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秋もたけなわ、半導体販売高、展示会そしてアップル社のiPhone 4S発表売り出しと立て続け半導体・エレクトロニクス業界の動きに注目していたところに、そのアップル社の総帥、Steve Jobs氏の訃報である。朝パソコンをのぞき込み始めた瞬間の第一報に非常に驚かされるとともに、その後の世界からの報道が何より物語るように、世界を次々と根本的に変えた同氏の一言ではなかなか表わしようがないもの凄さが時間とともに増幅してくる。業界の動きを追うなかでの測り知れないインパクトを感じている。

≪改めて知るSteve Jobs氏インパクト≫   

普段使ってなくて直接の馴染みはなくても、アップル社の新しいiPhone 4Sは如何なるものというのは、半導体業界を見る目からはやはり関心があるところである。その発表は端的に次のように表わされている。

◇Apple Unveils New iPhone 4S: It's All About The Speed. -Apple Packs A5 Chip, HD Camera into iPhone 4S (10月4日付け XBitLabs.com)
→Appleが火曜4日、headquarters(Cupertino, California)にて発表した同社の新世代スマートフォン、iPhone 4Sは以下の売りがある旨。
 高性能グラフィックスなど改良したdual-core A5 MPU
 新しいhigh-defカメラ
 データ転送高速化
 longer battery life

発表と同時にbill-of-materials(BoM)評価が出されており、毎回ながら驚きの早さである。本体ハードではなく、使用料に期待する値づけになっていることも早速に報道されているところである。

◇BoM for 32-GB iPhone 4S estimated at $203 (10月4日付け EE Times)
→UBM TechInsightsの評価速報。Apple社が新たに発表したiPhone 4Sの32-GB版について、bill-of-materials(BoM)が約$203と見積もられ、2010年半ばに発表されたiPhone 4のBoMとほぼ同じである旨。
・≪表≫ iPhone 4とiPhone 4SのBoM比較評価
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/Dylan/111004_iphone4S_comparison.jpg

半導体の目で見て関心のプロセッサについては、今回はSamsungからTSMC製への切り換えはなかった模様として以下の率直な反応が見られる。

◇Apple iPhone 4S: Beginning of the end? (10月4日付け EE Times)
→成熟市場になりつつあるスマートフォンで頂点に達しているApple、現在その最大の課題は残りの旅路がすべて順調にいくかどうかである旨。
本日発表されたiPhone 4Sは、(本記事著者馴染みの)UBM TechInsightsメンバーが正しいとすると、依然とiPad 2で使われているSamsung製45-nm A5であり、TSMC fabで作られているという28-nm版ではない旨。また、8MピクセルのOmnivision cameraと予想しており、全体としてしらけるiPhone 4+である旨。

1日経ってのiPhone 4Sの見方の記事が、次の通りとなっている。

◇Apple iPhone 4S announced, '5' likely to arrive in late 2012 or 2013 (10月5日付け DIGITIMES)
→4Gをサポートする全く新しいモデル、iPhone 5を投入するという期待をものともせず、Appleが、現状のiPhone 4の更新版、iPhone 4Sを展開の旨。
IHSは、LTE-capable iPhone 5の登場は2012年後半あるいは2013年半ばになると見る旨。iPhone 4Sの新featuresとしては次の通り:
 Appleのdual-core A5半導体
 8-megapixel camera
 full 1080p HD解像ビデオ録画
 音声認識ツール、Siri

このようにiPhone 4S関係記事に注目した翌日に、本当に驚かされる訃報である。

◇Apple co-founder Jobs passes at 56 (10月5日付け EE Times)
→Appleのco-founderで長らくchief executiveを務めたSteve Jobs氏が死去、56才、Appleの役員会が同氏逝去を短い手紙で発表の旨。

半導体・エレクトロニクス業界紙(誌)から、同氏を心底悼む記事の以下ほんの一部である。

◇Apple's Steve Jobs, father of Mac, iPhone, dies-Apple's co-founder and former CEO Steve Jobs dies; father of Mac, iPhone, iPad was 56 (10月5日付け Associated Press)

