一段と熱気&活気、3-D ICsの本格的取り組み&市場投入
半導体の微細化は、急拡大のモバイル機器に向けた28-nmに対応する現状、7-nmまで見渡す今後の展開など、プロセスノードに纏わる話題が中軸となる一方、3-D ICs、すなわち垂直、縦方向にICsを積み重ねる(stacking)三次元ICsが、もう一つの微細化ソリューションとしてここ数年着実な進展を示している。最近、Wikipediaで「Three-dimensional integrated circuit」が掲載されていると知り、またロジックおよびメモリそれぞれでさらに具体的な取り組みの発表が続いている現状を受けて、以下のアップデートである。
≪3-D ICsの現時点≫
Wikipediaにて早速引いてみると、手前勝手な和訳で次の概要表現となっている。
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「Three-dimensional integrated circuit」 From Wikipedia
…エレクトロニクスにおいて、能動電子コンポーネントの2層以上が垂直および水平の両方で1個の回路に統合されている半導体が、三次元IC(3D IC,3D-IC, あるいは3-D IC)である。半導体業界はこの有望な技術を多くの異なる形で追及しているが、まだ広くは使われてなく、結果としてその定義はまだ幾分流動的である。
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詳細は以下を参照いただきたい。
⇒http://en.wikipedia.org/wiki/Three-dimensional_integrated_circuit
三次元IC関係の業界記事をずっと注目してきているが、これも手前勝手の定義づけながらその記事件数を2010年以降でカウントしてみたところ、次の推移となっている。
2010年 | 2011年 | 2012年 | |
1月 | 31 |
27 | 41件 |
2月 | 14 |
15 | 32 |
3月 | 36 |
26 | 64 |
4月 | 25 |
32 | 47 |
5月 | 16 |
32 | 54 |
6月 | 39 |
40 | |
7月 | 36 |
38 | |
8月 | 19 |
29 | |
9月 | 16 |
42 | |
10月 | 29 |
58 | |
11月 | 32 |
57 | |
12月 | 33 |
69 |
精度はともかく、昨年後半以降の記事の多さを肌身に感じてこの集計を行ってみたという経緯ではある。学会のみならず業界関係の国際的な場で、3-D ICsがいずこでも取り上げられる状況になっており、以下がその例である。
◇Chip execs see 20 nm variants, 3-D ICs ahead (4月27日付け EE Times)
→GSA Silicon Summit(MOUNTAIN VIEW, Calif.)での多岐にわたる議論から要点のいくつか:
*次世代20-nmプロセスは、低電力および高性能について最適化したバージョンをサポート可能(IBM)
*多くの課題にも拘らず、多様な3-D ICsが2014年に市場に出てくる
*CMOS scalingは鈍化しているが、依然7-nmノードまでは実現可能
◇ECTC: Focus on 3D integration and TSVs (6月1日付け ELECTROIQ)
→今年のElectronic Components and Technology Conference(ECTC)(第62回:5月29日〜6月1日:San Diego, CA)の重点テーマは、3D integrationおよびthrough silicon vias(TSVs)の旨。「ここ数年の最も大きな流れは3DおよびTSVであり、今後とも続いていく。業界は、3D toolsがすべて揃うまでは3Dを行ない易い方法として2.5D、すなわちインターポーザが現れることを本当に望んでいる。闘いはインターポーザにかかるコストがどうなっていくかにある。」(ECTC conference chairを務めるGLOBALFOUNDRIESのDavid McCann氏)
タイミングを合わせるかのように、具体的な製品あるいはそれに向けた取り組みが相次いで発表されている現時点である。まずは、3-D ICs活況の火付け役の一翼になっているとも感じるXilinx社のheterogeneous 3D FPGAが、以下の通り発表され、慌ただしい推移の混乱を避けるよう製品の流れを解説する記事も見られるほどである。
