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スマホなどモバイル機器が織り成す半導体業界hot spots模様

世界的に熱く活発なスマートフォン、タブレットはじめモバイル機器に関連する半導体需要が追いつかず、生産枠を先行して取り込んで確保していく鬩ぎ合いの状況が見られているようである。中軸半導体を供給する半導体メーカーが急伸長を示すとともに、ファブレスとファウンドリーの関係が上記の取り合い状況を反映して構造のシフトを呈していると言われている。昨年を上回ってまたまた史上最高を更新するかどうかの本年の世界半導体販売高は、このモバイル機器のhot spots模様の広がり、濃さにかかっている。

≪現下の半導体市場展開≫

本年第一四半期の世界半導体販売高ランキングデータが、次の通り発表されている。

◇Qualcomm moves to No. 5 in chip sales (5月14日付け EE Times)
→IC Insights(Scottsdale, Ariz.)発。第一四半期世界半導体販売高で、ファブレス半導体ベンダー、Qualcomm社が第5位に躍進、Texas Instruments社を上回った旨。Qualcommの第一四半期販売高は$3.06B、前年同期比56%増、これには2011年第二四半期に締結したQualcommのAtheros Communications社買収が部分的に効いている旨。第一四半期トップ10ベンダーで前年同期を上回る販売高は他にない旨。
・≪表≫ 2012年第一四半期半導体販売高トップ20ベンダー
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/120514_icInsights_micron_800.png

このトップ20ベンダーの前年同期比伸長率データは、プラスの大きい方から順に並べると以下のように表わされる状況である。スマートフォン用基幹プロセッサを供給するQualcomm社の伸びが突出している。大震災、洪水はじめ苦境に見舞われながらも昨年の史上最高を記録する世界半導体販売高を支えたモバイル関係機器需要と言えると思うが、世界経済の波乱要因を孕んだ本年も同様な状況が続くのではという予感である。トップ10ベンダーでこの第一四半期にプラス伸長となったのがQualcomm社だけという事実が端的に示すところではある。

◇Semi industry set for a good year, says IC Insights (5月14日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insightsの予測。本年の半導体業界販売高、第一四半期から第二四半期は6%の伸び、第三四半期にはもっと見込まれる旨。
第一四半期のトップ20半導体サプライヤの販売高は$52.3B、前年同期比4%減。トップ20の伸び率順、次の通り:           
 Qualcomm 56 %
 Fujitsu 6
 Broadcom 1
 Intel 0
 NXP 0
 Nvidia 0
 Sony 0
 GloFo -1
 TSMC -1
 AMD -2
 Micron -4
 Infineon -5
 Toshiba -6
 TI -7
 Samsung -14
 Hynix -15
 UMC -16
 Renesas -19
 ST -21
 Freescale -21

◇Qualcomm shines in chip sales ranking (5月17日付け EE Times India)

パソコンの方も新機軸を盛り上げなければということか、IntelおよびAMDからいつものように拮抗する形でnotebookに軸足を置いたCPUs打ち上げである。

◇Intel drives Xeon server CPU to 17W (5月14日付け EE Times)
→Intelが、同社22-nm tri-gate技術による初のサーバCPUs、同社Ivy BridgeアーキテクチャーベースのXeon E3-1200 v2ファミリーを打ち上げ、これにはIntelの今までで最小電力のサーバCPU、17Wで価格も$189と低い半導体が含まれる旨。また、新しい32-nmサーバ半導体も展開、four-socketサーバでのAMDの価格のリード差を詰めるentry-level品が含まれる旨。

◇AMD's fires Trinity in x86 notebook battle (5月15日付け EE Times)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、Intelの22-nm Ivy Bridge CPUsとnotebooksおよびdesktopsで真っ向から対抗、32-nm Trinityプロセッサを正式に打ち上げ、該partsは性能で競争力を保つようアップグレードしたx86およびグラフィックスコアを誇り、ultrathin notebooks用に調整、17Wと少ない電力の品種が含まれる旨。

◇Intel to launch inexpensive ULV processors in 3Q12 to facilitate US$699 ultrabooks (5月18日付け DIGITIMES)
→Intelが、それぞれ販売価格$86および$70のCeleron ULV 877および807など2012年第三四半期のultrabooksに当てたentry-level Celeronプロセッサ4機種を打ち上げ、該CPUsは、第三四半期に$699、年末あるいは2013年始めには$599に下げる価格水準のultrabooksをベンダーに可能とする旨。

Qualcommの需要にTSMCでの生産が追いつかない状況が以下に改めて示されているが、この状況が製造装置のApplied Materials社(Santa Clara, Calif.)の今後の業況見通しにも上向きインパクトを与えている。

◇Smartphone Biz Hurt by Own Success as Chip Supply Shrinks (5月15日付け Bloomberg Businessweek)
→TSMCの28-nm半導体製造capacity難がスマートフォンsupply chainに広がっており、QualcommはLong-Term Evolution(LTE)ベースバンドICs受注にすべてに応じきれていない旨。QualcommのSnapdragon S4プロセッサ不足で、HTC, LG Electronics, Samsung ElectronicsおよびSony Mobile Communicationsが、Intel, NvidiaおよびST-Ericssonから代替のプロセッサを求めざるを得ない事態の旨。

