仕事ができる人の4つの共通点
年が改まって平成21年の新春を迎えた。近くの公園では寒い中で準備をしてきた紅梅が可憐な花を咲かせており、気持ちの和むひとときである。電子・情報・通信関連分野の技術コンサルタントをしている関係から、ベンチャー企業や中堅企業を訪問し経営者の方と話をすることも多く、そのような方々との話の中から各経営者の独自性と共に仕事ができる人に共通する点を目の当たりする機会が多い。
今回は、企業経営者に限らず仕事ができる人の共通点を私なりに4つ拾い出してみた。こうして列記してみると至極当たり前のことばかりであり単純に見えるが、いざ実行するとなるとそう簡単ではない。これらを実行することによって仕事力が着実に増す。
(1)前向きな言葉
仕事のできる人に一番共通しているのは、自分自身に対しても他人に対しても前向きな言葉を使い、ネガティブな言葉を話さない点である。言ってみれば昔からの「言霊(ことだま)」信仰に近いものがある。例えば、若いお母さんが子供の話に耳を傾け優しい言葉で話し相手になっている姿を見るとほのぼのとした気持ちになる。子供の人生にとって親、特に母親の役目は非常に重要である。過去の多くの賢人も良い言葉を薦め、悪い言葉を戒めている。
言霊は単なる迷信などではなくて脳の重要な働きの一つであり、言葉による脳の活用化技法に人生を成功に導く大切なカギが隠されていると考えている。最近では脳学者の方々からも言葉の重要性が指摘されているので、その一例を次に紹介する(注1)。
(糸井重里)「いいことを言うと、その通りになる。悪いことを言っても、その通りになる。いい意味でも悪い意味でも、言葉って呪いみたいなものです。」
(池谷裕二)「はい」・・・
(池谷裕二)「脳は安定化したいという性質が強いので、自分があらかじめ言ったことに対しても、どんどん安定化していこうとするんでしょうね。」
(2)小さなことでもやるべきことはきっちりと
この正月にも多くの方から年賀状をいただいた。年賀状を通してこれらの方々に思いを馳せる楽しいひとときを味わうのも新年の大いなる楽しみである。とはいえ、年賀状を正月に届けるには12月25日頃までに年賀状をポストに投函する必要があり、暮れの忙しい時期にこれが大変な作業であることは自分の経験で十二分に身に染みて分かっている。自分以上に忙しい人から丁寧な年賀状を頂くと頭が下がる。忙しい人から頂く年賀状の多いことが不思議である。昔から重要な仕事は忙しい人に頼めというが、まさに至言である。
年賀状のような特別なものでなくて、仕事のできる人は小さなことであってもやるべきことはきっちりと処理をする。例えばメールであるが、電話とは違って相手が読んだかどうかがわからない。そこで、メールを読んだら直ぐ返信するのが相手に対する配慮である。たとえその時点で正確な返答が出来なくても、返答はいつ頃に再度連絡すると伝えるべきである。自分の経験でいえば、ジャンクメールが多くて削除するのに追われ必要なメールまで削除したことがあった。この時は数日して相手から電話を頂き、いつもなら直ぐに返事が来るのにそれがないので万が一のことを考えて電話をしたとのことでことなき得た。年賀状やメールにかかわらず、たとえ小さなことでもやるべきことはその都度きっちりとするのが重要で、この積み重ねが大きな力を発揮する。
(3)ウソをつかない、どんな細かい約束でも守る
誰にでも勘違いはあるが、勘違いとウソをつくのとは大違いである。仕事のできる人はたとえその場の状況が自分に不利であってもその場逃れのウソをついて逃げない。結果として、その人の信用が増すのは当然である。仕事のできる人はどんな細かい約束でも守ろうと努力をする。例えば約束した時間に間に合わない状況が発生した場合には、速やかに連絡をとったり、約束の変更を連絡したりしてくる。お酒の席でポロっと出た話でも、その後すぐに対応していただき恐縮することも多い。仕事のできる人はどんな細かい約束でもしっかり対応していただき頭が下がる。
(4)相手によって態度が変わらない
人間性に優れた人物は上司にペコペコしたり、部下に威張り散らすタイプとは縁遠い。相手の肩書き、服装、身体の外形、性別、学歴、等々によって相手に接する態度が変わらない。上司であれ、取引先の社長であれ、コンビニの店員であれ、自然体で接して相手によって態度が変わらない。この境地に早くなりたいと願っている。
代表取締役社長
禿 節史(かむろ せつふみ)
注1:池谷裕二、糸井重里著「海馬、−脳は疲れない−」新潮文庫、2005.