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優位なグローバル競争力に向けたBig Playersの動き、駆け引き

恒例のMobile World Congress(Barcelona, Spain)から、次には2011 IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)(San Francisco)を控えるこのタイミングは、ハイテク業界が次の優位なグローバル競争力の構築に向けて虎視眈眈、熱く燃えるということか、世界を引っ張る大手各社からの戦略的な発表、駆け引きが相次いでいる感じ方がある。時を同じくしたObama大統領のインテル工場訪問が、今年はさらに拍車をかけている。

≪ハイテク業界が熱く燃えた週≫

米国SIAが競争力強化をスローガンにアピールを始めて数年、今年もObama政権の施策を歓迎する姿勢と同時にさらなる注文を併せもつ次のステートメントが出されている。

◇Semiconductor Industry Praises President's Long-Term Support for Increased Science Research Funding-America's largest export industry deeply concerned over international tax provisions (2月17日付け SIA Press Release)
→半導体製造&設計の米国リーダーシップを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、Obama政権のR&D税creditの恒久および強化案並びに2012年度大統領BudgetでのNational Institute of Standards and Technology(NIST)およびNational Science Foundation(NSF)を通した重要な科学研究への出資増加を強く支持する旨。しかしながら、予算案に含まれるいくつかの国際的税金提供はSIAメンバー会社にとって長期的なグローバル競争力に逆効果である旨。

モバイル機器のプラットフォームについて、ノキアとインテルの連携が進んでいたところに、ノキアがマイクロソフトと手を組むという発表があって、インテルの今後の対応が注目される以下の動きである。

◇Nokia smartphone adopts Microsoft OS (2月15日付け EE Times India)
→Nokiaが、MicrosoftのWindows Phoneを主要smartphoneプラットフォームとして採用する計画を発表、一方、Symbianはfranchiseプラットフォームとなる旨。新しい戦略の一環として、MeeGoは次世代機器の長期的市場探求に重点化、依然今年後半にMeeGo-関連製品を出荷する計画の旨。

◇Intel says will find partners for MeeGo (2月17日付け EE Times)
→Londonでの会議でアナリストに対し、Intel社のpresident and CEO、Paul Otellini氏。Nokiaが約束を破ってMicrosoftとWindows OS開発に取り組んでいる今、IntelはMeeGoモバイルOSプロジェクトを手助けする他のパートナーを見つける旨。それは誰かには触れなかった旨。

そのインテルの最先端微細化工場建設(アリゾナ)の発表が、Obama大統領の同社オレゴン工場訪問に合わせて次の通り行われている。

◇Intel to add 4,000 U.S. jobs in 2011 (2月18日付け EE Times)
→米国Barack Obama大統領が金曜18日、Hillsboro, Ore.のIntel社fabを訪問、この間、IntelのPresident and CEO、Paul Otellini氏が、2011年に米国で主に製品開発およびR&Dで4,000 jobsを加え、Arizonaに新工場を建設することを発表の旨。

◇Update: Intel to build fab for 14-nm chips (2月18日付け EE Times)
→引き続き積極的なfab拡張の動き、Intel社が金曜18日、同社Chandler, Ariz.拠点に新しい半導体製造facilityを建設、$5B以上投資する計画の旨。当初はこの新しいArizona工場、Fab 42は、300-mm工場であるが、450-mmウェーハが使えるよう整備されればそれにも対応する旨。

一方、同社からはファウンドリー業界の急騰気味の製造capacityについて懸念のメッセージが出されている。半導体業界の中での駆け引きにも映ってくるニュアンスがあると思う。

◇Intel: foundry business is in oversuppy trouble (2月18日付け EE Times)
→Intel社のpresident and CEO、Paul Otellini氏。世界の大手ファウンドリーは、新たなプレーヤー、Globalfoundries社(Sunnyvale, Calif.)がシェア獲得を一気に目指すなど製造capacityをあまりに作り出し過ぎて、困難な時期を迎えようとしている旨。

Obama大統領の今回の一連の行事の締めと感じるメッセージである。

◇Obama says companies can help bottom line & nation-At Intel, Obama pushes spending on education, says companies can help country and bottom line (2月19日付け Associated Press)


≪市場実態PickUp≫

恒例のグローバルイベント、Mobile World Congress(2月14-17日:Barcelona, Spain)関係の記事からは、当然ながらスマートフォン、タブレットに纏わる活況が感じられる。quad-coreを巡ってNvidiaとQualcommが凌ぎを削っている。

【Mobile World Congress 2011】

◇Baseband mania hits Mobile World (2月14日付け EE Times)
→ベースバンドの熱気が今回の場に、Intel, Marvell, MediaTek, Qualcommなどがhandsetsなどの製品用ベースバンドデバイス、あるいはcell-phoneチップセットを展開の旨。ほとんどのベンダーに見通しは明るく、"ハイエンド・プラットフォームおよびローエンド中国ODMsの両方に向けて31%のスマートフォンの伸びがサプライヤに味方する"というアナリストの見方も。

