セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

連携の力でOnly One, Best Oneを! 半導体そして我が国

米中首脳会談で中国の経済力を前面にした台頭ぶりを感じさせられたのと同じタイミングで、中国のGDPが前年比10.3%増で我が国を抜いて世界2位の座を明け渡す状況になっている。当時の西ドイツを我が国が抜いて40年あまりのこと、大きな節目ではあるが様々な国力指標というものから見れば自然な流れとも思う。半導体の世界は、先行して規模の市場は中国はじめ新興経済圏にシフトしており、簡単なようでなかなか難しい連携の力でOnly One, Best Oneを生み出していかなければ、とますます考えさせられている。

≪強みの発揮のやり方≫

汗をかいた結果として"世界の工場"から"世界の市場"へ急速に転身して、現在に至っている中国の勢いという捉え方であるが、米中首脳会談ではやはり経済力を前面に押し出したやりとりとなっている。

◇中国、米航空機200機購入 (1月19日付け 共同通信社)
→米政府が19日、航空機大手ボーイングの航空機200機を含む総額約450億ドル(約3兆7千億円)の米国製品を中国が購入することで合意したと発表、胡錦濤中国国家主席の公式訪米に合わせた大型商談は、巨額の対中貿易赤字に対する米国の不満を和らげる狙いがある旨。米国は中国に対し、さらなる人民元相場の切り上げを求めるなど、貿易不均衡是正は首脳会談の主要議題になっていた旨。

時間の問題ではあるが、GDPについて次の通過点となっている。今後は人一人当たりのGDP水準というものが問われていく流れと受け止めている。

◇中国、GDP世界2位へ、前年比10.3%増で日本抜く(1月20日付け asahi.com)
→中国国家統計局は20日、2010年の国内総生産(GDP)が、物価上昇分を除いた実質で前年と比べて10.3%増えた、と発表、前年の9.2%を上回り、3年ぶりに2けた成長を回復した旨。2010年の名目GDPは39兆7983億元(約5兆8812億ドル)で、日本を抜き、米国に次いで世界2位になることが確実になった旨。日本は1968年に西ドイツ(当時)を追い抜いて手にした「世界2位の経済大国」の看板を下ろすことになる旨。

IBMのパソコン事業を買収したLenovoと、我が国内市場では草創期から長きにわたってリードしているNECが、パソコンで連携するという動きとなっている。市場規模の支点が移って、新たな技術シーズによる市場創出を図らざるを得ないというグローバルな経済の流れを象徴していると感じるところである。

◇NEC、レノボと合弁、パソコン日中連合 (1月21日付け 日経 電子版)
→NECが中国のパソコン最大手、レノボ・グループ(Lenovo:聯想集団)と合弁でパソコン事業を展開することで最終調整に入った旨。日本と中国市場のパソコン首位同士で連合を形成、開発や生産、資材調達を一体化し規模拡大で競争力を高める旨。年内にもNECのパソコン事業会社にレノボが過半を出資する方向、日中を代表する企業が連携し世界市場を本格的に開拓する初のケースになりそうな旨。

新たな市場創出に向けた国を挙げた取り組みが今後ますます必要になってくるが、我が国ではどうか。年頭に菅首相が、「本年を、明治の開国、戦後の開国に続く、『平成の開国』元年にする」という所感を発表している。具体的には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など貿易自由化に向けた交渉・協議を本格化させ、「開国と農林漁業の活性化を両立させる政策」を、今年前半までに打ち出すとしている。

最も近いお隣の韓国、これは昨年の春のことではあるが、知識経済部が知識経済R&D戦略企画団長に黄昌圭(ファン・チャンギュ)・元サムスン電子社長を任命している。半導体メモリで「黄(ファン)の法則」という新成長論を打ち上げた同氏が、国家の最高技術責任者の位置付けという理解であり、徹底的な選択と集中を施す同国の強みの発揮のやり方を感じるところである。

東京の便利さ、地方の充実と、社会インフラの上質ぶりを海外の方々からよく評される受け止め方をもっているが、我が国ならではの繊細さ、雅さを前面に織り込んだ市場拡大、技術展開が我が国の強みの軸になるか、連携力の源泉になるか、と頭に巡ってくる。

