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三次元IC & 実装に向けた新たな連携・スタンス・取り組み

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技術面、性能面、投資面など様々な限界が取り沙汰される二次元、平面での微細化に対して、ここ数年、我が国はじめ各国・地域での三次元、縦方向での半導体微細化を図る取り組みが、業界・各社からコンソーシアム結成、学会発表、具体的な製品発表などいろいろな形で行われてきている。最先端半導体技術の粋を競う発表の機会が続くこの時期、タイミングということか、またぞろ関連する動きが集中して飛び交っている。

≪飛び交う三次元の動き≫

米国では、業界機関の活動を一層結集して三次元ICs(3D ICs)の業界標準を展開しようという新たなプログラムが、次の通り米国SIAから発表されている。

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○SEMATECH, SIAおよびSRCが組んで、3D ICsを可能にしていく新しい協力プログラムを設立−3D integrationを導き、技術採用を早めるよう、業界標準の展開で協調…12月8日付けSIAプレスリリース

SEMATECH, Semiconductor Industry Association(SIA)およびSemiconductor Research Corporation(SRC)が本日、heterogeneous 3D integrationに向けて密着した業界標準化活動および技術的スペックを推進する新しい3D Enablementプログラムの設立を発表した。University at AlbanyのCollege of Nanoscale Science and Engineering(CNSE)に拠点を置いて、SRCとの連携活動を行う、SEMATECHの3D Interconnectプログラムにより運営され、本プログラムは、革新的な新しい応用に向けた3D packaging技術にてこ入れをするために必要な業界インフラの確立を目指す。

SIAおよびSEMATECHの現メンバー会社のグループにより打ち上げられた今回の新しい3D Enablementプログラムは、検査、計測、microbumping、bonding、薄いウェーハおよびdie handlingなど重要となる領域での標準を設けるのに必要な技術およびスペックを展開することに主に重点化する。これを達成するためSEMATECHは、選んだ大学リサーチプロジェクトを推進するようSRCと連携を組む。

「このイニシアティブは、インフラおよび標準について業界規模で集まる重要性を強調している。SEMATECHは、参加メンバーにとってリスクおよび開発コストが減るように、一層の協力アプローチを導くよう現状の3D capabilitiesにてこ入れを行う。」とSEMATECHのpresident and CEO、Dan Armbrust氏は言う。「3D Enablementプログラムは、high volume製造で3D技術を採用するために異なるサプライヤからの半導体を集積する上での障壁を下げていくよう設けられている。」

「半導体業界、とりわけ3D integrationは、屈曲点にある。」とIBMのsenior vice presidentでdirector of research、およびSIAの技術steering committeeの議長を務めるDr. John E. Kelly III氏は言う。「標準化の不足により直面する課題に取り組む際、SEMATECHとSRCにはbondingプロセスおよび3D検査の両方を扱う深い協力関係がある。本プログラムは3D integration技術の採用を早めていく。」

「集中することの不足は業界の成功を遅らせる。3D Enablementプログラムは、共通の基礎として働き、広範な業界基盤となる。」とSRCのpresident and CEO、Larry W. Sumney氏は言う。「SRCには広範な大学プログラムそしてノウハウがある。3D技術を開発するSEMATECHの現状の努力と合わせて、3D ICsの商用化を推進する3D integration用の意欲的なインタフェース標準化を追求していく。」

3D ICsは、scaling限界を緩和し、性能および機能性を高め、コストを削減するポテンシャルを孕んで、半導体業界に重要な役割を果たすものである。
3D技術についてのリサーチは何年も続いてきているが、均一な標準の不足および重要な製造パラメータの理解未達から主流の生産にはまだ至っていない。重要な業界インフラを構築し、3Dを主流のhigh volume製造にもっていくために、該業界は最も有望でコスト効率の高い選択肢についてコンセンサスに至る必要がある。

本プログラムは、これら業界のインフラのズレ、差異を段階的に扱っていく。まずは必要な標準および技術的スペックの展開に重点化し、次に3D半導体設計を支える設計ツールを開発するために重要となる領域を同定する活動を計画していく。

