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半導体、2013〜2014年の力強い伸びに向けて、新たな競合の局面へ

米国SIAより4月の世界半導体販売高および恒例の年2回、中期予測の発表が行われている。本年に入ってからの累積販売高は前年を5.9%下回っているが、4月の前月比伸び率が3.4%増と、2年ぶりの水準となっているとともに、中期的にも多分に今後のこの勢いの継続への期待を込めて、本年は昨年から若干の増、2013年そして2014年はそれぞれ7.2%増、4.4%増と力強く伸びるという見方が表わされている。これに反応するかのように、新たな機軸の市場創出および展開を巡る競合の様相が各方面に見え始めている。

≪世界半導体の4月販売高および中期予測≫

米国SIAからの今回の発表内容は、次の通りである。

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○4月のグローバル半導体販売高、約2年ぶりの前月比伸び率、2012年で初めて$24 Billionを上回る−業界見通し、2012年のグローバル販売高は若干の増加、2013年および2014年はもっと力強い伸び …6月5日付けSIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2012年4月の世界半導体販売高が$24.1 billionで、前月の$23.3 billionから3.4%増加、これは2010年5月以来の前月比最大伸び率となる。しかしながら、この4月販売高は昨年4月の$24.8 billionを2.9%下回っている。さらに、2012年の1月〜4月累積販売高は$93.7 billionで、前年同期の$99.5 billionからは5.9%の減少である。月次販売高の数値はすべて3ヶ月移動平均で表わされている。

「グローバル半導体業界の概況は、引き続き慎重な楽観的見方に入っている。」とSIA president & CEO、Brian Toohey氏は言う。「控えめながら前月比の伸びという元気づく傾向が見え始めて、これは今年中続くとともに、2013年以降もっと力強い伸びが予想されている。しかしそのような楽観的見方は、引き続きマクロ経済要因によって加減されてくる。」

地域別に2-4月対11-1月で見ると(3ヶ月移動平均ベース)、次のようになり、Americas、Asia PacificおよびEuropeは増えているが、日本は僅かながら減少している。

市場地域
11- 1月平均
2- 4月平均
change
Americas
4.32
4.56
5.6
Europe
2.77
2.82
1.8
Japan
3.44
3.38
-1.8
Asia Pacific
12.63
13.31
5.4
$23.16B
$24.07B
3.9 %


一方、SIAは本日、World Semiconductor Trade Statistics (WSTS) organizationの2012年春季グローバル半導体販売高予測を支持して、2012年の該業界世界販売高が$301 billion、2011年比0.4%増としている。WSTSは、2012年地域別の前年比の伸びを次のように見ている。
 Americas 3.2%
 Europe  -3.5%
 Japan   1.7%
 Asia Pacific 0.1%

≪グローバル半導体販売高予測≫
WSTS予測によると、2012年より先の該業界はすべての地域にわたって大きく早いペースで伸びると見ている。WSTSは、2013年について7.2%増の$322 billion、2014年については4.4%増の$337 billionを予測している。

※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/clientuploads/April%202012%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf

※WSTS Forecast Summary表、以下参照。
http://www.sia-online.org/clientuploads/WSTS%20Spring%20Forecast%20Summary%20table.pdf
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これを受けた各紙の見出し、次の通りである。

◇SIA, WSTS expect flat chip sales in 2012 (6月5日付け EE Times)

◇April semiconductor sales jump; SIA predicts modest but building growth (6月6日付け ELECTROIQ)

◇Global chip sales up 3% in April 2012, says SIA (6月6日付け DIGITIMES)

半導体製造装置について、上記の中期予測に呼応して2013年には史上最高を予想する見方が表わされている。

◇Fab equipment spending to rise in 2012 and hit record in 2013, says SEMI (6月7日付け DIGITIMES)
→SEMI発。半導体fab装置spendingが、2012年はプラス伸長、2013年にはさらに増大、史上最高になると見る旨。
 2012年   2013年
 $39.5B   $46.3B
 2%増    17%増

各メーカーについても、三星電子からは現時点の市場への危機感から戦略の転換を図る動きが表われており、新たな機軸の打ち出しおよび展開を世界的に注視し合う状況が見てとれるところがある。来週に控えるAppleのWorldwide Developers Conference(WWDC)も当面の注目ということと思う。

◇Samsung Elec shifts CEO to global strategy role-Head of components business tapped as CEO of Samsung Electronics (6月7日付け Reuters)

