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我が国に圧し掛かる世界経済の構図、変わらざるを得ない半導体の世界

エルピーダメモリの支援入札に続いてルネサスエレクトロニクスが再建に向けた大幅な再構築を迫られる事態となって、両社の前身の一員として1970年代から半導体と共に歩み、今も業界の一角で活動している小生としては忸怩たる思いが続いている。かつて1980年から1990年代前半に世界を席巻した我が国の半導体メーカーであるが、世界のグローバル化の急進展、エレクトロニクス機器の一般消費者への急拡大という世界経済の構図からくる圧力に対して、従来システムからの変革が今また徹底的に求められている。

≪迫られる再構築、変革≫

Intel社のCEO、Paul Otellini氏が最近の同社analyst dayにて、半導体業界の製造コスト増大から最先端半導体設計では2、3社だけが残る統合が生じると予測している。300-mm fabで28-nmノードでは$5 Billionを超え、450-mmウェーハfabではなんと$10 Billion以上が必要となると、このようなコストを吸収するに十分な数量をビジネス的にこなせるのは数社に限られてくる、という今に始まったわけではない見方ではある。この経済学から厳しく見ると、22-nmでのHVM(high-volume manufacturing)プレーヤーは次のようになるという見方が出されている(5月19日付け ElectroIQ:Dr. Phil Garrou氏ブログ)。

Logic - Intel, Samsung, ST Micro
Memory - Samsung, Toshiba, Micron/Elpida, Hynix
Foundries - TSMC, GF

これを目にした後、まさに今後に向けて迫られる再構築、変革に関連する動きが相次いでいる。まずは、なかなか一筋にはいかないエルピーダを巡る記事である。

◇UPDATE 1-SK hynix, GlobalFoundries may try to buy Elpida -source (5月21日付け Reuters)
→消息筋発。Elpida Memoryのbondholders(社債券所有者)1グループが、Micron Technologyの買収オファーに反対し、SK hynixおよびGlobalFoundriesが可能性のある代替計画に備えているとしている旨。
SK hynixはElpidaの台北operationsに、GlobalFoundriesは広島operationsにそれぞれ関心を示している旨。

半導体のみならず我が国テレビ業界ビッグ3について、以下の論説である。

◇Will Japan Inc. say sayonara to TV manufacturing? (5月22日付け EE Times)
→苦境の我が国TV事業ビッグ3、Sony, PanasonicおよびSharpについて今回のルネサスの動きについて小生が最初に目にとめて知ったのは、次の記事である。

◇ルネサス、6000人削減と500億円増資、経営立て直し (5月22日付け SankeiBiz)
→半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、経営立て直しに向け、全社員4万2000人のうち6000人規模の削減を検討していることが22日、わかった旨。約500億円の第三者割当増資も行い、財務基盤の強化も図る方向で調整している旨。

5月28日月曜に予定の広報を前に、TSMCとの連携の動きが明かされている。

◇Renesas says to tie up with TSMC in microchip business (5月23日付け Reuters)
→月曜のnews conferenceに先立って、Renesas Electronicsが、TSMCと協働するとしている旨。

時を同じくパソコンの雄、HPでも大幅な人員削減の検討が進められている。

◇HP may cut 30,000 jobs: Report (5月23日付け EE Times India)
→Hewlett-Packard(HP)が、総従業員の8-10%に当たる約25,000〜30,000 jobsを削減する計画、まもなく再構築計画が発表される見込みの旨。この再構築の重点はコスト削減にあり、コンピュータおよびサービスの需要減に対処する一つの旨。

ルネサスはマイコン、MCU事業に一層重点化する方向を打ち出している。

◇Renesas still struggling with restructuring plan (5月24日付け EE Times)
→日経発。日本の大手半導体メーカーの合併がまだ具体化していないが、Renasas, PanasonicおよびFujitsu Semiconductorの間で交渉が続いている旨。現在の計画では、3社が協力してシステムLSI事業に重点化した新会社を作る一方、Renasasは利益の出るMCU事業を保持する旨。

◇Reports: Renesas to tie up with TSMC, cut jobs (5月24日付け EE Times)
→Renesas Electronics社が来週月曜28日、TSMCとのビジネス連携を発表する予定、大幅な赤字解消に向けて委託半導体生産を増やす動きの旨。

一方、エルピーダについて、この第一四半期の世界DRAM市場シェアランキングでマイクロンを上回るとともに、Samsung、Hynixより伸びたという結果が表わされている。

◇Bankrupt Elpida leapfrogs likely acquirer Micron in Q1 DRAM rankings (5月24日付け ELECTROIQ)
→IHS発。第一四半期の世界DRAM市場シェアランキングで、Elpida Memory社がMicron Technology社を上回り、トップDRAMサプライヤより伸びる結果になっている旨。