◇Xilinx: 3-D Chip a Route to More Complex Semiconductors-Xilinx sees the future of chips in its new 3D FPGAs (5月30日付け Barron's/Tech Trader Daily blog)
→Xilinxが、同社FPGAsのVirtex-7最新ラインを投入、28-nm featuresのSiベースロジック半導体を40-nm embedded silicon germanium(SiGe) dieと一緒にした3DICパッケージである旨。3DIC技術の最先端を進める点で、このXilinx 3D FPGAは"huge"と表される旨。
◇Xilinx ships the world's first heterogeneous 3D FPGA (5月30日付け EE Times)
→混乱を避けるよう、流れの解説:
Monolithic Device: VIRTEX-7
↓
First 3D FPGA: Virtex-7 2000T ⇒(注1)
↓
First Heterogeneous 3D FPGA: Virtex-7 H580T ⇒(注2)
(注1)世界最高capacity、トランジスタ6.8B個、Stacked Silicon Interconnect技術(through-silicon vias[TSVs]接続の"silicon interposer")、同じパッケージに4つのFPGA die、homogeneous…4つのFPGA dieが同一
(注2)heterogeneous…同じパッケージに2つのFPGA dieおよび1つの8-channel 28Gbps transceiver die、Stacked Silicon Interconnect技術による業界最高バンド幅FPGAs
◇Xilinx relies on stacked silicon interconnect for 28Gbps FPGA (5月31日付け ELECTROIQ)
→Xilinx社が、3D heterogeneous all-programmable FPGA, Virtex-7 H580T FPGAの出荷を開始、同社のstacked silicon interconnect(SSI)技術を用い、16 28Gbpsおよび72 13.1Gbpsトランシーババンド幅まで到達の旨。
・≪写真≫ Xilinxのheterogeneous 3D FPGA, Virtex-7 H580Tデバイス
⇒http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/05/xilinx-ssi-2.JPG
・≪写真≫ Virtex-7 H580Tデバイスは、SSI技術を用いてコアFPGA fabricから離れたシリコン上の28 Gbpsトランシーバを届ける
⇒http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/05/xilinx-ssi-1.JPG
一方、メモリ関係でもJEDECあるいはMicronなどの三次元関係標準化が進められているが、次のように具体的な個々の取り組みも見られている。
◇Etron designing DRAMs for through silicon vias (6月1日付け EE Times)
→Etron Technoogy社(新竹[Hsinchu], Taiwan)が、through-hole vias(TSVs)を用いる3-D ICsに向けたbuffered DRAM設計への取り組みを開始、3-D ICsはDRAMsを再び元気づけ、設計コラボを牽引する(同社founder and chief executive、Nicky Lu氏)旨。
≪市場実態PickUp≫
動向が注目されているルネサスエレクトロニクスが、TSMCとのコラボを次の通り発表している。エルピーダメモリとともに、グローバルに発展的な推移を見守りたく思う。
【ルネサスとTSMCのコラボ】
◇Renesas extends MCU work with TSMC to 40-nm (5月28日付け EE Times)
→予想通り、Renesas Electronics社とTSMCが、Renesasがリードする市場、microcontrollers(MCUs)についての両社間のコラボを高めることを発表の旨。
◇Renesas, TSMC tout licensable MCU platform using 40-nm eFlash (5月28日付け EE Times)
→Renesas ElectronicsとTSMCが、世界中の他の半導体サプライヤにライセンス供与可能なembedded flash(eFlash)-ベースMCUプラットフォームを開発する計画概要を説明の旨。
