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目まぐるしいPC・携帯端末ワールド、こんどはグーグルの新OS搭載PC

スマートフォン、タブレットの登場で、半導体市場の双壁、パソコンおよび携帯電話端末それぞれの区分の難しさを感じてきているところに、こんどは世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることを使命とするGoogleが「クラウドコンピューティング」の利用を前提としたOS、「クロームOS」を搭載したパソコンをお披露目している。 次々と新技術、新サービスが具体的に表われて時間軸の忙しさとともに、新しい魅力への対応努力の必要性をさらに感じてきている。

≪クラウドコンピューティング≫ 

何となく雰囲気は理解しているつもりの新語が市場に向けて製品化されてくるとなると、もっと理解を深める必要があるということで、インターネットのBIGLOBE百科事典より、以下の抜き出しである。

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○クラウドコンピューティング(cloud computing)とは、ネットワーク、特にインターネットをベースとしたコンピュータの利用形態である。ユーザはコンピュータ処理をネットワーク経由で、サービスとして利用する。

従来のコンピュータ利用は、ユーザ(企業、個人など)がコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自分自身で保有・管理していたのに対し、クラウドコンピューティングでは「ユーザはインターネットの向こう側からサービスを受け、サービス利用料金を払う」形になる。

ユーザが用意すべきものは最低限の接続環境(PCや携帯情報端末などのクライアント、その上で動くブラウザ、インターネット接続環境など)のみであり、加えてクラウドサービス利用料金を支払う。実際に処理が実行されるコンピュータおよびコンピュータ間のネットワークは、サービスを提供する企業側に設置されており、それらのコンピュータ本体およびネットワークの購入・管理運営費用や蓄積されるデータの管理の手間は軽減される。
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一度に完全理解とはなかなかいかないが、クラウドコンピューティング(cloud computing)という言葉が、最近の業界記事によく入り込んできている印象である。

◇Covisint sketches cornerstones of secure automotive networking (5月8日付け EE Times)
→connected carsが増えていく背景に対し、cloud computingプロバイダー、Covisintが、automotive networkingについての会議(Munich)にて、車関連の情報ネットワークは車、OEMs、ディーラーおよびユーザの間で頑健なidentity、柔軟性のある管理を備え、安全な通信pathsを支える必要がある旨。

今回のグーグルの新OS搭載PC発表は、Google I/O developer conference 2011(5月10-11日:Moscone Center, San Francisco)の場で行われており、以下の流れの概要である。

◇Updated: Chromebooks challenge netbooks (5月11日付け EE Times)
→Googleが、Chromebookを正式に発表、AcerおよびSamsungがWeb-ベース・ アプリ&サービスのみ用いる該システムを6月に出荷を開始する旨。

◇グーグルの新OS搭載パソコン、6月15日発売 (5月12日付け 日経 電子版)
→グーグルが11日、同社が開発した無償基本ソフト「クロームOS」を搭載したパソコンをサムスン電子などが6月15日に発売すると発表、グーグルはスマートフォンのOSでシェアを急拡大しており、パソコンでも利用者の支持を得られるかに注目が集まっている旨。
クロームOSは、「クラウドコンピューティング」の利用を前提としたOS、電子メールやワープロなどのソフトはパソコン本体に搭載せず、ネットを通じて利用する形をとる旨。

◇グーグルが8秒起動のノートPC「Chromebook」発表−月額28ドルのビジネスプランも (5月13日付け 日経 電子版)
→2日目の基調講演で、かねてから噂のグーグルによるノートパソコン「Chromebook」発表、グーグル自身が「ノートPCのゲームを変える」と意気込む戦略商品となる旨。
Chromebookの中核は、グーグルのWebブラウザ「Chrome」、ファイルへのアクセスやメディアプレーヤーをはじめとするあらゆるデータ処理を行うというのが基本的な設計思想の旨。