◇Elpida, in Bankruptcy, Dethrones Micron in DRAM Market Rank-Elpida displaced Micron Technology from third place in DRAMs. Ironically, Micron is the company most likely to acquire Elpida. (5月24日付け eWeek)

そして、ルネサスの具体的な方向性がさらに次のように表わされる推移となっている。最先端HVMプレーヤーの1つとして残るよう、切に願わざるを得ないところである。

◇ルネサス、最大1.4万人削減、台湾企業に主力工場売却 (5月26日付け 日経 電子版)
→ルネサスエレクトロニクスが、主力の鶴岡工場(山形県)を台湾企業に売却するとともに、従業員の約3割にあたる最大約1万4千人を削減する方針を固めた旨。主要株主のNECや日立製作所などに支援を要請、世界首位のマイコン事業に経営資源を集中、再建を図る旨。ルネサスは鶴岡工場をTSMCに売却する方針で交渉を進めている旨。

◇ルネサス、マイコンに集中、NECなどの支援焦点−システムLSI、分離し再建へ (5月26日付け 日経 電子版)
→システムLSI事業の統合交渉(ルネサス、富士通、パナソニックの3社による統合交渉がこの2月に表面化)を急ぎ、マイコン事業に特化して生き残るシナリオを描く旨。


≪市場実態PickUp≫

台湾のUMCが、300-mmの新工場起工式を行っている。モバイル機器需要による受注増を見込んでおり、ここでもHVMプレーヤー地歩確保の動きである。

【UMCの12インチ新fabs】

◇UMC Plans To Invest US$8 Bln In 4th 12-Inch Plant (5月23日付け The Wall Street Journal/Dow Jones Newswires)
→UMCが、台湾南部の先端半導体工場の拡張に向けて、向こう数年にわたり$8Bを投資する計画の旨。

◇UMC holds groundbreaking ceremony for new facilities at 12-inch fab (5月24日付け DIGITIMES)
→UMCが24日、台湾南部にある12-インチ工場の第5および第6フェーズ(P5およびP6)建設に向けた起工式を行った旨。

◇Slideshow: Sun shines on UMC's new fab (5月24日付け EE Times)
→UMCの12-インチfab新facilitiesの起工式関係写真、下記参照。
http://www.eetimes.com/electronics-news/4373757/Photo-Gallery--UMC-breaks-ground-on-new-fab

◇UMC revenues to grow through 3Q12, says CEO (5月25日付け DIGITIMES)
→UMCのCEO、Sun Shih-wei氏。第二四半期出荷が前四半期比約15%伸び、全体稼働率が80%以上に上がる見込み、2012年売上げ全体の5%を28-nmプロセスが占めると見る旨。ARMがモバイルcomputingでますます席巻、ファブレスIC設計者に多数のビジネスopportunitesとなって、そこからUMC受注につながっている旨。
2010年に調印したElpida MemoryおよびPowertech Technologyとのlogic+DRAM 3D ICソリューションR&D協力は、Micron TechnologyがElpidaを買収した場合でもそのまま変わらない旨。

Appleの半導体需要の急増ぶりが如実に表れている以下のデータ内容である。

【Appleの半導体購入】

◇Apple is the biggest chip buyer -- and getting bigger (5月22日付け CNET/Business Tech blog)
→IHS iSuppli発。Appleの半導体購入が、2009年の$9Bから、iPhonesおよびiPadsの販売急増で今年$27B、来年$29Bに達する見込み、2010年に世界最大半導体buyerとしてSamsung ElectronicsおよびHewlett-Packardを追い抜いて、昨年はそのリード差を拡げている旨。
・≪グラフ≫ 世界半導体buyerランキング推移&予測:2008〜2013年
http://asset3.cbsistatic.com/cnwk.1d/i/tim/2012/05/22/20120522_IHS_semiconductor_001_610x430.jpg

このApple需要に即応する新ライン投資、そしてシャープからのLCD技術移転と、市場規模に照らした機敏な振る舞いをまたまた感じるFoxconnの動きである。

【Foxconnの動き】

◇Foxconn invests $120M in new Apple production plant (5月21日付け EE Times)
→China Daily発。Foxconn Technology Groupが、最大顧客、Apple社に向けた新しい生産ライン建設に$210Mを投資、10月ごろ建設開始予定のこの工場建設は江蘇省淮安(Huai'an)の当局からすでに発表されており、約40,000m2の広さ、35,800人を雇用する旨。

