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中国・常熟経済開発区/市場実態PickUp/グローバル雑学王−93

都道府県各自治体ごとの投資誘致セミナーに出席して10年余りになるかと思うが、ここ数年は香港、中国からのそのような催しに顔を出させていただく機会がある。地域経済振興にかけるそれぞれの意気込みを感じてきたとともに、新興経済圏への急激な流れとそのエネルギーの大きさに圧倒されるものがある。我が国ならではの新技術・新製品の台頭次々なかりせば、というますます募る思いではある。

≪中国・常熟経済開発区≫

中国についての爆発的な勢いの報道が連日である。5月からの上海万博を控えて、回復半ばの世界経済を引っ張る次の全体の動きとなっている。
 
◇中国GDP、11.9%の高成長、1〜3月。(4月15日付け asahi.com)
→中国国家統計局が15日発表した今年1〜3月の国内総生産(GDP)成長率は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比11.9%、2007年10〜12月(12.0%)以来の高成長、力強い景気回復が確認されたことは、中国の経済政策運営の焦点となっている通貨・人民元の切り上げを促す材料になる旨。
金融危機が深刻化していた前年同期(2009年1〜3月)の水準が低いため、成長率が高めに出ている面もあるが、2009年10〜12月(10.7%)に続き、2四半期連続の2ケタ成長となった旨。年後半は成長率が下がり、今年の年間成長率は9%前後に落ち着くとの予想が多く、「8%前後」という中国政府の年間目標の達成は難しくなさそう、ドル換算した名目GDP総額で日本を抜き、世界2位になるのも確実な情勢の旨。

このような環境の現時点で、都内のホテルにて華やかに開催の次のイベントに出席する機会を得た。

『中国、常熟東南経済開発区 日本企業投資誘致セミナー』
 …上海圏に残された、最後の一等地…
主催:常熟市人民政府、江蘇省常熟東南経済開発区管理委員会

今まで馴染みのない街の名前ということで、配布資料のパンフレットから以下の早勉理解である。

『常熟』…肥沃な土地と温暖な気候に恵まれ、歴史上年々豊作が続くことでこの名前
    …古くから「江南の福地」と言われる
*長江デルタ区域の中心部に位置し、東は上海、南は蘇州、西は無錫と隣接し、北は長江に臨み、37kmの長江沿岸線をもつ。
*総面積は1,264km2、人口は106万人、ほかに外来の定住人口が80万人余り
*亜熱帯モンスーン湿潤気候に属し、四季がはっきりしていて、年間の無霜期間は242日、年平均気温は17℃、年降水量は1248.4ミリ
*常熟市は、3000年余りの歴史をもつ文化都市で、昔から優秀な人材が一堂に集まり、有名な人材を輩出してきた都市として知られ、また濃厚な文化の蓄積と豊かな歴史資源を有することで一段と有名である。

悠久の奥深い歴史のたたずまいの中に、最先端の技術、製品、生産を立地させていくという絶妙のコントラスト、織り成しを、このような機会ごとに感じるものがあるが、さて我が半導体にはどうかといろいろ思い遣るところである。今回のプレゼンの見聞きから、以下の手元のキーワード&フレーズ・メモとなっている。

[常熟市 ビデオ紹介]
・虞山からの7つの小川
・水辺でゆらめく街
・尚湖 …太公望のエピソード

[主催者挨拶] 中共江蘇省常熟市委員会 王 書記
・106万の市民
・奈良にも同じ名前の興福寺
・十大文化エコロジー都市
・50ヶ国、2600社、300億ドルの投資
・ここ数年、製造業、サービス業の伸び顕著
・1280億元のGDP
・日本から20億ドルの投資 …シャープ、日立など

[常熟東南開発区の投資環境] 中共江蘇省常熟市委員会 朱 常務委員
・幹線道路が交叉する位置、立地
・鑑真和尚
・京都・綾部市との交流
・日本料理店が22軒
・国際ガーデン都市の称号 …岡山、シアトルとともに
・2009年、1人当たり$17000
・翁同和氏の100日維新
・トヨタ、三菱重、日立ビアメカニクス、FOXCONNの進出
・日系工業圏
・企業奨学金
・江南の真珠

[常熟における事業展開] →実際に進出した企業より
1)三菱重工業
・ゴムタイヤ製造機械
・今年3月より生産開始、広島と並ぶ拠点に
・なぜ常熟? −地理的優位
         −安価な人材:高い定着率
         −新開発区ゆえの高いサービス
・100%独資
2)日立ビアメカニクス
・プリント基板穴あけ前後工程
・2007年度から中国大陸がPWB世界No.1
・海老名に本社工場
・昨年10月から工場建設開始 …ドリル穴あけ機
・日立グループ100周年の2010年
3)トヨタ自動車
・中国の拠点 …吉林、天津、成都
・生産部品物流センター
・改革開放の頃から紡織機の縁
・地の利、環境の良さ
・常に熟する、豊かな田んぼ →通じるところ

