またもや喫緊の課題として浮上、"安全第一"への万全な備え
飽くなき生産性、経済性を追求する渦中で、裏返しの事態として出てくる安全性の問題であるが、現時点熱気に溢れて活況のタブレットの主要生産拠点である中国・成都の工場での爆発事故が世界的な波紋を呼んでいる。大震災および原発事故に見舞われた我が国で安全基準・意識の根本的な改革が求められているなかでの今回の事故であるだけに、ESH(環境・安全・健康)にさらなるS(セキュリティ)を加えて万全な備えが喫緊の課題という昨今取り巻く状況を改めて強く感じている。
≪Foxconn成都工場事故の波紋≫
この5月20日夜に起きた世界最大のEMS、Foxconnの成都工場の事故は、目に止まった記事の範囲で以下の経過である。
◇中国iPad主力工場で爆発、2人死亡、生産停止−台湾・鴻海子会社 (5月21日付け 日経 電子版)
→米Appleの「iPad」を生産している世界最大のEMS、台湾・鴻海(Hon Hai)精密工業の中国子会社、富士康科技集団(Foxconn)の中国四川省成都市の工場で20日夜に大規模な爆発、同工場はiPadの主力工場で生産は停止した模様の旨。
台湾が本体の会社であり、台湾系のサイトが敏感に直後の状況を伝えている。
◇Accident at Foxconn's Chengdu plant not affecting iPad 2 assembly lines, says newspaper (5月22日付け DIGITIMES)
→台湾の中国語紙、Commercial Times(CT)発。FoxconnのiPad 2生産基地(中国西部の成都市)で発生した爆発および続く火災は、該tablet PCの組立ラインには影響していない旨。
◇Foxconn Chengdu plant produces less than 30% of total iPad 2 demand (5月23日付け DIGITIMES)
→5月20日に死者3人、負傷者15人を出した爆発事故で、中国西部・成都市のFoxconn工場が生産を一時中止、同工場は最近AppleのiPad 2生産を始めたばかり、出荷へのインパクトの懸念が引き起こされている旨。Foxconnの成都拠点はiPad 2全体の25-30%を出荷、残りは深セン拠点と見られる旨。
続いて、iPad 2出荷への影響、事故の原因について、世界的な反応である。
◇Foxconn blast may cause iPad shortfall (5月23日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。先週後半に成都(Chengdu, China)のFoxconn Technology Co. Ltd.工場を猛烈に襲った爆発事故で、Apple社iPad 2 tablets生産が50万台損なわれた可能性の旨。同拠点でのiPad 2生産総capacityは、約50万台/月に上る旨。
◇Student group blames Foxconn for blast (5月23日付け EE Times)
→香港の労働者権利団体、Students & Scholars Against Corporate Misbehavior(SACOM)が、成都(Chengdu)のFoxconn facilityでの問題を5月20日金曜の爆発事故の前に明らかにしていたと主張、5月始めに出した報告で研磨仕上げ部門でのaluminum dust問題を特定していた旨。
この事故原因については、すぐさま次の対応措置となっている。
◇Foxconn temporarily stops its polishing process at all factories in China (5月24日付け DIGITIMES)
→Foxconn(Hon Hai Precision Industry)が23日、電子機器の研磨仕上げ包装の作業場で起きた成都(Chengdu, China)生産基地での爆発火災で、安全のために中国あちこちの同社工場すべてにおいてこのような研磨仕上げ工程を一時停止する旨。
このような経緯をみての反応と思うが、次の総括記事には数多くの読者のコメントが寄せられている。生産性や利益を追求する最中でまたもや繰り返す事故ということで、施してもやり過ぎることはないという"安全第一"への再確認、徹底が訴えられている。
◇Foxconn explosion has broader impact than Apple iPad supply (5月25日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Foxconn爆発事故の短期的なインパクトは、新しいApple iPadの待ち時間が長引くことであるが、長期的にはこの事故のインパクトがずっとさらに広がっていく可能性の旨。
同じタイミングで欧米で安全について取り上げているのが、車関係のシステムである。交通事故撲滅への取り組みは、上記の爆発事故と同様、起きてからではやりようのないこと。事前の予知、予防対策に際限なし、と改めての受け止めである。
◇Intersection assistant systems make use of car-to-x communications (5月22日付け EE Times)
→BMWおよびVolkswagenが、目に見えないあるいは込み入った交差点での安全性を改善することを目指して、"smart"交差点支援システムを試作開発、これらはcar-to-x通信方式を初めて実用化、ともに互いに独立した開発ではあるが、Intersafe-2リサーチプロジェクトへの貢献として行われている旨。