多様なビジネスモデルのニーズに適合するよう設計される、本3D Enablementプログラムは、国際的なファブレス、fab-liteおよびIDMメーカー、outsourced assembly and test(OSAT)サプライヤおよびツールベンダーにオープンとなっている。
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重なるタイミングで、業界および各社から多様な連携、取り組み、スタンスが相次いで発表される形になっており、時間順序に追ってみる。

まず、International Electron Device Meeting(IEDM)(SAN FRANCISCO)では、Samsung Electronicsがthrough-silicon via(TSV)技術に基づく3-Dデバイスの現実的な必要性を強くアピールしている。

◇Samsung tips six predictions in IC scaling (12月6日付け EE Times)
→Samsung Electronics Co. Ltd.、Samsung Advanced Institute of Technologyのpresident、Kinam Kim氏。IC scalingの高過ぎるコストから、該業界はthrough-silicon via(TSV)技術に基づく3-Dデバイスに入っていかざるを得ない可能性の旨。予測論点、以下の6つ:
 1. Logic scaling
 2. TSV-based 3-D parts
 3. DRAM scaling
 4. NAND scaling
 5. 3-D NAND
 6. Universal memory choices

SEMIからは、Three-Dimensional Stacked Integrated Circuits(3DS-IC)と銘打つ標準化委員会の設立が発表されている。

◇SEMI International Standards Program Forms 3D Stacked IC Standards Committee (12月7日付け 3D InCites Press Release)
→SEMIが本日、Three-Dimensional Stacked Integrated Circuits(3DS-IC)標準化委員会の設立を発表、メンバーは次の通り。
 Amkor,
 ASE,
 IMEC,
 ITRI,
 Olympus,
 Qualcomm,
 Semilab,
 Tokyo Electron,
 Xilinx
当初は次の3つのTask Forcesの旨。
 Bonded Wafer Pair(BWP) Task Force
 Inspection and Metrology Task Force
 Thin Wafer Carrier Task Force

Samsung Electronicsからは、具体的なTSV使用のDRAMモジュール製品の発表が続いている。

◇TSVs help Samsung cut DRAM power by 40% (12月7日付け EE Times)
→Samsung Electronics Co. Ltd.が、従来のものより電力消費が40%削減されるthrough-silicon-via(TSV) die-stackingを用いた8-Gバイト(64-Gビット)registered dual-inline memory module(RDIMM)を発表の旨。

IBMの3-D TSV技術をベースにしたSemtech社の高性能製品開発プラットフォーム構築を目指す動きである。

◇IBM, Semtech team up for 3-D (12月8日付け EE Times)
→Semtech社が、高性能ADC/DSPプラットフォームを開発するために、IBM社およびその3-D through-silicon via(TSV)技術とともに取り組む旨。

三次元半導体技術専門のプレゼンの場、第7回 Annual 3-D Architectures for Semiconductor Integration and Packaging 2010(12月8-10日:Burlingame, CA)では、さすがに立ちはだかるコストの壁が議論になるとともに新たな発想の提示も行われているようである。

◇3-D chips moving out of 'PowerPoint' era (12月9日付け EE Times)
→関係アナリストの見方。through-silicon vias(TSVs)に基づく3-D半導体は、"PowerPoint engineering"段階は通り過ぎているが、量産となるとmoving target状態で課題が依然残る旨。当初半導体メーカーは、インターポーザ技術に基づくいわゆる2.5-Dデバイスに向かい、2012年あたりで主流となる可能性、TSVベース半導体が花開いて主流になるのは2013年〜2015年以降になると見る旨。

◇What's the cost for 3-D chips? (12月9日付け EE Times)
→through-silicon via(TSV)技術ベースの3-D半導体を量産にもっていく上で最大の障壁は何か? たくさんあるが、コストはたぶんに大きな問題、次の見方がある旨。
*TSV-ベース3-Dデバイスのコストオーバーヘッドは、ウェーハ当たり$150。300-mmウェーハの全体コストの5%相当。
*wirebondingはリード当たり2セント、対してTSV-ベース3-D半導体は20セント。

◇Startup outlines monolithic 3-D chips (12月9日付け EE Times)
→startup、NuPGA社(San Jose, Calif.)のfounder、Zvi Or-Bach氏。1個のチップに入った本当の三次元(3-D)シリコン半導体が、through-silicon-vias(TSVs)でstackされたdieをconnectivityで10,000倍打ち負かす旨。今回の場で製造方法をプレゼンする旨。

