セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

久しぶりに触れるドイツの息吹、技術・貿易はじめ我が国との共通性

|

展示会、セミナーなど顔を出す機会が続いた中に、ドイツの現況を紹介、産業交流を促進しようというイベントがあった。1980年代、90年代前半を中心に小生も数回訪れており、メモリ関係顧客回りの80年代の印象がなお色濃いところがあるが、東西ドイツの統一、EU統合、ユーロ発行などこのところの大きな節目は90年代以降となる。久しぶりに目に耳にする現時点の内容は、我が国と同様、技術そして貿易立国の色合いとともに、ビジネス展開上の連携・統合のますますの重みをリフレッシュして感じさせるものである。

≪ドイツの現況と共通する課題意識≫   

ご案内をいただいて次のイベントの前半を聴講した。

「第7回 日独産業フォーラム2011」−現代の健康マインド社会における持続可能ビジネス

Germany Trade & Invest(ドイツ貿易・投資振興機関)の主催、小生は初めての参加である。基調プレゼンについて、キーワード&フレーズのみ手元メモから次の通りである。

□Germany Trade & Invest総裁 ミヒャエル・プファイファー氏
・日本とドイツの外交関係開設150周年
・健康を保つことによる幸福
・お互いの投資
・エネルギー効率の改善
・技術、品質の高い商品

□ドイツ連邦議会議員 元ドイツ経済技術大臣 ミヒャエル・グロース氏
・いいとき、悪いとき、日独は長い信頼関係
・大震災、原発事故のとき、ベトナムにいてバンコック経由東京行きを目指したが果たせず
・ドイツでの女子サッカーの優勝、いっしょに喜んだ
・技術の切磋琢磨、お互いに
・1980年代、神戸で最新の自動化製鉄所ラインを見学
・トヨタのSCM、介護用ロボットはじめ将来指向技術
・シルバーマーケット対応
・ドイツの年金受給資格は67才(ちなみにグロース氏も67才)
・長く働ける環境作り
・両国間交流の必要性
・健全な競合関係とは、補完し合う、互恵関係、フェアな競争
・現在日本の980社がドイツに拠点。9万5000人。
・ドイツの輸出は9600億ユーロ、輸入は8060億ユーロ。
 日本は輸出5890億ユーロ、輸入5200億ユーロ。
・今後世界的に健康産業への投資が増大
・似ている日独の現代史

まさに行間に共通する思いが溢れるものを感じている。続いて現在のドイツのデータがいろいろな角度から示され、概要次の理解である。

≪西部ドイツと東部ドイツの規模比較≫ 2010年(ドイツ連邦統計局)

全独
西部ドイツ
東部ドイツ
人口(百万人)
81.8
65.5(80%)
16.2(20%)
GDP(10億ユーロ)
2,498.8
2115.5(85%)
383.3(15%)
一人当たりGDP(Kユーロ)
30.6
33.8
23.1

統一後ここまできている現況を改めて感じている。

80年代とどう変わりがあるのか、現在のドイツの経済圏について次のような理解を得ている。各地域に分散、それぞれ特色ある経済圏となっている。下記の中、各州に続いて州都が示してある。  

◇ベルリン州および東独地域 
 …政治、メディア:新産業クラスター
 Berlin −都市国家
 Mecklenburg-Vorpommern州 −Schwerin
 Sachsen-Anhalt州 −Magdeburg
 Brandenburg州 −Potsdam
 Sachsen州 −Dresden
 Thuringen州 −Erfurt
◇ヘッセン州 
 …国際金融:化学・製薬関連
 Hessen州 −Wiesbaden
◇バイエルン州 
 …ハイテク産業:電機、自動車、機械:R&D環境
 Bayern州 −Munchen   
◇ハンブルク州および北独地域 
 …商業・貿易:運輸・海運
 Hamburg −都市国家
 Bremen −都市国家
 Niedersachsen州 −Hannover
 Schleswig-Holstein州 −Kiel
◇ノルトライン・ヴェストファーレン州 
 …産業の中心:鉄鋼・化学エネルギー:日系インフラ
 Nordrhein-Westfalen州 −Dusseldorf
◇バーデン・ヴュルテンベルク州 
 …自動車産業:機械・IT関連
 Baden-Wurttemberg州 −Stuttgart
◇その他
 Rheinland-Pfalz州 −Mainz
 Saarland州 −Saarbrucken

Dresden、Munchenなど半導体関係で続く馴染みであるが、昨今は日本からのサッカー選手が属するチーム名、都市名がそれに加わるところがある。

少し古いデータではあるが、世界の国別輸出・輸入高ランキングが、2009年時点で次の通りとなっている。

1)中国 2)ドイツ 3)アメリカ 4)日本 5)フランス
6)オランダ 7)イタリア 8)韓国 9)イギリス 10)香港

車、半導体、医療など我が国と共通点の多いドイツは、今や金融危機の最中にあるEU諸国の牽引役という位置付けと思う。我々半導体の目からも然りであるが、統合・連携の基調の増す昨今、一層良好なパートナーシップの必要性を感じている。


