猛暑下の記事&読書考(2):買収、事業分離および半導体特許
猛暑の列島が急転の不安定な空模様から冷気に覆われてきているが、業界の動きの方は特許を軸とした買収およびパソコン事業の分離と、携帯端末およびパソコンという半導体の二大市場を大きく揺るがす世界の大手プレーヤーの動きが相次いで、その熱気温度は急激に高まっている。猛暑下じっくり原点を振り返ろうと今回は半導体集積回路の特許について注目したが、先陣を争う研究開発および厳しい応酬の過程は、現在ここまでグローバルに急拡大している源泉のエネルギーの凄まじさというものを感じている。
≪相次いだBig Playersの動き≫
米国モトローラから分離して、現在携帯電話の1プレーヤーとなっているMotorola Mobility Holdings社を、インターネット検索最大手、グーグルが買収、という動きが飛び込んできて、以下の反応、展開となっている。
◇Google to buy Motorola Mobility for $12.5B (8月15日付け EE Times)
→Google社(Mountain View, Calif.)が月曜15日、handsetベンダー、Motorola Mobility Holdings社を約$12.5Bで買収する最終合意調印の旨。
◇Google's Moto bid: It's all about the patents (8月15日付け EE Times)
→Motorolaの特許17,000件と自前分を合わせて、Googleは、Android ecosystemを特許訴訟から守る法的shieldを作り出す期待の旨。実際、Googleおよびそのモバイルパートナーを相手取った法的脅威は、Androidの市場シェア拡大と同じ早さで増大してきている旨。
まずは、Androidを巡る特許の軸足を固めるためという見方が出ている。
◇What Google/Moto means for Android OEMs (8月15日付け EE Times)
→GoogleのMotorola買収入札は、Android ecosystemを法的脅威から救うかもしれないが、スマートフォン、タブレットおよびTVメーカーの間に新たな緊張を起こすことにもなる旨。handsetおよびset-top事業を如何にやっていくかの結果が求められることにもなる旨。
同時並行の我が国内の反応は、以下の通りとなっている。
◇グーグル、モトローラ買収へ、1兆円、スマホ部門強化 (8月15日付け asahi.com)
→米インターネット検索最大手、グーグルが15日、米通信機器大手、モトローラ・モビリティを買収すると発表、買収額は125億ドル(約9600億円)、携帯電話メーカーを手に入れることで、今後さらに拡大が見込まれるスマートフォン(多機能携帯電話)事業に注力する旨。検索サービスやソフトを手がけてきたグーグルが本格的なハード事業に進出するのは初めて、米欧の独禁当局の承認を得て、2011年末か2012年初めに買収を完了させる予定の旨。
◇グーグル、狙いはモトローラの特許、包囲網に対抗 (8月16日付け 日経 電子版)
→米グーグルが通信機器大手の米モトローラ・モビリティー買収を決定した背後には、スマートフォン特許の争奪戦が激しさを増していることがある旨。グーグルは基本ソフト(OS)「アンドロイド」でシェアを急拡大しているが、歴史の浅い同社はライバルに比べ保有する特許が少ない旨。有力特許を持つ老舗端末メーカーを買収、知的財産権でも競争力を強化する旨。
◇モトローラ買収、開発高速化で日本勢に脅威 (8月17日付け 読売)
→インターネット検索サービス最大手、米グーグルが、米通信機器大手モトローラ・モビリティ・ホールディングスを買収することで、携帯端末向け基本OS「アンドロイド」と端末の一体開発が可能に、世界市場では高機能携帯電話(スマートフォン)戦略の成否がシェアを左右、海外への再挑戦を目指す日本の端末メーカーにとって、開発スピードなどで「グーグル端末」などに後れを取る可能性もあり、市場環境の厳しさは一段と増しそうな旨。
携帯端末業界へのこの動きのインパクトが、次のように表わされている。一体的にいろいろな切り口に備えることが事業の今後の展開に必須、という該業界で取り組む考え方の大きな潮流の変わり目というものを感じている。
◇Viewpoint: Why Microsoft should buy Nokia (8月16日付け EE Times)