◇Jobs: A flair for a little design magic (10月6日付け EE Times)
→Steven P. Jobs氏は、一つの瞬間、一つの魔法を作り出すコツを心得ていた。聴講した同氏の基調講演の一つで、同氏はiMacにまとめられた新しい写真編集プログラムのデモを行った。ステージの上ジーパンで自分の会社の製品を自分で生で紹介する大胆さをもつ業界chief executiveは、他に自分には思いつかない。

◇Steve Jobs life lessons (10月6日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Apple Computerのco-founderでグローバルなiconであるSteve Jobs氏が、5日逝去、AppleのWebサイトから読める率直なステートメント:"Appleは、洞察力のある創造的な天才を失い、世界は驚くほど素晴らしい人を失った。幸運にもSteveを十二分に知り共に働いてきた我々一同は、親愛な友人そして発奮させる良き指導者を失った。Steveは、彼だけが作れてきている会社を残し、彼の精神は永遠にAppleの礎となっていく。"
EDN読者からも追悼コメントが殺到している旨。

同氏逝去と同じ日に、米国SIAから以下のプレスリリースが行われている。
世界を引っ張る感性、知性を今後如何に育んでいくか、Jobs氏を模範として続く潮流の期待という受け止め方がどうしても重なってくる。我が国にも当てはまる問題意識であり、グローバルな視点が今後一層重みを増してくる所以という感じ方である。

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○革新者がグローバル競争においてアメリカの強み−半導体業界はSTEM教育にhundreds of millionsを投資、国籍に拘らない先端学位維持促進 …10月5日付けSIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、下院の司法委員会、Subcommittee on Immigrationの前でCapitol Hillでの米国移民政策の変更を主張した。

Texas Instrumentsの世界人的資源Senior Vice President、Darla Whitaker氏が、Science, Technology, Engineering and Math(STEM)先端学位を保有する米国大学卒業生を如何に保持するのが最善か、SIAに代わって聴聞会で証言した。

「最近のデータによると、米国大学を卒業する修士の55%、PhDsの63%が外国籍である。」とWhitaker氏は言う。

「Texas Instrumentsは、グローバル市場で競って勝ちぬくために最善の、最も聡明な、そして最も創造的な工学卒業生を選ぶ。それが我々の成功の礎であり、半導体業界全体の成功の礎である。」

・・・(略)・・・
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さて、現下の市場に戻ると、アップル社に向けた次の注目のプロセッサについて、TSMCの次の動きが見られている。

◇TSMC to visit Apple for more talks (10月6日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、IC設計サービスパートナー、Global UniChipスタッフ含めた60人のメンバーチームをSilicon ValleyのAppleに派遣、次期のA-シリーズプロセッサについてさらに協議の旨。TSMCの28-nmプロセス歩留まりおよび特許などの事項が議論される旨。


≪市場実態PickUp≫

米SIAから恒例の半導体販売高の発表があり、8月について以下の内容である。

【8月の半導体販売高】

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○8月のグローバル半導体販売高、前月比増−タブレットおよびPCsでの伸び …10月3日付けSIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2011年8月の世界半導体販売高が$25.03 billionで、前月の$24.9 billionから0.7%と僅かながら増加していると発表した。
年初からの累計では、前年同期比2.2%増となっている。月次販売高の数値はすべて3ヶ月移動平均で表わされている。

「8月の販売高は大方のところ、タブレットおよびPCsが引っ張っている。」とSIA President、Brian Toohey氏は言う。「これらの領域での伸びで元気づけられているが、しかしながら製品および市場の広範囲にわたって一般消費者および産業用需要が低く、現時点販売高全体を予想を下回るものに留めている。」

日本での今年始めの自然大災害の後の復旧活動および製造拠点からの製品出しによる販売高前月比の力強い上昇が、8月を通した半導体販売高の増加を支えている。加えて、自動車の半導体使用が増大する効果により、車載専用半導体は年初からの累積の伸びが二桁となっている。グローバル経済模様の鈍化および軟化の渦中で、半導体業界の伸びは大丈夫そうである。

