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短期、長期交錯する見方の中、続く性能向上・微細化の進展

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世界経済、自然災害と短期的には厳しい情勢がのしかかっているものの、本年の世界半導体市場は今までの蓄積から史上最高をぎりぎり更新するのでは、という見方かと思うが予断を許さない現状となっている。それを反映するようにいいのか悪いのか、本当はどうなのか、と交錯する見方に整理が難しくなる感じ方がある。そんな中、グラフィックス性能の凌ぎ合い、フラッシュメモリの微細化と、意地でも首位そして従来の展開スピードをキープしようという凌ぎ合いが健在で、常にこれまっしぐらの半導体と受け止めている。

≪現下の市場模様≫   

パソコン、スマートフォンの当面する市場について、洪水の影響および需要弱含みからマイナスの見方が相次いでいる。

◇ODM PC supply may be 10% short in December 2011, 1Q12 due to HDD shortages, say PC vendors (11月7日付け DIGITIMES)
→Hewlett-Packard(HP), DellおよびAcerなど発。タイの洪水からくるhard disk drives(HDDs)供給不足により、PCsのグローバルODM供給が、2011年12月および2012年第一四半期に需要を10%ほど満たせない可能性の旨。

◇Apple reportedly cuts back iPhone 4S orders (11月9日付け EE Times)
→中国語新聞のCommercial Times紙発。Apple社が、最新iPhone 4S用コンポーネント&パーツの発注を需要軟化およびsupply chainでの不足から低下させる可能性の旨。iPhone 4 supply chain先が、pre-saleの力強さが先細ってきてAppleが第四四半期のサプライヤからのiPhonesおよびiPads両方の出荷を10-15%削減する可能性も、としている旨。

◇パソコン世界出荷、20%以上減少も、タイ洪水で (11月11日付け 日経 電子版)
→IDCが10日、タイの大規模洪水の影響により2012年1〜3月期のパソコン世界出荷台数が同社の当初予測より20%以上落ち込む可能性があると発表の旨。パソコン販売は景気悪化やタブレットなどとの競争激化により伸び悩んでおり、メーカー各社は一段と苦しい状況に追い込まれそうな旨。一方、年末商戦の2011年10〜12月期については、出荷台数は当初予測の90%以上の水準に達すると見ている旨。

一方、今後のパソコンの期待を担うultrabooksについては、長い時間軸での急伸が予測されている。しかしながら足元では、比較的高い価格帯が市場にどの程度馴染むかという見方も出されている。

◇IHS forecasts rapid growth for ultrabooks (11月7日付け EE Times)
→IHS iSuppli(El Segundo, Calif.)発。Intel社が推進している薄い、低電力のnotebookコンピュータ、ultrabooksの出荷が、グローバルnotebook出荷に対して2011年の2%止まりから2015年には43%を占めると見る旨。
ultrabooksは、非常に軽量、0.8インチ(2.032cm)以下の厚さのnotebooksと定義している旨。
・グローバルnotebook PC出荷に対するultrabooksの比率:2010-2015年
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/111107_ihs_ultrabooks_423.jpg

いずれにしてもコストパフォーマンスを上げて魅力的な製品を如何に市場投入できるかにかかるわけであるが、グラフィックス性能についてNvidia社およびARM Holdings plcから次世代に向けたプロセッサが張り合うように発表されている。

◇Nvidia rolls 'Kal-El' Tegra processor (11月9日付け EE Times)
→予想通り、Nvidia社(Santa Clara, Calif.)が、Tegra 3プロセッサ、コード名"Kal-El"を正式に打ち上げ、Asus EE Pad Transformer Primeメディアタブレットに入っているquad-coreプロセッサであり、前世代のTegra 2に比べて3倍のグラフィックス性能および61%まで低い電力消費の旨。

