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3月の世界半導体販売高/市場実態PickUp/グローバル雑学王−95

米SIAから発表された3月の世界半導体販売高(3ヶ月移動平均)は、3月としてはこれまでの最高を記録するとともに、通してみると2007年11月に次いで2番目となっている。事前の予想を上回っており、中国はじめ新興経済圏の需要の伸びの大きさを物語っている。メモリ、アナログ半導体はじめ市場の逼迫感を映し出す事態、事例が、日を追うごとに増えてきている感がある。

≪3月の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表内容は、次の通りである。

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○SIA発表:3月の半導体販売高は前月比4.6%増…5月3日付けSIAプレスリリース

3月の世界半導体販売高が$23.1 billionで、2月の$22.0 billionから4.6%増加した、とSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表した。
2009年3月の$14.6 billionからは58.3%の増加である。2009年第一四半期は、グローバル経済不況にあって半導体販売高の最も底であった。2010年第一四半期の販売高は、2009年第一四半期の$43.7 billionに対し$69.2 billionとなっている。月次販売高の数値はすべて3ヶ月移動平均で表わされている。

「グローバル半導体販売高は3月としては新記録であり、2007年11月に発表された販売高の記録に次ぐものである。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「主要な末端市場からの健全な需要に通常の在庫水準への補充が合わさって、力強い第一四半期の伸びとなっている。2010年の販売高は引き続き力強いものと見ているが、前年比の伸び率は控え目傾向ながら前進しており、2009年後半に始まった業界の回復を映し出している。」

「ファウンドリーおよびintegrated device manufacturers(IDMs)が、予想される需要水準に供給を合わせるよう生産を高めている。主要な末端市場における力強い数量需要による過剰在庫あるいはcapacityという事態を孕んだ短期的な問題があるとは思っていない。microchips全体需要の60%以上を合わせて占めるcomputingおよび通信は、健全な数量の伸びを示している。PC販売台数は10%台の半ばから後半の伸びが、handsetは一桁の高い方の伸びが見込まれている。」

「この現在の結果は、consumer分野より回復が立ち遅れていた企業向け分野など様々な市場セグメントでの販売高の伸びを反映している。中国における健全な経済の伸びと開発途上経済圏におけるPCsおよび携帯電話の需要拡大が、第一四半期の伸びに大きく貢献している。半導体業界の引き続く伸長は、グローバル経済回復の継続に密接に結びついている。2010年のグローバル販売高は二桁の伸びになるものと、依然用心しながら楽観的なスタンスである。」とScalise氏は締め括った。

※3月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/GSR_1003.pdf
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今年の半導体市場の見方については上方修正が相次いでいるが、現時点目にとまるものとして以下の2点。まずは、Embedded Systems Conference(ESC)(SAN JOSE, Calif.)から、強気、警戒に分けた見方である。

◇Microchip CEO: Five reasons to be bullish, bearish(4月28日付け EE Times)
→昨年の3月が底だった、と言うMicrochip Technology社のpresident and CEO、Steve Sanghi氏、今年の市場について以下の見方。
強気:
 1)在庫補充サイクルが大方終わり、半導体の本当の需要サイクルに代わってきている
 2)各国政府、特に中国の経済刺激策がIC需要を焚きつけ
 3)住宅市場の改善
警戒:
 1)依然高い米国の失業率
 2)過熱の可能性の兆候

アナリスト筋からは、20%を超える深い二桁の伸びの見方に傾斜していく様相を感じている。

◇Firm raises chip forecast (4月30日付け EE Times)
→Databeans社が、2010年半導体業界規模予測を、前回の15%増から、今回23%増の$277Bに上方修正の旨。製品分野別の2007−2015年売上げ推移&予測一覧データ、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2010/100429_databeans.jpg


≪市場実態PickUp≫

今後のエレクトロニクス業界の展望、課題を、ESCに見ると次の通り。

【Embedded Systems Conference(ESC)の講演、パネルから】

◇ESC: Keynoter sketches out vision for electric cars-Better Place powers Tokyo taxis in first demo of its approach(4月26日付け EE Times)
→startup、Better Place(Palo Alto, Calif.)のvice president for North America、Jason Wolf氏基調講演。10年すれば、販売されるすべての新車の1/3ほどが、バッテリー動作の電気自動車となる可能性の旨。

◇ESC: Embedded helping to harness medical data explosion(4月28日付け EE Times)
→医療エレクトロニクス・エキスパートの面々のパネルにて。携帯医療機器の急増および広く使えるimaging技術による新しい患者データの急拡大から、医療エレクトロニクス設計者は、電力消費を切り詰める一方、多様なバイオ技術をエレクトロニクス統合する新しいやり方の案出を強く求められている旨。

◇ESC: Smart grid faces security, consumer challenges-Panel points to hurdles getting to a digital, networked grid(4月29日付け EE Times)
→エキスパートの面々のパネルにて。通信装置を安全にすることから消費者の振る舞いを理解することまでたくさんのハードルが、smart electric gridsのスイッチを入れる上で立ち塞がる旨。

逼迫の度を増しているアナログ半導体市場の現状が見えている。

【アナログ半導体】

◇Analog vendors turning away business (5月3日付け EE Times)
→Needham & Co. LLCのアナリスト、Vernon Essi氏。アナログ半導体メーカーが、部品不足とリードタイム拡大と引き続き格闘、いくつかのケースでは力強い顧客需要に適合できないため、Maxim, MPS, Power Integrationなどのベンダーはビジネス対応を断念しなければならない旨。

