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DRAMはじめ新機軸の展開を引っ張ったAppleton氏事故死の衝撃

米国のDRAMメーカー、Micron Technologies社の若き総帥、Steve Appleton氏の急死の報道が目に入ってきて、呆然と驚かされている。1980年代にポテトチップスのイメージが強かったアイダホ州でスタート、インテル、TIなどDRAMから撤退が続く中、米国のDRAMを一手に受けて邁進していった同社であるが、生産の現場から始まって今日まで一貫して同社を引っ張り、新機軸の事業を次々と展開、また米国半導体業界を引っ張るキーマンの一人として、いろいろな時間軸での接点を今でも強烈に感じるAppleton氏である。

≪突然の訃報≫    

米国Semiconductor Industry Association(SIA)のサイト(http://www.sia-online.org/)には毎日のように注目しているが、寝ぼけまなこに以下の記事が飛び込んできた。

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○SIA Board MemberでMicron CEOのSteve Appleton氏逝去に接し、Semiconductor Industry Associationは最も深いお悔やみを表明 …2月3日付けSIAプレスリリース

Semiconductor Industry Association(SIA)は、Micron TechnologiesのCEOでSIAの長年のBoardメンバーであるSteve Appleton氏の逝去という悲劇の知らせに悲しんでいる。同氏は、半導体業界そして我が国への計り知れない貢献に対して業界最高の栄誉であるRobert N. Noyce Awardを昨年11月に授与されたばかりである。SIAは、同氏の家族そしてMicron関係者全員に最も深いお悔やみを申し上げる。
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このSIAのサイトのTOP写真には、上記のRobert N. Noyce Awardを受賞したAppleton氏の笑顔が出ており、人の運命というものを感じざるを得ないところがある。Appleton氏に纏わるいくつかの接点の思い、小生ながらではあるが次の通りである。

○1980年代半ばごろ、マイクロンのDRAMは、日本勢と比べて製造マスク工程が約半分、にも拘らずチップ面積が大幅に小さいということで度肝を抜かれている。設計の限界にとことん取り組むという新風を吹き込まれた強烈な印象である。

○小生の本欄記述より、2010年2月時点で次の通り:
≪立て続けのMicron攻勢≫
前回すでに【Intel & MicronのNAND攻勢】を取り上げているが、Micron Technology社の活発な動きが見られている。
・・・・・
Micronについては、ここ数年、年に1-2回はこのような新たな機軸の展開を本欄で紹介している、という思い起こしがある。DRAMはじめ業績好転をばねに2010年以降に賭ける意気込みが伝わってくる。

フラッシュメモリの他に、CMOSイメージセンサ、3-D実装、・・・、すべては思い起こせないもののそれぞれの打ち上げに注目させられている。

○日米半導体摩擦のバンクーバー協定を受けた世界半導体会議が始まったのが1997年であり、小生も日本側事務局メンバーとして出席したが、この頃含め米国側メンバーの一人としてAppleton氏が参加していたという覚えがある。同氏の積極的なスタンスは、その後の韓国半導体業界の統合など世界の半導体業界の激動の局面で常に見え隠れしているという印象がなぜか強い。米国半導体業界のプレゼンスを米国政府にアピールする機会においても、急先鋒の一角を占めていたと感じている。 

単独の曲芸飛行がAppleton氏の趣味の一つという理解であるが、本当に残念で寂しいこと。ご冥福をお祈りするばかりである。我が日本の唯一のDRAMメーカー、エルピーダメモリとは次の局面にある最中である。いろいろ評価はあれど、半導体の基本であるメモリ、その中枢のDRAMの順調な展開、そして必要となる新風にそれこそ期待である。

◇Micron to buy US$500 million worth of Elpida shares, says report (1月30日付け DIGITIMES)
→中国語のEconomic Daily News(EDN)発。Micron Technologyが、日本のライバル、Elpida Memoryにおけるstake買収に少なくとも$500M出す旨。この憶測は、2月にもElpidaがMicronとのequity tie-upを提案するという他のメディア報道に引き続いている旨。


≪市場実態PickUp≫

世界経済そしてエレクトロニクス・半導体業界と、大きな潮流の節目が押し寄せる昨今であるが、設計の世界の潮流を議論するDesignCon 2012(1月30日〜2月2日:Santa Clara, CA)よりいくつかピックアップである。

【DesignCon 2012】

◇Why DesignCon? An editorial overview (1月31日付け EE Times)
→高速ネットワーキング、ボード設計、半導体、テストにおける革新を追い求めるこの場。エンジニアが次の最高速を如何に起こそうとしているか、12 Gbpsから28 Gbpsへの移行、signal integrityからpower integrityまでたくさんの課題、業界が直面している事柄を徹底的に議論して合意到達を目指している旨。