◇ARM announces 8-way graphics core (11月10日付け EE Times)
→ARM Holdings plcが、同社グラフィックス処理ユニットMaliラインの次期コア、「Mali-T658」を発表、2013年の高性能スマートフォンSoCsで現れ始める意向の旨。T658は、T604と同じMidgardアーキテクチャを採用したGPUで、Maliの最上位品となる旨。搭載可能なグラフィックスコア(shader cores)の数は、T604が1〜4個であるのに対して、T658は1〜8個となっている旨。
・スマートフォンにおけるMali-T658展開 [出典: ARM]  
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/News/MaliRoadmap.jpg

◇ARM unveils eight-core GPU for next-gen superphones-But the first products are not expected to arrive until 2015 (11月10日付け Computerworld/IDG News Service)
→ARMが水曜に発表したグラフィックスプロセッサ、Mali-T658は、8コアまで備えられ、同社の現在のGPUの10倍のグラフィックス性能が得られる旨。

ARMの今回のパートナーリストには、これまた張り合うIntelの名前も見られるとのことである。

◇Intel listed as ARM graphics partner (11月10日付け EE Times)
→プロセッサintellectual property(IP) licensor、ARMが同社Mali-T658グラフィックスコア発表に伴なって配ったslide setによると、Intelがその"Mali graphics ecosystem"の中の半導体パートナーの一員となっている旨。
・スライド「Mali graphics ecosystemの強み」
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/News/MaliEcosystemSlide.jpg
・上記スライドの"logofest"部分拡大 …Intelの名が見える
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/News/MaliEcosystemSlideDetail.jpg

現下の市場では、Intelが圧倒的にリードするnotebook市場にARMがどう出てくるか、両天秤にかける以下の受け止めになっている。

◇Notebooks players bid on both Intel and ARM (11月11日付け DIGITIMES)
→notebookプレーヤー筋発。Intelが席巻しているnotebook業界にARMが積極的に分け入ってきており、notebookプレーヤーはAppleを上回るチャンスを高めようとARMおよびIntelプラットフォームの両方を入札する戦略を採っているが、IntelおよびARMの競合から見積もりおよび供給を巡る半導体取引にもなっている旨。

こんどはプロセッサに張り合うかのようにメモリ分野でも、サムスン電子からは10-nm級NANDフラッシュを社内展示会で発表、微細化路線の展開キープの面目を懸命に保っている様相を感じている。このような意気込みあってこその半導体と受け止めるところである。

◇サムスン、世界初の10-nmメモリの試作品を公開 (11月11日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子が、サムスングループ内の研究陣を対象に11日まで開かれる「サムスン技術展2011」で世界初の10-nm級NANDフラッシュメモリ新製品を公開、サムスン総合技術院で開発した試作品の旨。サムスン電子関係者は、「まだテストチップ段階で量産時期を具体化するのは難しい。技術確保の次元で見てほしい」としながらも、「がんばって準備すれば来年上半期中に量産に入れるだろう」と付け加えた旨。


≪市場実態PickUp≫

マイナスの色合いが強い現状の市場模様が上記の通り示されるが、TSMCからは前月を大きく上回る10月販売高が発表されている。本年1-10月累計が前年同期比3.5%増となっており、やはり本年の世界半導体販売高が昨年を上回って史上最高となるかどうかの局面が表われている。ここでも先行きはなかなか予断を許さない状況を感じている。

【TSMCの販売高】

◇TSMC sees signs of market turning up (11月7日付け EE Times)
→TSMCの欧州president、Maria Marced氏。TSMCは第三四半期の業績が前四半期比で落ちているが、市場の変わり目の兆しが見え始めている旨。一つには、2011年の間のグローバル経済状況についての懸念により電子機器および半導体メーカーが在庫の払拭に努力してきており、そのプロセスが今やminimumに近づいていることがある旨。

◇TSMC October sales up 13% (11月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの10月販売高NT$37.61B($1.24B)、前月(NT$33.41B)比12.6%増、前年同月比2.1%減。1-10月販売高はNT$359.98B($11.87B)、前年同期比3.5%増。第四四半期販売高はNT$103-105Bに前回ガイドより低下の見込み、第三四半期のNT$106.48Bから僅かに減。