三次元関係に向かう業界、そして各社の本格的な動きを、ますます肌身に感じる状況である。


≪市場実態PickUp≫

今年も押し迫ってきて、2010年半導体ベンダーランキングが大方見えてきているが、速報データがGartner社から発表されている。全体では、大きく落ち込んだ2009年比31.5%増と販売高は急激な戻しを示し、$300.3Bと大台突破となっている。トップ10ベンダーを地域別に見ると、
米国 4社、韓国 2社、日本 2社、欧州 2社
という内訳である。

【2010年半導体ランキング速報】

◇IC rankings show Samsung gaining on Intel (12月8日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)発。2010年の半導体販売高・ベンダーランキング速報データ、Intel社が19年連続の第1位、しかしながらそのシェアが2009年の14.2%から2010年は13.8%に低下する見込みの旨。データ内容、下記参照。
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/101208_gartner_chip_rankings.png

半導体需要の主軸であるパソコン出荷について、第三四半期のデータが次の通りである。伸びの基調が続いているが、鈍化傾向があり引き続き注目である。

【世界PC出荷】

◇ISuppli: PC recovery remained on track in Q3(12月7日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)発。第三四半期の世界PC出荷は88.1M台、前四半期比6.7%増、前年同期比10.3%増。昨年からの回復は続いているが、第二四半期では前年同期比22.8%増で今回は半分以下の伸び率となっている旨。

◇PC sales continue recovery, bringing IC use up-Sales of ICs used in PCs will surge 34% this year and reach a record-high $81.4 billion compared to $60.7 billion in 2009 as PC shipments continue to improve, analysts say.(12月8日付け Electronics Design, Strategy, News)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)発。第三四半期PC市場シェアランキング
・トップ5速報データ、次の通り(K台)。

OEMQ3出荷Q3シェアQ2出荷Q2シェアQ2/Q3伸びQ309出荷Q309/Q310
1 Hewlett-Packard
15,868
18%
14,955
18.3%
6.1%
15,898
-0.2%
2 Dell
11,300
12.8%
10,541
12.9%
7.2%
10,335
9.3%
3 Acer
10,951
12.4%
10,191
12.5%
7.5%
11,025
-0.7%
4 Lenovo
9,220
10.5%
8,327
10.2%
10.7%
6,940
32.9%
5 ASUSTeK
4,790
5.4%
4,210
5.2%
13.8%
3,713
29%
Others
35,963
40.8%
33,372
40.9%
7.8%
31,972
12.5%
Total Shipments
88,092
100%
81,596
100%
8%
79,883
10.3%

 [Source: iSuppli, December 2010]

三次元化の動きを上記の通り追ったが、ウェーハ大口径化、具体的には450-mmへの取り組みはどうなるのか、大きな関心を呼ぶ内容である。Intel社が、それに向けたfab計画を確認している。

【450-mm取り組み】

◇Intel confirms 450-mm fab plans (12月8日付け EE Times)
→憶測が揺れ動く中、Intel社が、米国での新fabを450-mmウェーハ時代に向けて建設していることを確認の旨。同社は、Hillsboro, Ore.に新しいR&Dウェーハfabを建設、他の現状の米国拠点を22-nm生産用にアップグレードし、総投資$6B〜$8Bとすでに発表している旨。

ウェーハとは対照的に、ボード&モジュールの小型化は止まらない流れということで、以下の内容である。三次元化に通じるところがある流れでもあると思う。

【外形小型化の流れ】

◇High growth forecast for smallest form factors(12月7日付け EE Times)
→IMS Research発。embeddedコンピュータボード&モジュールのグローバル販売高が、2009年約$2.5Bから2014年には$4.3Bに力強く伸びると見る旨。
miniaturizationの流れが向こう数年にわたり加速する様相の旨。


≪グローバル雑学王−127≫

子どもの早くから紳士・淑女のユーモアの種を植え付けるイギリス、ハイレベルな文章で「自由・平等・友愛」の理念を磨いていくフランス、それぞれの国語教育を、

『こんなに違う! 世界の国語教科書』
 (二宮 皓 監修:メディアファクトリー新書 002)…2010年6月30日 初版第1刷 発行

から見ていくことにする。毎週更新されるディジタル教材には驚かされるが、採り入れ方には社会背景とともに鋭意工夫を積んでいく必要性を感じるところがある。


[第2章 イギリス…英国紳士・淑女のユーモアは双葉の頃から磨かれる!]

