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11月半導体販売高/行く年・来る年の視点/グローバル雑学王−26

世界的な経済危機の余波が続く中で迎えた新年、2009年。早々の米SIAによる半導体販売高発表から現下の状況、そして行く年・来る年の半導体業界を眺める視点の記事に注目、新年のスタートにしたい。

≪11月半導体販売高≫

昨今の経済状況からいってむべなるかな、というところであるが、米SIAが発表した11月の世界半導体販売高は以下の内容である。ここでは販売高数値は3ヶ月平均となっている。

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○11月の半導体販売高、鈍化。…1月2日付けSIAプレスリリース

11月の世界半導体販売高が$20.8 billionで、2007年11月の同販売高$23.1 billionから9.8%減少した、とSemiconductor Industry Association(SIA)は本日発表した。同販売高は、前月、2008年10月の$22.4 billionを7.2%下回っている。メモリ製品を除く計算では、$18.2 billionから$17.3 billionに前年比4.8%の減少と緩やかになる。2008年の1-11月累積販売高は$232.7 billionとなり、2007年の同販売高$232.2 billionからは0.2%増である。メモリ製品を除くと、同販売高は5.6%増となる。

「世界的な経済危機が半導体への需要にインパクトを与えてきているが、他のいくつかの業界分野よりはその度合いは少ない方である。我々の業界は、依然2008年について米国では2番目に大きな輸出比率を占めている。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「我々の業界のすべての分野が、今回の不況で等しく影響を受けているわけではない。本年を通して深刻な価格圧力を被ってきているメモリ市場が大きく販売高が減ってきている一方、他の多くの製品分野は年初からの累積販売高が2007年レベルを上回っている。」とScalise氏が付け加える。

SIAとしては議会の指導者たちに、consumer confidenceを強め、短期的な経済成長を促す政府および業界の投資を鼓舞する法案を素早く通すよう急がせている、と特にコメントしている。

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/GSR_0811.pdf
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年初からの累積販売高は、次の推移となる。
 1- 9月  前年同期比 4 %増
 1-10月  前年同期比 2.6%増
 1-11月  前年同期比 0.2%増
最高更新を続けてきた世界半導体販売高であるが、2008年で一服とまずなりそうな情勢である。

それでは単月の実際の販売高ではどうなるか、以下の記事抜粋である。

○Actual chip sales were down 22.5% in November, says analyst(1月2日付け EE Times Europe)
・投資銀行、Carnegieのアナリスト連によると、11月の実際の販売高は前年比22.5%低下している。
・Carnegie(Oslo, Norway)のBruce Diesen氏によると、11月の半導体販売高は前月比14%低下しており、10月対9月の12%減との対比である。
・コンピュータロジック、handset、通信インフラおよび産業用半導体は平均より鈍化する一方、PCプロセッサ、MPUおよびoptoelectronicsは健闘している。
・11月の世界handset生産は前年比10-15%落ち込んだ模様であり、中国のwhite box handsetメーカーが最も小さい落ちのようである。
・2008年の販売高は、前年比1%減という前回予想を改めて、1.6%下回るところになろう。
・「我々の評価では4月に販売高が戻してくる材料がある。」
・日本からのデータでは、12月および1月にさらに生産削減があるとなっており、日本での在庫/販売比率が11月に最高を記録している。
・韓国での9月の技術ハードウェア在庫が非常に高く、10月および11月には急減している。韓国は、日本より早く在庫削減を始めたと言われている。
・速報データでは、韓国の半導体輸出は12月には改善されていると言われ、まず弱くなったメモリ半導体が、同様にまず最初に良くなるというのは驚くことではない。

非常に分かりやすく興味深い分析と感じているが、さて現実の実際はどうなるか?正月明けで表現もおかしくなりがちであるが、日々精一杯頑張るとともにアンテナを最大限高くすること、これに如くものなしということと思う。


≪行く年・来る年の視点≫

伏線があったとかいろいろな見方があるとは言え、昨年9月後半から急激に見舞われた混乱の中で過ぎ去った2008年であり、やってきた2009年である。
ここは冷静に半導体業界を鳥瞰する視点、ポイントを改めて見ようということで、以下の記事に注目している。

