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急激あるいはじわじわと、変化の現実、問われる実力の真価如何

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中国、インドはじめ新興経済圏の市場拡大が世界経済の中軸になっている現実の一方で、欧州の金融危機による打撃を受けて欧州向けの製品・部品輸出を行っている地域の急激な衰退の現実が伝えられている。新興経済圏の中でも仕向け先、業容による強烈な斑模様を感じさせられている。また、半導体最先端技術の世界においても、先行性を競うプレーヤー間のいろいろな切り口の濃淡の実態が垣間見えてきている。変化への即応力とともに、それを可能にする実力の真価如何がますます問われようとしている。

≪変化の現実≫   

中国・広東省における次の現地レポート(抜粋)には、その急激な変貌ぶりに驚かされる。

○世界の工場が“シャッター街”に 欧州危機と人手不足のダブルパンチ、中国・広東省 (11月24日付け 産経ニュース)
→中国広東省で輸出型の外資系製造業が続々と工場閉鎖に追い込まれている。信用不安に陥った欧州に向けた輸出の低迷などで、委託生産が中心だった工場への注文がぱったり途絶えたためだ。衣料品や玩具など、90%以上の工場が撤退した広東省東莞(とうかん)市工業団地を訪ねた。

「5年前に鳴り物入りで誕生した工業団地だが、ここ数カ月で工場のシャッター街になってしまった」

同市の三江工業団地を案内してくれた機械加工メーカーの台湾人社長は、ため息をついた。同団地では100以上の工場に10万人が働いていたが、そのほとんどが閉鎖されて人通りはまばらに。工場の入り口には借り手を求める赤い横断幕ばかりが目立っていた。

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もっとも、同省全体の輸出入はアジア向けの輸出が好調だったことから今年1〜6月は前年同期比26%増だった。しかし、10月の輸出に限れば、前月比で8.7%の減少。欧州からの商品注文が多かった同工業団地では、クリスマス商戦用の輸出品に注文キャンセルが相次ぎ、人件費など資金が回らなくなった。

一方で、広東省の製造業は人手不足にも悩まされている。3年前の金融危機で中国政府が打ち出した4兆元(約48兆円)の景気対策で公共工事など仕事が増え始め、内陸部の農民にとって、何千キロも離れた広東省など沿岸部まで出稼ぎに行くメリットは薄らいだ。

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人海戦術で安価に作るという前提条件が崩れ、最大の輸出先だった欧州の経済低迷がダブルパンチとなった。広東省を先頭に走ってきた「世界の工場」は、曲がり角にさしかかった。

このようにあまりにも急激な変化の現実であるが、中国、インドの全体市場については、世界における重み、そして伸びっぷりを示す記事発信が以下の通り続いているのも事実である。

◇LinkedIn opens tech centre in India (11月21日付け EE Times India)
→世界最大のprofessional social networkingサイト、LinkedInが、Bangalore, Indiaに技術センターをオープン、北米以外では初めてのオフィス、インドではLinkedInの加入者が12M人、ユーザベースで米国に次ぐ2番目の市場となっている旨。

◇China Mobile to add 10,000-20,000 TD-LTE base stations in 2012 (11月21日付け DIGITIMES)
→China Mobileのvice chairman、Xi Guohua氏。同社は、2012年に中国を巡るTD-LTE基地局を10,000-20,000追加して設ける旨。中国政府の支援を受けて、中国の6都市でTD-LTE実験ネットワークスを構築、総計850以上の基地局を設けてきている旨。さらに、China Mobileの中国を巡る250,000のTD-SCDMA基地局の50%が漸次TD-LTEに格上げできる旨。

◇スマホ、中国が初の世界一に…出荷台数で米抜く (11月24日付け YOMIURI ONLINE)
→米調査会社ストラテジー・アナリティクスが23日、2011年7〜9月期のスマートフォンの出荷台数調査で、中国が米国を上回り、四半期ベースで初めて世界首位になったと発表の旨。中国の7〜9月期のスマートフォンの出荷台数は、前期比58%増の2390万台と過去最高、米国は7%減の2330万台にとどまった旨。中国では米アップルの「iPhone」など高価格帯の端末に加え、米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載した低価格の機種の市場も急激に拡大している一方、米国では10月にiPhoneの新型端末が発売されたため、消費者の買い控えが起きて販売が低迷したとみられる旨。