[華東地域における常熟のポジション] →本イベントの後援社の1つ、三井住友銀行より
・2003年に批准されたこの開発区

これからだんだんと馴染んで、半導体のご縁も深まっていく"常熟"と思うが、百聞は一見に如かず、次のサイトを参照である。 
http://www.china-csdz.com/jap/index.php


≪市場実態PickUp≫

ここではまず、半導体大手が世界を回ってプレゼン・アピールする恒例の催しからである。上記の"常熟"イベントとの対照を感じている。

【IntelとTSMCの競演】

□ Intel Developer Forum(北京)

◇Reports: Intel has ported Android to Atom (4月14日付け EE Times)
→複数の報道。Intelが、同社Atom MPUにGoogleのAndroid OSを移植の旨。

◇Intel unveils "Tunnel Creek" PCI Express SoC-The chip giant detailed its latest embedded SoCs and described research that is meant to allow homes and small businesses to better use and manage energy.(4月14日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Intelのembedded and communicationsグループ、corporate VP and general manager、Doug Davis氏が、将来のIntel製品、コード名"Tunnel Creek"の詳細を説明、in-vehicle-infotainmentおよびIP media phonesなどembedded応用を狙っている旨。

□ TSMC 2010 Technology Symposium(SAN JOSE, Calif.)

◇TSMC Announces Move to 20nm Process; Value driven decisions will provide enhanced computational performance(4月13日付け Semiconductor International)
→約1,500人の顧客、連携するthird partyの聴衆に対し、TSMCのR&D、Senior VP、Dr. Shang-yi Chiang氏。同社は、22-nm製造プロセスをとばして直接20-nm技術に移行、顧客にはより成功が見込める選択肢となる旨。

◇TSMC to develop below 14nm process, says chairman(4月15日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏の積極的、意欲的な取り組み、目標:
・14-nm以下のウェーハ製造プロセス開発で業界の一翼を担う
・2010年のcapex−$4.8B
・従業員を2009年の20,000人から29,000人に増やす

市場データ、まずはPC出荷数量である。単価が下がって、また様々な端末が急速に出回ってきて、非常に読みづらい嫌いを感じている。

【世界PC出荷】

◇PC market booms on European demand (4月15日付け EE Times)
→Gartner社速報。2010年第一四半期の世界PC出荷総計は84.3M台、前年同期比27.4%増。元は22%増と見ていた旨。

◇パソコン世界出荷、24%増、1〜3月で過去最高。(4月15日付け 日経Web)
→米IDC発。2010年1〜3月期のパソコン世界出荷台数が前年同期比24%増の7913万4000台、個人向けに加え景気の回復基調を背景に企業向けも回復、1〜3月期としては過去最高の旨。ただ、安価な製品が強い台湾のエイサー(宏碁)が2四半期ぶりにシェア2位に浮上するなど低価格化は続いており、メーカーの収益向上につながるかは不透明の旨。

半導体市場については、1つとして以下の見方であるが、先行きについて実態、中身を慎重に見定めるべき空気があると思う。

【半導体市場予測】

◇VLSI ups IC forecast but sees red flags (4月15日付け EE Times)
→VLSI Research社(Santa Clara, Calif.)の予測:
       2009年    2010年
 半導体   8.4%減   21.9%増(前回 17%増)
                $231.5B
 IC装置   43.1%減  42.5%増
                $33.2B

切磋琢磨する陣営争い、以下が見られている。  

【対決模様2つ】

◇ESC: Confab to host another round of Intel versus ARM(4月12日付け EE Times)
→PCプロセッサの王、Intelと携帯電話の主導プロセッサアーキテクチャー・サプライヤ、ARM。この2社の戦いが、Embedded Systems Conference(ESC)(4月26-29日:McEenery Convention Center in San Jose, California)にていくつかの前線切り口で続く見込みの旨。

◇Update: Consortium backs mobile interface for HD video-Mobile battle brews between Silicon Image MHL and HDMI 1.4(4月14日付け EE Times)
→Nokia, Samsung Electronics, Silicon Image社, ソニーおよび東芝が、MHL(Mobile High-Definition Link)コンソーシアムを結成の旨。


≪グローバル雑学王−93≫

北朝鮮の得意とする芸術として映画を前回取り上げたが、さらにオペラ、サーカス、そしてセレモニーのニュースでよく目にするマスゲームが挙げられるとのこと。今回はそれらについて、

