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やっと私にポータブルPCの誕生?

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「寝ぼけたタイトルに思えますが、本心です。充電ケーブルを持ち歩かないで使えるものが本当のポータブル機器だと私は思っているからです。ノートブックPCがやっと充電ケーブルを持たないで外出して使えるようになりました」。こう思える時代がやってきた。

PCはMS/DOSからWindowsに進化し、動画を楽しんだりできるようになった。PCのプロセッサや周辺回路(特にビデオ処理回路)は高速性が要求され、たっぷりと電力を消費してきた。デスクトップでは問題のない電力消費も、ポータブル機器では二次電池でサポートするので、おのずと限界が生じた。このため、低消費電力のプロセッサが求められてきた。同時に、携帯電話やスマートフォンという、より低消費電力を要求するデバイスが現われた。

 世界初のマイクロプロセッサであるインテル® 4004 (1971年発表)と比べて、40年後の最新の第 2 世代 インテル® Core™ プロセッサは 35 万倍以上の性能を発揮し、トランジスタ 1 個当たりの消費電力は 5,000 分の 1 に下がっている。この進歩が、機器の低消費電力化を牽引している。

私はノートブックPCの誕生と共に東芝製の「ダイナブック」を使ってきた。一度「レッツノート」に浮気をしたが、またダイナブックに戻っている。これまでは出かけるときは充電ケーブルを常に鞄に入れていた。充電ケーブルは自宅用、オフィス用と複数購入していた。PCのバッテリ保持時間は通信などを多用するとオリジナルの仕様の時間よりずっと短くなっている。例えば、講演でPCを使用する場合は2時間の講演でも念のため電源ケーブルを使用するのが私の安全策であった。他の方もそのようにされているのを見聞きしている。

今使っているPCはインテルの提唱したウルトラブックの「dynabook KIRA V632」である。メモリは4GBで128GBのSSDが装備されている。磁気ディスクはない。1.21 kgで薄くて軽い。これで13時間バッテリが持つ(と仕様書にある)。だから鞄の中には充電器は必要ないと判断した。私の定義する本当のポータブルPCである。上述したインテルのプロセッサの進歩により、トランジスタ1個当たりの価格は5万分の1まで低下している。

時代とともに、CPUやメモリ、LCD、ロジックの省電力化が進み、部品の低価格化が実現したので、PCの低価格化が可能となった。今のPCが、私がこれまでに入手したポータブルPCで最も安くて、速く、軽く、長時間使えるものである。

充電の残量を心配する苦労から解放されるのは心地よい。スマートフォンも今、そのように変わりつつある。

最近スマートウオッチが喧伝されている。スマートフォンと連動して使われるものらしい。スペックを拝見すると、電池寿命がまだ25時間というものもある。アプリやUIはどんどん洗練されていくと思われるが、腕時計であるから最低でも一週間から一カ月は持ってほしいものである。腕時計は同時にお洒落アイテムなので、身につけたくなるような魅力的なデザインも必須である。

ポータブル機器の長時間駆動のためには電池の性能向上が欠かせない。現在はリチウムイオン電池が多く採用されている。リチウムイオン電池の特長は電圧が高いこと、エネルギー密度が高いこと、メモリ効果がないことなどである。電圧はニッカド電池やニッケル水素電池の1.2Vに比べて約3倍の電圧が得られる。直列で電池を使用すれば他の電池の1/3の本数で済む。重量エネルギー密度で比較するとニッカド電池の約5倍、ニッケル水素電池の約3倍になる。体積エネルギー密度も同様の数値となり、小さく、軽い電池となり、モバイル機器の電池として広く使われている。

メモリ効果とはニッカド電池やニッケル水素電池でよく起きる現象で、電荷を使い切ってしまわないうちに継ぎ足して何度も充放電を繰り返すと電池容量が見かけ上減少してしまうことを指す。電池の持つ電圧は、使用中にゆっくり低下し、ある時に急激に低下する、という特性を描く。メモリ効果があると、急激に電圧が低下するまでの時間が短くなる。リチウムイオン電池ではこれがなく、継ぎ足し充電が可能となり、モバイル機器により適している。

半導体と電池の進歩がよりポータブル性を高めているが、まだまだスマートフォンの電池寿命は改善の要望が大きい。さらなる研究開発が望まれる領域である。次回からはより技術的な領域について考えてみたい。

U'eyes Design取締役 河田 勉 (2013/11/0)

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