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本格的復興・伸長の2012年を願って、多難だった2011年を振り返る

米国およびロシアの大統領選挙、中国の政権交代、ロンドンオリンピックを控え、台湾、韓国でも総選挙が行われる2012年に入った。自然災害、原発事故、金融危機など多難であった2011年であるが、半導体業界は大震災、洪水の影響を受けながらもスマートフォン、タブレット人気、モバイル関連が大きく支えて、史上最高を記録した2010年の世界販売高を僅かながら上回るという現時点の大方の見方である。この消費者の心を捉えている熱気が2012年に引き続いて、本格的な復興、一層の大きな伸びを願うところである。

≪振り返る2011年の経緯≫    

米SIAによる世界半導体販売高の月次発表について2011年を振り返ると、各月発表時点のデータとして以下の通りである。大きく盛り返した2010年の勢いは前年同月比の数字に表われるように、2011年2月までは二桁の%ポイント増になっていたのが、大震災が発生した3月以降は一桁にかつそれから急低下して、6月以降はマイナスに転じている。しかしそのマイナス幅は高々2%台と小さく、販売高に表われているように毎月$25 billionの線をキープして上積みを図る展開、奮闘ぶりが見てとれる推移となっている。2011年12月まで締めるデータは、2012年2月の米SIAの発表を待つことになるが、$300 billionの大台をどう越えられるか、注目である。

《2011年米SIA発表》

1月 2010年11月 $26.0 billion 前月比0.9%減 前年同月比14.4%増
   2010年1月〜11月販売高総計は$271.8 billion 前年同期比34.0%増

2月 2010年12月 $25.2 billion 前月比3.0%減 前年同月比12.2%増
   ※2010年の世界半導体販売高は$298.3 billionで、2009年の$226.3 billionから31.8%の増加

3月 2011年 1月 $25.5 billion 前月比1.5%増 前年同月比14.0%増

4月 2011年 2月 $25.2 billion 前月比1.1%減 前年同月比13.6%増

5月 2011年 3月 $25.3 billion 前月比2.5%増 前年同月比8.6%増
   2011年1月〜3月販売高総計は$75.8 billion 前年同期比8.6%増

6月 2011年 4月 $24.7 billion 前月比2.2%減 前年同月比3.9%増

7月 2011年 5月 $25 billion 前月比1.8%増 前年同月比1.3%増

8月 2011年 6月 $24.7 billion 前月比1.5%減 前年同月比0.5%減
   ※2011年前半6ヶ月の販売高は、記録破りの伸びが見られた昨年同期間に比べて3.7%増

9月 2011年 7月 $24.9 billion 前月比0.1%減 前年同月比1.1%減
   ※2011年1月〜7月販売高総計は前年同期比3.2%増

10月 2011年 8月 $25.03 billion 前月比0.7%増 前年同月比2.2%減
   ※2011年1月〜8月販売高総計は前年同期比2.2%増

11月 2011年 9月 $25.8 billion 前月比2.7%増 前年同月比1.7%減

12月 2011年10月 $25.7 billion 前月比0.1%減 前年同月比1.8%減
   ※2011年のグローバル半導体販売高が$302 Billionに伸びて初の$300 Billionの大台に達し、史上最高を記録した2010年を1.3%上回る現時点の見込み

小生が注目して記した2011年の記事見出し&内容から、本当にたくさんあった印象的なものを論うと次の通りである。振り返ってのコメントをつけている。

1月 ・タブレットの熱気、我が国の舵取り論議で始まった新年
   ・余勢を駆った設備投資、中国傾斜、タブレット戦略・・早くも激動
    →のっけからタブレット人気、そして引き続き新興経済圏需要

2月 ・半導体のみならず我が国の今後のプレゼンス、如何に?
   ・優位なグローバル競争力に向けたBig Playersの動き、駆け引き
    →我が国は今後如何に、世界大手の活発な戦略的動き

3月 ・先端技術・ノウハウの蓄積、継続は力、国難乗り越え
    ・改めて知るグローバルインパクトと我が国技術力の重み
    →東日本大震災に見舞われて、改めて考える価値観