米国議会で電子部品の偽造品対策の審議が進んでおり、米SIAも全面協力のスタンスを表明している。

【偽造品対策】

◇SIA President Testifies At Senate Armed Services Committee on Dangers of Counterfeit Chips-Advocates for more cooperation between government and industry (11月8日付け SIA Press Release)
→米Semiconductor Industry Association(SIA)のPresident, Brian Toohey氏が、業界を代表して上院Armed Services委員会で証言、国防総省サプライチェーンでの模造電子部品の調査に協力する旨。

◇中国部品の全量検査、米上院で提案へ 偽造品混入問題 (11月10日付け asahi.com)
→米軍調達品に中国ルートで多数の偽造部品が混入していた問題で、レビン米上院軍事委員長(民主党)は、中国からの電子部品の全量を対象とした検査制度と、部品企業の認証制度を創設する法案を近く提出する方針を8日の公聴会で表明した旨。共和党のマケイン筆頭委員も賛同を表明し、超党派の支持を得られる見通し、実現すれば米中間の新たな火種になる可能性がある旨。

SEMATECHが主導して三次元実装標準化関係の交流サイトが構築されている。
関係機関の幅広い参加が見られている。

【3D実装標準化】

◇SEMATECH creates 3D packaging standards development forum (11月7日付け ElectroIQ)
→SEMATECHが、オンライン3D Standards Dashboardを構築、3D半導体およびMEMS interconnect関係者が標準化活動の情報交換を行える旨。
このDashboardは、SEMATECHの3D Enablement Centerが運営、IEEE Standards Association, JEDEC, SEMIおよびSi2の助けを得て、3D packaging 分野の標準化を推進する旨。

◇Standards orgs unite online for 3-D tech forum (11月7日付け EE Times)


≪グローバル雑学王−175≫

今回からは学校の規則、校則をもとに、世界各国の中学校、中等教育をはじめとして学童、生徒に求めているものを、

『こんなに厳しい!世界の校則』 (二宮 皓/監修:メディアファクトリー新書 029)  
 …2011年 6月30日 初版第1刷 発行

より知って、我々の見方、考え方、価値観との対比を進めていく。どんどん物事を吸収して最高に楽しい時期である一方、袋小路の苦悩に陥りやすい非常に敏感な時期でもある。情報化の利便性が急拡大している今、その弊害が多方面で問題化している現時点であり、幼い、若い世代をどうもっていくか、もっていくのがよいのか、そこはグローバルに各国共通の当面する最重要課題と思う。


≪はじめに≫ 煙たい校則の見方が変わる!?
・本書で集めた校則は、主に中学校のもの
・日本と異なる価値観や教育事情、文化的背景、社会情勢が見え隠れ
・異国の校則という未知なる世界を、共に旅していく

第1章 生徒心得…教員は絶対尊敬? 国家・宗教・民族に関わる規則

□教師を尊敬し、言うとおりにしなければならない(ケニア 中等学校)
・「教師は絶対的な存在である」とする思想
 →ケニア全体の特徴と言える
 →ケニアの授業風景を見ると、「なるほど」と納得
・ナイロビ市内の進学校、ハイウエー中等学校
 →入学するのにKCPE(ケニア初等教育修了試験)で高得点をとる必要
 →常に一発勝負

□学童は大人に、高学年の学童は低学年の学童に、男子は女子に、道をゆずらなければならない (ロシア 中等普通教育学校)
・諸外国の校則は何事も詳細に規定する傾向
・ロシアは、とかく上下関係に触れたものが特徴的
・旧ソ連時代、教師は絶対的に尊敬、敬われる存在
・1980年代後半、ペレストロイカ(政治体制改革運動)の際、「協働の教育学」が奨励
・ロシア人男性は伝統的に女性にマメ