◇Nvidia demos quad-core Tegra in tablet (2月15日付け EE Times)
→Nvidiaが、4-コア・モバイルプロセッサ、同社次世代のTegra、working版を展示、ライバルのQualcommを飛び越えた旨。今回の場でのこのデモは、Qualcommが2012年始めにquad-core Snapdragonを出荷と発表した1日後の旨。このNvidiaのKal-El半導体は、Android tabletで動く形のデモの旨。

◇Qualcomm tips quad-core Snapdragon plan (2月16日付け EE Times)
→Qualcomm社が、同社の次のプロセッサ・アーキテクチャーをKraitと呼ぶこと、およびクロック周波数2.5-GHzで動作できるmulti-core半導体を出していくことを発表、dualおよびquad-core版は2012年始めにサンプル出しの予定の旨。

IBMのスーパーコンがクイズ番組の王者を圧倒したとのこと。国家、経済など総合的なアドバイザーはコンピュータの方が正確に担えるのでは?スーパーコンはさらに進化し続けている。

【スパコンの話題】

◇IBM's Mira aims to beat Watson (2月15日付け EE Times)
→IBMのWatsonスーパーコンが今週クイズショーJeopardyで人類の能力に対峙する一方、IBMは、世界最高速の期待の次世代Blue Geneスーパーコン、Miraに取りかかっている旨。

◇スパコン、米のクイズ王に圧勝、本100万冊分の知識
                        (2月17日付け asahi.com)
→本100万冊分の知識を持ち、人間の言語を理解する米IBM製の人工知能「ワトソン」と、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」の王者2人の対戦の最終結果が16日夜に放送され、結果はワトソンの圧勝、1997年にチェスの王者を破ったスーパーコンピュータが、大幅に進化したうえで新たな「偉業」を成し遂げた旨。

しばらくご無沙汰のシリコンバレーであるが、建物の眺めは同じでも会社名が変わり、新陳代謝が成されているようである。

【最近のシリコンバレー】

◇主役変われど揺るがぬシリコンバレー (2月14日付け 日経 電子版)
→米カリフォルニア州シリコンバレーを回っていると、IT産業の歴史を地域全体で動態保存しているような錯覚に陥ることがある旨。
その1つは往年の名門企業の本社や拠点が新興企業に引き継がれ、現存していること。例えば、3次元画像処理で急成長したシリコングラフィックス(SGI)。Mountain Viewにあった旧本社はそのままGoogleが引き継いで本社として使っている旨。

時間の問題であった我が国と中国のGDPの逆転が、ついに確定している。当時の西ドイツに替わって2位の座についてから40年余り、これからはますます人1人当たりの生産性の質が問われていく流れを感じている。

【GDP、日中逆転】

◇GDP、5四半期ぶりマイナスに、個人消費の低迷響く (2月14日付け asahi.com)
→内閣府が14日、2010年10〜12月期の国内総生産(GDP)の1次速報値を発表、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整済み)は前期比0.3%減、年率換算で1.1%減となり、2009年7〜9月期以来、5四半期ぶりのマイナス成長となった旨。最大の理由は、個人消費の低迷、前期比0.7%減と、2四半期ぶりにマイナスに転じた旨。9月にエコカー購入補助金が終わったことで、自動車の販売台数が急減、10月からのたばこ増税を前にした駆け込み需要や夏場の猛暑といった前期の特殊要因がなくなったことも響いた旨。

◇GDP、日中逆転が確定、世界第2位の座、明け渡す (2月14日付け asahi.com)
→内閣府によると、日本の2010年の名目国内総生産(GDP)の実額は中国を下回り、米国に次ぐ世界第2位の経済大国の地位を明け渡した旨。中国が1月に発表した5兆8786億ドル(39兆7983億元)に対し、日本は5兆4742億ドル(479兆2231億円)にとどまった旨。
円高ドル安で日本のドル換算のGDPは押し上げられたものの、中国の経済成長の勢いがこれを上回った旨。


≪グローバル雑学王−137≫

最近のガソリンスタンドでの価格表示でまたぞろ上昇基調を知らされているが、全く困ったものと思いながらもこれなしでは成り立たない我々の生活である。この石油および天然ガスについて、

『世界の国 1位と最下位 −国際情勢の基礎を知ろう−』
 (眞 淳平 著:岩波ジュニア新書 664) …2010年9月17日 第1刷 発行

より現状の世界の実態に焦点を当てていく。石油を巡る歴史的な経緯、ロシアのエネルギー戦略がここでもクローズアップされてくる。


第II部 経済・政治

第6章 石油・天然ガスの生産、輸出

□石油という資源
・人類は今や、石油というひとつの資源に依存しきった生活

□オイルメジャー
・「オイルメジャー」→欧米の巨大石油企業
 →現在は5社:エクソンモービル(Exxon Mobil Corporation[Texas州]
          ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell[オランダ])
          BP(British Petroleum)
          シェブロン(Chevron[California州])
          トタル(Total[フランス])
 →油田の探鉱・掘削からガソリンスタンドの運営まで一貫した事業
  →「垂直統合」
・1928年、メジャー各社間密約、「アクナキャリー協定(achnacarry agreement)」
 →石油の生産量などを、自分たちの都合に合わせてコントロール