4月 ・新興市場・新携帯端末拡大の一方、震災復旧にかかる供給対応
   ・震災インパクトの見極めを要する一方、予想を上回る第一四半期業況
    →震災の影響のなか、モバイル端末の拡大

5月 ・インテルの22-nm発表はじめ、見えてくる新たな業界市場戦略の構図
   ・目まぐるしいPC・携帯端末ワールド、こんどはグーグルの新OS搭載PC
    →苦境下にあって脈々と支える最先端微細化およびPC・携帯アプリ

6月 ・半導体販売高に見る大震災の余波、一方、携帯端末を巡るあの手この手
   ・ビジネスおよび伸長の種の育成、米国輸出No.1の半導体業界の訴え
    →データに見えてきた大震災の影響

7月 ・新興市場に向けた拠点・連携シフト、特にブラジルでの動き
   ・一層重みを増すグローバル市場を牽引していく新技術・新製品
    →グローバル、特に新興市場に向けた活発な展開

8月 ・市場後退懸念が強まるなか、前半の半導体販売高、前年比3.7%増
   ・Jobs氏退任が加わって乱戦模様が高まるPC & handset業界
    →自然災害、後退懸念のなか、半導体は健闘

9月 ・減速感が強まるなか、問われる後半需要期の市場反応
   ・市場の変化に対応する<現実>と将来に誘う技術の<夢>の真っ只中
    →減速の空気のなかで交錯する問いかけ

10月 ・世界経済懸念の増す中、先端半導体開拓は不可欠の意気込み
    ・人々を夢中にさせる斬新さ、面白さ、楽しさに世界が感動、共感
    ・堰を切ったスマホ、タブレットそしてPCの凌ぎ合いの動き
     →8月の退任の後のJobs氏死去、世界そして市場に与えた衝撃

11月 ・大規模・複雑化からくる混乱、求められる広範な切り口
    ・短期、長期交錯する見方の中、続く性能向上・微細化の進展
     →大規模になった半導体、微細化・アプリ進展は不変
     
12月 ・2011年半導体業界模様、大台越え、高まる米国先導
    ・半導体販売高$300 Billionの大台突破の見方の一方での下方修正模様
     →大台突破に向けた期待感と奮闘


≪市場実態PickUp≫

以上、手前勝手に2011年を振り返ったが、ハイテク業界を見渡してのトップ10が次のように表わされている。半導体に非常に密接する内容と受け止めている。

【ハイテク業界トップ10】

◇The 10 biggest tech stories of 2011 (12月26日付け CNN)
→今後長きにわたって響き渡る可能性のある非常に大きなインパクトを有する2011年のハイテク業界トップ10事項:
1. Steve Jobs dies
2. Social media's role as a tool for protestors
3. Hackers
4. Tablet market gets dozens of new entrants
5. Facebook and partners add 'frictionless' sharing
6. Patent wars
7. Google+
8. Apple becomes the most valuable company in the world
9. IBM's Watson beats human champs on 'Jeopardy!'
10. Spotify and Facebook take on digital music

それではこの新年、2012年に見えてくるハイテクの流れはどうか。次の見方がある。

◇Tech Trends You'll See in 2012 (12月29日付け PCWorld)
→data-only携帯電話からHTML 5まで、来る年、2012年に主流になりそうな進展10項目:
1. Dual-Core Processors Become the Norm in Smartphones
2. Optical-Disc Drives Disappear From New Laptops
3. Data-Only and Reduced-Voice Cell Phone Plans Proliferate
4. Facebook Accounts Become Necessary to Do More Stuff on the Web
5. NFC Facilitates Mobile Payments, Peer-to-Peer Networking
6. Processing Enters the Cloud
7. HTML 5 Takes the Stage
8. IPv6 Starts Rolling Out
9. Consumers Borrow More Books, Movies, and Music
10. Fewer (but Better) Tablets Arrive

2011年後半に強まったグローバルな市場後退懸念であるが、台湾の新竹サイエンスパークにおける影響の一端である。

【グローバル経済の影響】

◇Hsinchu Science Park Sees Overall Revenue Drop 10% in 2011 (12月28日付け Taiwan Economic News)
→台湾のscience parksトップ3の1つ、Hsinchu Science Park(HSP)のAdministration director-general、Randy Yen氏。グローバルな経済沈滞状態の影響を受けて、HSPの2011年全体売上げが2010年に記録した史上最高NT$1.18 trillionから10%低下する見込みの旨。