出席参加者にはこのPCが配られるというハプニング演出があったとのこと、意気込みを感じるとともに今後の反応、評価に注目である。


≪市場実態PickUp≫

東日本大震災によるグローバルsupply chainへの影響は、依然世界が注視しているところであるが、台湾から発信されている以下の感じ方がある。

【部品不足の兆候不安】

◇Shortage of smartphone and tablet PC components emerging (5月12日付け DIGITIMES)
→PCおよびsmartphoneプレーヤーの上流および下流ともにコンポーネント不足にはなっていないとし、2011年5月末までは正常な供給が見込めるというにも拘らず、上流コンポーネント筋から次の指摘、Asustek Computer, Acer, Motorola, Apple, High Tech Computer(HTC), Quanta ComputerおよびCompal Electronicsがすべて最近不足の兆候の恐れから、MLCCs, PCBsおよびtouch panels用カバーガラスの供給確保にやっきになり始めている旨。日本の地震並びに節電政策によりグローバルIT supply chainが強く圧迫され、中国における労働力不足問題もIT業界にはもう一つの脅威になってきている旨。

前回取り上げたインテルの22-nmノードTrについて、ARMの攻勢を寄せつけない支柱になるという評価である。

【22-nm tri-gateトランジスタ】

◇IHS: Intel's tri-gates to keep ARM at bay (5月10日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。Intel社が最近発表した22-nm tri-gateトランジスタ技術は、smartphoneおよびmedia tablet市場で前進するのに必要なMPU攻撃手段となる一方、同時にARM Holdings plcアーキテクチャー・ベースの機器がPCビジネスに侵入してくる可能性を撃退することになる旨。
・≪比較図面≫ゲートの真下の面を電流(黄色ドットで表示)が流れる32-nmプレーナーTrに対し、垂直finのthree sides上で電流が流れる22-nm tri-gate Tr
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/Dylan/Intel_Tri-Gate_versus_376.jpg

自然の脅威に翻弄される特に本年であるが、台湾では水不足の恐れの事態が取り沙汰され、Science Parkでも対応が進められている。

【台湾での水不足】

◇Southern Taiwan Science Park to cut water supply to cope with drought (5月10日付け DIGITIMES)
→台湾の政府が開発した3つのscience parksの1つ、Southern Taiwan Science Park(STSP:南部科学工業園区)が、旱魃に対処、5月23日から毎日の水の供給を100,000 metric tons(MT)から95,000 MTに5%減らす計画の旨。台湾のいくつかの地域もまた、水不足の恐れがある旨。

TSMCが、20-nm、450-mmなどの研究開発でSematechに参画を決めている。日米半導体摩擦が成り立ちのきっかけとなっているSematechの現状coreメンバーに、改めて注目している。

【TSMCのSematech参画】

◇TSMC joins Sematech-The cooperation will focus on research and development for exploratory technologies on 20-nm generation and beyond. (5月10日付け Electronics Design, Strategy, News)

◇TSMC joins Sematech, cites 450-mm R&D (5月13日付け EE Times)
→TSMCが、半導体メーカーの国際的コンソーシアム、Sematechにcoreメンバーとして参画決定の旨。他のSematechのcoreメンバー:
GlobalFoundries, Hewlett Packard, IBM, Intel, Samsung, UMC, College of Nanoscale Science and Engineering(CNSE) at Albany, New York

モバイル関係の戦略対応力強化に、こんどはNvidiaが以下の買収を行っている。

【Nvidiaのモバイル戦略強化】

◇Nvidia agrees to pay $367 million for Icera (5月9日付け EE Times)
→Nvidia社が、Icera社(Bristol England)を$367M in cashで買収、3-および4-G通信に踏み込んでいる旨。

◇Nvidia ups the price for baseband processor startups. (5月9日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Nvidiaが、設立9年のIcera(英国)を$367M in cashで買収する意向を発表、これは昨年11月のBroadcomの$316MでのBeceem買収の後を追う形の旨。

◇Nvidia buys Icera, strengthens mobile strategy (5月11日付け EE Times India)


≪グローバル雑学王−149≫

オランダのジンから、ドイツに渡って今回はドイツのワインである。千年にも及ぶライン・ワインの伝統、ドイツの葡萄酒の発展を支える試験場など、

『世界の酒』 (坂口 謹一郎 著:岩波新書 264)   
 …1957年 1月17日 第 1刷 発行
  2010年11月19日 第30刷 発行

から豊富な知見を吸収していく。ドイツワインのレッテル表示、名前など、これからはもっと理解を深めて味わおうという思いである。


11 ラインに沿うて(ドイツ)

