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最先端リソ技術最前線に対する現下の市場・製造拠点の動き

半導体最先端技術の進展、進捗が披露されるタイミングであり、微細化製造技術を引っ張る最先端リソ技術の最新状況が発表されている。extreme ultraviolet(EUV)が最有力ではあるが、ほかの代替技術もいくつか伸びてい
る状況をここ何年か受け止めてきている。適用して拡大する市場が具体的に望めて初めて回っていく経済学というものをこのところ年々繰り返し感じるなか、足元の半導体市場および製造拠点の世代の移り変わりがまた新たに見られてきている。

≪リソ最前線≫    

SPIE Advanced Lithography Symposium 2012(2月12日〜16日:San Jose, California)が開催され、気のつく内容を追ってみると、まずは最前線に挑む大手プレーヤーの一角、Samsungからは、EUVツール開発について次の注文である。

◇Samsung Resets EUV Roadmap for Memory Scaling (2月14日付け SemiMD.com)
→SamsungのMaterials and Device Research Center、senior vice president、U-In Chung氏。power sourcesなど遅れの渦中、Samsung Electronics Co. Ltd.が同社ロードマップを刷新、EUVツールについて次の通り望む旨。
 166 Watt source →2013年前半までに
 250 Watt source →2013年後半までに

リソ技術最前線の現状の全体像が、以下に端的に示されていると思う。

◇Darkhorse litho technologies stay in NGL race (2月15日付け EE Times)
→extreme ultraviolet(EUV)リソの多くの支援者には非常に残念なことに、 該技術の量産突入の遅れが続いて、少し前はほとんど終わりと考えられていたnext-generation lithography(NGL)競争に他の興味をそそるリソ技術が加われるようになっている旨。EUVが残る技術的障害を克服、主流リソ技術として193-nm光リソを継ぐとリソcommunityの大方は依然見ているが、EUVのつまずきがnano-imprintリソ, e-beam direct writeおよびホットな新顔、directed self-assembly(DSA)リソなどの技術に可能性を残している旨。

このSymposiumと並行して、欧州からもリソ技術関連のアップデートが発表されており、まずはフランスのCEA-Letiからである。

◇Maskless e-beam litho good for 14-nm , says CEA-Leti (2月13日付け EE Times)
→フランスのリサーチ機関、CEA-Leti(Grenoble, France)発。22-nm lines and spaces(l&s)がdirect-write e-beamリソ技術により生成され、その解像度が14-および10-nmロジックprocessingノードの両方についての要求仕様に適合する旨。加えて、CEA-Letiで使用のmultibeamリソ試作機を開発しているMapper Lithography BV(Delft, The Netherlands)とCEA-Letiが、コラボR&Dプログラム、Imagineのさらに3年の延長を発表の旨。

これに呼応する2つの以下の動きである。

◇TEL joins CEA-Leti programs on DSA, maskless litho (2月14日付け EE Times)
→Tokyo Electron Ltd.が、CEA-Leti(Grenoble, France)主催の2つのコラボ・リソ研究プロジェクト、すなわちdirected self-assembly(DSA)についてのIdealおよびmaskless multibeam direct-write e-beamリソ技術の展開・打上げをサポートするImagineに参画する旨。

◇TSMC set to receive Matrix 13,000 e-beam litho machine (2月17日付け EE Times)
→Mapper Lithography BV(Delft, The Netherlands)発。最初のMatrix pre-production e-beam masklessリソ・システムの1つがTSMC(Hsinchu, Taiwan)に入る運び、TSMCはプロセス開発およびデバイス試作のためにMapper製pre-alpha 300-mm multiple-electron-beam masklessリソ・プラットフォームを用いてきており、CEA-Leti(Grenoble, France)据 え付けのリサーチtoolを用いるImagineコラボR&Dプロジェクトにも参画している旨。  

ベルギーのIMECからは、新顔技術、DSAへの取り組みが発表されている。

◇IMEC installs 300mm-fab compatible DSA process line (2月13日付け Electronics Weekly (U.K.))
→世界初の取り付け、DSAはblock copolymersを用いてspatial周波数増加を可能にするpatterning技術、光リソの現状の制約を超える手段の旨。

