10月半導体販売高/a far cry, overly/グローバル雑学王−22
この1年を締め括る時節であるが、グローバルな金融危機の影響がデバイス、エレクトロニクス業界の直近の業績予測および今後の見通しに一層具体的に表れてきている。ここ数ヶ月の急変事態であるだけに、なるべく多くの角度から全貌、実態の把握に努めて、今後の方向を的確に見定めることと感じている。
≪10月半導体販売高≫
米SIAからの10月世界半導体販売高発表にまずは注目、9月は前年比1.6%増と辛うじてプラスであったが、10月は同2.4%減とマイナスに転じている。1-9月累計は前年同期比4%増であったが、1-10月では下記の通り同2.6%増と大きく鈍化している状況である。
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○10月の半導体販売高、前年比2.4%の減少…12月1日付けSIAプレスリリース
10月の世界半導体販売高が$22.5 billionで、昨年10月の$23.0 billionに比べて2.4%減少した、とSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表した。この10月の販売高は、前月2008年9月の$23.0 billionより2.1%低下している。2008年1-10月の累計販売高は$216 billionで、昨年の同じ期間の$210 billionから2.6%の増加である。今年2008年を通して厳しい価格圧力にさらされているメモリ製品を除くと、今回の業界販売高は昨年2007年10月に比べて3.8%の増加となるが、前月2008年9月からは1.4%の減少である。
DRAMsおよびNANDフラッシュともに販売高が、価格圧力により前年比大きく落としている。10月のDRAM販売高は1年前より14%低下する一方、NANDフラッシュ販売高は約41%の落ち込みである。同じ期間についてDRAMの1Gビット換算数量は73%伸びている一方、2Gビット換算のNAND販売数量は123%の伸びとなっている。
「9月に明らかになってきた世界半導体販売高の鈍化は、10月も引き続いている。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「世界の金融の混乱は、2009年を迎える中、半導体需要に引き続きインパクトを与えるものと見込まれる。2009年について、PC出荷数量は5%の減少が予測され、携帯電話出荷数量は9%の落ち込みが見通されている。PCsおよび携帯電話は、半導体需要全体の大体60%を占めている。」
※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/GSR_0810.pdf
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米SIAのデータは3ヶ月平均であり、急激な凸凹を滑らかに見れる値となっているが、単月の実際の販売高で見ると次の通りである。全地域にわたって急激に落ち込んでいること、中でも米国地域が落ち幅が大きいこと、我が日本は比較的小幅であることが分かる。
・World Semiconductor Trade Statistics Organization(WSTS)の最新データ発。Americas地域の10月の実際の販売高が$2.91 billionで、2007年10月の$3.73 billionから22.0%減少、2003年以降最低の10月販売高である旨。(12月1日付け EE Times Europe)
Americas $2.91 billion 前年同月比 22.0%減
Japan $4.16 billion 前年同月比 3.5%減
Asia-Pacific $9.32 billion 前年同月比 8.2%減
Europe $2.91 billion 前年同月比 13.0%減
≪全体≫ $19.31 billion 前年同月比 10.4%減
≪a far cry, overly≫
このタイトルの表現は、最近の経済状況の急激な変化を形容する表現から小生ながらに印象に残る抜き出しである。本当にあらゆる切り口にわたって、驚きをもって注目する材料に事欠かないこのところの日々である。
◇Intel job cuts coming, says analyst(12月5日付け EE Times)