→ワイヤレスhandsetおよびタブレットPC市場で途方もない変化が起きており、ソフトウェアとハードウェア事業を分ける線が人為的に作り出されて、もはや筋の通ったあるいは実行可能なものでないことがさらに明らかになっているということで、各社はoperatingラインを交差させている旨。
パソコン業界でも、それも最大手のHPから、事業分離を模索していくという携帯端末の上記の流れとは逆に一層の選択と集中を図る方向付けが出されている。利益率の低い事業は切り離すか、売却も視野という割り切った決断に見えるが、この発表の後の市場の反応はかなり手厳しいものとなっているようである。
◇HP to spin out PCs, drop webOS products (8月18日付け EE Times)
→Hewlett-Packard Co.(Palo Alto, Calif.)が木曜18日、同社PC事業の分離あるいは売却模索を確認、およびwebOSデバイス, 特にTouchPad tabletとwebOS phonesのoperations中止を発表の旨。また、企業向けソフトウェア会社、Autonomy社(Cambridge, England)を約$10.2Bで買収する合意を発表の旨。
◇米HP、パソコン事業分離を検討、企業・官公庁向けに集中 (8月19日付け 日経 電子版)
→パソコン世界最大手、Hewlett Packard(HP)が18日、パソコン事業の分離を検討すると発表、市場の成熟化や多機能携帯端末などとの競争激化を踏まえ、収益性の低いパソコン事業の戦略転換が必要と判断した旨。HP取締役会は会社分割による別会社化などを柱とするパソコン事業の見直しについて承認しており、今後12〜18ヶ月で結論を出すとしている旨。HPは今後、企業や官公庁を対象とした利益率の高い製品やサービスを主力とする方針の旨。
ドイツのSAP AGから昨秋HPへCEOとして就任したLeo Apotheker氏であるが、今回の決断について直後に否定的な論調が見られている。
◇Why I don't think Leo can save HP (8月18日付け EE Times)
→HPのCEO、Leo Apotheker氏のビジョン、取り組みについて。
これら大きな動きでじっくり読んで考えに耽る気分が削がれたところもあるが、前回に続いて
『世界を変えた発明と特許』 (石井 正 著:ちくま新書)
…2011年 4月10日 第一刷 発行
より、半導体集積回路の特許についてその源泉を改めて辿ってみる。※以下にコメントを付している。
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第6章 キルビー vs. ノイス
−−−日本企業を苦しめた半導体特許
□半導体の世界の栄枯盛衰
・日本の産業が米国を圧倒していった1980年代
→その先兵がDRAM、次の推移。1990年代以降、韓国、台湾の台頭。
→1975年: 米国 99%
1980年: 米国 55%、日本 40%
1986年: 米国 16%、日本 80%
1990年: 日本 60%、韓国 15%
1995年: 日本 45%、韓国 30%
2000年: 日本 20%
現時点: 日本 十数%
※小生がDRAMの前線にいた1970年代から1980年代前半、始めは米国にいろいろ教わるとともに、次のビット容量世代開発に向けて少しでも、半歩でも先行するよう日本の各社で切磋琢磨、ついには日米半導体摩擦を誘発している。要点抜き書きの上記の経緯から、小生1990年代後半以降の業界活動と合わせて、実感、体感のいろいろな場面が過ぎっていく。
□集積回路特許に泣かされた時代
・半導体集積回路には米国の極めて有力な特許権が存在
→製造した集積回路の販売価格のおよそ10%のロイヤリティを米国企業に
→Fairchild社とTexas Instruments社
→プレナー特許とキルビー特許
□マイクロ・モジュールに代わる新しい超小型部品の開発
・Jack St. Clair Kilby(1923〜2005年)
→1952年、10日間のベル電話研究所のトランジスタ技術研修セミナーに参加
→1958年、Texas Instruments社に。マイクロ・モジュールの技術に関心
→そのときはセラミック基盤に電子部品を蒸着や印刷によって形成しただけ。Kilbyは納得がいかず。
※改めて知るきっかけ、原点である。
□半導体集積回路の可能性
・改めて注目した半導体というものの技術的特徴
→あらゆる電子部品を一片のシリコン上に形成するという発想
・1958年7月24日の研究ノートメモ:
「以下の回路の素子は一個の薄片の上に作ることができるだろう。
抵抗器、コンデンサ、分散コンデンサ、トランジスタ」
