早々の熱気のなか、見えてくる流れ、変わり目、今後のあり方
恒例のConsumer Electronics Show(CES)(1月10-13日:Las Vegas)が、新しい年のエレクトロニクス業界の話題、焦点を引っ張っていくのがここのところのパターンである。華麗なTV映像、タブレット&スマートフォンの充実、ultrabooksなど、連日のTVおよびネット情報満載で日本に居ながらでも最新の熱気や流れが伝わってくる。そんななか、過ぎ去った昨年をまとめるデータが出てきて、グローバルな業界の実際の姿に改めて感じ入るところがあり、今後に向けていろいろ考えさせられている。
≪CESの興奮の一方の業界データ≫
新興経済圏、Consumer Electronicsが業界を引っ張るキーワードになって何年経つだろうか。爆発的な普及力を秘めて、新年早々のTV、インターネットをひと際賑わせるようになったのが、米国家電見本市、CESである。そんな受け取りが沸いてくるが、どうしても目立つTV関係の動きを手前勝手で拾ってみると次の通りである。
○ソニーやサムスン…グーグル陣営先手、スマートTV (1月11日付け 日経・電子版)
・インターネットに接続して映像や音楽、ゲームをダウンロードできる「スマートTV」が離陸期に
・携帯音楽端末(「iPod」)、スマートフォンに次ぐ第3のディジタル革命
・大手プレーヤーの規格が出揃う見込みの今年は「スマートTV」元年になる可能性
・利用者は今後、テレビ、パソコン、タブレット、スマホなど端末の違いを意識せず、映像やゲームを楽しむように
○Samsung: Free the TV challenge (1月9日付け EE Times)
→Samsungは、世界No.1のTVブランド、No.1のスマートフォンベンダーそして最強の半導体メーカーの1つとしての現在の地位てこ入れが決定づけられており、「Samsungは、別々のデバイス機器の間の境界を打ち破っていく」(Samsungのconsumer electronics部門[韓国]president、Boo-Keun Yoon氏)旨。
○LG電子ホームエンターテインメント(HE)事業本部長のインタビュー記事から
―CESは見回ったか。
「3つのトレンドが見られた。まず3Dテレビ、その次がスマートテレビ、そしてOLEDテレビ。(LGは)3Dテレビはうまくやっている。OLEDテレビは今回55インチの世界最大の製品を公開した。スマートテレビは独自のプラットホームとグーグルテレビに製品を多様化して対応する」
―スマートテレビの普及は思ったより遅いが。
「普及率を左右するのはコンテンツとインターネットのスピードだ。韓国のインターネット速度は問題ない。重要なのはコンテンツだ。努力している。昨年末には3D映画『ライオンキング』を劇場公開と同時に有料コンテンツとしてテレビに供給することもした」
○「超高画質」でどこまで勝負できる? 日本勢の次世代テレビ戦略 (1月12日付け 日経・電子版)
・次世代テレビの二極化した路線
→"超高画質"を目指す日本企業
アプリ、コンテンツなどサービス化の活路を見出す韓国企業
・高画質化でテレビを差異化することそのものが限界に達している可能性も
・日本勢も韓国勢も、次世代テレビを軌道に乗せないと生き残れないという切実な課題
テレビにネットが入ってきて、パソコンや携帯端末も一体的に使えて楽しめるようになっていく今後の展開が見えてくる一方、それに向かっての課題、障壁が浮かび上がる様相を感じている。
このようなエレクトロニクス機器市場に対応する半導体市場であるが、昨年を締めるデータから以下の注目内容である。まずは価格低下に見舞われている最中のDRAMについて、2012年はフラッシュメモリの方が販売高で上回る見方が現れている。
◇Flash revenue expected to overtake DRAM in 2012 (1月13日付け EE Times)
→IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)発。フラッシュメモリ半導体の販売高が、2012年に初めてDRAMの販売高を上回る見込み、フラッシュメモリが2011年から11%増えて$32.8Bとなる一方、DRAMの方はaverage selling prices(ASPs)軟化から3%減の$30.3Bに低下すると見る旨。
・フラッシュメモリおよびDRAM販売高の推移&予測:2006〜2012年
