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半導体のみならず我が国の今後のプレゼンス、如何に?

我が国は、研究開発の種を連携して育んでいくのは得手であるが、ビジネス化にもっていくのは不得手である、という見方、議論が方々で出てくる。米国に発した半導体の種を産官学の共同研究および多彩な応用技術を加えて世界を引っ張る位置付けにもっていった我が国であるが、ビジネスのグローバル化の展開度が高まるにつれて付いていけなくなってきている。半導体に限ったことではなく、関係するいろいろな切り口の場での問題意識である。

≪講演会でのコメントから≫

ある経済クラブでの講演会を聴講、水と環境の先進的マネジメント企業、栗田工業の三東前社長(現在は公益財団法人 クリタ水・環境科学振興財団の理事長)のお話、「水のよもやま話 〜Water Management 水の利用と管理〜」である。半導体にも深く関わる内容であり、小生ながらの興味深い下り、個所のピックアップ、次の通り。

・"男の水商売"
・この地球上: 11〜12億人 →安全な水が飲めない
          26億人   →水洗など使えない
・水の自然界循環 →10から14日のサイクル
          →富士山の水は200〜300年
・日本は水の輸入国 →Virtual Water
・水のメジャー → ドイツのSiemens、米国のGE
・中国の脅威  → 北海道や鳥取県の山林、水資源買収
・複雑な日本の水行政 →それぞれ担当する省があり、横ぐしの機関がない
・水道の民営化 →大きい初期投資、水道管のメンテ
・美味しい水の要素 *味 …ミネラル(Ca、Mg)、炭酸ガス、酸素
             *温度
             *匂い
・フランス …硬水(石灰岩)
 日本   …軟水
・九州は軟水、IT産業や焼酎に適する
・欧州での日本料理 →硬水ゆえ美味くない
・産業用水 1.半導体 −−−超純水、超々純水
        2.医薬
        3.原子力発電所
・海水の淡水化 →逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)
・地下水の浄化 →東京・豊洲の例
・RO膜 →日本が65〜70%のシェア
 …東レ、東洋紡、帝人、日東電工など
・超純水の不純物濃度 →1ng/L(1ppt)以下
 ⇒東京ドーム1杯分の水の中に許される不純物量:角砂糖 1/3個程度
 ※ダンプに3杯でも普通には十分美味しい
・最近の半導体工場 →Closed System …水の再利用

命を支える水の重みとともに、半導体での利用が引っ張る位置付けを改めて感じるところである。講演に続く意見交換で、NHK出身の方より以下のコメントがあった。

*技術立国日本の番組取材で、64Kビットから256Kビットの頃、九州の半導体大手を訪問
*特殊技術の約100社といっしょにやれるからできること、と工場長のお話
*この連携スクラムが世界一リードの源泉、大手1社でできることではないことを知らされた
*世界一番でなければ、と改めて感じる今

新興経済圏の市場が爆発的に拡大しているグローバル経済のなかで、我が国のプレゼンスは如何にあるべきか、ここでもまた考えさせられている、


≪市場実態PickUp≫

スマートフォンの急伸長ぶりを改めて知らされる2010年データである。同時にAndroidの急伸も然り、ノキアを巡る厳しい状況が浮かび出ている。

【smartphones出荷】

◇IDC: Smartphones out shipped PCs in Q4 (2月9日付け EE Times)
→International Data Corp.(IDC)発。2010年第四四半期にグローバルに出荷されたsmartphonesは約101M台、該四半期に出荷されたPCs台数を上回った旨。
・2010年第四四半期のsmartphonesトップ5ベンダー
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/110209_idc_smartphones1.png
・2010年のsmartphonesトップ5ベンダー
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/110209_idc_smartphones2.png

◇Android gains on Symbian-Android continues to gain smartphone OS market share as Symbian backer Nokia struggles and smartphone sales surge. (2月10日付け Electronics Design, Strategy, News)
→GartnerおよびIDC(International Data Corp)が今週、2010年間および第四四半期smartphone市場データを発表、第2位のsmartphone OS、Androidが急伸の旨。
2010年世界smartphoneのOS別販売(単位:K台)、次の通り。


2010年
2009年
台数
シェア
台数
シェア
Symbian
111,576.7
37.6
80,878.3
46.9
Android
67,224.5
22.7
6,798.4
3.9
Research In Motion
47,451.6
16
34,346.6
19.9
iOS
46,598.3
15.7
24,889.7
14.4
Microsoft
12,378.2
4.2
15,031
8.7
その他OSs
11,417.4
3.8
10,432.1
6.1
≪総計≫
296,646.6
100
172,376.1
100