≪市場実態PickUp≫

世界初のMPU、4004がインテルから発表されたのが1971年。我が日本での電卓戦争の中で誕生した4004という記述も見られるが、4ビット、2300個のトランジスタ、108KHzの4004誕生から40年を迎えている。

【4004MPUの40周年】

◇Over the hill- Microprocessor turns 40 (11月15日付け EE Times)
→世界初の商用MPU、Intel社の4004登場が1971年11月15日、この火曜15日で40周年を迎える旨。この間の進展ぶり:
・今日の第二世代Intel Coreプロセッサの性能  →4004の350,000倍以上
・第二世代Coreトランジスタの各々のエネルギー →4004の約1/5000以下
・1個のトランジスタの価格  →4004の約1/50,000

この40年間の進歩、進展ぶりに改めて注目させられるが、コンピュータ性能の最高峰を競い合う「Supercomputing 2011」が、時を合わせて開催され、小生なりの注目、以下の通りである。地球環境シミュレータに続く日本勢の快挙とともに、インテルの席巻、中国の躍進を引き続き感じている。

【SC11(Supercomputing 2011】

◇スパコン「京」、首位守る、計算速度世界ランキング (11月14日付け asahi.com)
→理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピュータ「京」が、14日発表された計算速度の世界ランキングで、前回の6月に続き1位となった旨。毎秒1京回(1京は1兆の1万倍)の計算速度は、2位に入った中国製の「天河1号A」の約4倍、3位は米国製の「ジャガー」だった旨。

◇China, GPUs on the rise in Top 500 list (11月14日付け EE Times)
→中国およびグラフィックス・プロセッサ、特にNvidia製が、世界Top 500スーパーコンピュータの最新リストで上昇しており、今回は中国の引き続く高性能computingおよびhybrid GPU/CPUシステム設計の広がりが強調されている旨。中国は今回Top 500中75件で、半年前リストの64件から増加、また最高性能ランキングで2位、4位を占めている旨。

◇Intel unveils 1 TFLOP/s Knight's Corner (11月16日付け EE Times)
→Intel社が、同社の22-nm "Knight's Corner" co-processor compute acceleratorのまさに最初のシリコンを披露、該1TFLOP/s半導体は、1997年に作られPentium II Xeonプロセッサ9298個から成るAsciiRedシステム全体と等価である旨。

◇Highlights from Supercomputing 2011 (11月18日付け EE Times)
→高性能computing, networking, ストレージおよび解析に専念するこの会議は回を重ねて第24回、今回の出席は11,300人を超え、昨年のNew Orleans開催の10,500人を上回っている旨。

現在の世界の経済状況を受け、大詰めを迎える本年の世界半導体販売高について、昨年を越えられるかどうかが大きな焦点となっている。ぎりぎり上回るのではという見方が出ている。

【半導体販売高予測】

◇IHS cuts 2011 semiconductor forecast (11月17日付け EE Times)
→IHS iSuppliが木曜17日、2011年半導体販売高予測について、9月時点の2.9%増から今回1.2%増の$308.5Bと下方修正の旨。経済の大きな逆風にも拘らず第三四半期のグローバル半導体販売高が約$78.7Bで前四半期比約3.5%増、これから本年について依然僅かな伸びを予測している旨。

◇Gartner: Chip prices to stabilize in 2H12 (11月17日付け EE Times)
→Gartner社発。在庫調整がかなり進んでいるが、半導体販売は今年残すところは依然冷めたまま、伸びが戻るのは2012年後半あたりと見る旨。

現在の厳しい状況を色濃く照らし出している北米半導体装置業界のBB比である。低い水準の推移が続いている。

【北米半導体装置ベンダーBB比】

◇Fab tool book-to-bill creeps up (11月18日付け EE Times)
→SEMI発。北米半導体装置ベンダー10月BB比が、9月の2年以上ぶり最低水準から僅かながら這い上がった旨。9月BB比を前回の0.75から0.71に改訂、これは2009年4月0.65以来の最低、10月BB比速報値は0.74、これは2009年4月以来2番目に低い旨。
・ここ半年、2011年5月〜10月の北米BB比推移
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/111117_semi_b2b.png


≪グローバル雑学王−176≫

校則がかくも各国の状況を反映し、問題とその対応策をストレートに表わすものかと、

『こんなに厳しい!世界の校則』 (二宮  皓/監修:メディアファクトリー新書 029)  
 …2011年 6月30日 初版第1刷 発行

より、のっけから教えられること、気づかされることが多々である。宗教、戒律、国旗、軍隊など我が国にいて想像する視野、視点を、一気にそれぞれ現地にいる臨場感に結びつける迫力を感じている。