◇ルネサス、マイコン生産委託発表、台湾TSMCに−協業関係広げ採算改善へ (5月28日付け 日経 電子版)
→ルネサスエレクトロニクスが28日、TSMCに自動車や電子機器の制御に使うマイコンを生産委託すると発表、これまでもシステムLSIの生産を委託してきたが、主力のマイコンでも協業関係を広げ、採算改善を狙う旨。委託するのはルネサスが昨年末に開発した40-nmの半導体など高性能品が含まれる旨。ルネサスの主力である那珂工場(茨城県ひたちなか市)と台湾のTSMCの工場の2ヶ所で生産できるようにすることで、製品供給が途絶えないようにするのも狙いの旨。
新興経済圏の推移もなかなか目が離せない現状を、以下から感じている。グローバルに一体的に経済の潮流を読んでいく重みが一層増している。
【世界経済の底流】
◇新興国に試練、インド7年ぶり、中国3年ぶり低成長−利下げやインフラ事業前倒しでテコ入れ急ぐ (6月1日付け 日経 電子版)
→インドや中国など新興国経済が予想を上回るペースで減速している旨。
インド 1〜3月期GDP 5.3%増 4四半期連続鈍化
中国 1〜3月期実質成長率 8.1% 前年同期9.7%
ブラジル 1〜3月期GDP 1〜2%増 前年同期4.2%増
欧州危機などで新興国の需要が減退、先進国経済の減速につながる悪循環の恐れもある旨。
半導体の新たな芽そして開花に向けて、我が国そして韓国で産学官協力の取り組みが打ち上げられている。
【産学官協力】
◇パワー半導体で逆襲、日本の産官学がつくばに集結−車・家電の大幅省エネを実現へ、人材育成にも注力 (5月28日付け 日経 電子版)
→日本のエレクトロニクス産業が、省エネ化のカギを握る次世代のパワー半導体で反転攻勢に、産業技術総合研究所(AIST)と富士電機、住友電気工業、アルバックなど16社、筑波大学がパワーエレクトロニクスの共同研究体、「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーションズ(Tsukuba Power-Electronics Constellations, TPEC)を設立、Si半導体に比べて電力損失が少ないSiC半導体の開発を加速する旨。
◇LED世界最高技術を3年内確保、韓国産学官協力へ (5月30日付け 韓国・中央日報)
→韓国知識経済部が30日、発光ダイオード(LED)照明の定着に向け、産学官による相互協力覚書(MOU)の締結式を開催、2015年までに世界最高水準のLED光素子技術の開発を目指す旨。事業推進の背景には、3年以内に世界最高レベルのLED光素子技術を確保できなければ、LEDを韓国の新成長産業に定着させることができないとの危機感がある旨。今年から2014年にかけ、国費120億ウォン(約8億900万円)と民間資本42億ウォンを投じる旨。
将来に向けた新たな発想が、北欧から2件、ともに興味深く感じるとともに該新技術の積み重ね、実りを願うところである。
【将来に向けて】
◇The first chemical circuit developed-Researcher develops first-ever chemical circuit (5月29日付け PhysOrg.com)
→スウェーデン・Linkoping Universityの博士課程学生が、世界初の化学回路、例えばいつか筋肉の中の動きを刺激するのに用いられる可能性を孕む"イオントランジスタ"を開発、Si半導体がコンピュータで動作するのと同様に、体内の生体分子の輸送をある機能を行わせるよう制御するよう該半導体が働く旨。
◇Single moving droplet can generate power! (5月31日付け EE Times India)
→ノルウェー・Vestfold University Collegeが、水の小さい滴1個の動きを利用して電気を起こす、簡単で効率の良いenergy harvesting(環境発電)デバイスを作り出した旨。該新技術は、低電力携帯機器の電源として使える可能性、導電性滴(水銀あるいはイオンを含む液体)が、薄いmicrofabricated材料、electret filmに沿って滑ると電力が発生する旨。
≪グローバル雑学王−204≫
モスクワからドイツのデュッセルドルフへ、電子デバイス事業の拠点オフィスがあって小生もかつて何回か訪れたこの街の現在の空気を、
『80時間世界一周 ・・・格安航空乗りまくり悶絶ルポ』 (近兼 拓史/著:扶桑社新書 112)
…2012年 3月 1日 初版第一刷発行
より、いろいろ思い起こすなか味わっている。アルトシュタットで飲み干すアルトビールは、変わらず最高のようである。LCCとは思えないほど素晴らしいエアベルリンという下りがある一方、著者が日本で遭った不幸な顛末例が後半に示されている。
第4章 ドイツでご先祖様に会う!