※8月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/clientuploads/August%202011_Chart_Graph.pdf
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事前の予想としては、東日本大震災の後の半導体輸出が予想より早く戻しており、二重発注からくるdistributorsの在庫減らしで半導体発注が低迷しているという見方などあって、8月は前月を下回る可能性が以下の通り出されていた。ここ10年で8月が7月を下回るのは2001年の1回だけということで、今回は辛うじて通常の流れに入っている。

◇August chip sales show surprise growth (10月3日付け EE Times)
→Carnegie Group(Oslo, Norway)のアナリスト、Bruce Diesen氏の事前予想では、8月のグローバル半導体販売高・3ヶ月平均は$24.4B、7月の$24.9Bから減る見込みとしているなど、厳しい見方が多かった旨。

今回の発表から当面する今後をどう見るか、突っ込んだ見方として以下の記事である。

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○August chip sales data: Good news, bad news, and another downgrade (10月4日付け ElectroIQ)

8月のグローバル半導体販売高について、良いニュースの方は米SIAの発表に出ている通りである。日本とAsia-Pacificの前月比増が、全体としての前月比プラスの販売高を引き起こしている。

悪い側面のニュースとしては、SIAの年初からの累計(YTD)販売高は8月までで2.2%増となっているが、7月までで3.2%増、2011年前半6ヶ月では3.7%増であり、伸び率が下がり続けている。
(注)SIAのYTD, Y/Y(前年比), 四半期および年間の数字は、月次の実際のデータから計算されている。M/M(前月比)データは3ヶ月移動平均[3MMA]ベースであり、メンバーの会計期間の違いによる変動をならす狙いが一つにある。

SIAが自前の別の予測を行う代わりに支持するとしているWSTSの年央予測は、2011年の伸び率5.4%であった。来る11月のWSTSの見直しもSIAは支持するものと思われる。しかしながらここ数週間で、ほかの業界観測筋が本年見通しを約2%、なかにはマイナスに下げてきている。常に楽観的なスタンスのIC Insights、Bill McClean氏すらも、最近のGDP下方修正を経て"今年および来年はフラットあるいはマイナスの半導体市場となってしまう可能性"を認めている。

一方、今年の残る4ヶ月について5.4%増の販売高に達するには、9月から12月までで$111B、すなわち月当たり$27B以上が必要になる。通常だとpreholidayの盛り上がりで9月から10月は2-3%増のIC販売高であるが、それでもってしてもかなり届かないところである。

・≪グラフ≫ 地域別半導体販売高
http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2011/10/SIARegional18-40.gif
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【半導体市場の鈍化】

半導体市場の鈍化材料が方々から出てきている。International Electronics Forum(IEF)(SEVILLE, Spain)での見方として、以下がある。
強気であったTSMCからも今年はほぼ前年並みという発信であり、先端技術による業界リフレッシュの必要性を強調している。

◇IEF: TSMC pushes innovation for recovery (10月6日付け EE Times)
→TSMC Europeのpresident、Maria Marced氏。TSMCは今では、2011年のグローバル半導体市場の伸びは1%に留まると見ている旨。グローバルな経済状態から生じている不安定さにも拘らず、業界は全体として現状の低迷から脱却するために革新を図らなければならず、TSMCはこれに沿って20-nmプロセス技術を2012年第三四半期に"リスク生産"にもっていく旨。

◇Analyst sees 1% chip market growth for 2011 (10月7日付け EE Times)
→IEFを主催するFuture Horizons(Sevenoaks, England)のfounder and principal analyst、Malcolm Penn氏が、2011年のグローバル半導体市場が2010年比事実上フラットと今では見ている旨。2012年については8%増、2013年は22%増と予測する旨。

