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コロナ危機で20年世界半導体市場は横ばいから微増か〜大手は好調維持

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新型コロナウイルスの世界的流行はまさに世界大恐慌とも言うべき様相を呈している。IMFの2020年の世界経済予想はマイナス3%であり、09年のリーマンショックの0.1%を凌ぐものであり、サプライズな落ち込みになっているのだ。

当然のことながら、2020年の世界半導体売上高についても黄色信号が灯ってきた。2020年はメモリ市況が引っ張る形で5G、次世代自動車、データセンターなどに向けた半導体が開花する年と当初は位置づけられ、多くのアナリストの予想は10%前後の成長を遂げるというものであった。ところがここに来て、にわかに悲観的な見方が増えてきた。

自動車マーケットはまさにメタクタとなっており、生産を維持するだけでもいっぱいなため、次世代に対する投資はなかなか盛り上がらない情勢だ。5G基地局の投資は増えてくるものの、肝心要のスマホがまったく不調となっている。そして米国や欧州の民生市場はどうあっても回復するのは夏以降ということになる。

さて、こうした状況下で、半導体の世界ランキング第1位のIntelは、先ごろ2020年1〜3月期の売上高が前期比23%増の198億2800万ドルになったと発表している。そしてまた純利益は同42%増の56億6100万ドルとなった。売上・利益ともに1〜3月期として過去最高記録を更新したのだ。牽引したのは何と言ってもデータセンターのサーバーを処理するCPUである。テレワークの拡大で、パソコンやタブレットなどの需要も増えると見られることから、Intelは新型コロナによる負の影響を受けることは少ないと推測されるだろう。

世界最大の半導体ファンドリーメーカーである台湾TSMCも順調に来ている。2020年1〜3月期の売上高の伸びは驚異的であり、前年同期比42%増という数字を叩き出した。いまや半導体世界ランキング3位に躍進した同社は、設備投資についてもまったく手を緩めていない。2020年通期でおそらくは2兆円近い設備投資を断行するとの声もあり、Intel、Samsungを抜いてトップの投資水準を維持していくことになるだろう。そして、2㎚の量産プロセスを世界で初めて確立したこともアナウンスしており、微細加工という点で完全に抜け出したという格好だ。米国において1兆円以上を投入する最先端工場の建設も年内着工を狙っている。

国内半導体企業においても、ルネサスエレクトロニクスが健闘している。2020年1〜3月期の売上高は前年同期比19%増の1787億円であった。また、収益については112億円の黒字を計上した。ルネサスは、車載マイコンにおいて世界トップを行くわけであるが、流通在庫の解消が進んだことで業績は上向いた。今後はデータセンター向け半導体が5Gにシフトされるため、その関連で売上増も見込めるのだ。

インテル、TSMC、ルネサスに共通するのはいずれもロジック半導体が好調である、ということなのだ。これにメモリ半導体が加わってくれば、それほど2020年の半導体は落ち込むことはない、と筆者は考えている。今のところは横ばい予想であるが、うまく行けば、2019年に対して2〜3%の売上増も考えられると思う(編集室注)。

それにしても、人口10万人あたりの新型コロナウイルスの死亡数(4月19日時点)を見れば、すごいことに気付かされる。第1位はベルギー(49.75人)、第2位はスペイン(43.77人)、第3位はイタリア(39.15人)、第4位はフランス(29.47人)、第5位はイギリス(24.21人)となっている。米国は死者の数は4万人を超えてきており、感染者数はまことに膨大であるが、この10万人あたり死亡者数で言えば12.43人とかなり少なく、さすがである、と思えてならない。

いやそれよりも、サプライズであるのが我が国ニッポンである。10万人あたり死亡者数は0.19人と極めて少なく、完璧に抑え込んだとして、世界に喧伝している韓国よりもはるかに低い。ロックダウンを一切やらない、というパラドックスを貫いている。罰則もなく、罰金もなく、力で押さえつけるやり方を取らず、国民の自主性を信じる日本政府の抑え込みは、いずれ世界で賞賛されることになる、と筆者は本気で思っている。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

編集室注)著者は、わずか1カ月前に、20年の世界半導体生産は10〜15%のマイナスになると述べていた(「世界半導体は10〜15%のマイナス成長〜中国のスマホは69%が5G最先行」、4月7日)。
今回、横ばいないし2〜3%成長もありうると大幅に上方修正している。新型コロナウイルスの感染拡大(パンデミック)は、これまでにない高い感染率(インフルエンザの80倍とも200倍とも見積もられている)で、その影響は消費者、医療関係者、小売業、レストラン、イベントなど幅広い業種に渡っており、人が集まる業種が制限を受けている。あまりにも激しい変化であるため、今年はどの予想も当たらないと見るべきであろう。

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