『北朝鮮を見る、聞く、歩く』(吉田 康彦 著:平凡社新書 500) …2009年12月15日 初版第1刷

より、それぞれの経緯、在り様に触れてみる。このシリーズに合わせて、今の時点での最新ニュースを示していくことにする。

※北朝鮮、韓国の沈没事故への関与否定、「捏造」と批判。(4月17日付け EE Times)
→北朝鮮は17日、朝鮮中央通信を通じて発表した論評で、韓国海軍の哨戒艦「天安」の沈没事故について韓国で北朝鮮の関与を疑う声が出ていることについて、「(韓国側が)関与説をでっち上げ、流布している」と否定した。北朝鮮が今回の事故について見解を示すのは初めて。


[第3章 オペラ・サーカス・マスゲーム−−−北朝鮮自慢の舞台総合芸術]

*韓国に負けないお国自慢
・北朝鮮のお国自慢 食文化→「冷麺、マツタケ、(朝鮮)ニンジン」
          芸術 →「映画、サーカス、マスゲーム」
・北朝鮮では皆すぐ歌、どこのレストランでも歌と踊りがつきもの
・韓国に比べて、すべての芸術活動を国策に結びつけ、国威発揚に利用
・平壌のホテルにはすべて一階か地下にカラオケバー

*民俗音楽と西洋音楽の融合
・北朝鮮の音楽史
(一) 国家創建期(1945−50年)  …指導者賛美、祖国礼賛
(二) 朝鮮戦争期(1950−53年)  …戦意高揚、兵士の素朴な感情
(三) 戦後復興・千里馬運動の時期(1953−66年) 
                 …祖国愛、社会主義建設の夢、平和統一の希望
(四) 金日成個人崇拝推進の時期(1967−80年)  …オペラ全盛期
(五) 普天堡(ポチョンボ)電子楽団活躍の時期(1980−94年) 
       …シンセサイザー、5人の女性ボーカル、明るく開放的な歌
(六) 「苦難の行軍」と先軍政治の時期(1995年−現在)  …金正日賛歌

*金日成賛歌から芸術的オペラが生まれた
・北朝鮮音楽の父: 作曲家、金元均(キムウオンギュン) 
                →『金日成将軍の歌』(1946年)
                →国歌『愛国歌』  (1947年)
・「平壌音楽大学」→2008年から「金元均音楽大学」と改称
・『世界に羨むものはない』(1960年) 
 →北朝鮮を「地上の楽園」として称える歌詞とメロディー
・1970年代前半、金正日の指導の下、「五大革命オペラ」創作、お目見え
  
*金日成の二大作品『血の海』と『花を売る乙女』
→北朝鮮を代表する二つの歌劇団のレパートリーとして定着、現在も上演

*サーカスも世界のトップレベル
・世界で最も権威ある国際コンクールのモンテカルロ国際サーカスフェスティバル
 →北朝鮮は受賞の常連
・平壌にはサーカス劇場が二つ …半円形の観客席はいつも満員
・平壌にはサーカス団が4団(チーム)、総勢300人
・朝鮮戦争さなかの1952年、金日成の号令一下で最初のサーカス団が創設

*ツキノワグマの曲芸と平壌中央動物園
・空中ブランコと並んで平壌サーカスの目玉は、ツキノワグマの曲芸
・北朝鮮自慢の平壌中央動物園
 −世界でも珍しいキバノロ(シカ科の臆病な珍獣)
 −北朝鮮のシンボル「豊山犬」

*最大のお国自慢はマスゲーム
・5万人以上の青少年男女が15万人収容のスタジアムで繰り広げる集団体操と集団舞踊、色彩豊かなヒト文字が醸し出す美しさと気宇壮大さ
・金日成が1930年夏考案した「花体操」が原型とのこと
・1946年、金日成は1500人規模から始めて普及を図る
・1960年代、平壌の中学・高校でマスゲーム実習が体育の必須科目に
・1989年、15万人収容という世界最大の「メーデー・スタジアム」が完成
・マスゲームは北朝鮮の"国技" →キューバなどに"輸出"

*叙事詩『アリラン』の完成とギネスブック記載
・『アリラン』…南北共通の民謡、朝鮮民族のシンボル
・2000年の第1回南北首脳会談 
 …『アリラン』のメロディーが流れるなか、金大中:金正日両首脳が祝杯
・2002年、マスゲームの叙事詩『アリラン』が完成
 …2007年からは毎年8月から10月まで定期公演
 …世界最大規模の芸術公演として『ギネスブック』にも登録
・マスゲームは、動員の規模と集団演技という点で、金日成・金正日体制と不可分の関係

□北朝鮮の巨大規模信仰
 …人口325万の首都・平壌→きわめて人工的な現代建築のモデル都市
              →荘重な巨大建築が林立
 …パリの凱旋門より10メートル高い金日成凱旋門
  大同江から噴き上げる大噴水
  (ジュネーヴのレマン湖の噴水より1メートル高い)

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