□温まる立喰い
★オランダのデンハーグ →列車で2時間、国境の駅 
              →ドイツのケルンまで2時間
・1月中旬、歩道の寒さ、熱い白ソーセージの立喰い

□ドイツの銘醸地
★ベートーヴェンの生地、西独の首都(1950年当時)、ボンまでさらに1時間近く
・ここらあたりから始まる葡萄の山
・洋々たる大河、ライン河、その上流に向かって
 →コブレンツという町で、河が右手に分かれる
  …ラインと並ぶ銘醸地、モーゼル河
 →さらに上った曲がり角…ラインガウ→ライン・ワインの中心地
 →左岸にラインパルツ、右岸にバーデンの銘醸地
 →遠くスイスの国境へ

□ラインガウ
・ライン・ワインの中心地、千年の昔から葡萄酒造りに心魂を捧げ尽くした侯伯の家や僧院が、今もなお
 →銘醸の伝統を誇る
・川沿いの村々には古めかしい料理屋や小宿
 →樽から直接取り出した酒、アウスシェンク・ワイン
 →「ドイツの客間」、「ドイツの酒場」

□ガイゼンハイム試験場
・世界でも有名な古い試験場 →ドイツの葡萄酒の発展を支える
・年一回のライン・ワインの国際的入札を見る機会を今回

□ヨハニスベルグ
・ヨハニスベルグ醸造場
 →今度の戦時中(第二次世界大戦)、独軍の監視所に
 →(著者の)訪問時、ひどい爆撃の跡がまだ生々しく
・できた葡萄酒の1割を王家に奉納するという約束
・1811年のヨハニスベルグ葡萄酒の出来栄えは有名
 →露土戦争後の祝賀の宴で、ビスマークがこれで乾盃

□クロスター・エーベルバッハ
・エーベルバッハ大僧院 →浅い谷間に一廓を成している古城
 →今ではすべて葡萄酒の醸造場や貯蔵場に。城門を入ったところは大酒場

□坊さんの商売
・僧侶たちが代々葡萄酒造りに終生
 →今でも、ライン・ワイン中でも特に銘醸の部類
・昔から酒についての数々の逸話

□オークション
・年に一度のライン・ワインのオークション、この僧院の二階の大ホールで開催
 →約200〜300人の世界各地から集まった酒買い
・ライン・ワインの当たり年は1921年。ところが、1945年から48年にかけての4年間が、21年にも劣らぬ当たり年。
 →大変な騒ぎに

□パンの効用
・日本の利き酒と違い、追い追いにまわってくる酔い
 →パンを取り出して、一休みする仕組み

□人が造る酒
・酸が強くて糖分が少ない北の方の葡萄
 →ドイツの酒造りは、長年の経験と科学的管理で、この欠点を補う
 →ドイツの酒は人が造った酒
・ドイツ葡萄酒といえば、すべて白いものという見方、しかしよい赤酒も
・も一つドイツ葡萄酒の特徴 →なで肩の壜の形

□スペートレーゼ(Spaetlese)
・壜のレッテル表示、特に上等品
 →スペートレーゼ …摘み取りの時季を遅らせて十分熟したもののみを選り取る
  アウスレーゼ  …良い果実のみを選って使う
  ベーレンアウスレーゼ …粒々にまで選って使う
  トロッケン・ベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese、TBA) …乾いた果粒 を選り摘んだ
・ドイツのこと、隅々までよく注意が行き届いている感

□糖分を補う
・糖分を補うことや出来上がった葡萄酒同士を混ぜ合わすこと
 →普通品では品質統一のために行うことが多い
・赤と白とを混ぜることだけは法律で禁止に

□ワインのおきて
・ドイツ・ワインの名前 
 →村名、字名、または狭い地域名などの下に「-er」の2字
・ドイツ・ワインの飲み方
 →一般に魚や鳥のような白い肉には白い酒、牛肉などの赤い肉には赤い酒
 →ラインやモーゼルの酒だけは例外の扱い
★汽車でビールの都、ミュンヘンへ

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