そのTSMC、そしてUMCの9月の販売高が次の通り厳しい局面として発表されている。

◇TSMC, UMC post revenue drops in September 2011 (10月7日付け EE Times, DIGITIMES)
→TSMCの9月販売高NT$33.41B(約$1.1B)、前月比11.3%減、前年同月比11.2%減。
UMC(Hsinchu, Taiwan)の9月販売高NT$8.18B(約$267.6M)、前月比0.3%減、前年同月比25.3%減。前月、8月は前年同月比24.7%減。本年1-9月累計はNT$81.45B、前年同期比8.6%減。

恒例の展示会、CEATECには今年は見学に出かけなかったが、大震災後ということで環境およびエネルギーの色合いが一層増しているかという受け取りである。我が国ならではの技術・製品・サービスの発信をグローバルに如何に効果的に行うか、引き続く課題をますます感じさせる論調が見られている。 

【CEATEC 2011】(10月4-8日:幕張メッセ)

◇省エネ技術や3Dテレビ続々、国際見本市4日開幕 (10月3日付け 日経 電子版)
→電機やITの国際見本市「シーテック ジャパン 2011」が4日、幕張メッセで開幕、2010年より30少ない586社・団体が参加、省エネ技術や3D対応テレビの新製品などを発表する旨。今回のテーマは「スマート イノベーション」、スマートフォンやタブレット端末等を利用した家庭内消費電力の「見える化」、太陽光発電と家庭用蓄電を標準装備した街づくりなど、最新のエネルギーマネジメントシステムの展示を充実させた旨。

◇家電見本市「CEATEC」、懸念される日本の存在感低下 (10月6日付け 日経 電子版:論説)
→東日本大震災を受け、ITや家電の技術を安心・安全な暮らしにどう役立てるかという「スマート イノベーション」が今回のテーマ、しかし一方、CEATECの出展社数や来場者数はジリ貧状態が続いており、そこに日本の産業界が抱える課題が伺える旨。以下の論点:
・自動車とIT・家電技術の融合 
 →10数台のEVが今回の会場内に
・日本自動車工業会とJEITA、協力関係強化で合意 
 →日本のプレゼンス低下に歯止め
・ほとんど見られない初出品の新商品・新技術
・国際化の問題


≪グローバル雑学王−170≫

発明王、エジソンの白熱電灯の発明の経緯、電力システム全体に取り組む発明のアプローチはじめ、

『世界を変えた発明と特許』 (石井 正 著:ちくま新書)  
 …2011年 4月10日 第一刷 発行

より足跡を辿ってみる。華々しい天才のイメージが強く残っていたが、事業展開の軋轢で取り残されたり、かたくなに直流を押し通したり、と人間、エジソンの肌合いを新たに感じている。


第2章 エジソンの栄光と挫折−−−電力システムの発想

□電気の時代の入口で、エジソンは何を考えたか
・Thomas Alva Edison(1847〜1931年)、白熱電灯の発明を考え始める
 →1878年のこと
・電気によって照明を得ること自体はすでに19世紀に成功
 →アーク放電を利用したアーク灯
・エジソンは既存のすべてのアーク灯の設備を調査
 →アーク灯の限界、代わる電気照明装置の発明が必要

□エジソンのシステム発想
・エジソンは、彼の右腕、フランシス・アプトン(Upton, Francis)に、白熱電灯に関する特許文献を徹底的に調べるように指示
・1820年、真空のガラス球の中で電気によって白熱させて電灯とする実験(フランス)
・ジョゼフ・スワン(Sir Joseph Wilson Swan)による白金または炭素の棒を発熱体に使用した実験(英国)

□中央から並列回路で電気を供給する
・中央から電気を供給する場合 →各電灯に流す電流は少ないほどよい
 →電灯の電気抵抗を高くしておくことがポイント
 ⇒エジソンの発明構想力

□高抵抗白熱電灯の発明を決意
・メンデレーエフ(Ru-Dmitri Mendeleev)が周期律表を発見したのが、1869年
 →エジソンが、周期律表から発熱体の素材を見つけ出そうとしたのが、1879年
 ⇒最新の科学知識を活用して、目標に近づいていく発明家