□目上の人を尊敬し、年下の者の面倒をみること(ロシア 中等普通教育学校)
・生徒同士の上下関係にまで言及している珍しい校則
・ロシア国民は、年長者が入ってこようものなら全員がさっと起立、敬意を示す習慣が浸透
・「生徒は教員を名前と父称、<あなた>と呼ぶ。教員は生徒を名前、もしくは姓で呼ぶ」
 →ロシア人の名…基本的に「名+父称+姓」の3要素
 →同じ「あなた」でも、年上には敬意を込めて「ヴィ」、年下には親しみを込めて「トゥイ」と使い分ける
 ⇒日本人にとっては、ほとんど悪夢に近い複雑さ

□先生が近くを通ったら、直立、お辞儀、または胸に両手を合わせて尊敬の意を表すること(タイ 大学附属中等学校)
・「礼儀正しい仏教国」、タイの校則
 →師を敬う思想を基本
・毎年1月16日に祭事を行う「尊師(=教師)の日」
 →特にアジアや中東諸国、世界で約20ヶ国でこのような記念日
・「ワイをして尊敬の意を表する」
 →両手を胸の前で合わせてお辞儀をするタイ独特の挨拶
 →マクドナルドの入口に立っている人形も
・基本的ポイント
 →手のひらをピッタリと合わせない…蓮の花のつぼみを表現
 →お辞儀は深いほど、手の位置は高いほど、高い敬意の表現

□先生の机を全員で取り囲んではならない(タイ 大学附属中等学校)
・あくまでも生徒たちの教師に対するマナーや礼儀を行動・所作の点で徹底させたい趣旨のよう
・大変忙しい現在のタイの教師
 →1997年にタイを襲った通貨危機からの転機
 →2年後には新たな国家教育法の施行
  …「教育の質を常に高くキープ」という保証制度の規程
  …年次報告書(内部評価報告書)の提出義務

□スクールバスの運転手は教師と同等の権限を有する(アメリカ 高校)
・全米で毎日50万台の黄色いスクールバスが、約2700万人の生徒を送迎
 →全生徒数(幼稚園から高校まで)の実に54%
・「スクールバスは教室の延長」という思想
・保護されたスクールバス空間
 →生徒の安全を守ろうとする姿勢が徹底
 →運転手には各州で独自のトレーニングプログラム(数十時間の講習と実習)

□親と常に生活、学業、考え方などについてコミュニケーションを図り、親の意見と教えを尊重する(中国 中学)
・急速に発展する中国
 →「孝敬教育」(親孝行の授業)を導入 …中国の新しい流れを象徴
・中国の小中学校には「家長会」の日
 …学級担任が保護者に生徒の報告をする保護者会のようなもの
 →成績の芳しくない生徒の親には針のむしろ

□教師にあだ名をつけたり、教師がいないところで直接教師の名前を用いたりしない(中国 中学)
・中国の生徒の簡潔かつ的を得たネーミングセンスは世界トップクラスかも
・あだ名については、中国の社会全体もある程度容認しているよう
・中国では愛称も好んで使われる
 →◆「阿」+呼称  …「阿唐」(唐ちゃん)
  ◆「小」をつける …「小王」(ショウワン)(王くん)
  ◆「老」をつける …「老王」(ラオウワン)(王さん)
  ◆名前の一文字を重ねる …「明明」(ミンミン)
  ◆幼名の字を重ねてつける …「苗苗」(ミャオミャオ)

□人種、家系、出身地、肌の色、民族的起源、シチズンシップ、宗教、ジェンダー、性的指向、年齢や障害にかかわらず、他者を敬い、公平に接すること (カナダ)
・日本ではあえて言及を避けている「差別」
・差別に対して厳格な態度で臨むカナダ
 →移民の国。多文化主義を国是としている国家。
・今後もカナダは官民を挙げて社会の民族的・文化的多様性を拡大へ

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