◇Foundry orders, mobile demand fuel optimism at Applied (5月17日付け The Wall Street Journal)

このような逼迫状況が引き起こす需給プレーヤー関係のシフトが、次の通り表わされている。

◇Tight 28nm supply shifts GPU maker shares in Q1 (5月17日付け ELECTROIQ)
→Barclays Capitalのアナリスト、C.J. Muse氏。2012年第一四半期のPC graphics processing units(GPU)出荷が123M個、前四半期(124.3M個)比1%減、ここ5年間では1.9%増となっていた旨。28-nm半導体供給難から、NvidiaがIntelおよびAMDに対してシェアを落としている旨。ファブレス/ファウンドリー関係の構造シフトが生じており、take-or-pay(物品・サービスの受領のあるなしに関わらず、対価を支払う)環境に動いて、先端ファブレスプレーヤーは先を競わなければならない旨。

以下のスマホのDRAMコスト比率データを見ると、またもや価格ダウンが大きくスマホ需要を支える一因と感じてしまうところである。DRAM、そして液晶テレビと、価格破壊とも言える市場状況が、業界プレーヤー間の整理統合に至るという、繰り返すますますの波動の大きさを改めて感じる現時点である。

◇IHS: DRAM's share of smartphone BoM cut in half (5月18日付け EE Times)
→IHS iSuppli(El Sequndo, Calif.)発。teardown解析から、スマートフォンbill of materials(BoM)平均のDRAM比率が、この第一四半期で6.3%、前年同期の13.4%から低下、DRAM価格ダウンが効いている旨。平均スマートフォンBoMのDRAM総計は$11.81、2011年第一四半期の$19.48から低下の旨。
・≪グラフ≫ スマートフォンBoMのDRAM比率推移:2011年第一四半期〜2012年第一四半期
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120518_ihs_smartphone_bom_423.png


≪市場実態PickUp≫

DRAM価格ダウンの声が響いたのかどうか、あるいはここでも数量確保の動きということか、Appleがエルピーダメモリに対してモバイルDRAMを大規模に発注するという観測報道が表わされて、早速に相次いだ波紋が次の通りである。それにしてもAppleとのメモリ関係のお付き合い、小生も1980年代に経験しており、長きにわたる経緯を内包しているものと思う。

【Appleのメモリ発注】

◇Apple reportedly books up half of mobile DRAM capacity at Elpida Hiroshima plant (5月15日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Appleが最近、Elpida Memoryの12-インチ工場(広島)でのモバイルDRAMメモリに大規模発注、該拠点で生産される全体の約50%を占める旨。Appleは、次期iPadおよびiPhoneシリーズについてElpidaからモバイルDRAM半導体を調達する旨。

◇Samsung, Hynix Slump After Report on Apple's Elpida Order (Update 1) (5月16日付け Bloomberg)
→AppleがElpida MemoryにモバイルDRAMsの大規模発注という未確認報道を受けて、世界の2大モバイルDRAMsサプライヤ、Samsung ElectronicsおよびSK Hynixの株価が低下、Seoul exchange取引で本日、Samsungが6.2%、Hynixが約9%下がった旨。

◇Samsung loses $10 billion market value on Apple order report (5月16日付け Reuters)

◇Apple Makes a Large Order for DRAM Chips Crippling Samsung's Market (5月16日付け ValueWalk)

◇Elpida selling over 50 pct of mobile chips to Apple -source (5月17日付け Reuters)
→2011年後半以降、Elpida Memoryが、製造するモバイルDRAMsの少なくとも半分をAppleに販売している旨。また、Appleは、モバイルDRAMsニーズの約30%をElpidaを通して充足してきている旨。 

◇アップルの取引先変更説でサムスン電子株6%急落 (5月17日付け 韓国・中央日報)
→「欧州恐怖」と「アップルの取引先変更説」がワン・ツーパンチとして作用、株価が大幅下落の旨。一部外信が15日、「サムスン電子のDRAMの主要購入者のアップルがエルピーダにモバイル用DRAMを大量注文した」と報道、この影響でサムスン電子の株価は6%以上下がり、そうでなくても凍りついた市場の雰囲気をより一層冷え込ませた旨。2008年10月のリーマンショックの際に13.76%下落して以来最大の下げ幅、ウォン相場も急落した旨。

インテルから投資筋向けプレゼンが行われており、10-nmからなんと5-nmまでにも至る研究開発、そしてfab投資の展開ロードマップが示されている。
ますます大きな革新の波動が前提と確信するところであり、三次元トランジスタのそのまた先に早、注目である。 

【インテルのR&D展開】

◇Intel Begins Work on 7nm, 5nm Process Technologies.-Intel Discloses Fab Transition Plans (5月13日付け XBitLabs.com)
→IntelのCEO、Paul Otellini氏が、最近投資家に対して、同社は、14-nm featuresを擁する半導体を来年生産開始、10-nmプロセス世代以降について研究開発段階にある旨。10-nm半導体、続く形で7-nmそして5-nmとウェーハfab工場を準備している旨。
・Intelの今後のプロセスノードR&D展開
http://www.xbitlabs.com/cms/include/image.php?src=/images/news/2012-05/intel_rd.jpg&width=550&height=259&cache=1&quality=75&aspect=0&format=png