◇Imec develops 300mm fab-compatible DSA process line (2月13日付け EE Times India)
→Imecが、自らの300-mmクリーンルームfabに300-mm fab-compatible directed self-assembly(DSA)半導体製造プロセスライン取り入れに成功の旨。academic lab-scale DSAプロセスフローのfab-compatibleフローへのこのアップグレードは、University of Wisconsin, AZ Electronic MaterialおよびTokyo Electron Ltdとのコラボで実現の旨。

このような最先端リソ技術の展開の一方、製造fabsの新陳代謝が進んでおり、ここ3年で以下の状況となっているとのことである。

◇Report: Chip makers closed 49 fabs in three years (2月15日付け EE Times)
→IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)からのデータ。半導体メーカーが、200-mm以下の口径ウェーハを処理する旧capacityライン削減を主に、2009年から2011年の間に49 fabsを閉鎖している旨。
・ウェーハ口径別fab閉鎖
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120215_ic_insights_fab_close_size_371.png
・地域別ウェーハfab閉鎖
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120215_ic_insights_fab_close_region_403.png


≪市場実態PickUp≫

ペイする市場があってこその半導体最先端技術であるが、IC製品分野別に本年の市場を予測した内容が以下に示されている。草創期から半導体の基本パラメータとして今に至っているDRAMに対して、市場規模でNANDフラッシュが初めて今年は上回るのではないかという見方が、また一つ加わっている。

【2012年IC分野別市場】

◇NAND flash market to expand surpassing DRAM in 2012, says IC Insights (2月13日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)の定める主要ICの33品目のうち、2012年は27品目がプラスの伸び、11品目がIC業界全体の予測7%以上、6品目が二桁の伸びと見る旨。NANDフラッシュは、solid-state drives(SSDs)需要拡大で力強い一方、DRAM ASPsは引き続き弱含み、2012年は初めてフラッシュ市場全体がDRAM市場を上回る様相の旨。
・2012年に最も伸びるIC市場分野の予測

2012年伸長
2011年伸長
NAND flash
15%
15%
Wireless telecom-special purpose logic/MPR
15%
35%
32-bit MCU
15%
12%
MPU
14%
12%
Auto-special purpose logic/MPR
11%
11%
Auto-application specific analog
11%
45%
Display drivers
9%
7%
PLDs
9%
2%
16-bit MCU
8%
21%
Wired telecom-special purpose logic/MPR
8%
2%
Wired telecom-application specific analog
8%
34%
≪IC市場全体≫
7%
0%
    
[Source: IC Insights, compiled by Digitimes, February 2012]

中東、ロシアを含めた欧州の半導体、マイクロシステム製造fabsのデータベースが発表されている。50ヶ国にわたる国別のデータ内容に改めて見入っている。

【欧州のfab、研究機関】

◇European microelectronics fab database tracks major changes over past 5 years (2月13日付け ELECTROIQ)
→Yole Developpementがリリースした"European Microelectronic Fabs Database & Report 2012"は、欧州のmicroelectronicsおよびmicrosystem製造fabs、試作ラインおよび主要R&D機関を対象に、50カ国を網羅、Europe and the Middle East area(EMEA)およびロシアに拡がる旨。
・≪地図表示≫ EMEAウェーハライン …316ウェーハライン
http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/02/ICEuropemap.jpg
・≪円グラフ表示≫ EMEAウェーハライン …316ウェーハライン
http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/02/ICEuropecam.jpg

サプライチェーンが本腰を入れて目を光らせるとかくもなるということか、半導体関係模造品の摘発件数という理解であるが、以下の通りである。
mission critical、生命に関わる応用に及んでいることは、注意の目を新たに求めている。

【模造品】

◇Counterfeit parts putting military at risk (2月14日付け EE Times)
→IHS発。original equipment manufacturers(OEMs), contract manufacturers, component suppliers, buyersなどsupply chain関係者の徹底調査を経て、模造品件数が2009年の324件から2011年には1,363件と4倍の増加、軍事用およびヘルスケア機器で劇的な数量増となっている旨。


≪グローバル雑学王−189≫

学生時代に始まって会社生活、プライベートと、延々と続いている一杯のお付き合い。時代移れどワイワイガヤガヤのコミュニケーション&雰囲気は、今後とも欠かせないもの。というかなり手前勝手の解釈が強い切り出しではあるが、そういった場所を提供する居酒屋について、

『居酒屋の世界史』 (下田 淳/著:講談社現代新書 2120)  
 …2011年 8月20日 発行

より、そもそも論から今日に至る経緯、流れを辿ってみる。まずは、古代の誕生期、ギリシア、ローマなどであるが、10年くらい前に旅行で訪れたポンペイの遺跡の居酒屋、酒のかめを思い出している。