半導体の世界も様々な壁に当たって、どのように連携してステップアップを図るか、依然といろいろな場で議論、模索が続いている。

◇Collaboration leads to the clouds at Common Platform panel (1月19日付け Electronics Design, Strategy, News)
→火曜18日のCommon Platform Technologyフォーラム forum(Santa Clara)でのIC設計コラボについてのパネル。チーム、会社の壁そして国境を横断して如何に上手く設計コラボを達成できるか、設計managers、ファウンドリーおよびEDA代表、そしてintegrated device manufacturer(IDM)からのエキスパートが一緒に解決策を模索。結果としてコラボそのものであり、受け取り方、経験そして設計プロセスの新しい見方を分け合うことであった旨。

先端技術の前進に連携が欠かせない、とSEMATECHからのメッセージである。

◇450mm, TSV, EUV transitions: What role does government play? (1月19日付け Electro IQ)
→SEMI Industry Strategy Symposium(1月9-12日:Half Moon Bay, CA)にて、SEMATECHのpresident & CEO、Dan Armbrust氏。半導体業界が直面している次の大きな技術移行について、コラボの役割をプレゼンの旨。 
 ・lithography (EUVの導入)
 ・interconnects (TSVsおよび3D packaging)
 ・productivity (450mmウェーハ製造)

現実として、先端CMOSロジック・ファウンドリー製造を見ても、130-nmノードでは10数社あったものが、22/20-nmでは対応できるのが3社になりそうという状況である。それぞれの強みの発揮と如何に連携してOnly One, Best Oneを作り出していくか、今後の前進に欠かせない重要なテーマと思う。

◇Consolidation Thins the Ranks of Leading-Edge Semiconductor Foundries (1月20日付け iSuppli Corporation)
→high-volume, 先端半導体ファウンドリー製造に対応できるのは、2011年末までに次の3社に限られてくる可能性の旨。
 TSMC GlobalFoundries Samsung Electronics Co. Ltd.
130-nmから22/20-nm先端CMOSロジック製造対応先リスト、下記参照。
http://www.isuppli.com/Semiconductor-Value-Chain/MarketWatch/Pages/Consolidation-Thins-the-Ranks-of-Leading-Edge-Semiconductor-Foundries.aspx


≪市場実態PickUp≫

米Apple社のCEO、Steve Jobs氏が、無期限休養を発表、その翌日には同社の直近四半期の過去最高の業績発表が行われている。同社の一連の大ヒット製品を引っ張ってきているカリスマ的存在の必要性、今後への波紋を伝える記事が早速見られている。

【Steve Jobs氏休養】

◇米アップルのジョブズ氏が病気で休養、CEOは継続 (1月17日付け 日経 電子版)
→米アップルが17日、スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が病気療養のため休養すると発表、日常業務はティム・クック最高執行責任者(COO)が代行、CEO職には留まる旨。

◇3度目のカリスマ不在、揺れるアップル、期限明示なく (1月18日付け 日経 電子版)

◇Five reasons Apple needs Steve Jobs (1月18日付け EE Times)
→次の5つの切り口:
 The vision
 The drive
 The showmanship
 The fan club
 The stock price

IBMを軸とするCommon Platform Technologyフォーラム forum(Santa Clara)が開催され、最先端のhigh-k metal-gate技術について、今までTSMCやIntelが取り組んでいて対抗する側にあったgate-last陣営に、20-nmノードではIBMなどがgate-firstから移行する動きとなっている。  

【最先端HKMG】

◇Update: IBM 'fab club' switches high-k camps (1月18日付け EE Times)
→驚く展開、IBM社の''fab club''がhigh-k陣営を切り換えている旨。32-および28-nmノードでgate-first high-kアプローチを推進後、IBMの技術パートナー(AMD, Globalfoundries, Samsungなど)が20-nmノードでは対抗するgate-last技術に移る展開の旨。

2011年半導体市場関連データについて、具体的な見込み数値がいくつか発表されている。2010年の半導体購入額トップ10のGartner社データでは、2010年の半導体市場が$300.31Bと表されている。

【市場&ランキング・データ】

◇Hot, cold IC markets for '11 (1月20日付け EE Times)
→IC Insights社が同社forecastイベント(SAN JOSE, Calif.)にて示した本年の熱い市場と冷めた市場の見方。IC市場全体は、昨年の30%増に対し、本年は10%増、製品カテゴリー別のデータ、下記参照。
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/110120_ic_insights_markets1.png