・電子部品とその組立体全体の小型化がいかに重要であるかよく認識、他方、トランジスタ技術の動向もよく理解
※発想の凄さおよび研究ノートメモの重みを改めて。
□キルビー特許の出願
・Kilbyの発想
→拡散接合型トランジスタ技術(メサ型)を拡大
→すべての電子部品をシリコン単結晶基板中に形成させるという新たな技術コンセプト
・1959年1月、RCA社が超小型の半導体集積回路の開発に成功という噂
→急ぎ特許出願へ
・出願したのは1959年2月6日に
→Kilbyが試作した発信器がそのまま図に…Flying Wire
→Fairchild社のRobert Norton Noyce(1927〜1990年)によるシリコン・プレーナー集積回路の特許出願と厳しい争いへ
・米国において特許出願をした場合、最初に提出した図面がすべて
→その後にその図面を修正したりすることは極めて困難
・Kilby特許
→新たな技術的コンセプトを提起、技術の流れとして極めて重要
→高い評価
※発想、技術的コンセプトへの高い評価および米国特許の先陣鍔争いの厳しさを感じている。
□シリコン酸化物で表面を防護する
・1958年、Fairchild社のジャン・ヘルニー、シリコン・プレーナー・トランジスタを開発
→二重拡散の技術を基本
→今日の集積回路の基礎となる重要技術
・表面が外部からの汚染に対して大変に敏感
→シリコン・チップの上にシリコン酸化物の絶縁層を形成という解決提案
□平板シリコン上に多数の電子素子を形成
・Noyceは、シリコン・チップ上の酸化物の上に電気接続部を形成することに思い至る
→電気的な接続は適当な金属を蒸着法により形成
・シリコン・ウエハ上にトランジスタ、電気抵抗など形成、それらの電気接続も可能、希望の電気回路はすべてシリコン・ウエハ上に実現できる
※Fairchild社の教本は集積回路のバイブルとして、基礎の習得に大いに参考にした覚えがある。学会発表をトレースするとともに、米国製品の解析なども行った初期のころである。
□インターフェアレンスは米国特許制度の特徴
・米国は先発明主義の国
→世界の多くの国々は、先願主義を採用
・米国の場合、出願の日の先あとだけでなく、発明の日の先あとも考慮
→インターフェアレンスの手続き
→難しいインターフェアレンスの争い
□キルビーとノイスの特許獲得競争
・発明のタイミング、特許出願のタイミングともに、ノイス側には不利
・Kilbyの特許出願の弱点探し
→ノイス側の弁護士は「Flying Wire(空中を交差する線)」を厳しく批判
□空飛ぶワイヤ
・裁判所は、Kilby対Noyceの争いはNoyce側の勝ちと決定
→この前の1966年、KilbyのTexas Instruments社とNoyceのFairchild社は、相互に集積回路製造のライセンスを供与することに同意
※両陣営の応酬の厳しさがよく表れている。その過程で両者の落とし所が模索されたのであろうか。
□日本ではさらに困難が続く
・半導体集積回路を製造する日本企業は、合わせて8.5%という高額の特許実施に伴なうロイヤリティを支払うことに
・有力な特許権保有 →その分だけロイヤリティ比率は低減
→日本の半導体製造各社は、対抗できるだけの半導体集積回路に関する改良発明を数多く生み出し、これを特許権化
→日本の特許出願が世界トップの数に
・Texas Instruments社は、分割出願を大量に引き続き推進
→日本各社は、しぶしぶロイヤリティの支払い
・富士通は、孫分割出願の特許の有効性について問題視、1991年に東京地裁に提訴
→無効の判断
→しかし多額のロイヤリティ返却はなし
※特許何件を重要管理目標に挙げた時代、日々を思い出すが、ここまで高いロイヤリティとあって、対抗するエネルギーが沸々と高まった我が国の半導体業界ということと思う。
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Noyce氏の名前は業界表彰にも刻されているが、本年はSTマイクロの御大、Pistorio氏の受賞が発表されている。
◇Pasquale Pistorio wins IEEE Noyce Medal (8月19日付け EE Times)
→STMicroelectronics NVの前president and CEO、Pasquale Pistorio氏が、2011年IEEE Robert N. Noyce Medal受賞者に指名の旨。
先発明主義を維持してきている米国であるが、世界の多くの国々が採用している先願主義へ移行する改革が、少し時間軸が後戻りするが、次のように進められている。