・イギリスの国語の教科書、詩が実に多く掲載。
・イギリス紳士・淑女はまずユーモアのセンスを身につけること

◆詩が好きになる授業
・例:「学校に行きたくない」というユーモラスな詩(第5学年用掲載)
 →怒り狂った母親が息子に
  「なんであなたが学校へ行かなくてもいいのか」
  息子「誰も僕の顔なんか見たくないんだ」
  母親「まずあんたは40才なんだからね。校長先生なんだから!」

◆授業を舞台にする戯曲の授業
・戯曲:「お話を聞かせる」という教材
 →子どもたちは先生の話をまともに聞かず、勝手に発言して話をどんどん変えていく

◆マイノリティ専用の出版社も
・イギリスの小学校の教科書 
 →日本のような検定制度はなく、自由発行・自由選択
 →教室に設置して子どもたちに貸し出す貸与制
・数多くの出版社が、多彩な刊行
 例:タマリンド出版社 →読み物教材がほとんど。登場人物は民族的少数者(特に黒人)が中心
・国語教材の特徴 →ディジタル教材の普及
 →イギリスの教育界ではいま、あるITベンチャーが話題
  …ディジタル教材の開発で台頭したエスプレッソ教育社 
  →新しい教材が毎週更新

◆抵抗の物語を好む英国児童
・ロンドン郊外のある小学校で、高学年の子どもたちに聞く好きな作者・作品
 →ロアルド・ダール(…日本が舞台の映画「007は二度死ぬ」の脚本家でも)
  「マチルダは小さな大天才」(評論社)
   :子どもの目線から、抑圧的な大人たちに対する抵抗と戦いをユーモラスに
  「すばらしき父さん狐」(評論社)
   :人間から抑圧を受けている動物たちが、知恵を絞って仕返しをする構図 

[第3章 フランス…「共和国は学校が作る」決意に基づくハイレベルな文章]

・現在のフランスは「移民大国」。4人に1人は祖父母のいずれかが外国人だとも
・フランス共和国の掲げる諸原理、すなわち「自由・平等・友愛」の理念の共有
 →担い手は学校教育
・小学校教育の両輪は、国語(「フランス語」)と公民教育

◆フランスに「教科書」はない
・フランスの教科書制度の「3つの自由」
 第1: 出版社による教科書発行の自由
 第2: 学校の教科書選択の自由
 第3: 教員の教科書使用の自由
・最初から教科書がない教科も
 →たとえば音楽、美術、体育

◆人間臭い文法
・フランスでも国語には教科書、小学校から文法の教科書も
 例:ブラン社の小学校5年生用教科書、サン・テグジュペリの「星の王子さま」の一節
  →文法という砂を噛むような学習に、少しでも興味をもって取り組んでもらおうという工夫の説明・構成

◆漫画も積極的に掲載
・現在は日本の漫画が絶大な人気
 →Mangaは立派なフランス語に
・教科書出版社の最大手、アシェット社の小学校5年生用教科書の例:
 →学習目的「文章で示された情報に基づいて、地図の上に印を付ける。自分の意見を述べる。」
  →いかに日常生活で役に立つ情報を文章から引き出せるか
・大手のブラン社、かなり大胆なイラストや写真をオールカラーで
 →詩と絵画のコラボレーションは「芸術の国」らしい

◆教材としての『レ・ミゼラブル』
・ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル(ああ無情)』の一節
 →フランス革命以降の激動の時代、社会の底辺に生きる人々の視点から描き出した一大叙事詩
 →この小説が書かれた時代の貧しい子どもたちの状況を考えさせる内容の教材
 ⇒日本の教科書が子どもっぽくみえてしまうことも

○フランスの小学校は5年制、1年生は「準備級」
 →世界一進級制度の厳しいフランス、小学校1年生でも落第する。その判断基準も国語能力に。

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