◇Five IC makers join $3B 'capex club' (1月21日付け EE Times)
→IC Insights社発。2011年の半導体capital spendingは、15%増の$59.070Bの見込み、$3B以上は5社(Samsung, Intel, TSMC, GlobalfoundriesおよびHynix)、これは2010年と同数、2009年より3社多い旨。
・2011年半導体capital spending予測・トップ25ベンダー
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/110121_icinsights_capspending.png
・2011年対2010年半導体capital spending変化量ランキング
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/110121_icinsights_capspending_2.png

◇Top ten OEMs buy 34% of chips, says Gartner (1月21日付け EE Times)
→Gartner社発。Hewlett Packard(HP)がリードするトップ10・OEMsが、2010年半導体購入額$104.3Bとなり、34.7%を占める旨。2010年の半導体市場全体は$300.31B、2009年から33.7%増の旨。
・2010年半導体購入トップ10・ベンダーランキング
http://www.eetimes.com/electronics-news/4212383/Top-ten-OEMs-buy-34--of-chips--says-Gartner

今後の有望市場として医療エレクトロニクスが取り上げられてきており、その米国での規制に注目が集まるとともに、この分野で中国をはじめとする追い上げが目立ってきている状況がある。もう一つ、長きにわたる論議の的の特許改革であるが、上下両院での進捗に注目である。

【米国での改革、規制論議】

◇FDA to change 510(k) process 25 ways (1月19日付け EE Times)
→米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)が、医療エレクトロニクス機器に向けて最も広く用いられる規制方針、510(k)プログラムに対して2011年に変更を施す25の領域を同定の旨。

◇Report: China rising as medtech innovator (1月18日付け EE Times)
→Price Waterhouse Coopers発。医療技術で中国、インドおよびブラジルが米国に追いついてきており、革新的なリソースや活動が欧米からシフトしている旨。米国は依然リードしているものの、差の狭まりが米国のjobs、輸出および医療技術へのアクセスにインパクトを与える可能性の旨。

◇Patent reform back on tap in U.S. Congress (1月20日付け EE Times)
→特許改革が米国議会で議論される運び、上院では1月25日にPatent Reform Act of 2011が上程され、下院でも現会期中に出される旨。いわゆるfirst-inventor-to-fileシステムへの変更および侵害損害賠償についての制限を目指している旨。


≪グローバル雑学王−133≫

国土面積に続いては、これも国の活性力の大きな指標となる人口である。人類全体に遡って始まって、主要各国の推移、そして今後の予測を、

『世界の国 1位と最下位 −国際情勢の基礎を知ろう−』
 (眞 淳平 著:岩波ジュニア新書 664)…2010年9月17日 第1刷 発行

より認識を満たしていく。我が国の人口推移を見るだけでも、認識を新たにすることが多々出てくる。


第I部 地勢・人口

第2章 人口

□五万年間の人口推移
・推計:
 5万年前の総人口   約200万人
 2万2000年前     350万人程度
 紀元前8000年     500万人前後
 紀元前3000年頃    1400万人程度
 西暦1年頃      1億7000万〜4億人
 西暦500年      1億9000万〜2億600万人
 西暦1000年      2億5400万〜3億4500万人
 西暦1500年      4億2500万〜5億4000万人
 西暦1800年      8億1300万〜11億2500万人
・18世紀後半以降、先進国で産業革命
 →生活水準が向上、医療技術や公衆衛生の制度も発展
 →人口が各地で急激な増加
・1950年  約25億2935万人
 2000年  約61億1537万人

□将来の人口
・2008年発表の中位推計:
 2010年 約69億869万人
 2020年 約76億7483万人
 2030年 約83億890万人
 2040年 約88億120万人
 2050年 約91億4998万人

□出生率の低下
・1790年以前のヨーロッパ 
 →結婚した女性が生む子どもの数、平均おおむね7人以上、という調査結果
・産業革命の進展 →先進国では、子どもを少なく生んで、生まれた子を大切に育てる、という家族のあり方が定着
・現在、先進国では、ほとんどの国の出生率が2を下回る
 →出生率が2以下…その国の人口が将来的に減っていくことを意味
・国連人口部発の世界全体での出生率 1970年→約4.5
                   2000年→ 2.7
・世界の人口は21世紀中にピークを迎えるとする推計も