◇Houses passes patent reform bill (6月23日付け EE Times)
→米国下院が、特許改革法案を304-117の投票で可決、米国特許システムを改造する最後の大きなハードルの旨。最終的な法案は、3月に上院を通過した前回版との調整が必要、Obama大統領は結果として生じる法制化には署名するとしている旨。いわゆるAmerica Invents Actは、世界中の他のほとんどの特許局と調和するよう、米国特許システムをfirst-to-inventからfirst-to-fileシステムに移行するものである旨。
◇Opinions divided on patent reform impact (6月24日付け EE Times)
→昨日米国下院を通過した特許改革について、大手エレクトロニクスメーカーは一般に称賛、歓迎、個人発明家は批判的な旨。議会は依然、多様な範囲の事項に及んでインパクトを穏やかにする見込みの法制化を完了しなければならない旨。
≪市場実態PickUp≫
プロセッサの設計あるいはディスプレーの供給か、いろいろ取り沙汰されているが、AppleのiPad 3が遅れを出しているようであり、その分現状製品の生産が踏み上がる様相である。
【iPad 3の遅れ】
◇Apple hikes 2H11 iPhone orders to over 56 million units (8月15日付け DIGITIMES)
→Appleが、2011年後半に向けたiPhone 3GS, iPhone 4, iPhone 4 CDMAおよびiPhone 5から成るiPhonesの全体発注量を、当初の2011年第二四半期末での見積もり、50M台から12-13%増の56M台以上に上方修正の旨。台湾のsupply chainメーカーによると、iPhone 5が25.5〜26M台を占める旨。
◇Apple cancels supply schedule of iPad 3 for 2H11 (8月16日付け DIGITIMES)
→Appleが、2011年後半のiPad 3供給スケジュールを最近取り消し、同水準の競合製品を打ち上げ予定の他のタブレットPCブランドベンダーはこれに従い打ち上げを遅らさざるを得なくなっている旨。しかしながら後半のiPad 2供給は28-30M台に据え置かれている旨。2,048 x 1,536の解像度が呼び物の9.7-インチパネルの歩留まりが、この供給の遅れの主因である可能性の旨。
今後の需要後退が表面化するなか、台湾ファウンドリー、UMCでの動きである。
【休暇推奨】
◇UMC encourages employees to take holiday amid demand slowdown (8月15日付け DIGITIMES)
→UMCが、稼働率が低下しているウェーハfabsのいくつかに配置されているある従業員に対し、交替で年次休暇をとるよう勧めている旨。需要低迷の渦中、従業員に休まさざるを得ない最近の推測に反応の旨。
いたちごっこが繰り返される模造品の世界について、そのあぶり出し、探索の実態レポートである。
【模造の実態】
◇Ferreting out the fakes in the chip supply chain (8月15日付け EE Times)
→犯人側がさらに精巧になってきて、模造品を捕らえるのがますます難しくコストを要してきている状況について。
・≪写真≫pc boardsを酸の桶につけて部品材料を取り出している住人(中国広東省汕頭市Chaoyang DistrictのGuiyu(town))
⇒http://twimgs.com/eetimes/news/11/08/1606photo_pg25.jpg
・2009年に行われた83 OCMs(Original Component Manufacturers)調査よりSupply Chainでの違反者発生率
⇒http://twimgs.com/eetimes/news/11/08/1606chart_pg25.gif
・同上国別違反者発生率
出典:Source: "Defense Industrial Base Assessment: Counterfeit Electronics," U.S. Department of Commerce, 2010
⇒http://twimgs.com/eetimes/news/11/08/1606chart_pg24.gif
≪グローバル雑学王−163≫
世界が一気に広がった大航海時代に入って、ポルトガルが拓いた「インド航路開拓の道」、コロンブスの「アメリカ到達の道」、盛衰波乱を生みだした「インカ道」を、