◇サムスンが戦略大転換…欧州・日本を視察した李会長の選択 (6月8日付け 韓国・中央日報)
→李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長が国内外の現状況を「市場の危機」と規定、7日、グループ未来戦略室長に崔志成(チェ・ジソン)サムスン電子副会長を任命、未来戦略室長はグループの未来について責任を担う旨。

市場需要にモバイル機器用プロセッサの生産が追い着かない状況が見られる半導体ファウンドリー業界であるが、AMDの製造部門の流れを引くGlobalfoundriesからは、本年UMCを、そしてゆくゆくはTSMCを凌駕することを目指す力強いメッセージが打ち出されている。

◇Globalfoundries looking to beat UMC in 2012, eyeing top spot among foundries (6月8日付け DIGITIMES)
→GlobalfoundriesのDesign Solutions、VP、Subramani Kengeri氏。同社は、2012年にUMCに取って代わって世界第2位の専業半導体ファウンドリーに、そしてcontract半導体メーカーの間でのグローバルなリーダーシップの立場を目指していく旨。


≪市場実態PickUp≫

3-D ICについてのEDAベンダーと半導体ファウンドリーとの連携が、第49回Design Automation Conference(DAC 2012)(San Francisco)にて見られている。

【DAC 2012から】

◇GloFo, TSMC report process tech progress (6月5日付け EE Times)
→今回の場でGlobalfoundriesが、28-nmプロセスの立ち上げ進捗、20-nmプロセス初期認定作業および3-D ICパートナーかき集めを発表、また同社のさらに大きな競争相手、TSMCも、Cadence Design Systemsとのコラボで進めるテスト3-D IC半導体のtape outなど同じ3つの領域での進展を発表の旨。

恒例と感じるComputex 2012(6月5-9日:Taipei)開催であるが、PCからモバイル機器への移り変わりを反映した以下の論調が表われている。

【Computex 2012から】

◇PCs strike back at Computex (6月4日付け EE Times)
→Computex 2012は、PC業界にとって、Appleのスマートフォンおよびタブレットの絶対的な力に直面するなか依然革新的であり得ることをハイテク業界全体に示せる必要がある大きな展示の場である旨。Computexは何年もの間、グローバルPC市場の重要なtrade展示会であるが、ここ数年PCの伸び率が減少、かつての無くなったComdexのように少し見え始めている旨。

スマホはじめモバイル機器急拡大に対応する動きが続くが、三星電子からロジック向けの新fab建設計画が発表されている。

【Samsungのロジック半導体fab】

◇Samsung to spend $1.9 billion on logic fab, says report (6月7日付け EE Times)
→Reuters発。Samsung Electronics Co. Ltd.が、スマートフォンおよびタブレットcomputersを支えるロジック半導体用のウェーハfabライン建設に$1.9Bを投資する旨。該ラインは、300-mm径ウェーハでの20-および14-nmプロセスを動かし、2013年末までに完了予定の期待の旨。

◇Samsung to build new 12-inch fab for logic ICs (6月8日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、ロジック製品の需要増大に対応、韓国・Hwaseong(華城市)に新fabラインを建設する計画を披露の旨。

米国に続いて欧州でも、半導体製造、ものづくりの重要性がレポート答申されている。

【製造の重み】

◇EuroFab450 is an ambitious dream (6月6日付け EE Times)
→Future Horizons Ltd.(Sevenoaks, England)およびDecision SA(Paris, France)によるEuropean Commission向けレポート:"Benefits and measures to set up 450 mm semiconductor prototyping and to keep semiconductor manufacturing in Europe"。製造およびそのコントロールを維持することの重みに力点の旨。

◇European Commission report looks into 450-mm fab initiative-Future Horizons suggests investment-EU study recommends building a pilot 450 mm fab line in Europe (6月6日付け TechEye.net)

中国のモバイル機器メーカーを相手にmultinational半導体メーカーの競合生き残りは無理、という以下の記事が見られている。外からの参入への中国ならではのいろいろな障壁を感じさせている。