□人口大国・中国
・歴史書などから大まかな傾向:  
 西暦2年(漢)     約7100万人
 88年(後漢)      約4400万人
 606年(隋)      約5400万人
 705年(唐)      約3700万人
 1193年(南宋+金)  約1億2000万人
 1290年(元)      約8600万人
 1393年(明)      約6100万人
 1751年(清)      約2億 100万人
 1851年(清)      約4億1800万人
 1975年(中華人民共和国)  約7億2500万人

□中国の一人っ子政策
・1980年、本格的に始まった一人っ子政策
・2009年、中国政府の推計 →2033年前後、国内人口が約15億人でピークに
・一人っ子政策の弊害
 …「黒孩子(ヘイハイズ)」(戸籍外の子ども)の存在
 …人工的に流産
 …女の子100に対して、男の子が121以上(2004年)
  →将来的に「男あまり」の国に

□急速に進む高齢化
・人口に占める65才以上の「高齢者」の割合: 
 7%を越える  →「高齢化社会」
 14%を越える →「高齢社会」
・日本を含む先進各国は、すでに高齢社会
・中国は、2001年に高齢化社会、2026年前後には高齢社会に

□インドの人口の未来
・中国に続く人口大国、インド →11億8000万人強(2008年)
 →増加率が中国よりも高い
 2020年 約13億6723万人
 2030年 約14億8460万人
 2040年 約15億6476万人
 2050年 約16億1380万人
・2025年〜2030年には中国を上回る?
 →ただしインドでも、出生率は急速に低下

□第三の人口大国
・それはアメリカ →約3億1167万人(2008年)
・出生率が2.10と比較的高い水準(2006年)
 →2030年  約3億6998万人
  2050年  約4億393万人
・これまで積極的に海外からの移民を受け入れてきた歴史
・徐々に白人の割合が低くなり、将来的にはアメリカにおける人口構造が変わっていく可能性
       白人   ヒスパニック  黒人   アジア系
 2008年: 約66%  約15%     約14%  約5%
 2050年: 約46%  約30%     約15%  約9%

□人口が減少する日本
・日本 →1億2800万人弱(2008年) ⇒世界10位
・今後 2020年 約1億2366万人
     2030年 約1億1742万人
     2040年 約1億980万人
     2050年 約1億166万人
・振り返ると 1950年 約8282万人
        1970年 約1億 445万人
        1990年 約1億2319万人
・民主党の「子ども手当」→この事態への危機感

□「超高齢社会」となった国
・65才以上の「高齢化率」21%以上 →「超高齢社会」
 ⇒現在1カ国だけ、我が日本: 22.1%(2008年)
                  人口統計上「子ども」14才以下は13.5%
・続くのは、イタリア 19.9%
       ドイツ  19.5%
・ほかは  アメリカ 12.4%
       中国   8.1%(2007年)
       インド  4.8%(2001年)
       韓国   9.9%

□2030年の姿
・日本の高齢化率 → 2020年 29.2%
            2030年 31.8%
 ⇒日本は、世界に先駆けて超々高齢社会を体験することに
・先進各国も、傾向としてはおおむね同様
・韓国や中国でも、高齢化の進展は急ピッチ

□出生率が増えた北欧やフランス
・フィンランドの出生率  → 1.50(1973年)
                    1.85(2008年)
 ⇒数10年という時間をかけて徐々に上げていった

□フィンランドの少子化対策
・「出産休業制度」の導入
・「児童手当」の充実 → 第一子   約1万1500円/月
                第二子   約1万2700円/月
                第三子   約1万6200円/月
                第四子   約1万8600円/月
                第五子以降 約2万 900円/月
・「ネウボラ」と呼ばれる出産・育児の相談所の整備

□人口最少の国・バチカン
・世界人口最少 →バチカン おおむね800人前後 
・事務職員約3000人 →多くはイタリアの周辺地域から通勤

□そのほかの人口小国
・次 →ツバル(中部太平洋)    約9700人 (2006年)
・その次 →ナウル(中部太平洋)  1万 100人強(2006年)

月別アーカイブ