いつまで首位の座、繁栄、活況が続くのか、前回の本欄で韓国での関連する論調を示したが、こんどは中国の現状について万里の長城になぞらえた表わされ方が見られている。

【中国のものづくり経済】

◇Will China hit a (great) wall? Don't bet on it (5月15日付け EE Times)
→中国の非常に活況の製造経済は、輸出が牽引する日本経済が1990年代始めにそうなったように、まもなく"壁にぶつかる"という当世風の理論が、ここWASHINGTONで回り巡っている旨。


≪グローバル雑学王−202≫

いよいよ出発、茨城空港からの旅立ち、上海に飛んで6時間の滞在を、

『80時間世界一周 ・・・格安航空乗りまくり悶絶ルポ』 (近兼 拓史/著:扶桑社新書 112)  
 …2012年 3月 1日 初版第一刷発行

より溢れる臨場感で味わっていく。とにかく睡眠は機内、限られた降機地での滞在時間ということで、海外旅行の豊富な経験、ノウハウをフルに駆使してもOKかどうか、本当に"悶絶ルポ"である。


第2章 さらばニッポン!茨城空港から上海へ 

◆80時間世界一周の旅に必要な装備とは?
・休息時間は全て機中のみ →まずはネックピロー(首枕)!
・預ける手荷物はなし、機内持ち込みのみ
・iPhone4をストップウォッチとして利用
・超コンパクトなデジタルビデオカメラ、デジカメ、仕事用のMac
・出発地の茨城空港 …都内からクルマで高速を飛ばして約90分
 →百里飛行場という自衛隊機と民間機の共用

◆いよいよ出発! まずは春秋航空にチェックイン!!
・最初のチェックイン、激安LCCの春秋航空上海便。
 →まず驚かされること:
 *手荷物の許容量が機内持ち込み荷物を含めて、たった15kg
 *機内持ち込みはカバン一つ、わずか5kgまで
・いきなり強くアピールした者勝ちの中国式ルールの洗礼
・LCCの定石通り、ターミナルと直結するブリッジや牽引車を使わない

◆春秋航空の機内は中国人パワー炸裂!
・上海までの3時間半フルボリュームの中国語漬けの機内
・CA(キャビンアテンダント)が、免税品等の売上げの歩合制
 →まことに営業熱心
・行程の中間点を超えた機内では春秋航空名物の機内体操

◆3時間26分のフライトで、中国・上海に到着!
・毎月毎週と進化する街、上海ではいつも新しい発見
 →今回一番驚いたのは、"出迎え詐欺"の存在
  …日本人が漢字で書かれた自分の名前を見て、ホッと警戒心を緩めることを見越しての狡猾な犯罪
・タクシーに乗り込んで、いよいよ上海市内に突入!

◆なぜあんなデザインの超高層ビルが建ってしまうのか?
・"宇宙都市"、上海の未来的な景色
 →長江河口沿いの浦東新区
  …上海タワー(東方明珠電視塔)  467.9m
  …上海ワールドフィナンシャルセンター(上海環球金融中心) 492m
   →日本の森ビルが建てた
  …ジンマオタワー(金茂大厦)  420.5m
・まだまだ景気の衰えを感じさせない、目に映る上海の景色と活気
・空港から40分ほどで無事森ビルに到着
 →展望台の入場券を売っているダフ屋

◆上海が誇る超高層ビルからの眺めは……?
・2種類の展望台チケット →94階まで  100元
               →100階まで 150元
・非接触型のハイテクセキュリティチェック
 →人間の立体スキャナーともいえる最新の身体検査機
  →日本人は安全と見られているのか、まさかのノーチェック…
・激速と噂の世界最速級の超高速エレベーター …LED電飾ギラギラ
 →逆バンジー状態に、解放された乗客からは一斉に安堵の溜息
・いつも通りのスモッグと黄砂 →視界は数キロ
・乗せられて黄色いパンダのぬいぐるみを購入 →やられた…

◆「南翔饅頭店」で激ウマ小籠包に舌鼓
・明代の名園、「豫園(ヨエン)」にタクシーで
 →買い物やグルメが楽しめるテーマパーク、不思議な場所
 →コピー商品売りのおじさんやおばさん達
・お目当ての激ウマ小籠包の店「南翔饅頭店」
 →カニ入り小籠包  8個 35元(約420円)
  湯包(タンポウ/スープ入り小籠包) 2個 40元(約480円)
 →求めていた古き良き中国

◆上海市内滞在6時間で再び空港へ!
・中国等身大の街「新天地」へ
 →中国の最新流行発信地、オシャレスポット
・人気のおみやげは、光るローラーシューズらしい
・マクドナルドに飛び込んだ
 →中国を旅する時、最大の敵はトイレ
 →高難度の"ニハオトイレ"、米系か日系のショップでトイレを借りることに

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