【中国市場での生き残り】

◇Four reasons why its 'game over' for foreign chip firms in China (6月5日付け EE Times)
→中国のhandsetメーカーが用いるセルラおよび放送通信用RFおよびmixed-signal半導体を供給する大手の中国ファブレスICベンダー、RDA Microelectronics社(2004年上海で設立)のCEO、Vincent Tai氏。
multinational半導体メーカーは、consumer electronics IC事業ではもはや中国のファブレス半導体ベンダーとは競合できない旨。
中国市場で生き残るための4点:
1. 中国handsetメーカーの“cycle time”が非常に短い。新しいモバイルhandset設計に中国以外では6ヶ月かかるが、中国メーカーは3ヶ月。
2. 中国handsetベンダーは、半導体サプライヤに対して市場需要の情報をほとんど出さない。半導体サプライヤは"市場に密着"、中国市場のups and downsに耐えていく必要がある。
3. 半導体メーカーはより低いgross marginsで生き残らなければならない。
4. 中国のシステムベンダーは技術的足場が低く、手がかりを必要とする。台湾のMediaTekが中国でうまくいっているのは、turnkeyソリューションによる。


≪グローバル雑学王−205≫

デュッセルドルフからスイスのチューリッヒに降り立って10時間滞在、それから米国に向かうという本当に目まぐるしい旅程である。小生、スイスは飛行機で上空を通り過ぎたことしかなく、その現在の生の雰囲気を、  

『80時間世界一周 ・・・格安航空乗りまくり悶絶ルポ』 (近兼 拓史/著:扶桑社新書 112)  
 …2012年 3月 1日 初版第一刷発行

より味わうこととする。永世中立国、ヨーロッパの陸路のハブ拠点といった同国のイメージを改めて受け止めている。それにしてもこの著者の疲労の度合いが、世界一周&悶絶の旅が終りに近づくにつれ気になってくる。


第5章 チューリッヒで路頭に迷う!

◆チューリッヒ空港の時計はやっぱりロレックス
・日本を出発して39時間30分、チューリッヒ空港に到着
 →タクシーの客引きがいない。みんなお行儀良く並んでいる。
 →空港はその国の縮図のような場所

◆鉄道ファン羨望の地・チューリッヒ中央駅へ
・タクシー料金をユーロで支払おうとしてダメ。スイスの通貨はスイスフラン。
 →幸いクレジットカードは使えた
・140年以上の歴史を持つ建物、スイス最大、チューリッヒ中央駅
 →高いドーム型の天井、美しく装飾された壁など
 →近年の日本の駅のなんと味気ないことか……
・駅構内のパブが閉店の時間に
 →「すぐ帰るから一杯だけ飲ましてよ!」は通用せず

◆居並ぶ超美形列車に狂喜乱舞!
・ドイツやイタリア、フランスと、各国へ旅立つ国際特急列車の姿は、日本では絶対に味わえない光景
・しばらく駅前をウロウロ
 →アメリカや中国のように、表通り沿いにATMがある状況ではないよう
 →地下街に下りて、ほとんどが閉店している薄暗いモール
 →ポツンと灯っているATM発見

◆スイスが平和で安全な理由とは?
・スイス、この平和や安全
 →「どんなことがあっても、この国の平和を守り続ける」という積極果敢な能動的平和主義
 →スイスの「国民皆兵制度」は有名
 →今も各家庭には本当に有事用に自動小銃があるよう
・こぞってスイスにある各種の国際機構や団体の本部
 →平和への安心感から
・国際キャッシュカードでの出金作業
 →世界に誇るスイス紙幣、電子透かしとか世界で最も複雑なセキュリティが仕組まれているとのこと

◆どんどん店が閉まっていく駅前で途方に暮れる
・ボク(著者)が海外の見知らぬ街で朝までの時間を過ごす定番は映画館
・映画館、本当に人間の感情表現は国によって様々
 →アメリカ:ブラックジョークの幅が日本人の数倍広い
  インド: 観客全員が立ち上がって踊りだす
・灯りのついているカフェに入りビールを注文
 →地元チューリッヒの地ビール、ヒューリマンビールは、チーズ料理に良く合う
・駅前広場の銅像、"スイス鉄道の父"、アルフレート・エッシャー
 →スイスを経由してヨーロッパ全土を鉄道でつないだ

◆怪しいツーリスト(ボク)、警官に職質される!
・あてもなく行ったり来たり
 →パトカーがやってきて、予想通り2人の警官が降り職質を受ける
・駅前で夜を徹して観光、美しい夜明けを迎えるというプランは断念
 →タクシーで空港に戻ることに
・フライトスケジュールボードのロレックスはまもなく午前3時
 →一人空港入口のイスで夜を明かす
・滑走路の向こうから昇る真紅の朝日
 →先程の出来事を心から洗い流すに十分な美しさ
・10時間のスイスの旅は終了。ヨーロッパを離れアメリカへ。

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