『世界の「道」から歴史を読む方法』 (藤野 紘 著:河出書房新社)
…2011年 3月 5日 初版 発行
より、世界地図の全貌が彩られていく過程を辿ってみる。この時代をリードしていったスペインとポルトガルの栄光を改めて感じるとともに、世界を両 国で分ける取り決めのなかで、ブラジルだけがポルトガル領になっていく歴史の流れによる運命というものを受け止めている。
4章 大航海時代を創出した「道」−−−東方への進出は世界地図をいかに塗り替えたか
1.小国ポルトガルを繁栄へと導いた…
ヴァスコ・ダ・ガマの「インド航路開拓の道」
・15世紀中頃から始まった大航海時代の先陣を切ったポルトガル
・ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)が開拓した「インド航路」
□香辛料を求めて始まった大航海時代
・15世紀のヨーロッパの人々を魅了したのは、胡椒、肉桂、薄荷などの香辛料
→高額、その価値は金と同じ
・マルコ・ポーロ(Marco Polo)の『東方見聞録』の影響
→黄金が溢れていると思い描く
□エンリケ航海王子のアフリカ進出
・「インド」(インダス川以東のアジア)へ向けた道の先陣を切ったポルトガル
→行く手を阻むスペイン
→1415年、モロッコのセウタを占領
→アフリカ大陸を南下、大西洋へ出る航路
・造船技術の発達 →エンリケ王子(Infante Dom Henrique)のアフリカ進出
・1488年、ポルトガル人のバルトロメウ・ディアス(Bartolomeu Dias)、喜望峰へ到達
□インド到達から始まったポルトガルの繁栄
・ヴァスコ・ダ・ガマ、1497年7月、4隻の船でインドを目指す
→1498年5月、インド南端のカリカット(Calicut)へ到着
・ガマは帰国後、香辛料貿易ルート確保のため、大艦隊をカリカットへ
→貿易風により偶然ブラジルに漂着
→ブラジルはポルトガル領に
・ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓の道
→小国、ポルトガルが、大航海時代の主役の一人として君臨する栄光の道に
2.インドを目指してたどり着いたのは…
コロンブスの「アメリカ到達の道」
・スペイン女王の支援を受けたイタリア・ジェノヴァ生まれのコロンブス(Christopher Columbus)
□新大陸の"発見"がもたらしたもの
・1492年、インドへ向け西へ、バハマ諸島のサン・サルバドル島、さらに、キューバ島、エスパニョーラ島(現在のハイチ島)など、周辺の島々を発見。
・功績が認められたコロンブスは、ふたたびエスパニョーラ島へ。
→砂金採り、奴隷
→スペインの本格的な植民地支配
・コロンブス自身は合計4回の航海
□コロンブスが西回り航路を選んだ理由
・コロンブスの愛読書にピエール・ダイイ(Pierre d'Ailly)の『イマーゴ・ムンディ(世界像:Imago Mundi)』
→スペインとアジアは海を渡れば、それほど離れていない、との記述
・当時、地理学の第一人者、トスカネリ(Paolo dal Pozzo Toscanelli)に問い合わせ
→「西へ向かうルートのほうが早い」との答え
□世界を"分け合った"スペインとポルトガル
・ローマ教皇アレクサンデル六世が、二国間の仲裁に
→1494年、「トルデシリャス条約(Tratado de Tordesillas)」、大西洋46度子午線の西側はスペイン領、東側をポルトガル領にする取り決め
→南北アメリカ大陸のうち、ブラジルだけはポルトガル領に
□大航海時代は世界に何をもたらしたか
・香辛料の価格は一気に下落、ヨーロッパでの銀価格も下落
・スペインやポルトガルは全盛期
→世界の一体化が進む
3.スペイン人は大帝国をいかに滅ぼしたか…
繁栄と滅亡をもたらした「インカ道」
・16世紀の南米、インカ帝国の繁栄
→南北に張り巡らされた「インカ道」が可能に
□帝国中に張り巡らされた道路網
・15世紀ごろ、巨大なインカ帝国
→総延長距離2万3000kmにも及ぶ大道路網
…首都クスコを中心として南北に延びる幹線道路
→二本の道: 海岸線を南北に
山岳部沿いに南北に
・迅速な情報伝達
→チャスキ(飛脚:chaski)制度
…約3kmごとに人員を配置
・インカ帝国皇帝の目や耳として帝国中に張り巡らされた「インカ道」
□「滅亡の道」となったインカ道
・インカ帝国を滅ぼすことになるスペイン人、フランシスコ・ピサロ(Francisco Pizarro)
→インカ帝国を滅亡させただけでは満足せず、さらに南下、チリにも侵攻
・南アメリカには金山や銀山
→スペインへ送り、世界一の強国に