今後とも大きく半導体市場を支えていくモバイル通信用半導体というのは間違いないが、現状のシェア、新たな連携の動き、次の通りである。

【通信用半導体】

◇Chip Makers Join DoCoMo in Smartphone Venture (12月27日付け The Wall Street Journal)
→IHS iSuppliによると、モバイル通信用半導体のグローバル市場、売上げベースのシェアは次の通り。
1.Qualcomm  36.8%
2.MediaTek  16.4%
3.Texas Instruments   12.9%
4.Infineon Technologies AG  9.4%

◇ドコモ、サムスンなど5社と半導体開発−通信機器向け、合弁会社設立へ (12月27日付け 日経 電子版)
→NTTドコモが27日、韓国サムスン電子など5社(ほかにNEC、富士通、富士通セミコンダクター、パナソニックモバイルコミュニケーションズ)と通信機器向け半導体を開発する合弁会社を設立すると発表、各社のノウハウと製造能力を集約し省電力、小型化した半導体を開発、国内外の携帯端末メーカーに販売する旨。高速携帯サービス「LTE(Long Term Evolution)」への対応も検討する旨。2012年1月中旬にNTTドコモが100%出資する準備会社を設立、3月下旬に合弁会社に移行する旨。

半導体市場をリードするIntel社の次期32-nmプラットフォームが、今後に向けて具体的に見えてきている。

【Intelの次期プラットフォーム】

◇Intel's Medfield benchmarks leaked (12月27日付け EE Times)
→ハイテクサイト、TR-Zone発。Intel社の次期32-nm Medfieldプラットフォームといわれるスペックおよびbenchmarksがリークされており、性能figuresを詳述の旨。1.6GHz CPU, 1GB of DDR2 RAM, WiFi, Bluetooth, FM radiosおよびGPU(パートナーのImagination Technologies ltd.製)が強調ポイントの旨。

◇Intel to launch Medfield platform in 2Q12, Clover Trail-W platform in 4Q12 (12月29日付け DIGITIMES)
→Intelが、Android 4.0(Ice Cream Sandwich) OSで動くMedfieldプラットフォームを2012年第二四半期に、次いでWindows 8で動くClover Trail-Wプラットフォームを同年第四四半期に打ち上げる計画の旨。

◇Intel to adopt TI, Broadcom wireless chips for Medfield, Clover Trail-W platforms (12月30日付け DIGITIMES)
→台湾のnotebookメーカー発。Intelが、2012年第二四半期に打ち上げ予定のMedfieldプラットフォームにはTexas Instruments(TI)開発のWL1283 Wi-Fi/Bluetooth/GPS半導体を、2012年第四四半期予定のClover Trail-WプラットフォームにはBroadcom開発の4330/4751 Wi-Fi/Bluetooth/GPS半導体を採用の旨。


≪グローバル雑学王−182≫

大震災、洪水など自然災害、伴なって発生した原発事故、そして欧州に端を発する金融危機と、様々な困難、試練に見舞われた2011年が暮れて、世界中の誰もが明るい希望、展望を願う2012年に入ったところである。グローバル関連のあれこれを扱う新書を通読する本コーナーは、ちょうど年替わりが新たな境目となって、ここは新春早々まずは大いに笑おうということで、

『100万人が笑った! 「世界のジョーク集」傑作選』 (早坂  隆/著:中公新書ラクレ 400)  
 …2011年11月10日 発行

より世界各国各地の「笑い」を楽しむこととする。まずは不幸にも絶えない紛争に見舞われている地域におけるジョーク集である。著者が実際に現地に足を運んで体験したコメントと一つのジョークの例を以下に示している。


≪まえがき≫
・大震災による国難、こういう今こそ「笑い」の持つ力

第1章 紛争地で笑え!