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120113_ic_insights_dram_NAND.png
次にウェーハfab capacityについて、昨年7月時点で台湾が世界のトップを占めるに至っている。米国から日本、そしてアジアという流れのなかで日本および韓国をも上回るところとなっており、中国市場に密接する台湾ということで今後の流れに注目である。
◇Taiwan now the world's leading chip maker (1月13日付け EE Times)
→IC Insights発。2011年7月時点で、台湾が、世界のinstalledウェーハfab capacityの21%を有し、日本(19.7%)および韓国(16.8%)を上回って初めてトップの座を占めている旨。Americas地域は14.7%、中国は8.9%で欧州より多いウェーハcapacityとなっている旨。
・≪円グラフ≫ 世界の地域別installedウェーハfab capacity
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/News/pcICinsights420.jpg
もう一つ昨年の米国特許ランキングが、次の通り表わされている。我が国そして韓国、台湾の健闘ぶりが見てとれるが、この砦は特に我が日本にとっては死守すべき生命線であり、いろいろ流れの変化はあろうとも常に切磋琢磨して積み重ね、その結果としての活路に期待、希望ということと思う。
◇Asia wins increasing share of U.S. patents (1月11日付け EE Times)
→Fairview Research(Madison, Conn.)の1部門、IFI Claims Patent Servicesがまとめた2011年米国特許トップ50ランキング。IBMが19年連続首位、しかしSamsungが迫っているなどアジア勢が米国勢に対し伸ばしている旨。
1 IBM 6,180件 前年比約5%増
2 Samsung 4,894件 8%増
3 キヤノン 2,821件 11%増
トップ10の中に日本が6社入っており、トップ50は次の内訳、中国は入っていない旨。
日本 19社
米国 17社
韓国 5社
ドイツ 3社
台湾 1社
≪市場実態PickUp≫
TVの視点からCESについて上記に触れたが、インテルのスマートフォン向けプロセッサ、そしてultrabooksには、半導体の視点からCESでもう一つ動きに注目するところである。
【CESでのインテル関係】
◇Intel tips Medfield specs, Lenovo, Motorola deals (1月10日付け EE Times)
→Intel社が、スマートフォン用の同社Medfield 32-nmプラットフォームの詳細を説明、メインSoCはworst case、800-mW以下の消費電力であり、また、LenovoおよびMotorolaからMedfield-ベース製品が2012年に出てくると発表の旨。
◇Ultrabooks get some much needed extras (1月10日付け EE Times)
→IntelのPC client group、general manager、Mooly Eden氏。Ultrabook laptopsは、touchscreensから、near field communications(NFC)内蔵, DX11グラフィックス, 音声認識およびスマートフォン-like preview panels(デザインコンセプト"NIKISKI"…ノートのパームレスト部分全体が透明なタッチパッドになっており、反対側が透けて見える。ノートを閉じたときに画面の一部が見え、インテルはこの部分に新着通知などの情報を表示しておき、使っていない時でもちょっとしたステータス確認に使うことを提案)まで、消費者の欲求すべてに応えている旨。
◇Intel smartphone chip No. 1 in some benchmarks, says report (1月12日付け CNET)
→今週のInternational CESにて正式披露されたIntelのAtom Z2460 "Medfield"プロセッサが、BrowserMarkおよびSunSpider Javascriptベンチマークで、iPhone 4Sなど主導スマートフォンのプロセッサと比較して優れるスコア評価、該"Medfield"プロセッサは、Lenovo GroupおよびMotorola Mobility製の新スマートフォンに入っている旨。
