたのか』
 →日本の真珠湾奇襲の謎を追求した労作
 →日本軍のパールハーバー奇襲の直前、ルーズベルト大統領から天皇へ和平を求める親電が届いた。この親電の配達を陸軍主戦派と外務省が差し止めたことが、米側への最後通告が遅れた理由だったとする内容
・パールハーバー奇襲・騙し討ちへの不信感を、パールハーバー・シンドロームとして世界にばら撒いているのでは、どんどん悪くなる日本の立場
 →真相を日本人の手で自ら明らかにすることで、日本の過去の汚名をそそぐ必要 

◆ルーズベルト陰謀説の間違い
・ルーズベルトからの天皇への親書の目的
 →何とか日米開戦を避けようとして天皇へ親書を送ったと考えるのが、もっとも無理がなく説明がつく
・米国を第二次世界大戦に引きずり出すために、日本を利用
 →チャーチルの戦略
・米国との関係を慮る英国政府は、日本の暗号解読の記録の公開をいまだに拒んでいるよう

◆歴史のトラウマと向き合う
・「ニイタカヤマノボレ1208」…真珠湾攻撃・12月8日の暗号
・ルーズベルトは、チャーチルの策謀に引っ掛かり、日本軍のパールハーバー奇襲を許した後、第二次世界大戦に参戦
・パールハーバーに限らず、被害を受けた側はそれを忘れず、トラウマの記憶が噴出
 →過去を知るための時間と心の準備がまだまだ不足
・日本の戦争責任は、日本人自身の手によって総括したことはない
 →日本が国際的に認められない最大の原因

ご意見・ご感想

HOME