まずは、半導体製造および市場の流れについて2008年の読者選択による記事のキーフレーズである。

○Focus on: Readers' Choice/Top 20 Articles 2008(1月2日付け Semiconductor International)
・Photovoltaics: Grid Competitive in Five Years (1/29/2008)
 ⇒solar photovoltaics業界、5年足らずで独り立ちに
・IBM Takes Gloves Off for 32 nm Low-Power Competition With TSMC(6/26/2008)
 ⇒Fishkill連合の低電力32-nmプロセス技術
・Perspectives From the Leading Edge: 3-D Discussions in the Valley...Continued (11/4/2007)
 ⇒1つとしてメモリが引っ張る3-D interconnects
・Roadmap Dictated by Flash, More Than Moore (1/25/2008)
 ⇒ITRSの2007年版、More than Mooreに新たな焦点
・Chinese Company Begins Thin-Film Solar Cell Production (1/14/2008)
 ⇒中国メーカーの薄膜solar cells生産展開
・32 nm Marked by Litho, Transistor Changes (1/1/2008)
 ⇒材料やリソの変化が含まれそうな45-nmから32-nmへの移行
・2008 Economic Forecast: Fairly Unpredictable (1/1/2008)
 ⇒始めから鈍化、いつまでそれが続くか、2008年
・Georgia Tech Report: China Now Rivals United States in Technology Competitiveness (1/24/2008)
 ⇒急速に技術競争力を高める中国
・Flip-Chip Changes on the Horizon (7/2/2008)
 ⇒登場以来大きな変化のないFlip-Chipにいくつかの兆し
・Executive Outlook: Driving Productivity, CoO in 2008 (1/1/2008)
 ⇒大統領選挙&北京オリンピックの年、一方にsubprime不安
・Intel: 'EUV Facts Don't Add Up' for 22 nm in 2011 (4/22/2008)
 ⇒EUVリソは2011年以降、とインテル
・Thin-Film Photovoltaics Capture More of the Spectrum (7/1/2008)
 ⇒いくつかの理由で増大基調の薄膜solar cells
・Webcast: Highlights of the 2007 ITRS (1/22/2008)
 ⇒"More than Moore"追加などの変更
・Webcast: Through-Silicon Vias: Ready for Prime Time? (3/25/2008)
 ⇒未解決の製造課題に焦点を当てたTSVs形成プロセス
・Physical Analysis Provides Images of 45 nm (5/6/2008)
 ⇒65-nmおよび45-nmプロセス技術を駆使した製品の物理的詳細分析
・Yole Ranks Top 30 MEMS Suppliers; Sees Rapid Growth in Consumer,Medical (1/31/2008)
 ⇒MEMS市場を実際に引っ張るのはconsumerアプリ
・Webcast: Preparing for High-Volume Immersion Lithography(2/19/2008)
 ⇒immersionリソ実施を進める半導体メーカー
・Haze, Still Misunderstood, Costing Industry $1B a Year (5/7/2008)
 ⇒まだまだ理解不足のmicro-contamination
・Photovoltaics Ready for Next Big Market (2/20/2008)
 ⇒Solar市場は半導体市場をパッと明るくするか
・Fab Spending Tapers in 2008 (1/1/2008)
 ⇒ASPをさらに低下させる"megafabs"でのメモリ増産

波乱含みの要因を抱えながら伸びてきた今まで、という感じ方が残る上記のフレーズを通した印象ではある。今後は新たな飛躍に向けていろいろな障壁の打開を図るとき、ということと思うが、新年2009年を予測する視点を挙げた記事から次の通りである。  

○Top 20 predictions for semis in 2009   (12月30日付け EE Times)
 →EE TimesのMark LaPedus氏、2009年半導体およびIC装置市場予測視点、20項目。
 1. Downturn or depression?
 2. The (fab-tool) sky is falling
 3. EDA--Down and out?
 4. Here comes the sun     …solar、PV市場
 5. Bailout blues
 6. Memory lane
 7. Flash dance
 8. Abu Dhabi vs. Intel     …AMD 対 インテル
 9. Foundry fools
 10. Analog ailments
 11. FPGA vs. ASICs
 12. Who's on hot seat?
 13. Who will not make it?
 14. Litho blues
 15. 450-mm conspiracy
 16. Throw in the towel
 17. Solar or bust
 18. Semi IP is not a loser
 19. Fab vs. fabless
 20. Walmart rules

より現実的な視点の表し方となっており、明日にでもどうなるか、一刻も気が抜けない感じ方がある。


≪グローバル雑学王−26≫

7回にわたって言語の世界を地球各地に見て回ってきたが、

『言語世界地図』(著者 町田  健氏:新潮新書 266)

