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半導体販売高$300 Billionの大台突破の見方の一方での下方修正模様

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前回、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)秋季予測に基づく当面の半導体業界模様に触れたが、米国SIAからその見方を支持するとともにこの10月の現実の世界半導体販売高が発表されている。自然災害、金融危機など非常事態の試練に見舞われながらも、市場が求める半導体の量は着実に増大しており、史上最高の昨年を上回って初めて$300 Billion突破の本年と見ている。一方ではここにきて下方修正のデータ発表が続いており、年末から年始、そして旧正月にかけての市場に目が離せないところである。

≪現下の市場データ≫   

米国SIAからの10月の販売高および当面の見方が、次の通り発表されている。

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○2011年の世界半導体販売高、$300 Billionを上回る見込み−10月の販売高は9月から0.1%減 …12月5日付けSIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2011年のグローバル半導体販売高が$302 Billionに伸びて初の$300 Billionの大台に達し、史上最高を記録した2010年を1.3%上回るとする、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationの秋季予測を支持すると発表した。2011年10月の世界販売高、前月の$25.8 billionから0.1%減の$25.7 billionと実質的にフラットとなっている。月次販売高の数値はすべて3ヶ月移動平均で表わされている。

「2010年の記録破りの販売高に今年の初の$300 Billionの大台を上回る予測が合わさって、半導体業界および経済全体の両方に歓迎されるニュースである。」とSIA President、Brian Toohey氏は言う。「試練続きの本年のグローバル経済環境およびアジアでの生産に影響を与えている自然災害にも拘らず、半導体業界は印象に残る回復力を示してきている。広範囲のconsumer, 産業, ビジネスそして政府用アプリに組み込まれる半導体の量の水準は、2012年そして2013年と引き続く伸長が示されている。」

2011年10月について、日本は引き続き前月比2.2%増の回復となり、4ヶ月連続の伸びを示している。さらに、年初からの累積半導体出荷では、Americas地域が前年同期比4.6%増、Asia Pacific地域が同3.4%増、そしてEurope地域が同1.2%増となっている。

2011年より先は、WSTS予測によると該業界は着実に控えめに伸びる軌道にある。WSTSは、2012年は3.7%、2013年は5.8%のそれぞれの伸びを予測している。

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/clientuploads/October%20GSR%20Charts.pdf
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10月販売高については、以下の関連データがある。

◇October global chip sales fell back, says WSTS (12月4日付け EE Times)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)発。10月の(3ヶ月平均ではなく)実際のグローバル半導体販売高は$23.41B、前月比20.5%減、前年同月($24.40B)比4.1%減。

もっと生々しい11月の販売高のデータがTSMCなど発表されており、次の通りである。

◇November sales dip at TSMC, UMC (12月9日付け EE Times)
→TSMC(Hsinchu, Taiwan)の連結ベース11月net販売高が約$1.19B、前月比4.7%減、前年同月比2.7%減。1-11月累計では約$13.11B、前年同期比2.9%増。
UMC(Hsinchu, Taiwan)の11月販売高が約$267M、前月比2.3%減、前年同月比22.7%減。1-11月累計では約$3.24B、前年同期比11.3%減。

TSMCの総帥、Morris Chang氏も次の来年の見方となっている。

◇Logic IC to outpace average chip growth in 2012, says TSMC chairman(12月5日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏。ロジックIC分野の2012年の伸びは半導体業界平均を上回り、ロジックIC分野は6-7%、半導体全体では5%までの伸びと見ている旨。

TIなどからは足元の販売高について、下方修正が行われている。

◇TI, Altera cut Q4 sales targets on weak demand (12月9日付け EE Times)
→Texas Instruments(TI)社(Dallas)の第四四半期販売高見込み、前回$3.26B〜$3.54Bから今回$3.19B〜$3.33Bに下方修正する旨。
Altera社(San Jose, Calif.)の第四四半期販売高見込み、前回$465M〜$485.9Mから今回$438.9M〜$452.8Mに下方修正の旨。

来年の見方がここにきて以下の通り厳しさを増す様相を受け止めている。

◇IHS cuts 2012 PC forecast on HDD shortages (12月8日付け EE Times)
→IHS iSuppliが木曜8日、タイの洪水によるhard disk drive(HDD)不足から2012年のPC市場予測を下方修正、前回の9.5%増399M台から今回6.8%増376M台と見る旨。

◇Gartner cuts 2012 chip market forecast (12月8日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)が2012年グローバル半導体市場予測を下方修正、前回の4.6%増から今回2.2%増の$309B規模と見る旨。