≪はじめに≫

○居酒屋から歴史がみえる
・居酒屋の比較文化論を試みる気に
・居酒屋の「窓」から覗くと、ヨーロッパ史の生の現場とその特徴がみえてくる
・比較のため、非ヨーロッパ文明圏の居酒屋にも
 →本書ではイスラム圏、中国、韓国、そして日本

○金銭の見返りに酒類を提供する営業空間
・「居酒屋」の定義
 →金銭と引き換えに酒を飲む「場」
 →貨幣経済の成立が前提条件

○本書の三つのキーワード
「農村への貨幣経済の浸透」…農民同士も、日常的に貨幣で売買関係を結ぶ段階
「居酒屋の多機能性」   …共同体の集会所、結婚披露宴や精進落としの場等
「棲み分け」       …「多機能性」がそれぞれ居酒屋から分離・独立

第一話 古代オリエント・ギリシア・ローマ − 居酒屋の誕生期

・現物貨幣の段階だった紀元前18世紀、バビロニアに居酒屋が存在していたという証拠
・居酒屋の本格的普及は、紀元前7世紀頃が起点
・古代人の感覚 …金銭を取って飲食物を提供する行為は下賤
 →居酒屋は上流階級からつねに軽蔑

○メソポタミア文明で生まれたビールとワイン
・メソポタミア文明のシュメール人の粘土板
 →紀元前4000年頃にビール醸造
・ワイン醸造は、紀元前7000〜紀元前5000年頃とする説

○「ハンムラビ法典」のなかの居酒屋
・メソポタミア文明期バビロニア王国の「ハンムラビ法典」に、居酒屋についての規定
 →支払いは大麦で受け取ること
 →謀議が行われたら通報すること
 →尼僧は行ってはならないこと

○古代エジプトの国民飲料・ビール
・紀元前1300年頃、王都に居酒屋
 →ビール、ワイン、なつめやしの蒸留酒
 →すでにこの時期、蒸留技術

○貨幣経済の始動
・居酒屋の発展は貨幣経済の発展と並行
・貨幣経済が本格化 →単に酒を飲むだけでなくエンターテインメントの場に

○客人の接待は名誉なこと
・ゲルマン人にとって客人を接待することは名誉なこと
・「ホスピタリティ」…ラテン語の「ホスピティウム」から
 →元来、無償で客を接待することや、そのための宿
  →ホスピス、ホスピタル、ホテル

○ユダヤ・キリスト教と無償接待
・クセノドキーエンという施療院
 →ユダヤ教やキリスト教の慈善精神と、古代人特有の無償接待の精神の合体した施設

○パンとワインはわが身体と血
・ユダヤ人の酒はワイン →聖書をめくればワインの記述はすぐ目に留まるほど
・新約聖書、キリストと弟子たちの「最後の晩餐」
 →パンとワインを取らせ、これはわが身体と血である
・ユダヤ教、キリスト教の教え自体、飲酒が悪いものという論理は出てこない
 →禁酒を建前とするイスラム教世界との対比
 →キリスト教世界で居酒屋が発展することに一役

○呑兵衛の都市・ビザンティウム
・紀元前6世紀ごろ、ギリシアの植民都市、ビザンティウム(現イスタンブール)は、"呑兵衛の都市"の呼び名
 →アテネの港に物資運搬、アテネも居酒屋の巣窟に

○ワインは薄めて飲むのがマナー
・ギリシア、ワインを水やお湯で薄めて飲むのが、特に上流階級の「マナー」
 →原酒で飲むのは北方の蛮族のやること
 →ほどほどの酒が一番、酩酊は人の理性を麻痺

○看板の起源
・熊、鷲などの動物、オリーヴや車輪、劍などさまざまなものを板看板に
 →看板の起源はローマ

○居酒屋に通う皇帝
・上流階級も居酒屋に行っていた証拠
・西暦79年に火山の噴火で埋没したポンペイ
 →人口1万、120軒の居酒屋。夕方4時か5時開店、祭りの際は深夜営業。

○農村に居酒屋はあったか
・古代の諸文明 →貨幣経済の発展と並行して居酒屋が成立
 →古代において農村居酒屋はなかった、といってよい
・居酒屋はつねに宿屋
 →上流階級にとっては軽蔑の対象、客はもっぱら下層民

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