からの抜粋、今回で終了である。抜粋しながらの視野の広がりを覚える充実感が小生なりにある。次回からは、今こそ最も理解が必要と思う"イスラームの世界"を取り上げる。

○アメリカ大陸、その他

◇英語(上) 〜世界語となった言語、五百年間の大変貌〜
・母語としての話者数が世界で最も多い言語は、おそらく中国語
 ⇔ 世界で最も広い範囲で通用する言語は、間違いなく英語
・全体で10億人を超える数の人々が、英語を日常的に使用
・英語を公用語とする国々:
 2007年1月1日現在の国連加盟国192カ国中、55(+香港)
・英語はもとはゲルマン民族の言語、ドイツ語、オランダ語、北欧語の仲間。
・英語の特徴の一つ →フランス語起源の外来語が非常に多い
 (例) noble army council mountain river fruit count
  …11世紀の後半からおよそ3世紀にわたってイギリスを支配したのが、フランス語を話す王族
・15世紀から16世紀にかけて、「大母音推移」と呼ばれる大規模な母音の音色の変化を経験
 (例)    それまでの発音
  name   「ナーメ」
  cook    「コーク」
・ブリテン島の一言語に過ぎなかった英語が、植民地支配を通じて世界の広範な地域へと使用域を拡大
・外交用語として英語が使われるようになるのは、1919年のベルサイユ講和条約以降(それまでは専らフランス語)

◇英語(下) 〜統一性と変異と〜
・英語はアラビア語と並んで第一言語としての使用国が多い言語、使用地域の広さにかけては、世界の諸言語で英語に並ぶものはない。
・英語が故郷であるイギリスを離れて南北両半球にまで広がってからまだ150年足らず。
・英語は、言語としての一体性が維持される条件を具備。
・「イギリス英語」と「アメリカ英語」で違うこと:
                  イギリス     アメリカ
1) hard、carのr      発音されない   発音される
2) coat、bowlの[ou]の音 「アウ」の感じ  「オウ」
3) hot、stopのo        「オ」       「ア」
・オーストラリア英語独特の語彙: bickies 「お金」
                       cuppa  「コーヒー、紅茶」
※異なった地域で異なった人間が使う以上、そこに変異が生じるのも当然

◇ケベックのフランス語 〜17世紀の面影を残す〜
・カナダ →世界で2番目に広大な国土
      …イギリス系 35%
        フランス系 25%
        他にもドイツ、イタリア、ポーランドなど多様なヨーロッパ系
        返還前後から香港からの移民急増  10%近く
・フランス系住民のほとんどが住むのがケベック州、公用語は英語ではなくフランス語
・大西洋を挟んだ二つの地域で話されるフランス語は、イギリスとアメリカ両国で使われる英語よりは違いが大きい。

◇ケチュア語 〜衰退の運命を逃れた南米の有力言語〜
・ペルー →スペイン語に加え、もう二つ、ケチュア語とアイマラ語という公用語。スペイン征服前からの土着の言語。
・「ケチュア語」 …数十もの言語の総称
 互いに通じないほどの違い →「クスコ語」(古代インカ帝国の首都クスコの周辺)
                    「インガ語」(コロンビア)
                    「コチャバンバ語」(ボリビア)
・全体で600万から800万の話者数  ペルー 約350万
                        ボリビア 約170万
                        エクアドル 約150万
・「膠着語」の一種。主語の人称や数によって動詞の形が変化。
 多様な子音 →「有気音」、「放出音」
・古代インカ文明の言語でもあったケチュア語。古代インカ文明の威光。
 → グーグルやマイクロソフト・ウインドウズのケチュア語版登場

◇国連公用語 〜公用語とは何か〜
・国際連合の公用語は英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語の6つ。
 →国際連合は第二次大戦の戦勝国主導で設立
・いずれも相応しい大言語:
            公用語とする国数        話者数
 英語         55カ国              10億人
 中国語(北京語)  2カ国(中国、シンガポール)  13億人
 ロシア語       4カ国              2億5000万人
 スペイン語     19カ国              3億5000万人
 アラビア語     23カ国              2億5000万人
 フランス語     29カ国                9000万人
・このわずか6カ国語の公用語に関わる翻訳や通訳のために、国連は1万人弱の職員のうち2割もの人員を充て、総予算の7分の1もの金額を費やしている。
・国連運営のために各国が拠出する分担金、日本はアメリカに次いで2番目の額を負担
 →日本語こそが次なる国連公用語の最有力候補になってもよさそうな気も。
  ⇒日本語・日本文化を代表する努力が必要

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