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余勢を駆った設備投資、中国傾斜、タブレット戦略・・早くも激動

2010年のグローバル半導体販売高は32.1%増の約$299.0 Billionという最新の見方があって、長らく念願の$300 Billionの大台突破は僅かながら届かないか、という状況である。それでもこの飛躍的な伸びの勢いを引っ張って、インテルの直近第四四半期および2010年間の販売高最高記録更新、Globalfoundriesの2011年設備投資倍増と、今後の伸びへの期待を膨らませる材料が出てきて、引き続き注目の中国とともに早くも激動の空気である。

≪インテルの好業績、激動に拍車≫

2010年の伸びとなるとまず思い浮かぶのが中国市場であるが、象徴する一つが、2位の米国を圧倒的にリードする結果となった新車販売市場である。偶然ながら32%増の勢いはここにも表れている。

◇中国の新車販売、2年連続世界一、32%増の1806万台−2010年も米国上回る(1月10日付け 日経 電子版)
→中国の自動車メーカー業界団体、中国汽車工業協会は10日、2010年の新車販売台数(中国国内分、輸出や商用車を含む)が2009年比32.37%増の1806万台だったと発表、2009年に続いて米国(1159万台)を上回り、2年連続で世界最大市場となった旨。世界自動車大手の中国重視が加速しそうな旨。

この余勢を駆って、ファウンドリー業界で積極的な設備投資増強の動きである。とりわけAMDから離れて製造部門独り立ちのGlobalfoundriesが、アブダビ首長国の資本力をもとに急浮上を図る様相である。

◇Globalfoundries to double capex (1月10日付け EE Times)
→この週末にBloomberg new serviceから第一報。Globalfoundries社が、2011年capital spendingを倍増、$5.4Bにする計画の旨。Gartner社集計データではこれだと3位に相当、これまでは$3.2Bと見られていた旨。

◇Foundry capacity glut seen in '11 (1月11日付け EE Times)
→HSBCのアナリスト、Steven Pelayo氏。2011年も先端ベンダーが出資増強、ファウンドリー事業でのいわゆるcapital spending"軍備競争"が引き続く旨。

今後に向けての市場の勢いとパソコン・タブレット市場の凌ぎ合いを予感させるのが、インテルからの2010年第四四半期および年間売上げの最高記録更新発表である。ここでも余勢を駆って2011年の設備投資が一段と強化される動きになっている。

◇Intel beats estimates on record sales (1月13日付け EE Times)
→Intel社(Santa Clara, Calif.)が木曜13日、第四四半期および2010年年間について販売高が最高を記録と発表、また、本年のcapital spendingを昨年比73%増やす旨。
第四四半期販売高$11.5B、前四半期比3%増、前年同期比8%増。2010年年間販売高は$43.6B、2009年比24%増、net incomeは$11.7Bで同75%増。

◇Intel plans $9B 2011 capex on record 2010-CEO Paul Otellini says 2010 was the best year in Intel's history and that 2011 will be even better with growth supported by moves to 22 nm, increased capital spending, and R&D investments.(1月14日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Intel社が、誇るに足る第四四半期業績で最高記録の年、2010年に、2011年のcapital spendingを$9Bに計画している旨。

モバイルcomputing市場でのインテルとARMの鬩ぎ合いが焦点になってきているが、Texas Instrumentsもどっこい健在で、Research in Motion(RIM)製品でタブレット参入である。

◇TI gets first tablet socket in RIM PlayBook (1月10日付け EE Times)
→Texas Instruments(TI)社が金曜7日、Research in Motion(RIM)社の来るlackBerry Playbookタブレットに入っているアプリ・プロセッサはTIのOMAP 4430であると確認、話題騒然のタブレット前線でTIのOMAPが初めて公式に確認されたことになる旨。

インテルの業績も、クリスマスholiday seasonの個人向けが弱含みと言われる中で健闘したのが企業向けで、これが大きく効いたとされているが、第四四半期のパソコン出荷がそれをよく表わしている。

◇Global PC shipments climbed 3.1% in 4Q10 (1月13日付け EE Times)
→Gartner社速報。2010年第四四半期の世界PC出荷は93.5M台、前年同期比3.1%増。予想よりも低い伸び、企業向けは堅調だが、holiday売上げが弱いのが原因の旨。2010年間では総計350.9M台、前年比13.8%増。
GartnerのPC分類には、iPadのようなtablet PCsは含まれない旨。

タブレットの急増により、関連supply chainに混乱をきたす状況が見られてきている。

◇Tablet flood to disrupt display, HDD markets(1月13日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。Apple社のiPadのような新しいmedia tablet製品の急増が予想されて、グローバルディスプレイ業界に混乱、ディスプレイメーカーがtabletカスタマーからの活況の需要に応えようとして、不足および過剰在庫の両方の事態が起きている旨。