TV関係、プロセッサと世界を引っ張る大手の動きに注目するなか、すでにCESの場から撤退しているアップルに続いてマイクロソフトが今回での撤退を表明している。個々に市場への浸透を図る方がよいのか、業界として集まる場で競い合う従来のやり方がよいのか、考えさせられるとともによく注目していくことと思う。
◇マイクロソフト、世界最大の家電見本市から撤退 (1月11日付け asahi.com)
→米マイクロソフト(MS)が、世界最大の家電見本市「CES」での新製品の出展や基調講演を今年でやめる旨。好調な米アップルはそもそも不参加、創業者ビル・ゲイツ氏の時代に築いた「業界の先導役の責務」は脇に置き、新製品発表の時期や機会は独自に設けてライバルへの追い上げを図る旨。
半導体設備投資について、SEMIから2012年の予測速報が出されている。半導体市場から時間的に後れた見え方の傾向があるが、2011年から11%の低下、そして2012年後半からの盛り返しが期待されている。
【2012年半導体fab spending】
◇Chip fab spending to decline 11% in 2012, SEMI says (1月10日付け EE Times)
→SEMIのWorld Fab Forecast Report、速報データ。2012年の半導体fab spendingが、前年比約11%減の約$35Bを見込む旨。前半は落ち込むが、後半に急激に盛り返し、第四四半期には$10Bに近づく、という見方の旨。
・≪グラフ≫ fab装置spending:2007年〜2012年
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120110_semi_fab_spending1.jpg
・≪表≫ 地域別fab装置spending:2010年〜2012年
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120110_semi_fab_spending2.jpg
AMDから分離したGlobalfounriesの米国ニューヨーク州fabが、IBM向けに生産を開始する動きになっている。
【GlobalfounriesのNew York州$4.6B 300-mm fab】
◇Globalfoundries' N.Y. fab kick starts production with IBM deal (1月9日付け EE Times)
→Globalfounries(Sunnyvale, Calif.)が月曜9日、IBM社向け32-nm半導体製作で、New York州北部の同社$4.6B 300-mm fabでの当初生産を開始、該半導体はIBMのsilicon-on-insulator(SOI)技術ベース、今年後半に量産予定の旨。
TSMCの定例の月次業績発表が行われ、2011年の締めともなって、前年比1.8%増の年間販売高となっている。同社として史上最高であるが、後半から現在今なおの減速、低迷基調のなか、なんとかプラスの伸びをキープしたという感じ方である。世界半導体販売高の先行指標とも見れるデータではある。
【TSMCの2011年販売高】
◇TSMC 4Q11 sales near high-end guidance (1月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2011年第四四半期売上げがNT$104.7B(US$3.5B)、目標上限のNT$105Bに近い旨。12月売上げはNT$31.24B、前月比12.9%減、前年同月比10.4%減。2011年販売高総計はNT$427.08B(US$14.28B)、前年比1.8%増、同社史上最高の旨。
◇UPDATE 1-TSMC Dec sales lowest in 22 months (1月10日付け Reuters)
≪グローバル雑学王−184≫
こんどは日本人が登場するジョークを、3回にわたって
『100万人が笑った! 「世界のジョーク集」傑作選』 (早坂 隆/著:中公新書ラクレ 400)
…2011年11月10日 発行