≪市場実態PickUp≫

Intelの三次元半導体、FinFETsへの視線、そして相対する動きが次のように見られている。

【IntelのFinFETsを巡って】

◇New efforts to extend Moore's Law (12月5日付け San Jose Mercury News)
→Intelのtri-gateアーキテクチャー、三次元での半導体の構築が、従来のSi平面詰め込みと異なるアプローチとしてMoore's Lawに新しい息吹を与えている旨。

◇FDSOI less 'risk' than FinFETs, says SOI body (12月8日付け EE Times)
→SOI Industry Consortium発。STMicroelectronics, IBM, ARM, Globalfoundriesなどの半導体メーカーが最近完了したコラボ・リサーチからFinFETsと同等の性能を28-nmおよび20-nmノードでしかもより簡単な製造プロセスで確認、該リサーチは28-nm半導体を作るためにFD-SOI(fully-depleted silicon-on-insulator)を用いて行われた旨。

中国に生産工場進出、というSamsungのNANDフラッシュ展開を図る動きである。

【Samsungの中国fab計画】

◇Samsung plans China NAND flash wafer fab (12月6日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Samsung Electronics Co Ltdが、中国でNANDフラッシュメモリウェーハfabを建設、2013年に稼働する認可を求めている旨。場所は未決定、中国のスマートフォンおよびタブレットcomputersメーカー向けの工場として約$4B投資する計画、20-nm級製造プロセス生産から始める様相の旨。

来年に注目するホットな技術として、EE Timesが次の通り挙げている。多彩な応用システムへの半導体をはじめとする技術の浸透、融合という色合いを一層感じている。

【2012年ホットな技術20項目】

◇EE Times' 20 hot technologies for 2012 (12月6日付け EE Times)
→EE Times editorsによる20項目:
 1. Microelectromechanical systems (MEMS)
 2. Wireless sensor networks
 3. Internet of Things
 4. Plastic electronics
 5. Near field communications (NFC)
 6. Printed electronics
 7. Energy harvesting
 8. Graphene
 9. Next-generation non-volatile memory
10. Processors
11. Graphics and GPGPU(general-purpose graphics processor units)
12. EUV
13. Solar conversion
14. White space radio
15. Long Term Evolution (LTE)
16. 40/100 Gbit/second Ethernet
17. Mobile OSes with Android
18. Active-matrix organic light-emitting diode (AMOLED)
19. Smart grid technologies
20. 3-D ICs

【超低価格路線】

中国勢が取り組むタブレット、スマートフォンの超低価格アプローチの凄まじさを感じる以下の内容である。

◇Chinese firm offers sub-$100 Android 4.0 tablet (12月5日付け EE Times)
→MIPS Technologies社、月曜5日発。中国のconsumer electronicsメーカーが、$100以下の売価、Android 4.0ベースのmediaタブレットを売り出す旨。該タブレット、NOVO7は、Ice Cream Sandwichとしても知られるAndroid 4.0ベースの初のタブレット、中国で使えてAinol Electronics Co. Ltd.経由のonline、7-インチcapacitive multi-touch screenおよび中国のIngenic Semiconductor Co. Ltd.製MIPS-ベースプロセッサ搭載の旨。WiFi 802.11 b/g/n, USB 2.0, HDMI 1.3およびmicroSD, 並びにVivante GC860 GPUによる3-D graphics, 1080p video decodingおよびdual front/rearカメラのサポート&搭載の旨。

◇Spreadtrum releases platforms for $40 smartphones (12月9日付け EE Times)
→中国のファブレス半導体メーカー、Spreadtrum Communications社(San Diego、上海、北京、深センなどに拠点)が、2つの新しい低コスト、600MHz Androidスマートフォンプラットフォームをリリース、40-nmプロセスで製造、$40-50の超低価格スマートフォンを狙う旨。


≪グローバル雑学王−179≫

学校に持っていくもの、持ち込むものへの規律を求める校則も、なかなか持ち合わせの常識ではカバーできないところありと、

『こんなに厳しい!世界の校則』 (二宮  皓/監修:メディアファクトリー新書 029)  
 …2011年 6月30日 初版第1刷 発行

より以下の通り知らされる。銃の所持、食器、枕と毛布など、自分がそこに居住することを仮に考えた場合、世界各地の背景がそれぞれにのしかかってくるものがある。


第3章 持ち物
 …漫画は常備、枕は禁止!? 不思議な持ち物規則たち

□いかなるときもトイレやロッカールームでビデオ撮影してはならない(アメリカ 高校・公立)
・ほとんどが携帯電話による動画撮影
 →陰湿ないじめの未然阻止
・一方、携帯電話の多機能化を活用しようという動きも
 →難しい線引き
・エネルギードリンク(エナジードリンク)禁止の例
 →オーストリアのレッドブル社「レッドブル」…欧米の若者が主な消費者層
  →副作用を懸念する声も