□スワンの成果は、とことん利用する
・電灯の製作に成功したスワン、炭素=カーボンを使用した
 →エジソンのチーム全員は、カーボンの煤とタールを混ぜたものを捏ねて、細い棒を作ることに集中
・エジソンは、高抵抗の発光体に電気を流して発光させるようにした白熱電灯を特許化
・グロスベナー・ローリーという弁理士
 →エジソンの発明を強い特許とするには格好の人物

□エジソン白熱電灯特許のあまりにも広い権利範囲
・エジソンの白熱電灯がスワンのものと異なるのは「高抵抗値のカーボンフィラメント」という点だけ
 →新規性があり、進歩性があると、特許局の審査官を説得
・当然のことながらエジソン特許を侵害する者がその後、続々と登場

□ゲーベル抗弁にも負けない
・ハインリッヒ・ゲーベル(Heinrich Goebel)による1859年の実験
 …竹を炭化させてフィラメントとした白熱電灯を製作
 →なぜゲーベルがそれを特許出願していなかったのか?
・エジソン特許のクレームの最重要のポイントは、高抵抗値のカーボンフィラメント
 →争いにすべて勝った

□発電から配電まですべての発明を生み出す
・エジソンの狙いは、白熱電灯それ自体というよりは、むしろ電力システム全体を発明していくこと
 →大電力を生む発電機
 →安全な送電のための電力線や絶縁材料
 →安全ヒューズ
・エジソンの評価
 →発明工場を作り、運営し、成功したこと
・自分に足りない部分は有能なスタッフを確保
・技術者の集団により組織的に対応していくというやり方
 …エジソンシステム
・エジソンは生涯に1093件の特許権を取得
 →電気照明および電力に関する特許権がうち389件

□ニューヨークの資本家たちを説得
・弁理士のグロスベナー・ローリー
 →エジソンの白熱電灯の発明の重要性を説いて回る
・1878年10月、ニューヨーク財界の主だったメンバーが出資、エジソン電灯会社を設立
 →1878年10月は、エジソンが白熱電灯の発明を開始したとき
 →高抵抗のカーボンを用いた白熱電灯の発明はその1年後、当時はまだ未知数の発明
・スタートの時点で収益を確保するビジネス・モデルを構想
 →エジソンの発明作法

□電力システム事業の戦略
・エジソンは、白熱電灯の発明に引き続いて、ただちに発電機から送電線、配電線、スイッチ、コンセントなどをすべて研究し、発明
 →電灯会社設立で成功したビジネス・モデルを次々と別の会社設立で繰り返した

□エジソン構想の限界
・エジソンは設立当初こそ、彼の考えを主張、会社経営をリード
 →しかしながら、増資とともに彼の発言力は低下
  …エジソンは直流にこだわり、後発のWestinghouse Electric社は交流を選択
  …特許権ですべてを独占、他社を排除しようとする戦略も心配の種

□天才エジソンの失敗
・直流と交流のシステムのどちらを採用するかという大事な関門で間違えた
 →交流を認めないエジソン
・米国における発電所の交流システムのシェア
 1890年  10%
 1897年  43%
 1902年  69%
 1917年  95%
・エジソンの判断を狂わせたこと
 →すでに直流方式で発電機から送電網、配電網などを作り上げてしまっていたこと
 ⇒技術が進化していくときの悲劇の一つ

□GE社が電気の時代のリーダー・カンパニーに
・ニューヨークの投資家たちが協議
 →エジソンを退かせて、会社をGeneral Electric(GE)社として再建、交流システムを前提として開発
・歴史は繰り返す
 →GE社は蛍光灯が開発されてもそこへ注力せず
・トランジスタに挑戦
 →真空管技術とはまったく無縁の、Fairchild社、Texas Instruments社、Intel社など

□エジソン白熱電灯特許の広い権利は、現代では許されるか
・こうした広い権利の特許が現代においても許されるだろうか?
 →極めて困難
・真のパイオニア発明 →権利範囲を定めるのはまことに困難

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