◇Automobile sensors may usher in self-driving cars-Self-driving cars offer many advantages over often-distracted human drivers. Although the emergence of a truly autonomous car is several years in the future, currently available radar, LIDAR, and vision-based systems are coalescing into an automotive-sensor platform that points the way toward tomorrow's robocar. (5月26日付け Electronics Design, Strategy, News)
→self-driving carsに向けた研究開発について。
・≪図面≫ドライバー支援システム
⇒http://www.edn.com/photo/291/291428-Automobile_sensors_may_usher_in_self_driving_cars_figure_2.jpg
≪市場実態PickUp≫
その活況のタブレットであるが、パソコン市場へのインパクトがさらに強まっており、現下の台数、そして今後の比率について次のデータ、見方となっている。
【世界パソコン市場の見方】
◇IHS: Tablet's rise hurt Q1 PC sales (5月24日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。第一四半期の世界PC出荷台数が81.3M台、前四半期比12%以上減、前年同期比0.3%減。Apple社のiPadはじめメディアtabletsが、グローバルPC市場を侵食し始めている旨。
・2011年第一四半期世界PC出荷市場シェア・トップ5速報:前四半期比
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/Dylan/110524_isuppli_pc1.png
・2011年第一四半期世界PC出荷市場シェア・トップ5速報:前年同期比
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/Dylan/110524_isuppli_pc2.png
◇Analyst: Tablets to drive PC growth in 2011 (5月27日付け EE Times)
→IC Insights(Scottsdale, Ariz.)発。開発途上諸国でのPC販売の急激な拡大およびtablet-型touch-screenコンピュータについてのconsumer市場のこのところの熱気から、2011年のPC出荷は13%増の402M台、2010年の19%増を経て増大していくと見る旨。同社の2011 Integrated Circuit Market Drivers更新版によると、AppleのiPadのようなtablet PCsは、2011年には190%以上増の49M台に伸びるとの予測の旨。
・2010年と2014年のシステム型別PC台数比率
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/Dylan/110527_ic_insights_tablet3.jpg
また、タブレットがディスプレイ関連業界を活性化しているという論調記事が見られている。
【タブレット相乗効果】
◇Tablets drive investment in display manufacturing (5月25日付け EE Times)
→AppleのiPadと競合するtablet製品の急増が、LCD市場で急激な需要を作り出しており、これが車載、医療、セキュリティおよび産業応用でのLCDsおよび有機ELディスプレイの拡がりと合わさって、活発な市場をもたらしている旨。この市場の伸びが、製造装置の需要を新たに活気づかせている旨。
ここでタブレットは離れて、今度は設計の受注対応について。以下の取り組みは、ここまで納期意識をもってやるという強力な意思を感じるところがある。
【誠意ある設計対応】
◇ASIC prototypes on time - or your money back(5月27日付け EE Times)
→ASIC設計&製造サービス・プロバイダー、Open-Silicon社(Milpitas, Calif.)が、業界初、設計技術対応スケジュールについてmoney-back guaranteeプログラムを発表、顧客のスケジュール通り試作品を供給できない場合、physical設計技術対応コストを$500,000まで払い戻す旨。
恒例のIMEC Technology Forum(BRUSSELS)からの注目内容である。世界広範囲に連携の輪を拡げていく運びの巧みさをますます感じている。
【IMEC Technology Forum】
◇Nvidia joins imec advanced CMOS scaling program-The collaboration will focus on the system design impact of advanced devices, interconnect, including 3D, and lithography implications for the sub-20-nm node. (5月25日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Nvidiaが、先端CMOS scalingについてimecと3年のリサーチ・コラボ合意調印の旨。