  Source: Gartner, February 2011

◇Nokia's Microsoft deal clouds Finn's future (2月11日付け EE Times)
→主要スマートフォン・プラットフォームとしてのWindows Phone採用を軸とするNokiaの新しい戦略は、Microsoftにとっては大勝利であるが、Nokiaの長期的なleadershipについてはいくつかの疑問が出てくる旨。

パソコンNo.1のHPが、タブレットおよびスマートフォンにもついに進出、ますます競走激化の様相である。

【"ガリバー"目指すHP】

◇HP brings out webOS tablet, smartphones (2月9日付け EE Times)
→予想通り、Hewlett-Packard Co.が水曜9日、Palm社が開発したwebOSモバイルOSに基づく同社初のtablet、HP TouhPad(9.7インチディスプレイ)およびsmartphonesを投入する旨。

◇米HP、独自OSをPC・携帯端末に展開、競争激しく−マルチタスク対応のタブレット投入 (2月10日付け 日経 電子版)
→米Hewlett Packardが9日、独自開発したOSを搭載したパソコンを今年後半に発売することを明らかにした旨。高機能携帯電話(スマートフォン)や多機能携帯端末「タブレット」にも同じOSを採用する旨。昨年7月に買収したPalmの「webOS」をパソコンなどのIT機器やプリンターに幅広く搭載、パソコンからスマートフォンまで単一のOSで操作できる利便性を武器に、"ガリバー"に挑む形になる旨。

先週出てきたIntel社のcompanion半導体の設計問題への対応、次の通りである。

【Intel社設計問題】

◇Intel resumes shipments of flawed chip (2月7日付け EE Times)
→Intel社が、先週明らかにした設計問題の影響を受けないPCシステム構成に限って、同社6 Seriesチップセットの出荷を再開、また新しいバージョンの製造を始めており、2月半ばに出荷開始予定の旨。

◇Intel shipping error-ridden chips again, cites demand-Intel stressed that only computer makers that have committed to shipping the Intel 6 Series chipset in PC system configurations that are not impacted by the design issue will be receiving these shipments. (2月8日付け Electronics Design, Strategy, News)

特許関係で注目される2つの動きである。

【特許関係】

◇Intel, GE: Debates narrow on patent reform (2月11日付け EE Times)
→米国下院司法委員会の聴聞会にて、金曜11日、特許改革に向けての推進がいくつかの観測筋が予想するよりも上手くいきそうな可能性の旨。

◇IBMとサムスン、特許を相互利用、米での取得数1・2位 (2月9日付け 日経 電子版)
→IBMとサムスン電子が8日、それぞれが保有する特許を相互に利用しやすくする包括的なクロスライセンス契約を結んだと発表、相手の特許を自由に無償で利用できるようになり、製品やサービス開発のスピードアップやコスト削減が見込める旨。米国特許取得件数1位と2位の米韓企業の連携は、日本企業の知的財産権戦略にも影響を与えそうな旨。

最近富に機密漏洩に絡む記事が目に入ってくる。中国市場に向けての内容がどうしても目立つ現状である。

【機密漏洩】

◇Man charged with stealing trade secrets (2月8日付け EE Times)
→Baton Rouge, La.連邦陪審が今週、Dow Chemical Co.の企業秘密を盗用、中国の会社に売ったとして、前リサーチscientistを有罪宣告の旨。

◇Four charged with insider trading (2月8日付け EE Times)
→米国証券取引所委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)が火曜8日、ハイテクメーカー従業員から得た秘密情報を違法に取引したNew Yorkのhedge fundおよびhedge fund portfolioマネージャーとアナリスト4人を告発の旨。


≪グローバル雑学王−136≫

軍事力について、米国の圧倒ぶり、米国に対抗する核戦力を有するロシア、兵力最多の中国など、現状の姿を

『世界の国 1位と最下位 −国際情勢の基礎を知ろう−』
 (眞 淳平 著:岩波ジュニア新書 664) …2010年9月17日 第1刷 発行

より把握していく。我が国の置かれる立場、我が国の四方を巡る様々な対外問題を考えさせられる。


第II部 経済・政治

第5章 軍事力

□総額115兆円!
・世界の軍事予算を合計 →約1兆2800億ドル(約115兆円)(2007年)
・アメリカ・コロンビア大の経済学者、ジェフリー・サックス教授など試算
 →先進国のGDPの0.7%に相当する資金が使えれば
 ⇒2025年には最貧国をなくすことが可能(2008年時点)