パソコンとタブレットの境界がますます難しくなっていく様相があるなか、各社の戦略、はたまた業界構図の進展・変貌に目が離せないところがある。

◇インテル、スマートフォンに軸足、脱PC進む−「ウィンテル」勢力図、大きく変動も(1月14日付け 日経 電子版)
→半導体各社がパソコンへの依存を減らす「脱PC戦略」を加速する旨。インテルは2011年からスマートフォンなどモバイル端末の頭脳となる半導体の供給を本格化、持ち運びが便利な携帯型情報端末は、年内にパソコンの出荷台数を上回る見通しの旨。脱PC戦略次第で、業界勢力図にも変化が起きそうな旨。


≪市場実態PickUp≫

上記の激変の煽りが一端にあるのか、製造のGlobalfoundriesと昨年分離したAMDにおいて、トップ辞任の事態となっている。

【AMDのトップ辞任】

◇CEO Meyer resigns from AMD (1月10日付け EE Times)
→Advanced Micro Devices(AMD)社のpresident and CEO、Dirk Meyer氏が、2年の同社top executive在任を経て辞任、同社のchief financial officer and senior vice president、Thomas Seifert氏が当座のCEOを務める旨。

早速に要らぬお世話の次のトップを占う記事が見られる。

◇Eight possible candidates for AMD's top job (1月11日付け EE Times)
→board of directorsとの"mutual agreement"でAdvanced Micro Devices(AMD)社のCEO職を辞したDirk Meyer氏。その後を継ぐ候補者についてEE Timesのeditorsが全く非科学的なノミネートを行った記事。
8人の顔ぶれには、1969年の設立から2002年までAMDのCEOを務めたJerry Sanders氏も入っている。

メモリの代表としてどうしても激変に曝され続けるDRAMであり、今後また熱い活況を呈する携帯情報端末のキーデバイスとして価格の変動の波を大きく受けそうである。2013年までの次の予測が出ている。

【グローバルDRAM販売高】

◇DRAM decline to last to 2013, says iSuppli (1月12日付け EE Times)
→iSuppli社発。グローバルDRAM売上げが、ビット数は増加するにも拘らず、2013年まで次の通り減っていくと見る旨。
 2010年  2011年  2013年
 $40.3B  $35.5B   約$25B
 77.5%増 11.8%減
グラフ図面、下記参照。
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/News/2011-01-10_DRAM.jpg

iPhoneの売上げが大きく拡大しそうな以下の動きである。

【iPhone販路拡大】

◇米ベライゾン、2月10日に「iPhone4」発売 (1月12日付け 日経 電子版)
→米携帯最大手、ベライゾン・ワイヤレスが11日、米アップルの高機能携帯電話「iPhone4」を2月10日から発売すると発表、2007年の初代iPhone発売以来、米市場では携帯2位のAT&Tが同製品を販売してきたが、今回のベライゾン参入でAT&Tの「独占体制」は終わることになる旨。
ベライゾン・ワイヤレスの携帯契約者数は9320万人、AT&Tは9280万人、米市場の2強が揃って販売することを受け、アイフォーンの販売は大幅に伸びる見通しの旨。

R&D投資のランキングにファウンドリーメーカーが顔を覗かせるようになったという以下のデータは、最先端プロセス開発へのTSMCをはじめとする入り込みというここ数年の新たな事態を映し出している。

【TSMCのR&D投資】

◇TSMC vaults into top 10 in R&D spending (1月13日付け EE Times)
→IC Insights社発。2010年半導体R&D投資ランキング・トップ10に、専業ファウンドリーとして初、TSMCが10位に入った(2009年は19位)旨。
データ内容、下記参照。
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/110113_icinsights_rd_tsmc.png

恒例の年初ISSでの当たるも当たらぬも八卦の今年の市場の伸び具合である。昨年は30%を越える伸びを示したIC市場であるが、今年は冷め加減の一桁半ばから10%という正規に戻る見方となっている。新興市場の熱気とパソコン&タブレットの激変に注目しながらのアップデートということになりそうである。

【SEMIのIndustry Strategy Symposium(ISS)】(HALF MOON BAY, Calif.)

◇ISS: Fearless forecasts for 2011 (1月10日付け EE Times)
→今回の場、アナリスト連からの恐れを知らない予測:

Gartner社ウェーハ前工程装置市場
-4〜-5%
IC市場
+4.6%
IC Insights社IC市場
+10%
Semico Research社IC市場
+8%
VLSI Research社Fab tool市場
-5%
IC市場
+4.4%


≪グローバル雑学王−132≫

世界約200ヶ国について、いろいろなパラメータをとり、その第1位と最下位はどこかを見ていくことにする。分かり切っているところもあろうが、歴史推移を辿ると、なかなか奥深いということを