◇Wipro helps IMEC open up in India (5月25日付け EE Times)
→IMEC(Leuven, Belgium)が、Wipro Ltd.(Bangalore, India)のコンサルティングおよびoutsourcing事業部門、Wipro Technologiesの支援を得て、R&D拠点をBangalore, Indiaに設立の旨。IMECとWiproが、IMEC Indiaを形成していく第一ステップとしてR&D連携合意調印の旨。
◇IMEC and the ARM connection (5月25日付け EE Times)
→IMECのCEO、Luv Van den Hove氏のプレゼンスライドの1つに100社以上のロゴ、IMECとのつながりを強調の旨。
≪グローバル雑学王−151≫
ドイツからスペインに移って、こんどはシェリー酒である。南のスペインで葡萄が奏でる味わいと香りを、
『世界の酒』 (坂口 謹一郎 著:岩波新書 264)
…1957年 1月17日 第 1刷 発行
2010年11月19日 第30刷 発行
より、1950年の時点で辿っていく。ゆったりとしたスペイン時間で得られる葡萄酒の豊潤さ、濃厚さが伝わってくる。
13 ピレネーの南(スペイン)
・スペインはイタリアに次いで、世界で3番目の葡萄酒の国
・シェリー(Sherry)やマラガ(Malaga)や、その他濃厚な南国の酒の香
□大石原を行く
★急行列車でスペインに入って、行けども行けども高原の大石原に雪景色
□スペイン時間
★マドリード着、安宿に辿り着く。
・夕食は9時から、昼食は2時からとのこと。役所や研究所の仕事も、10時か11時ごろに始まって、午後2時ごろに昼食のためにめいめいの家に帰る。
□フランコの政策
・(当時)スペインは、多年の内乱から立ち上がって祖国再建の途上。研究の面でも強い新興の機運。
・科学研究最高会議は大規模な施設、むしろぜいたくなホテルといった方がよいくらい。
→科学技術に大いに力を入れていることが明らかに看取
□葡萄酒粕からガソリン
・マドリードの燃料研究所
→原料といえば、全国民の65%を占める農家の生産する農産廃物
・1万トンの農産廃物からの収量は、400トンのガソリン、2000トンのコークス、1800トンのタール、パラフィン、酢酸、メタノールなどの副産物
→研究所に工業化のための一大モデル・プラントが付置
□古き都
★マドリード →大帝国の古都。壮麗な建物が多い。
□濃い上にも濃く
・いったい、南方の葡萄酒は成分も濃厚
→さらに濃縮果汁だのブランデーだのを加えて、風味をいやが上にもしつこく
□フラメンコの国へ
★シェリー酒の産地、南端のジブラルタルの岬に近いへレス・デ・ラ・フロンテラ訪問
★街でよく労働者などの唱っているフラメンコというモーロ人(アラビア系スペイン人)の歌
→ピレネーの南はアジアであるという言葉
□シェリーの産地
・シェリー酒は、へレス・デ・ラ・フロンテラを中心とした狭い地域の産
・シェリー →16世紀末、英西戦争の結果イギリス人に知られだしたのが始まり
→近頃、アメリカなども自国産のまがいものシェリーの新法
□パロミノ
・シェリーの原料 →パロミノという白葡萄
□花を咲かせる
・シェリー →常軌を逸脱した醸造法
→葡萄酒に「花(フロール)を咲かせる」こと
→葡萄酒の表面にちょうど醤油のカビのように白い膜状に浮かぶ一種の酵母
□ラガーからボデガへ
・葡萄園の圧搾場(ラガー)でしぼられた汁
→白樫のシェリー樽
→町のボデガという醸造場(すなわち輸出業者[シッパー])へ運ぶ
・醗酵が済んだ時に他の菌を防いで健全な花の菌のみがつくように、酒にブランデーを加えてアルコール分を15・6%に
□育ちゆくシェリー
・酒の「お守り場」、クリアデラ
→重い瓦屋根、高い天井、厚い煉瓦の壁
・シェリー独特の手の込んだ仕上げの段階、ソレラというシステム
・ソレラの一番下の樽(あるいは一番古い樽)は、そのボデガ(酒造場)の創立の年の酒を意味
→琉球の泡盛も、同じ方法で熟成、酒の古さを確保するやり方
□干した葡萄で
・シェリーの製法
→葡萄を摘み採った時に、葡萄をエスパルトという菅のような草で編んだ丸いむしろの上に拡げて天日当て
→濃厚な葡萄酒
・いろんな神秘的な経験を生かして使っていく
→東洋的で面白い
□ナポレオンやネルソンの飲んだ酒
・ペドロ・ドメック社のボデガ
→ナポレオンの飲んだ樽、ネルソンやクリスチナ女王の飲んだ樽など
・シェリーの樽から酒を取り出す
→なるべく表面のフロールの膜を壊さぬように、底の方の澄明な酒を取り出すのがコツ
□古酒の効用
・100年に近い古い酒
→濃褐色。渋くて苦くて舌が曲がりそう。
→ストレートではとても飲めないから、極上シェリーの味付けに
□アモンチリャド
・品質に幅のあるシェリー
→酒の色が淡いほどドライの度が強く、濃いほど甘口
ドライ …フィノ、アモンチリャド、マンザニラ、モンチラ
甘辛中くらい …ヴィノ・デ・パスト
甘口 …オロロソ、アモロソ
□たばこと合う酒
・辛口や中辛口は食前のアペリチーフに、甘口は食後のデザートに
・煙草を吸いながらでも鑑賞に邪魔にならないのは、葡萄酒の中でシェリーとポートだけ
□セヴィリア
★セヴィリア →ナポリ、ニースと並んでヨーロッパの三大楽園
→目もあやな南の陽光に美しく照り映える景色