半導体最先端技術の指標として注目するIEDM、ISSCCはじめ国際会議であるが、来年2月のISSCCについては、環境、エネルギー、健康などへの領域の傾斜とともに、論文数でアジアが初めて米国、欧州を上回る状況となっている。

◇Implant that moves, electric shoes at ISSCC(11月21日付け EE Times)
→体内を自ら進んでいく微小なimplant、歩数計を動かすに充分なエネルギーを歩くことで賄えるテニス靴、このようなbattery-free機器が、来る2月のInternational Solid-State Circuits Conference(ISSCC)にて想像を掻き立てそうな旨。プレゼン論文数の内訳、次の通り。

2011年ISSCC
2012年ISSCC
アジア
34
38
米国
36
33
欧州
30
29


アジアが初めて欧米を上回る論文件数の旨。

熾烈な最先端技術開発競争は今も昔も変わりなしであるが、製造を分離してGlobalfoundriesとたもとを分かれた今やファブレスのAMDが、28-nmプロセス製品製造委託をGlobalfoundriesからTSMCに切り替える事態が見られている。

◇Reports: AMD cancels Globalfoundries 28-nm APUs (11月23日付け EE Times)
→オンラインレポート発。MPUベンダー、Advanced Micro Devices(AMD)社(Sunnyvale, Calif.)が、Globalfoundriesが28-nmプロセス技術で作る運びであったAPUs(Accelerated Processing Units)の取り止めを決定、代わりにAMDは、代替ファウンドリー、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.(TSMC:Hsinchu, Taiwan)からの28-nm gate-last high-k metal-gate(HKMG)製造プロセス技術により新規まき直しを図る旨。

そのGlobalfoundriesのAbu Dhabiでのウェーハ工場建設も先延ばしになっている。

◇Globalfoundries' Abu Dhabi wafer fab postponed, says report (11月24日付け EE Times)
→半導体ファウンドリー、Globalfoundries社(Milpitas, Calif.)が、2012年にAbu Dhabiでウェーハfab建設を開始する計画を、グローバルな経済状況が不安定として、延期する旨。2011年5月に戻って、同社は、2012年起工、半導体生産を2015年開始でAbu Dhabiにウェーハfabを$6B〜$8Bかけて建設する計画としていた旨。

AMDが製造を託するというTSMCは、その28-nm技術ベース受注が満杯の状況とのことである。Apple向けプロセッサ製造委託については、TSMCへの切り換えがうまくいかなくて元のSamsungに戻したという最近の動きもあり、実力の真価がそれぞれのケースに問われる、一寸先はやってみなければ分からない状況を受け止めている。

◇TSMC seeing tight capacity for 28nm processes (11月25日付け DIGITIMES)
→業界筋発。半導体業界全般の軟化にも拘らず、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)の先端28-nm技術についての受注が引き続き一段と熱気を帯びており、受注visibilityが約6ヶ月に延びている旨。
TSMCは、28-nmプロセスが2011年第四四半期で売上げの2%以上、2012年には10%以上に拡大すると見ている旨。

ISSCCについてインテルは、注目の3-Dトランジスタ(FinFET)、22-nmプロセスをふんだんに披露する運びとなっている。昔からの発表に続くISSCCでの詳細説明という同社のパターンが、今年も守られることに大いに期待である。

◇Intel details 22-nm Ivy Bridge at ISSCC (11月21日付け EE Times)
→Intelが来る2月のInternational Solid-State Circuits Conference(ISSCC)にて、同社次世代のIvy Bridgeプロセッサの1つなど、3-Dトランジスタを擁する新しい22-nmプロセス技術を用いた4つほどの設計を説明する旨。


≪市場実態PickUp≫

Thanksgiving Dayのお休みで米国消費者が買い求めるものは何か、アンケート調査が次の通りである。さて結果の方は如何というところである。

【消費者の願望】

◇Tablets top Black Friday shopping lists (11月23日付け EE Times)
→Black Friday([注]米国で、感謝祭[11月の第4木曜日]翌日の金曜日のこと。本年は25日。クリスマス・セールが始まり、小売店が黒字になることからこう呼ばれる。)が近づく米国、Consumer Electronics Association(CEA)による米国消費者調査より、14%がクリスマスにタブレットを、11%がlaptopをほしいとしている旨。