◆デュッセルドルフ空港は『ドラえもん』でいえば出木杉くん!?
・フランクフルト、ミュンヘンに次ぐドイツ第3の空港
→ドイツらしい適正サイズの機能的なデュッセルドルフ空港
・何よりまず、人々が静かにまっすぐ整然と歩いている
→ここで暮らしてる人は相当ストレスがたまりそう
→ドイツに入った途端、男性のハゲ率が高くなった
・オペル製のミニバンタクシーでデュッセルドルフ駅へ
◆ボクがネアンデルタールに行きたい理由
・デュッセルドルフの近隣にある最古の人類が発見された場所、ネアンデルタールに行ってみたい
・ドイツに来ていつも思う:「この国の人々は互いの誠実さを信じ合っている」
→電車に乗る時も、到着駅にも改札がない
→日本人である自分が、のび太的な主張のない人種であるかを感じずには
・流線型の各駅停車の電車で約20分、ネアンデルタール駅に到着
・気に入っているネアンデルタール人再現標本の独特の風貌
◆ネアンデルタール人はドイツのアイドル!
・発掘現場を、そのまま博物館に
・のどかな山間の谷にあるネアンデルタール駅、小鳥の声に包まれた何もない場所
→入場料8ユーロ(約930円)
→いきなりネアンデルタール人の等身大再現人形がお出迎え
・いつでも会える等身大の原人、ズラリと並ぶネアンデルタール(NDT)人グッズの豊富さと人気ぶりの凄まじさ
◆"世界一長いバーカウンター"で人間も携帯も充電
・デュッセルドルフ駅まで戻り、地下鉄に乗り換え、酒飲み天国、アルトシュタットの街へ
・パソコン、iPhone充電のためのコンセント探し
→ブンデスリーガの名プレー特集のビデオを流している店
→ドイツのサッカーファンは日本人に友好的
→キッチン内から電源を取ってくれた
・お待ちかねのデュッセルドルフ自慢のアルトビール(上面発酵ビール)、「Schloesser Das Alt」
・4時間30分のドイツの旅は、実に心身ともに充実した時間に
◆LCCを超えたLCC、エアベルリンに感動!
・エアベルリンのエアバスA319、チューリッヒに向け定刻通り出発
→1時間30分のフライト、清潔でサービス満点、感動のクオリティ!
・2012年中に大手航空連合、ワンワールドへ加盟する予定とのこと
・LCCのあり方について大きく2点の問題
→第一「LCCだからローサービスは仕方がない」 →十分納得
第二「LCCだからハイリスクでも仕方がない」 →あってはいけない
◆スカイマークで起こった驚きの事件とは?
・2007年、神戸空港発スカイマーク108便で起きた事件例
→バッグの盗難事件、被害者がボク(著者)達夫婦
→犯人が乗ったままの飛行機を飛ばそうとしている。ボク達夫婦は手続きが間に合わず同便に搭乗できなくなってしまっている。
→本当に優先されたのは乗客の安全なのか、会社の経済性なのか?
◆まさかの結末に吉本並みにズッコケ
・ボクらのカバンから自分のカバンに移し替えている姿をビデオで一緒に見て確認、被害届まで提出
→なのに、"取り違え"はないとのやりとりでチョン!
◆航空会社が削って良い部分と削ってはいけない部分
・数ヶ月後、神戸水上警察によって犯人の女性は逮捕
→乗客や周囲に対する安全への責任感と配慮をあまりに欠き過ぎる顛末に
・現場はアルバイトや派遣だけで危機管理能力ゼロの体制、その後スカイマークには乗らなくなった
→先日、国内LCCのエア・ドゥ、機長が男性の冗談を許さず機内から降ろす決定をした事例
→この便は約1時間5分遅れて出発
⇒航空会社には削って良い部分と悪い部分