『世界の国 1位と最下位 −国際情勢の基礎を知ろう−』
 (眞 淳平 著:岩波ジュニア新書 664)…2010年9月17日 第1刷 発行

より再認識していきたく思う。まずは国土面積について、その大きさは国の力を強く表わすが、我が国が海を含めて頑張っている下りにも改めて注目である。


≪はじめに≫

・9つの項目について、その1位と最下位の国を紹介 …第1章から第9章
 →歴史的な背景や現状、今の問題点や課題も
 ⇒今の世界を考えるきっかけに

第I部 地勢・人口

第1章 面積

□国土面積と国力
・これまで伝統的に、国土の大きさは国力を表わす重要な指標のひとつ

□ロシアという巨大国家
・国土面積の世界一 ⇒ロシア …約1710万km2
                …国内に9つの時間帯

□拡大したロシア
・ロシアのもともと →西暦882年「キエフ国家」
・13世紀以降、約240年もの間、モンゴルの支配下
・モスクワを中心とする「モスクワ公国」が力をつける
 →16世紀の半ば、「雷帝」と呼ばれる「イヴァン4世」
  →シベリア進出が本格化

□ロマノフ王朝下での領土獲得
・「ロマノフ王朝」の誕生
 →「ピョートル大帝」(在位1682〜1725年)
  女帝「エカテリーナ2世」(在位1762〜1796年)
  などによる近代化推進、領土のさらなる拡大
・19世紀半ば以降、中央アジアへの本格的な進出
 →1904年、シベリア横断鉄道の全線(モスクワ−ウラジオストック間)が開通

□アメリカの国土
・アメリカ …国土面積でも世界第3位
        …海外領土も含めたアメリカ全土では10の時間帯

□アメリカの領土拡大
・1607年、イギリスが北米に最初の定住植民地ジェームズタウンを建設
・1776年7月4日、13の植民地による「独立宣言」
・大陸領土の拡大 →フランスからのルイジアナ購入(1803年)
             
            メキシコからの南西地域購入(1853年)
・その他領土拡大 →ロシアからのアラスカ購入(1867年)
             

□戦争がアメリカを発展させた
・戦争が起きるよう仕掛けを作った、という少なくない事例
 →敢えてメキシコを怒らせることで戦争に持ち込み、結果的に領土を拡大

□「メイン号を忘れるな」
・アメリカの戦艦メイン号の謎の爆発事件 →米西戦争
 …いざとなれば断固として戦争に踏み切り、勝つことで発展してきた、というアメリカの歴史は銘記すべき
・世界第2位の面積をもつカナダ
 →アメリカとは対照的に、イギリスの植民地として発展、戦争を起こさずに少しずつ独立

□中国の国土
・中国の国土面積 …世界第4位: アメリカとほぼ同じ大きさ
・最近の考古学の研究
 →中国における最初の王朝は、紀元前2000年以降に栄えた「二里頭文化」とのこと
  …黄河の中流域に限定される規模

□歴代王朝の領土
・大まかな中国の時代区分
  殷         …紀元前16世紀ごろ成立
 ↓ 周(西周)
 ↓ 春秋
 ↓ 戦国
 ↓ 秦         …中国を統一 →「始皇帝」と称す
 ↓ 漢(前漢)      …「西域」地域を監督下に
 ↓ 新
 ↓ 後漢
 ↓ 三国(魏/呉/蜀)
 ↓ 晋
 ↓ 東晋/五胡十六国
 ↓ 南北朝
 ↓ 隋
 ↓ 唐         …再び現在の新疆ウィグル自治区周辺を回復
 ↓ 五大十国
 ↓ 宋/遼
 ↓ 南宋/金
 ↓ 元         …領土が一気に拡大
 ↓ 明
 ↓ 清         …積極的な領土拡大策 例:チベット
 ↓ 中華民国      …現在のモンゴルに当たる地域を失う
 ↓ 中華人民共和国   …台湾が、本土を逃れた中華民国の支配下に

□世界最小の国バチカン
・世界一小さな国 
 →バチカン市国…約0.44km2
         …教皇(法王)を長とするカトリックの総本山
 →イエスの弟子たち(中心にパウロとペテロ)の活発な布教活動
 →392年、キリスト教がローマ帝国の国教に

□バチカンの歴史
・ペテロが殉教、教会が建てられた場所:「バチカヌスの丘」 ⇒「バチカン」に
・政治の中心地ではなくなったローマで、唯一の権威としての地位を徐々に確立
・中世 →バチカンの権威は、国家の権威を越えるほどに
    →その後、教皇と各国の国王たちとの間で権力闘争も
・現在のバチカンの姿 →1929年、当時の独裁者ムソリーニとの間で条約締結

□そのほかの極小国
・バチカンの次に小さい国 →ヨーロッパのモナコ
 ヨーロッパのその他「極小国」…豊かで、長い歴史
 →サンマリノ、リヒテンシュタイン、マルタ、アンドラ
・モナコの次に小さい国家 →ニューギニアの東方の島国、ナウル
 太平洋にあるその他「極小国」…経済を援助や国外に頼る
 →ツバル、マーシャル諸島、パラオ、トンガ、ミクロネシア、キリバス

□日本はどうだろう?
・日本 …約37.8万km2 →世界約200独立国中、上から60番目
 →領海に排他的経済水域を合計した面積は約450万km2 ⇒世界で6番目

□日本の問題点
・韓国との間 →竹島(韓国名・独島[トクト])
・中国との間 →東シナ海のガス田問題、「尖閣列島」の帰属

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