スマートシステム、スマートホーム、と何処の展示会も"スマート"が連呼されている昨今であるが、欧州そして我が国での取り組みの一端である。

【スマートの競演】

◇EU to pursue smart system R&D (11月22日付け EE Times)
→European Union(EU)が、smartシステム用標準を開発する3年、$13Mの"SMArt systems Co-design"プログラム, SMACを打ち上げ、STMicroelectronicsがコーディネートする旨。数週間前、米国ではNational Institute of Standards and Technology(NIST)がコーディネートする国家活動でsmartシステムを追求する同様な発表が行われている旨。SMACは、smartシステム開発に向けてコストおよびtime-to-marketを圧縮する設計および統合プラットフォームを作り出す旨。該プログラムofficialsは、system-in-package(SiP)およびchip stacking(3D IC)など先端packaging技術を特に重要と選抜、該開発活動のすべての水準を1個のプラットフォームに統合する旨。

◇Image gallery: Japan bets on embedded (11月22日付け EE Times)
→先週のEmbedded Technology 2011 show(パシフィコ横浜)の注目展示写真。“smart home”への重点化が際立つ以下の内容:
 *Smart house
 *Energy usage pattern in smart home
 *Murata wireless gateway
 *NXP smart lighting
 *Embedding visual smarts in a car
 *Smart robot feeds you food
 *Renesas motor control
 *Smart multi-unit dwelling

新年早々のCESについて以下の概要が発表されている。タブレットが依然主役、インテルが主導するUltrabookが目玉のニューフェースというところと思う。

【CES 2012】

◇Many Ivy Bridge Ultrabooks expected at CES (11月21日付け EE Times)
→最近Londonで披露されたConsumer Electronics Show(CES)(2012年1月10-13日:Las Vegas)の概要:
 *新しいUltrabookがいっぱい、30〜50の打ち上げ
 *約100の新しいタブレットのリリース、2011年に匹敵

IBMが、solarパワーで動かすデータセンターをインドで立ち上げている。どこまで支えられるのかに注目である。

【solarデータセンター】

◇IBM tries running datacenters on solar power (11月21日付け EE Times)
→IBMが、Bangalore, Indiaで6,000平方フィートアレイのsolarパネルという広大な据え付け、太陽エネルギーを利用して50KWのコンピュータ装置を1日5時間稼働、年に約330日動かせる旨。このsolarデータセンターpowerhouseは、この種のもの初めてと考えられ、開発途上世界の会社の適切な電気アクセスを助ける可能性の旨。

◇IBM aims for solar-powered datacentres in India (11月23日付け EE Times India)
→IBMが、Bangaloreに6,000平方footアレイのsolarパネルを据え付け、高電圧データセンターを稼働、エネルギー消費を10%削減の旨。
・該データセンターのsolarパネル外観写真
http://www.eetindia.co.in/STATIC/ARTICLE_IMAGES/201111/EEIOL_2011NOV23_POW_NT_01.jpg


≪グローバル雑学王−177≫

読み進めるたびに現在の学校の道徳教育はどうなっているかと世代間の差を痛感するとともに、世界各国の多様な社会文化の現実、現状を、

『こんなに厳しい!世界の校則』 (二宮  皓/監修:メディアファクトリー新書 029)  
 …2011年 6月30日 初版第1刷 発行

より知らされている。「常識は非常識、非常識は常識」と、改めて自分に問い直す風情がある。グローバルに情報化が一気に高度に進んでいく現在、モラルのあり方と同時に各国各土地の見方、考え方を理解する努力の重要性、必要性を感じている。


第2章 校内でのふるまい
 …常に帽子を被ること!? ワケあり行動規則たち

□いじめの犠牲者はたいてい直接的な原因とは関係がない(オランダ)
・オランダでは学校要覧に「いじめプロトコル(Bullying Protocol)」を明記
 →現場での充分な聞き取り調査を行ったうえで作成
 →「なるほど」とうならせる重み
・オランダ語でいじめは"pesten"、語源は伝染病のペスト
・見えないところで処理せずにすべてをオープンに
 →オランダのスタイル