◇Sharp to transfer LCD technology to Hon Hai's China plant (5月25日付け EE Times)
→日経、金曜25日発。シャープが、先端中小型LCDパネル技術を鴻海グループ(Foxconnブランドを展開)の中国・四川省で現在建設中のfabに移転する旨。

ロシアも黙ってはいないということで、米国ファブレスへの投資が活発化している以下の状況が見られる。

【ロシアのハイテク投資】

◇Russia drives into U.S. fabless funding (5月21日付け EE Times)
→ロシア国立投資部門、Rusnanoが、2011年1月以降エレクトロニクス分野への$1.1B以上の出資をコミットしている旨。以下の内容:
 Aquantia - 10GBASE-T Ethernet - $25M
 NeoPhotonics - photonic ICs - $40M
 Quantenna - 4x4 MIMO 802.11n Wi-Fi chips - $40M
 SiTime - MEMS-based silicon timing chips - $15M
 Crocus - MRAM magnetic memory - $300M
 Plastic Logic - organic transistor backplanes - $700M


≪グローバル雑学王−203≫

上海からモスクワへ10時間余りのフライト、到着後数時間のタクシーでのモスクワ見物、そしてとんぼ返りの急ぎ足出国まで、

『80時間世界一周 ・・・格安航空乗りまくり悶絶ルポ』 (近兼 拓史/著:扶桑社新書 112)  
 …2012年 3月 1日 初版第一刷発行

より壮絶な旅を追っていく。狭い機内座席での時間が蓄積していくと、血流が悪くなって体がむくみがちになるが、その改善対策が最後に触れてある。
確かにその通りと、今まで何回だろうか、同じ思いをしたことがある。


第3章 アエロフロートで、いざモスクワ!

◆アエロフロートのシャラポア似美人にあきれられる
・深夜でも、人でいっぱい、上海浦東国際空港
・アエロフロートのカウンターへ、キャビンアテンダント(CA)も兼ねているらしい彼女から得た最大の情報
 →世界屈指といわれるモスクワ名物の渋滞
 →出るととても時間内には空港に戻れないだろうとのこと
 →神々しいほど美しいロシア系の美女の困り顔

◆春秋航空とは違う機内のニオイと音
・明らかに違う機内のニオイ!
 →東洋から西洋へ移動中であることを実感
・中国人の騒々しさと打って変わってロシア人は本当に無口
・10時間余りのフライト中、2度の機内食、以前より比べ物にならないほど改善

◆ロシア入国で思い出したビザ騒動
・シェレメーチエヴォ国際空港に到着
 →役人や公務員の特権階級丸出しの威圧的な態度
 →「ここだけまだ中世か?」と思う対応
・今回の旅では、ロシアだけビザが必要
 →在日ロシア領事館でも一騒動あった
 →不自然に短時間入国しようとするのは、麻薬か違法物の運び屋のように思われてしまったよう

◆良心的なタクシーを探せ!
・入国ゲートを出ると、外国人観光客相手のタクシーの客引き
・ロシアはまだ日本人にとって不自由な国
 →最初の壁がロシア通貨ルーブル
 →入手しないと全く動きが取れない
・タクシーの客引きの様子を見渡せるバーで、現在ロシア人気ナンバーワンビール「Baltika」の生を注文
 →郊外往復3時間貸し切り交渉は、3500ルーブル(約1万円)で成立

◆本田圭佑が所属するCSKAモスクワの本拠地へ
・今回目指す「ルジニキ・スタジアム」
 →モスクワオリンピックのメイン会場
 →現在では本田圭佑のいるロシアサッカー・プレミアリーグCSKAモスクワのホームグラウンドと言った方が
・モスクワに入ってから、日本人の姿どころかアジア系の人すら一人も見かけていない
・スタジアム近隣で開催されているバザール
 →妖精のように可憐なロシアの少女と、マツコ・デラックス体型のお母さん
 →ウォッカに逃れたくなるロシアのお父さんの気持ちが分かるよう

◆またしてもシャラポア似のCA嬢に救われる
・先ほどのシャラポア似のCA嬢が手招き
 →ヘンテコな日本人のことを覚えていて、到着を待っていてくれたよう
 →出国ゲートを無事通過
・相変わらず変わりばえしないロシアのおもやげ

◆通常の世界一周チケットが全行程10日以上の理由
・機内座席では、ドンドン体がむくんでいく条件が揃っている
 →各航空会社チームが世界一周のチケットに全行程10日以上の制限をつけている最大の理由と確信
・狭い機内で血流改善のために一体何ができるか
 →まず靴を脱ぐ
 →90分に一度トイレに立つ
 →意外と気分転換になったのが歯磨き
 ⇒不自由や疑似ピンチは、生きる力を身に付ける練習に

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