市場の伸びと半導体製品不足が云々される現時点であるが、ファウンドリー市場の昨年から今後に向けた動きである。

【ファウンドリー市場】

◇Winners, losers in 2009 foundry rankings (4月25日付け EE Times)
→Gartner社発。2009年のSiファウンドリー市場は11.2%減少、トップ10およびwinners and losersは次の通り、販売高増は2社の旨。
1 TSMC           Loser
2 UMC           Loser
3 Chartered         Loser
4 GlobalFoundries      Winner
5 SMIC           Loser
6 IBM            Loser
7 Vanguard         Loser
8 Dongbu          Loser
9 TowerJazz         Loser
10 Samsung          Winner

◇TSMC to build new fab (4月29日付け EE Times)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.(TSMC)が、新しい300-mmウェーハfabを建設する計画、Central Taiwan Science Parkにて28-nmプロセス、$3B規模のコスト、今年半ばスタート予定の旨。

◇Foundries embroiled in capex 'arms race' (5月3日付け EE Times)
→Barclays Capitalのアナリスト、C.J. Muse氏。GlobalFoundries, SamsungおよびTSMCの3ベンダーが、今後のシェア増獲得に向けて新たな設備投資レースに取り組んでいる様相と他のファウンドリーへの波紋について。

半導体市場については、金額ベースに目が行ってしまう今までであるが、出荷数量で見ると以下の通り、と改めての認識である。

【半導体出荷数量】

◇Record chip shipments in Q1, says research house(4月29日付け EE Times)
→IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)発。第一四半期の半導体出荷数量が44.5 billion、前年同期比59%増、従来の記録、2008年第三四半期の44.1 billionを上回る旨。
1980年以降のIC数量の伸び率、BestおよびWorstトップ10、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2010/100429_icinsights.jpg

半導体市場を照らす鏡のおおもととなるSiウェーハについては、次の予測が見られている。

【Siウェーハ市場】

◇300-mm wafers drive silicon recovery (4月27日付け EE Times)
→iSuppli社による半導体製造用Siグローバル需要予測:
               2009年   2010年
 総面積(平方インチ)   7 billion   8.2 billion
               11.1%減   17.4%増
  内300mmウェーハ  3.6 billion   4.5 billion
                        27.2%増
   200mmウェーハ             7%増
   150mmウェーハ            9.6%増


≪グローバル雑学王−95≫

北朝鮮の文学が金日成と金正日父子の体制に貢献している経緯、そして現在に至るまでのベストセラー作品を、

『北朝鮮を見る、聞く、歩く』(吉田 康彦 著:平凡社新書 500) …2009年12月15日 初版第1刷

より辿ってみる。好評だった韓流ドラマとして覚えのある『ファン・ジニ』の原作者が、北朝鮮の作家であるという新たな認識が加わっている。

※北朝鮮の最新動向ニュース:
北朝鮮の金総書記が4年ぶりに訪中=報道 (5月3日付け asahi.com)
…韓国の聯合ニュースが3日、北朝鮮の金正日総書記が中国入りしたと伝えた旨。訪中は4年ぶり、今回の訪中で、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議への復帰を条件に、中国に対して金融支援を求める可能性が高いと見られる旨。


[第5章 文学も体制維持・強化に奉仕
 −−−金日成賛歌から『ファン・ジニ』まで]

*抗日パルチザンの記録が北朝鮮文学の元祖
・北朝鮮では、西暦2010年は「主体99年」 
 …金日成生誕の1912年が「主体元年」
・歴史は金日成の抗日パルチザン闘争に始まり、金日成の存在があらゆる価値判断の基準に
 ⇒すべての文化活動は金日成を賛美、その神格化に奉仕する形に、文学史も然り

*不朽の名作ベストセラー『歴史の大河』と『永生』
・北朝鮮のベストセラー作家としての代表的存在は李鐘烈(リジョンヨル)(1934年生まれ)
 …どの作品も金日成礼賛の政治的プロパガンダ色が強いのは当然
・今日、北朝鮮現代文学の最高傑作との評価
 →長編小説『歴史の大河』(鄭基鐘[チョンキジョン])とその続編『永生』(白普欽[ペクボフム])・宋相元[ソンサンウオン]共著)
 ⇒金日成と金正日父子の偉大さを宣伝、後世に伝える目的
 ⇒二作とも、1993−94年の第一次核危機を、金正日指導の下にみごとに乗り切るドキュメント
 ⇒『永生』は、1994年6月のカーター訪朝の際、金日成の英断で危機が回避される場面がハイライト
  …金日成から金正日に権力が移行する時期の歴史的文献として貴重な存在

*青春賛歌と体制批判
・1980年代後半、南大鉉(ナムデヒョン)の恋愛小説『青春頌歌』が若者たちの間で爆発的人気
 →在日コリアンの生活環境を北朝鮮社会に紹介した功績が大
・1990年代、北朝鮮社会の内部矛盾を指摘、不正を告発して登場人物に自己批判を迫る作品も
 →『熱望』(キム・ムンチャン)(1999年)

*韓流ドラマ『ファン・ジニ』の原作者は北朝鮮作家
・2008年から2009年にかけてNHKで放映、韓流ドラマ『ファン・ジニ(黄真伊)』
 …原作者・洪錫中(ホンソクチュン)は北朝鮮の作家
  →妓生の身分に対する差別と偏見に満ちた封建社会に反抗、芸道を追及、ひたむきに生きた女性の生涯
・第一回南北首脳会談の後、北朝鮮文学が韓国で解禁
 ⇒代表ベストセラーが『ファン・ジニ』

*いまベストセラーになっている文学作品
・現代の人気作家・玄勝男(ヒョンスンナム)の長編小説『燃える黎明』
 …真の愛国心とは何かを問いかける
・鄭日福(チョンイルボク)著の短編民話集『松都(ソンド)(開城の旧名)の昔話』
 …民話・伝説・昔話44篇

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