日本のメーカーによる中小型の有機ELパネルの開発には大いに疑問
日本経済新聞が5月26日報じたところによると、官民ファンドの産業革新機構が主導して、ジャパンディスプレイ、ソニーとパナソニックが出資し、新会社でスマートフォンやタブレット向けの中小型有機ELパネルを開発するとの観測がある。
有機ELの優れた特徴(発光、高速性、高視野角、高コントラスト、曲げられる)を生かしたパネルの開発は主に韓国、台湾、日本のハードメーカーで行われてきた。最初に有機ELを使ったテレビはソニーから発表されたが、大型TV応用については最近サムスンが投資を中止し、パナソニックも開発を中止、ソニーも休止を発表していた。液晶パネルと比較すると8〜10倍のコスト高がなかなか克服できなかったことが最大の要因である。
そこで日本では中小型パネルに集中して、これまでの技術・技術者を活用するのが目的であろうと推察している。筆者がこのような新会社に反対する理由は以下の3点である。
1. 中小型のパネルの市場はすでに液晶と有機ELで占められている。製造キャパシティーが現在確保されており、中小型の市場がこれから爆発的に成長するとは考えにくい。その中で、この新会社の新有機ELパネルが大きなシェアをとるためには、画期的な発明が必要であり、それは困難な道である。技術的にはより性能の高い量子ディスプレイパネルの追い上げもありそうである。
2. 韓国のSamsungやLGはすでに、スマホやウェアラブル端末用に有機ELパネルを製品化して経験を積んでいる。Samsungは世界的に有機ELディスプレイの90%の市場シェアを占めている。これから追いつくには困難が予想される。マーケットをリードするAppleやGoogleとの共同開発が実現すれば可能性は高まるが。
3. SamsungやLGが参入のタイミングこそ遅かったものの、Samsungは製造に関する特許を3MやNECから譲り受けている。またLGはPhilipsやKodakから特許を手に入れている。その意味でも日本の連合体が勝負するのにはこの守りを突破しなければならない。
以上この3点から見れば、新会社の未来は茨の道だと推測できる。新しい秘策がなく、あえてこの道をとるのは良くない選択だと筆者は思う。新会社の目指す方向にこれまでの不利を一気に覆す秘策があることを信じたい。