◇Lines blurring between digital, analog design worlds (2月1日付け EE Times)
→エキスパートパネルにて。かってははっきり分かれていたディジタルおよびアナログ設計の間の線引きがぼんやりしており、設計コラボの新ツールおよび新たな方法を必要としている旨。

◇Rick Merritt DesignCon wrap up; 3D stacking, optical interconnects (2月2日付け EE Times)
→EE Times editor、Rick Merritt氏が挙げる今回の重要な流れのいくつか:
 design flow from copper to optical interconnects
 cost dynamic challenges involved in above
 free space optics
 photonic computing
 3D chip stacking

パソコン、携帯電話で長年括ってきた半導体の応用分野であるが、ワイヤレス、コンピュータと区分けしてみると、使われる半導体金額はワイヤレスが上回る状況となっている。スマートフォン、タブレットの急伸ぶりを改めて知らされている。

【半導体の応用分野】

◇Spending on chips for mobile devices outpaced computers in '11-Wireless devices make up 24% of all semiconductor purchasing, the largest segment (2月1日付け Computerworld)
→IHS、以前のiSuppli発。スマートフォン、タブレットなどワイヤレス機器に使われるmicrochipsへのspendingが、コンピュータ用半導体のそれを2011年は上回った旨。

2010年
2011年
増加率
ワイヤレス用半導体
$51.2B
$58.6B
14.5%増
コンピュータ用半導体
$51.8B
$53.7B
4%増


◇Wireless leads semiconductor-related OEM spending in 2011 (2月2日付け ElectroIQ)
→≪グラフ≫ トップOEMsによるワイヤレスおよびコンピュータ応用市場向けグローバル半導体spendingの推移&予測:2009〜2013年[SOURCE: IHS iSuppli January 2012]
http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/02/1202SSTsemiSpendng.gif

日米半導体交渉では「国籍別シェア」というキーワードのやりとりが行われているが、本社所在地で半導体メーカーを分けて国・地域別シェアを表わしたデータが、次の通り発表されている。1980年代の日本以来ということで、米国が50%以上を占める状況が3年続いているとのことである。また、韓国が日本を初めて上回ったことに気づかされている。

【本社所在地の国・地域別シェア】

◇North American Companies Held More Than Half of IC Sales in 2011-South Korea passed Japan for first time, ranked second in marketshare (1月30日付け IC Insights)
→IC InsightsによるIC業界分析予測、The McClean Reportの2012年版。ON, Qualcomm, Skyworks, LSIおよびIntelの力強い活況が引っ張って、北米の会社が2011年の市場シェアを3ポイント超上げて、世界IC販売高の53%を占めている旨。ここ3年にわたり北米の会社は50%以上の市場シェアを保っている旨。
・本社所在地の国・地域別世界IC販売高
http://www.icinsights.com/files/images/bulletin20120130fig.gif

◇US takes 53% worldwide semi market share (1月31日付け Electronics Weekly (U.K.))
→今までに半導体市場シェア50%以上を占めたのは、この3年の米国以外では日本だけ、1980年代半ばのこと。それから日米半導体通商摩擦、業界コラボ、Sematechによる生産性向上から、米国の市場leadershipを奪還している経緯。

◇U.S., S.Korea, and Japan have 85.3% of semiconductor IC revenue share, as per a study (2月1日付け EE Herald)
→IC Insightsのデータ。半導体業界は、米国、韓国および日本が売上げシェア席巻、2011年で3地域合わせて$223.7B、市場全体の85.3%を占めている旨。

三星電子と欧州連合、EUとの「世界標準特許」を巡る応酬が見られている。
FRAND方式の今後の扱いに注目している。

【世界標準特許】

◇サムスン電子が反独占規定違反? EUが調査に着手 (2月1日付け 韓国・中央日報)
→欧州連合(EU)執行委員会が31日、サムスン電子を相手に反独占関連規定違反の有無に対する調査に着手した旨。AFP通信によると、EU執行委員会は、「サムスン電子が必須的な標準特許権を乱用して市場競争を阻害したかを評価するために調査するもの」と明らかにした旨。EUは国際標準になった必須的特許技術を「公正で、合理的で、非差別的(FRAND[Fair, Reasonable and Nondiscriminatory])」方式で誰にでも提供しなければならないという規定を運用している旨。

◇サムスン電子が窮地…「世界標準特許」がブーメランに? (2月2日付け 韓国・中央日報)

(注)FRAND=「公正、合理的、かつ非差別的」(Fair, Reasonable and Nondiscriminatory)の略。ある企業の特許が世界技術標準に採択された場合、他の企業がこれを使用するのを制限してはならないという意味。FRAND原則に値する標準特許に対しては、これを使用する企業が特許権使用料の協議なしに製品を製造・販売できる。もちろん、後ほど特許保有企業と交渉して代価を支払わなければならない。標準特許を保有する企業がライバル企業の製品生産を根本から封鎖する事態を防ぐためにこうした原則が設けられた。


