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任天堂がスマホゲームに参入する日は来るのか?

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先期(2014年4〜6月期)、任天堂の経営は必ずしも順調ではなく、ハードを中心としたビジネスモデルに株主からもいろいろな意見が出ているようだ。しかしながら、専用ゲーム機を中心としたビジネスモデルは現在も変化はない。8月の初めに、任天堂がiPad用のゲームを出すというニュースが伝わり、株価が急騰する場面が見られたが、ポケモンのカードゲームを限定的にトライするということで騒ぎは消えてしまった。

ゲーム機ビジネスではソニーの新製品プレイステーション4(PS4)が世界で1,000万台を突破するなどのヒットを続けている。

夏の日本のゲーム業界は「妖怪ウォッチ」のヒットで活発化している。つまり任天堂の従来のゲーム機中心のビジネスモデルが活性化している。ポータブルゲーム機器3DS向けの妖怪ウォッチのソフトが200万本以上売れた。1本5000円だから、100億円以上の売り上げで、独占的な領域なので利益率が高い。3DSのゲーム機(1万5000円)も売れる。このように、一つのヒットゲームが出現し加わると、すべてがフィードフォワードに回転しはじめる。経験則からいうとまだまだこのゲームのヒットは拡大するはずである。

ゲーム機&ソフトビジネスは任天堂、マイクロソフト、ソニーが世界で展開してきた。ビジネスモデルはゲーム機の販売とソフトの販売による利益である。このビジネスモデルでは、ハード、ソフト以外にもマーケティング、販売、放送、出版などの既存メディアまでも含んでいる。

一方、汎用のPCやスマートフォンを使ったオンラインゲームも流行している。事業的にはアイテム課金などでビジネス収益が成り立っている。日本ではガンホー・オンライン・エンターテイメントなどのスマホ向けゲーム(「パズドラ」など)がヒットしている。無料でゲームに誘導してアイテム課金などで収益に変えるビジネスが確立している。これらは共通プラットフォーム上のソフトであり、ソフトの配布やアイテム課金はネットを通じて行われる。ビジネスのためのリソースは、ゲーム機中心のビジネスに比較すると、はるかに小さくて済む。

ゲーム事業の本質的な目的は、上記の二つのビジネススタイルにかかわらず、ヒットゲームの創出である。どちらのビジネススタイルでも構わない。任天堂は、これまでのゲーム機やゲームソフトの資産の上に、より斬新な魅力的なゲームを創造することが、企業活動の中心である。不得意なスマホゲームにアイデアを割く余裕はないはずである。

したがって、「任天堂がスマホゲームに参入する日はこない」というのが筆者の結論である。
Agile Tech技術本部長 河田 勉

(2014/09/04)

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