第1章 生徒心得  ===続き===
 …教員は絶対尊敬? 国家・宗教・民族に関わる規則

□母語の使用は認めない (ケニア 中等学校)
・ケニアの公用語は、国語であるスワヒリ語と英語
・「母語」とは民族語
・ケニアでは伝統的に、ビジネスは英語、日常語はスワヒリ語、家庭ではそれぞれの民族語
・小学校の低学年1〜3年生(6〜8才)では教師が母語で教えることが政策で
・小学校のカリキュラムには低学年でも週5限(1限は30分)ずつ英語とスワヒリ語の授業
 →正しく教えられるレベルに達していない教師が少なからず存在
・周辺アフリカ諸国で広く使用されているスワヒリ語
 →基本フレーズ:Jambo(ジャンボ)=こんにちは
           Asante(アサンテ) =ありがとう
 →一気にフレンドリーな間柄に

□盗撮や罵言・差別用語を用いることは、微罪ではなく、刑法201条に抵触する (ドイツ 実科学校)
・ドイツの刑法201条 …身体及び生命を害する行為を禁じる法律
 →盗撮や罵言・差別用語は精神的な傷害罪に相当するとの確信
・そもそもドイツの学校は「教科」の勉強をする場所
 →生徒指導は原則として学校や教員の仕事ではなく親の役目

□他者に身体的危害を与えたり、それを奨励してはならない (カナダ 中学校)
・カナダでは各州に幅広い自治権
・オンタリオ州の教育省が2000年に施行した「安全な学校法(Safe School Act)」
 →カナダ全体の教育方針に大きな影響
・違反に対しては「ただちに」かつ「強制的に」停学または退学が課されると明記
 →教育委員会と警察が共同で作成したプロトコルに沿って調査
 →公権力まで借りる厳罰主義の過度な適用を懸念する批判の声は少なくない
 →他人事ではなく、日本でも2006年から文部科学省が導入の検討

□国旗掲揚の際、全校の教師と生徒は静寂を保つ
 少先隊員は先鋒隊の敬礼をし、他の教師と生徒は注目礼を捧げる (中国 中学)
・中国政府の校則の「固定のガイドライン」
 →最初に謳っているのが「祖国・人民・共産党への愛」
・少年先鋒隊は、満7才以上の児童なら誰でも加入できる全国的な組織
 →次世代を担う人材を育成
 →トレードマークの赤いスカーフ「紅領巾(ホンリンジン)」
・「注目礼」…相手に視線を注いで敬意を表す敬礼の一種

□金曜日は礼服を着なければならない (マレーシア 小学校)
・マレーシアは、公用語はマレー語、国教はイスラム教
・イスラム教徒(ムスリム)にとって金曜日は、礼拝のためモスクへ行く特別な日
 →礼拝の時間は正午が一般的
・金曜日以外はマレー系・非マレー系に拘らず、
 公立学校男子の制服 →白いシャツとパンツ(ネイビーやダークグリーン)
     女子の制服 →マレー人の民族衣装「バジュクロン」、
               あるいは白ブラウスに胸当てのある青いスカートを合わせる洋服

□ある宗教の信者であることを公然と示すような印を身につけてはならない (フランス)
・日本の校則は全般的に宗教に触れないが、海外では否定的あるいは肯定的にせよ校則で宗教への態度を明らかにすることが多い
・フランス革命後に成立した「公教育制度」
 →教育現場での宗教的中立性を遵守させる思想
・イスラム教に絡む「スカーフ事件」から15年経った2004年
 →通称「スカーフ禁止法」を制定
 →本節紹介の校則の土台に

□面会は週に1回、男性は家族しか認められない (マレーシア タッヤ宗教学校)
・タッヤ宗教学校…全寮制の女子中等学校
 →マレーシアにおいては、全寮制に通うことがエリートの証し
  …在籍できるのは全中学生のわずか1%
・在学期間中すべて、勉強漬けの日々
 …下級3年と上級2年の計5年間
・マレーシアは1971年、「ブミプトラ政策」を発表
 →経済的に地位が低いマレー系の人々をあらゆる面で優遇する政策
  ※「ブミプトラ」…「土地の子」(マレー語)
・現在は優遇政策が緩和、各民族がよりお互いを尊重して認め合える国家を目指す方針

□懲戒処分になる前に、まず学校内で5日間、社会奉仕活動をしなければならない (韓国 高等学校)
・最も厳しい部類に入る退学・停学・謹慎などの「懲戒処分」
 →本校則は、ワンクッションをはさみ、生徒の更生を助長
・「奉仕活動」…ボランティアと同義。韓国社会では広く浸透している活動
 →学校では1996年から、重要な学習領域として「自願奉仕」が必修化
・儒教をもとに伝統的な相互扶助制度が存在している韓国
 →「家族による家族のための教育」

□国家の非常事態の際は生徒会の効力は停止される (韓国 中学校・高校)
・「国家の非常時」…北朝鮮との軍事的衝突
 「生徒会の効力停止」…「学生としての活動一切を停止させる」意
・いつでも臨戦態勢にある韓国には厳しい徴兵制度
 →19〜27才のあいだに、最低21ヶ月(これは陸軍の場合)軍隊生活を送ることが憲法で義務づけ

月別アーカイブ