◎紛争地にある「笑い」
・世界の紛争地や貧困地帯を取材
 →人々が「笑い」を大切にしている様
 →人間の強さやしたたかさの裏返しのようにも

■誘拐事件(イラク)
ある時、サダム・フセイン大統領が何者かによって誘拐された。数日後、犯人グループから大統領宮殿に脅迫電話がかかった。
「今すぐに100万ドル用意しろ。さもなければ大統領を生かして帰すぞ」

◎フセイン時代のイラク
・2002年の夏。入国審査で血液を抜かれた。
 →検査の結果は、1週間くらい後に
・戦火で家族や友人を失ったという人々ばかり
 →滞在中の最高気温は52度
・最も印象的 →「イラク・スマイル」とも言うべき彼らの笑顔

■演説(イラク)
ジョージ・W・ブッシュが演説でイラクを批難して言った。
「無能で傲慢な指導者のために経済は滞り、街は失業者で溢れている。国際社会と協調することもなく、周辺諸国に脅威を与えている!こんなに恥ずかしい国は他にない!」
演説を聞いていた人たちは、なぜ彼がアメリカの批判をするのか理解できなかった。

◎パレスチナに響く笑い声
・2002年と2009年に訪れたときのこと
・主な都市では、時にイスラエル側から一方的に外出禁止令
 →くだらない世間話やジョーク
 →敵対するユダヤ人たちが主なネタ

■母と娘の会話(パレスチナ)
母親が娘に言った。
「大声でわめいたり、わがままを言ったり、そんなはしたないことばかりしていると誰もお嫁にもらってくれなくなるわよ」
「でも、私、そんな人と結婚した男の人、一人だけ知ってるわ」
「誰よそれ?」
「お父さんよ」

◎賢い者ほどよく笑う
・「ジョーク好き」という民族性でも有名なユダヤ人たち
 →少し「ひねった」感じの噺が多い

■アラブの子だくさん(イスラエル)
パレスチナのある市場で、六人もの子どもを連れた母親がいた。子どもたちは母親の言うことを聞かず、辺りを走り回っていた。見るからにその母親が大変そうだったので、市場の売り子の一人が声をかけた。
「子どもの半分は家に置いてくればよかったのに」
母親は答えた。
「そうしたんですよ」

◎シリアジョークの主人公
・一連の中東戦争で大きな被害を出した国の一つ、シリア
・ジョークの主人公、「ホムシー」
 →ホムシー=シリア中部の都市、ホムスの住民たち
 →「おバカ」キャラとして笑うジョークが広く定着

■ピザ屋にて(シリア)
ホムシーがピザ屋に行った。店員が聞いた。
「ピザは六つに切りましょうか? それとも十二に切りましょうか?」
「六つにして。十二じゃ食べ切れないから」

◎アブ・アベドおじさん
・「中東のパリ」、ベイルートの街には、今でも銃弾の跡だらけの建物などが残る
・レバノンのジョークに欠かせない「アブ・アベドおじさん」
 →アラブ圏全体で人気

■誰によ!(レバノン)
アブ・アベドに妻のエム・アベドが言った。
「ねえ、お隣の夫婦ってすごく仲がいいのよ」
「ふん、どういう風に」
「家の外でも旦那さんがしょっちゅうキスしているの。すごく素敵なキスなのよ」
「へえ」
「へえって何よ。あなたも男なら、そうしてみる気はないわけ?」
「そりゃしたいけどさ。でも、そんなことしたらあの旦那さんは怒らないかね?」

◎マンホールに住む人々
・ルーマニアの首都、ブカレストには、マンホールで生活をしている人々の姿
 →闇の中、ロウソクを灯す暮らし

◎大行列とジョーク
・かつてのルーマニア、配給の列に何時間も並ぶことを余儀なく
 →ジョーク(ルーマニア語ではバンク)を楽しむ

■ハンガリー人とロシア人の会話(ハンガリー)
 ハンガリー人「今度、我が国に海軍省ができるんだ」
 ロシア人「何だって? でもハンガリーには海がないじゃないか」
 ハンガリー人「でも君の国に文化省があるんだぜ」

◎ボスニア内戦
・一連のユーゴ紛争の中でも最も多くの犠牲者を出したボスニア・ヘルツェゴビナ
 →そんな状況下でもサラエボ市民はユーモアと諷刺精神

■大気成分(コソボ共和国)
 プリシュティナ気象台発表の今日の大気成分。
 気体・ 99%
 NATO機・ 1%

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