□OPECの石油支配
・1960年9月、石油輸出国機構(OPEC)の設立
 →当初5カ国(サウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、ベネズエラ)、現在12カ国
・1970年代以降、自国内の油田の権益をメジャーから取り上げることに成功
 …1973年に起きた第一次石油ショック
 →今や国際的な石油市場の支配者は、OPEC加盟国へ

□現在のメジャー
・その後のメジャー各社
 →ヨーロッパ北部の北海油田、アラスカ油田などの開発を積極的に推進
 →産油国との間で、資金と技術を提供することで新たな油田を開発
  :「生産物分与契約方式」(PS[production sharing]契約方式)
 ⇒今も巨大な企業規模、世界有数の巨額な利益

□ピークオイル説
・石油資源を掘りつくしてしまう時期が近いという「枯渇説」
 …「ピークオイル説」とも
・日本の石油鉱業連盟
 →枯渇するのは68年後くらい、と発表(2007年)

□最大の石油産出国はどこか
・世界一の産出国 →ロシア …世界全体の約13%相当
・ロシア経済の大きな問題 
 →経済の大きな柱が二つのみ −軍需産業
                    −エネルギー産業
・ロシアの輸出総額のうち、原油と天然ガスの割合が61%(2005年)

□サウジアラビア
・ロシアの次 →サウジアラビア …世界全体の約12%
・強大な権力を握る王家のサウド家が国全体を支配
 →欧米の価値観とは相容れない制度
・アメリカと極めて密接な関係
 →1945年2月、石油供給 対 防衛、という取り決め
  ⇒「血と油の関係」と呼ばれる両国の密接な関係
   …9・11同時多発テロとも大きな関係

□そのほかの大産油国
・2008年の推定産出量:
1 ロシア
2 サウジアラビア
3 アメリカ
4 イラン
5 中国
6 メキシコ
7 アラブ首長国連邦(U.A.E.)
8 カナダ
9 イラク
10 ベネズエラ

□アフリカの石油
・ナイジェリア、アンゴラ、リビアなど 
 →ベネズエラに匹敵するほどの産油量
・アフリカを舞台にした米中の勢力争い
 →アフリカ進出の問題点: 深刻な環境破壊
                : 国の民主化を遅らせる
・アフリカでは、各地に「中国人村」

□石油の埋蔵量
・世界国勢図会 2009/2010年版:  
1 サウジアラビア …世界全体の約2割相当
2 カナダ
3 イラン
4 イラク
5 クウェート
6 ベネズエラ
7 U.A.E.
8 ロシア
9 リビア
10 ナイジェリア

□輸入大国
・2006年時点の原油輸入量:
1 アメリカ …全体の約25%
2 日本   …全体の9%
3 中国  
4 韓国
5 インド
6 ドイツ
7 イタリア
8 フランス
9 スペイン
・新興国の石油の輸入量の急拡大

□天然ガス
・アメリカのエネルギー省
 →2030年までに、先進国における天然ガスの消費量が石油に並ぶ

天然ガスの生産 天然ガスの輸出
1 ロシア 1 ロシア
2 アメリカ 2 カナダ
3 カナダ 3 ノルウェー
4 イラン 4 アルジェリア
5 アルジェリア 5 トルクメニスタン、オランダ
6 ノルウェー 6 インドネシア
7 イギリス 7 マレーシア、カタール

□天然ガスと国際情勢
・天然ガスの輸入
1 アメリカ
2 ドイツ
3 日本
4 イタリア
5 ウクライナ
6 フランス
7 スペイン
8 韓国
・ウクライナ →今の経済的な苦境とともに、天然ガスの輸入をロシアに頼っているという現実

□ロシアの影響力
・ロシア産の天然ガスに多くを頼るヨーロッパ諸国に対し、ロシアは大きなカード
→ハンガリー 81%、チェコ 82%、ポーランド 99%、スロバキア、ルーマニア、バルト三国 100%

□ロシアの資源戦略
・四大戦略:
1.国内のガス田を開発、天然ガスの生産量を増強
2.中央アジアの天然ガス産出国との間にパイプライン、自国内に多くの天然ガスを集める
3.ヨーロッパまで延ばしたパイプラインでEU各国などに供給
4.天然ガスの開発・生産や販売などを政府が管理

□ロシアがかかえる弱点
・以下の点:
 −ロシア国内のガス田における天然ガスの生産が頭打ちに 
 −ヨーロッパ各国が、「液化天然ガス」(LNG)などの新たなエネルギー源を確保へ
 −ヨーロッパ各国や中国が、ロシア国内を経由しない独自のパイプライン
・ロシアと周辺各国との間 →天然ガスなどの資源をめぐる主導権争い

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