□雪合戦をしてはならない(ドイツ ギムナジウム)
・ドイツと日本では違う雪
 →半ば氷状になっている雪で作る雪玉は日本のそれよりはるかに硬い
・「休み時間に雪玉、石、松ぼっくりなどを投げないこと」(フィンランド 基礎学校)
 →フィンランドの松ぼっくりは全長15cmほどのものがざら
・一方、禁止でさえなければバカげたことに喜んでチャレンジするユーモア心もドイツ人の一面
 →毎年2月の「トップレスで滑る国際そり大会」の例

□教室、図書館、廊下、階段、洗面所、事務室、食堂、校庭、玄関ホールでの喫煙を禁止する (ベルギー 中等部)
・ベルギーでは16才から喫煙が公認
・外国の校則は概して校外の生活まで規制しない
 →親が管理すべき問題という考え方
・2010年、日本ではタバコに対してかつてないほどの大増税を断行
 →なお世界的には買いやすい部類
 →ベルギーでは一箱700円程度。店頭販売でもバラ売りが完全禁止。

□用務職員の尊厳を尊重し、つばを吐いたり、食べ物をまき散らしたりしてはならない(フランス)
・カトリック教の伝統が引き継がれているフランスの教育
 →校則は文章も内容も厳しめ
・フランスは学生にモラルやマナーを強く求める国
・家庭と学校、どちらが子どもをしつけるべきかの問題は、フランスでも根深い

□授業と授業の合間、生徒は必要に応じて換気することが許されるが、窓から乗り出す、窓枠に座る、窓から呼びかける、窓からものを投げるといったことを固く禁ずる(ベルギー 中等部)
・ベルギーでは、校舎がそのまま表通りに面していることが多い
 →外から丸見え
・外の世界へのマナーが試される「社会の窓」

□自宅から持ってきたものを他の生徒に売ってはならない(ケニア 中等学校・男子校)
・ケニアには校内で商売する生徒 …特にインド系住民が多い地区
 →ケニア国民の厳しい現状 −小中学生の手を借りないと生活が成り立たない
・ケニア経済は数字だけをみれば好調
 →しかし、国民全体の生活レベルとなると別の話
・「自宅から持ってきたもの」の具体例:
 *ジュース、パン、ビスケット、フルーツ
 *「マンダジ」…揚げパンのこと。東アフリカでポピュラーなスナック

□ネット道徳や安全規則を守り、不健全な情報を見たり、作ったり、流したりしない。ネット上での交遊を慎み、ネット・バーに出入りしない(中国 中学)
・ネットモラル教育(網絡安全教育)の必要性
・ネット・バー …インターネット・カフェのこと  
 →中国で見かける看板:「网ロ巴(ワァンバ)」  
  网=「網」の略字、ロ巴=外来語の「バー」
・現在、中国のネット・バーでは18才未満の立ち入りが禁止
・政府が繰り出した策、安心・安全のネット・バー「緑色网ロ巴(リュイソーワァンバ)」
 →評判は芳しくなく不人気

□休日に宿題をしてはならない(ドイツ)
・ドイツでは宿題の量が制限
・「教科教員は学級日誌に、宿題に要するおおよその時間を書き込み、その総時間数が生徒の過重負担とならないように配慮する」(ドイツ全般)
・家庭での勉強や生活全般を学校が宿題によってコントロールすることは、親がすべき教育の責任と権利を奪う、という考え方
・休日には店を閉めてしまう「閉店法」が今も脈々と
 →「休日は労働(勉強)しちゃダメでしょう」、が道理

□授業中廊下にいる生徒は許可証を持っていなければならない(アメリカ 高校)
・許可証とは? →「hall pass(廊下通行許可証)」
          →小学校から高校まで全米ほとんどの学校において同様のもの
・日付や生徒名、退出時間と戻ってきた時間、退出理由などを教師が記入
・厳格な許可制度のもとで育つ分、アメリカ人にとって学校の廊下は素晴らしい空間では

□子どもを教室に連れてきてもよい(カナダ 高校)
・そもそもカナダでは子どもをもつ高校生は珍しくない
・出産・育児・学業を両立
 →出産前後にきちんとケアを施し、学業に遅れが発生しない体制
 →校内には「子どもと家族のための支援センター」という託児所を設置

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