≪グローバル雑学王−187≫

日本および日本人が世界に通用する良いイメージとして、日本食、大和撫子像そしてマンガなど挙げられるが、

『100万人が笑った! 「世界のジョーク集」傑作選』 (早坂  隆/著:中公新書ラクレ 400)  
 …2011年11月10日 発行

より、関連するジョークを味わっていく。このようなイメージを良い意味でますます膨らませていくとともに、日本らしさ、日本人らしさを世界の舞台で一層発揮していくことと思う。

第4章 日本人を笑え! 【その2】

◎ジャパニーズ・クール
・最近、ジョークの世界でも幅広い日本人像が登場
・大震災に直面した今、先の大戦以来の国難とも呼べる状況
 →「笑う」という行為を、大切に!

■症状改善 【優秀】
ある老婆が、名医と名高い日本人の医者のもとを訪れて言った。
「先生、私はおならのことで困っているんです。と言っても、そんなに深刻ではありません。臭いもないし、音もしません。ただ、頻繁に出るので、一度、診てもらおうかと」
老婆は続けた。
「実はこの診療室に入ってからも、もう20回ほどおならをしているんですよ。臭いも音もないので、おそらく気づかなかったと思いますが」
「なるほど。ではこの薬を飲んでみてください。植物からつくった自然のものです。ではお大事に」
翌週、老婆は再び病院を訪れた。
「先生からいただいたお薬ですが、あまり効果がないようです。と言いますか余計に悪くなったようで、音がしないのは同じなのですが、無臭だったおならがすごく臭うようになってしまいました・・・」
すると医者がニコリと笑って言った。
「それはよかった。まずは鼻が治ったようですな。では次に耳のお薬を出すことにしましょう」

◎世界に最も好影響を与えている国
・世界27カ国の約2万8000人を対象に行った世論調査
→「世界に最も好影響を与えている国」
 1.日本、カナダ 54%
 2.EU      53%
 3.フランス   50%
→「悪影響」との評価
 イスラエル   56%
 イラン     54%
 アメリカ    21%
 北朝鮮     48%

■まずい料理 【日本食】
世界の三大失敗料理とは?

三位…香辛料を入れ忘れたインドのカレー
二位…ワサビを入れ忘れた日本のスシ
一位…イギリス料理

◎世界に広がる日本食
・日本食の「ヘルシーさ」への支持、世界的に
 →ニューヨーク:「SUSHI」の文字が頻繁に
  イギリス:回転寿司のチェーン店が高い人気
  スウェーデン:スーパーにサーモンの寿司
  スロバキア、ハンガリー、ルーマニア:高級レストランとしての日本食
                      レストラン

◎日本人の英語の発音
・確かに十分とは言い難い日本人の英語力
 →英語を学んだ10年間、いったい何だったのか

■幸福論 【大和撫子像】
「人生における最高の生活とは?」
「アメリカで給料をもらい、イギリスの住宅に住み、中国人のコックを雇い、日本人を妻にすることさ」
「では、最低の生活とは?」
「中国で給料をもらい、日本の住宅に住み、イギリス人のコックを雇い、アメリカ人を妻にすることさ」

◎日本女性へのイメージ
・武士社会における女性の在り方を論じたのは新渡戸稲造
・日本女性に対する好意的なイメージ
…「おしとやか」「男をたてる」「神秘的」

◎ゲイシャとジャポルノ
・「フジヤマ」「ゲイシャ」…「日本」と聞いて外国人が思い浮かべる言葉の代表格
・海外に流出する日本のアダルト・コンテンツ
 →「ヘンタイ(Hentai)」との呼ばれ徐々に定着
 →近年、新たな日本女性へのイメージ
・「かわいい(Kawaii)」…最近の世界で通じる日本語

◎ヨーロッパでの「ゼン」ブーム
・禅は元々、達磨がインドから中国に伝えたとされる大乗仏教の一派
 →世界的に日本のものとして受け止められている感
・近年、フランスでは「ZEN」という言葉が一種の流行語
 →「落ち着いて」「興奮しないで」といった意味

■各国のベストセラー 【マンガ】
それぞれの国で最も読まれている書物とは?

アメリカ   …新約聖書
イスラエル  …旧約聖書
イスラム諸国 …コーラン
日本     …マンガ
中国     …毛沢東語録

◎世界に進出する日本のマンガ
・今や「Manga」は国際的な共通語
・マンガは日本の優秀な新輸出品
・日本のマンガは、遠くアフリカ大陸(北部チュニジア)にまで

◎日本らしさとは
・サッカー日本代表監督に就任したイビチャ・オシム氏(ボスニア・ヘルツェゴビナ出身)
 →日本人の特性に最適な道を探すことが、チームの強化に繋がるという方法論
 ⇒多くの分野に通じること。日本人には日本人の良さ。

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