□アメリカの巨大な軍事力
・世界最大の軍事大国 
 →(その通り)アメリカ :5530億ドル(約50兆円)(2007年)
             ⇒世界全体の43%以上
 →2009年では6650億ドル(約60兆円)
・アメリカ一国で、世界中を壊滅させることもできるほどの核戦力
 →アメリカに対抗する核戦力を保有するのはロシアだけ
  …核戦力の整備に重点的につぎ込み

□地球の海を支配する海軍力
・アメリカの軍事力の特徴 →巨大な海軍力、世界中の海を支配
 →6つの艦隊と無数の監視衛星
  …各艦隊は、いわば「動く軍事要塞」
  …世界中のいたるところに、アメリカの監視の目

□153カ国に兵員を派遣
・アメリカは、2001年9月時点、153の国に約25万5000人の兵員を派遣
・アメリカの主要な基地は30〜40カ国
・基地を置く多くの国々との間で、「地位協定」という取り決め

□戦略の変化
・冷戦の終結 →新たな脅威の浮上
 ⇒中東での紛争
 ⇒テロの脅威
 ⇒朝鮮半島や台湾海峡での紛争の可能性

□米軍が抱える課題
・最大の課題 →イラクとアフガニスタンにおける戦闘
・将来の懸念 →中国軍の急激な増強への対処
 …2010年1月、中国側の発言: 東アジアに「Access Denial Zone(ADZ:進入拒否ゾーン」を設ける

□最新兵器の開発も進む
・一例として、「全地球測位システム」(GPS) →もともと軍事用に開発
・代表的な無人兵器「プレデター(Predator, 英語で捕食者、略奪者の意)」
 …全長8mほどの偵察機
・現在、米軍が開発に力
 →「ブレインマシン・インタフェース」(Brain-machine Interface : BMI、脳介機装置)
 …人と機械の意思や情報の仲介のためのプログラムや機器であるマンマシンインタフェース(人介機装置)のうち、脳波を解析して機械との間で電気信号の形で出入力するためのプログラムや機器[BIGLOBE百科事典]
 →考えたことの一部を読み取れるシステムへ

□中国の軍事力
・世界第2位の軍事大国 →現在、中国ではないか
             :2006年軍事支出 1219億ドル(約11兆円)
・中国軍の総兵力 →世界最多、約219万人
・「ステルス性」(stealth:レーダーに探知されにくい)機能をもつ最新式戦闘機の開発も

□核戦力と空母の保有
・中国の核戦力 →アメリカ、ロシアに次ぐ世界第3位の規模
 →最新式の原子力潜水艦を建造しつつある、という報道
・中国は、空母の保有にも乗り出す
 →ペルシャ湾から石油などを運んでくる日本のシーレーンは、中国のシーレーンと重なる部分が多い
 →日中間の懸案事項となる可能性
・また中国は、
 →中南米の国々との間で、軍事交流を活発化
 →インターネットを使った「サイバー攻撃」では世界屈指の能力
  …国内各地に「電子戦団」を配置

□ロシアの強大な核戦力
・ロシアの軍事予算 →約700億ドル(約6兆3000億円) …世界第3位
・強大な核戦力を、自国の軍事戦略の中核に
・海上兵力や航空兵力も強大 →アメリカに次ぐ世界第2位
・ロシアの正規軍の数 →103万人:世界第5位→中国、アメリカ、インド、北朝鮮に次ぐ

□世界でも有数の日本の軍事予算
・日本の軍事予算の状況 →約4兆7700億円(2009年度)
 …GDPに占める割合は比較的低い →0.93%(2007年)
  →日本の軍事力は、経済と比べればかなり小さい規模、と相対的にはいえる

□アメリカとの関係
・2009年後半から2010年にかけて考えさせられる問題
 →沖縄・普天間基地の日本への返還をめぐる動き

□軍事力が世界一小さい国
・軍事力最小 →「非武装国家」と呼ばれる国
 …中米のコスタリカ、パナマ
  ヨーロッパのアイスランド、リヒテンシュタイン、バチカン
・リヒテンシュタイン →隣国スイスが防衛を肩代わり
・パナマ →アメリカがパナマの軍隊を強制的に解散させた事情

□コスタリカ
・1948年、大統領選挙後の混乱から内戦
 →国民の間に戦争への嫌悪感

□アイスランドのケース
・OECD加盟の先進国中唯一、非武装のアイスランド
 →NATOに加盟 →今まで非武装という選択が可能に
  ・米軍も、2006年9月に撤退 →軍隊がいないという状態が、現在も

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