→FBR Capital Marketsのアナリスト、Craig Berger氏。Intel社が、全体人員の6-7%、約5000-6000人の従業員を、年間$1B相当のコスト節減を行う一連の動きとして削減する、と予想の旨。
◇Analyst sees 10 percent cellular decline in 2009-TI, Infineon dip; Broadcom, Qualcomm rise in downturn(12月5日付け EE Times)
→Barclays Capitalによる金曜5日リリース予測。ワイヤレス装置事業は2009年に全体で10%縮小する可能性、第四四半期のhandset出荷は321M台と見る旨。
◇CE holiday spending might please a Grinch-CEA revises Q4 predictions downward, now predicts revenue will be flat compared with 2007.(12月5日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Consumer Electronics Association(CEA)の今回予測。第四四半期の間の大規模CE spendingが2007年に対し僅か0.1%増、当初予測3.5%伸長からは甚だしい隔たりの旨。
◇Dramatic falls seen for DRAM prices in Q3(12月4日付け EE Times)
→DRAMeXchange(Taipei, Taiwan)発。commodity DRAMsの価格が第三四半期にがた落ち、contract価格が前四半期比34%低下、スポット価格はさらに悪く同52%落ち込みの旨。今年のDRAMsグローバル市場は前年比なんと24.7%減の$23.2Bと見る旨。
◇AT&T cuts 12,000 jobs, lowers capex(12月4日付け EE Times)
→米国の電話トップ、AT&T社が、12,000 jobs、従業員の約4%を2009年にわたって削減、従来の電話販売低下を激化させている経済低迷に対処する削減の新たな波の旨。
◇Nokia sees weaker markets in Q4, 2009(12月4日付け EE Times)
→Nokiaが木曜4日、ここ3週間で2回目のwarning、来年のhandset市場volumesが少なくとも5%低下すると見る旨。
◇Downturn catching up with comms ICs, says analyst(12月2日付け EE Times)
→FBR Capital Marketsのアナリスト、Craig Berger氏、2日発行research note。Broadcom社, Qualcomm社, Marvell Technology Group Ltd.およびTexas Instruments社などの通信用ICsメーカーが、より広範な半導体業界を飲み込んできている不況低迷を避けることができないと見る旨。
半導体業界の中では比較的堅調と今まで見られている通信用やアナログ半導体関連も今回の余波が及んできている、ということと思う。各社業績では、今回は以下に注目している。
◇AMD sees 25% drop in sales for Q4(12月4日付け EE Times)
→AMD社(Sunnyvale, Calif.)の第四四半期売上げ、プロセス技術ライセンス売上げは含まないで、第三四半期売上げ$1.585Bより約25%低くなると見る旨。
かくもマイナス局面ばかり論うのも辟易とするところがあるが、中には下記の見出しとなっているところもある。
◇Synopsys bucks trend, posts profit(12月3日付け EE Times)
→Synopsys社(Mountain View, Calif.)の10月31日締め第四四半期売上げ$352.8M、前四半期比2.5増、前年同期比11.9%増。
≪グローバル雑学王−22≫
読み進めていくと、自分ながらの新たな発見があちこち増えていく感じ方が率直な世界各国の言語の世界である。
『言語世界地図』(著者 町田 健氏:新潮新書 266)
より、ヨーロッパからアジアに入っていく。
○アジア 〜前半〜
◇タミル語 −"離陸"する南インドの代表的言語−
・インドと聞いて思い出すもの →カレー
→コンピュータソフトの開発
→ゼロの概念
→映画の国 :年間〜800本、世界最多
・ヒンディー語 …インド全体の公用語