□おもちゃの銃、レプリカ銃を持ち込んだら停学(アメリカ 高校)
・レプリカでも厳しく規制
 →全米で当たり前のように起きている発砲事件
 →地域によっては、ごく普通のスーパーで銃や銃弾が売られている
・「全米ライフル協会」の存在感 …日本とは異なる国民意識
 →銃社会の維持

□試験期間中は、携帯電話を学校に持参してはいけない(韓国 高等学校)
・「サイバーカンニング」問題
 →韓国はこの問題に関しては「先進国」
・韓国の子どもたち、高校まで学校を自由に選ぶことはできない
・毎年11月中旬の木曜日、一斉に行われる「大学修学能力試験」
 →2004年のその日、光州市の試験会場で大規模な集団カンニング
・高校でも高まるカンニングのリスク
 →上記の校則に

□適正な大きさの食器を持ってくること。普通より大きいものは認められない(ケニア 中等学校・共学)
・寮制の学校が多いケニア
 →基本的に3食つき、食器類(スプーン、カップ、プレート)は自前で用意させる学校が大半
 →不平等を未然に防ぐのがこの校則の狙い
・上記の校則があるオラシティ中等学校は、マサイ人の生活圏
 →とりわけ独特な伝統と文化
 →13才で小学校に入学するケース、20才の小学生という例も

□通学カバンの中に小説・漫画を常備しておくこと(ベルギー 中等部)
・教員の不在時だけとはいえ、学校の「推奨」のもとで堂々と漫画を読める
 →世界的に有名な『タンタン(Tin Tin)』の作者、エルジェらの業績が背景に
・自国の漫画をアートとして高く評価した最初の国はベルギー

□学校規定の宿題帳がある(イギリス ハイスクール・公立)
・1997年、政権の座についたトニー・ブレア
 →翌1998年、基礎学力向上のために労働党は「宿題ガイドライン」を作成
・生徒は学校が配布した規定の「宿題帳」に、毎週、親から確認のサインをもらうことが義務
・16才時にGCSE(中等教育修了証書試験)
 →一発勝負ではなく、普段の実験や実習、作文などが評価の対象

□ダンス(イベント)の際は手荷物検査を行う。上着を脱ぎ、登録すること(カナダ 高校)
・学校のダンスパーティ
 →アメリカやカナダでは、学校生活に欠かすことのできない文化、現在も存続
・特に盛大なイベント
 →卒業時に行われるSenior Prom
 →始まりは夜の8時頃、バンドやDJも登場、深夜12時近くまで
・校内の安全に主眼を置いている校則
 →危険物の持ち込みや不審者の侵入などに対する警戒を強めることが必要

□持ち物管理のため、監視カメラを25ヵ所設置する(タイ 大学附属中等学校)
・タイの学校は、欧米諸国ほど監視カメラが普及していない
・「生徒の持ち物管理」が設置目的
 →本来の目的は盗難防止
・タイの2010年のGDP伸び率は7.9%(タイ政府発表)
 →出遅れていた監視カメラ需要も、ここ数年で20%台の成長という業界予測

□触れ合いを妨げるような布で顔を覆ってはならない(オランダ 学園)
・主にイスラム圏の女性の服装を指す
 →非常にデリケートな問題を孕む
 →最も多い「ヘジャブ」…顔は出す
        「アバーヤ」…目、手足の先以外すべて隠す
        「ブルカ」…目の部分も網目状
・オランダの移民の多さが背景に
・この校則のモンテッソーリ学園
 →自主性・独立心・知的好奇心に主眼、独自の教育理論
 →生徒ぞれぞれの価値観すべてを容認できない面
・異文化が共存する難しさ

□枕と毛布を持ち込んではならない(アメリカ 高校・公立)
・学校と家庭を混同するような生徒の振る舞いを嫌うアメリカの学校の性格
・持ち込んだ理由はスクールバスと関係している可能性が高い
 →広大なアメリカ、片道2時間以上の長距離通学も

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