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東京エレクトロン株価は2年前の3倍増、4万5000円に高騰!!〜強い総合力〜

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「東京エレクトロンのこのとてつもない株価は一体どうなっているんですかね。とうとう4万5000円台突入ですよ。半導体市況が緩み始めた2018年下期頃には1万1000円台でした。なんと5倍です。世界的な評価が高いとしか言いようがありません」。驚きの目を見開きながらこう語るのは、電子デバイス産業新聞の稲葉雅巳記者である。彼は仕事熱心で業界の人たちに可愛がられている。

それはともかく、東京エレクトロンの2021年3月期業績は見事なものであった。連結売上高は、前期比21.1%増の1兆3991億円と過去最高金額を更新した。河合利樹社長は、工場生産棟の増設で従来の1.5〜2倍の生産能力を確保する、と強気の発言をされている。

よく知られている通り、同社の黄金武器は、世界シェアをほぼ独占すると言われるコーター/デベロッパである。ほんの1年前であれば月産20台ほどであったものが、現状ではほぼ倍増の40台水準まで来ている。さらに次世代を担うEUV露光向けのコーター/デベロッパはシェア100%であり、成長が著しい。

この黄金武器を柱にして成膜、エッチング、レジスト塗布、洗浄の4つの部門を合わせ持ち、総合力で勝負できるところが単一装置で勝負する他メーカーとは異なるビジネススタイルなのである。

世界一の露光機メーカーであるASMLは、それ以外に勝負できる製品を持たない。同じく世界一の半導体テスターメーカーであるアドバンテストも、現段階では前工程で勝負できる製品を持たない。ディスコは素晴らしいメーカーであるが、これまた切断/研削/研磨装置以外の分野ではこれというものはない。

一方、東京エレクトロンは研究開発という点でも抜きんでている。キヤノン、SCREEN、産業技術総合研究所と次世代半導体開発で連携しており、経産省のバックもあることで2nm以降の次世代半導体製造技術確立に全力を上げている。加えて、さらなる半導体の技術力強化のため110億円を投資し、山梨県韮崎市に新開発拠点を建設する。これは2023年初めに立ち上がる予定だ。

最近では半導体強化に対して腰の重かった我が国政府も、半導体産業に大きく舵を切る方向を見せている。自民党は日本の半導体産業の在り方を議論する議員連盟を立ち上げており、この会長になった甘利明氏は安部前総理、麻生副総理などの幹部も巻き込んで、次世代半導体を国家プロジェクトにするべく努力している。

同氏は「半導体を制する者が世界を制すると言っても過言ではない。」ともぶち上げているのだ。こうした政府の動きに対し、東京エレクトロンの名社長とうたわれた東哲郎氏が様々な建設的提案をしているとも伺っている。

それにしても東京エレクトロンの16年3月期段階での売り上げは6639億円だった。これが5年後の今日にあって2倍以上になっている。そしてまた重要なことは、この会社のバカ高い給料である。巷で言われるように、眼の飛び出るようなとんでもない金額なのだ。ただ重要なことは、どんなに厳しい仕事の向こうにも「お金という虹」がかかっているのであれば、人は死にもの狂いで働く、という永遠の真理があるのだと切に思う。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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