タミル語 …ドラビダ諸語(インド南部地域およびスリランカで約1億5千万人の話者)の代表
⇒タミル語 タミルナド州の(地方)公用語
テルグ語 アンドラプラデシュ州の公用語
カンナダ語 カルナカタ州の公用語
マラヤーラム語 ケララ州の公用語
・タミル語の話者数は約4600万人、約6000万人の話者をもつテルグ語には及ばないものの、シンガポール、マレーシア、フィジー、マダガスカルなどにも相当数の話者が存在。
・「主語+目的語+動詞」の語順、擬声語や擬態語の多用 →日本語と似ている
・コンピュータ産業の中心の南インド →大群衆うごめく、暑く乾いた北インドとは異なる別のインド
◇インド英語 −ITで強みを発揮する特徴と難点−
・インドでのソフトウェアなどの売上げは、年2兆円以上にも。
・インドでの英語使用は、18世紀後半のイギリス東インド会社との交易に端。
・インド英語の特徴 →r、thの発音
聞こえ方:park 「パルク」
understand 「アンデルスタンド」
thank you 「タンキュー」
・現地語を起源とする単語が使用される。以下の例:
guru →「先生」
dak →「郵便」
hotel →「レストラン」
・インド英語は一語でHinglishと呼ばれることも。
◇シンハラ語 −紛争と津波に泣くスリランカ−
・人口約1900万人の島国、住民の8割がシンハラ語を話すシンハラ人、残りの2割がタミル語を話すタミル人。
・少数派のタミル人が、1970年代後半以来、分離独立のための武力闘争を継続。
・1987年にタミル語が、公用語としてシンハラ語に加えられた経過。
・名詞や動詞がその文法的な働きに応じて複雑な活用。
・スリランカは、1972年までのイギリスの自治領時代には「セイロン」の呼び名。
◇インドネシア語 −超多言語国家の共通語−
・インドネシアはまさに赤道直下の国、東西5000km以上にわたる領域。
・「インドネシア」という名称の「ネシア」は、もともとギリシャ語で「島」(nesos)の意味。
・多様な諸言語の上に君臨する「インドネシア語」
→実は隣国マレーシアの国語、「マレー語」と同じ。
・第二次世界大戦中の日本による支配中に、マレー語が「インドネシア語」と公式に呼ばれるように。
・インドネシア語は、一つの国家としてのインドネシアの文字通り象徴的存在。
・「主語+動詞+目的語」の基本語順、前置詞の使用など
→英語と似ている
・名詞を繰り返すことで複数の意味に
babi-babi 「ブタ」の複数
balik-balik 「行ったり来たりする」 (balik=戻る)
◇フィリピノ語 −政府を悩ませる「公用語」への根強い反発−
・「フィリピン」という名称 →16世紀半ば当時のスペイン皇太子「フェリーぺ」に由来。
・300年続いたスペインによる統治の後、アメリカによる統治が第二次大戦後の独立まで半世紀続く。
・人口約8500万人のうち多くのフィリピン人が英語を流暢に操る。
・1959年には、「ピリピノ語」と呼ばれる人工的な言語が国語となるべきものとして制定、1987年には「フィリピノ語」という名称に。
・フィリピノ語の基礎となっているタガログ語
→オーストロネシア語族に属する
・自国で使用される言語を基礎とする公用語が、必ずしも全面的に受け入れられているとは言えない状況。
◇ベトナム語 −中国語と遠くて近い特異性−
・1980年代後半以降のドイモイ(刷新)政策による資本主義原理の導入
→目覚しい経済復興
・民族衣装「アオザイ」 →「長い衣」を意味
・話者は現在8000万人を超えるものと推定される。
・「声調」をもつ言語 →首都ハノイでの声調は6種類も
・単語に活用が全くなく、語順は「主語+動詞+目的語」が基本
→中国語とよく似た特徴
・ベトナムは1000年以上もの間、中国の支配下に
→現代ベトナム語の語彙の7割以上は中国語由来のもの
・現在では、ローマ字に声調符号を付けた表記、「クォク・グゥ」。
◇ラオ語 −遅れてきたASEANラオス−
・ほとんど鎖国のような状態が1980年代まで続き、日本やアメリカなどからの経済援助によって辛うじて経済が支えられている状態。
・鉄道は一本もないし、電話はあっても通じないことが多い。
・人口約600万人の国にテレビは数万台。
・ラオ族の話す言語「ラオ語」がラオスの公用語、「ラオス語」と呼ばれることも。
・ラオ語とタイ語は同じタイ諸語に属するとされる →非常によく似ている
・「声調」があり、5つまたは6つの区別。
・独特の「ラオ文字」 …丸まっこい形をした美しい文字