より見ていく。小型化、高品質を追求する日本人のイメージが、他の世界各国の人々のイメージと比較して面白く表わされている。新興経済圏が大きく伸びて、停滞気味の先進経済圏という現状のなか、日本人のこのイメージをキープして高める努力の必要性の方が募ってきて、ただ笑ってはいられない気分になってくるところがある。
第3章 日本人を笑え! 【その1−1】
◎日本人が登場するジョーク
・外国人の日本人観が色濃く反映
→日本人ジョークは日本に対するイメージの発露
■青いキリン 【ハイテク国家】
ある酔狂な大富豪が言った。
「もしも青いキリンを私に見せてくれたら、莫大な賞金を出そう」
それを聞いたそれぞれの国の人たちはこんな行動をとった。
イギリス人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、徹底的に議論を重ねた。
ドイツ人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、図書館へ行って文献を調べた。
アメリカ人は、軍を出動させ、世界中に派遣して探し回った。
日本人は、品種改良の研究を昼夜を問わず重ねて、青いキリンをつくった。
中国人は青いペンキを買いに行った。
◎なぜ日本人がこんな所に
・ルーマニア在住時、2年間その地で暮らしながら世界で2番目の強国、日本という見方を強く実感
・首都ブカレストから車で3時間のある地方都市
→「生まれて初めて見るアジア人」である場合がほとんど
→ほぼ毎日のように「キネーズ(中国人)!」、まるで「パンダ扱い」
・日本人は、High Qualityの高級品を造る人たちというイメージ
→一方、中国製のものは家の中に溢れている
◎モノづくり大国
・1950〜1960年代、日本の実質国民総生産は20年あまりで約10倍にまで成長
→人類史上このような例は他にない
・現在は不況の続く日本
→工作機械や精密部品、医療機器といった部門では世界一の水準
→世界の半導体用Siウェーハの約80%は日本製
⇒日本の製造業は、依然として高い技術力
・先進工業国としてのイメージ
→海外の人々の対日観の根幹を成す1つの大きな要素
■四段階 【ハイテク国家】
新製品が世に流通するまでには、全部で四つの段階がある。
まず、アメリカの企業が新製品の開発をする。
次にロシア人が、「自分たちは同じものを、もうすでに30年前に考え出していた」と主張する。
そして、日本人がアメリカ製以上のクオリティのものを造り、輸出し始める。
最後に、中国人が日本製のものに似せた偽物を造る。
◎独創性に溢れる発明品
・日本人が発明、世界中の人々が日常生活の中で使用
→ソニーが世界で初めて製作に成功した家庭用VTR
→日清食品のインスタントラーメン
→オリンパスの胃カメラ
→ほか、ヘッドホンステレオ、コンパクトディスク、乾電池、カラオケなど
◎世界中の家庭にある日本製の家電
・ルーマニアのマンホールチルドレンの1人が掲げた段ボールに「SONY」の文字
→「日本=最先端技術の国」というイメージがしっかりと
・ヨーロッパのテレビ番組、ユーロニュース(ヨーロッパの全域で観ることができるチャンネル)
→日本の最新商品を紹介するコーナーが頻繁に放映
・近年の状況では、ハイテクジョークの主役も他の国に奪われてしまうかも
→日本企業の奮闘に期待
■メイド・イン・ジャパン 【ハイテク国家】
あるアメリカの小学校で、先生が生徒に質問した。
「俗にインディアンと呼ばれる北米大陸の先住民族たちは、元々はアジアから渡来して来た人たちだと言われています。その証明となるものを挙げられるかな?」
すると一人の生徒が答えた。
「僕は、夏休みに家族でインディアンの居留地に行ったのでわかります。簡単です。」
「じゃあ説明して」
「はい。僕はその居留地で彼らの部屋を見せてもらったのですが、そこにあったラジカセには
◎メイド・イン・ジャパンの実力
・世界のジョークの少なくないパターン
→高い品質を誇示する日本人が「前ふり」として登場した後で、オチに粗悪な品物を扱うロシア人や中国人が出てくる
・日本は、30億ドル規模とも言われるパーソナルロボット市場で、大きく世界をリード
→本田技研工業が開発した「ASIMO」
■象の本 【ハイテク国家】
各国の人々が、象をテーマに本を書いた。題名はそれぞれ以下のようなものだった。
フランス 「1000種類の象料理レシピ」
アメリカ 「象を大きく強くする方法」
日本 「象を小さく賢くする方法」
ドイツ 「象についての短い序章 一〜二十」
フィンランド 「象はフィンランド人のことをどう思っているか?」
スウェーデン 「象を使ってできる節税の仕方」
アイスランド 「象の解凍方法」