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2019年世界半導体市場は微増で55兆円予想〜GAFAが半導体を設計する時代

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「何だかんだ言っても半導体の高成長は決して止まってはいない。2017年に前年比20%増を達成し48兆円まで押し上げたが、2018年についても二桁成長を維持している。スマホが決して伸びないという状勢下において、IoT革命に伴う半導体アプリの多様化現象が加速しているとしか言えない」。

こう語るのは著名な半導体アナリストである南川明氏である。南川氏はかつて米国モトローラ社の半導体部門で働いており、途方もない長い年月を半導体業界で生きてきた。それだけに半導体のすばらしさも怖さも知り抜いている人物だ。

確かに2018年の半導体市場は、最大アプリのスマホが減速したことで不安要因が広がっている。今のところは15億台まで伸びたスマホは2018年通期で5〜6%は減ると見られている。かつて5億台を消費した中国が米中貿易摩擦の影響で産業界も民生も失速しているだけに、二桁のマイナス成長になるとも言われている。

ここに来て半導体におけるムーアの法則はもはや完全になくなったといってよいだろう。微細化プロセスで言えば1nm進むのに1年も2年もかかっているのだから、もはや過去の通例は通用しないとはっきり言えるだろう。そしてまた、3〜4年ごとに繰り返される天国と地獄ともいうべきシリコンサイクルも、IT主役からIoT主役にアプリが変わってきたことから(編集注1)、消滅しないまでも著しい変化が出てきている。日本を代表する証券会社の名物アナリストが唱える「半導体は爆裂高成長でスーパーサイクル突入」という意見には必ずしも賛成ではないが、かなり長いレンジで高成長を続けていくことだけはうなずけることなのだ。

それにしても、半導体のたくましさは世界のファンドリ稼働率を見ればよくわかる。ここに至っても80%前後を保持しており、先端プロセスについては何と90%を上回るのだ。台湾TSMCがぶっちぎりトップの世界ではあるが、最近ではアマゾン(A)、グーグル(G)、フェイスブック(F)、アップル(A)など巨大企業GAFAが自社で半導体を設計し始めており、これが半導体製造を加速させているとも言える。

ここで重要なことは、ソフトがどうの、システムがどうのと様々に言われるが、半導体の持つ最重要性である機密保持による差別化、つまりは知財権をチップに閉じ込める意義がさらに拡大しているということなのだ(編集注2)。

日本勢においても、ソニーのCMOSイメージセンサにおけるここ3年くらいの設備投資が6000億円以上になるとのアナウンスがあった。ウェーハ能力で言えば300mm月産10万枚を13万5000枚に上げるための投資であるが、一番驚くことはこの投資は次世代の大本命といわれる車載向けセンサのへ投資が全く含まれていないことだ。2022年以降に一気に加速するといわれる自動走行システムにおいては、レベル4段階でCMOSイメージセンサ搭載が必須事項となる。1台のクルマに19個が使われるといわれており、ソニーはおそらく車載向けで60〜70%のシェアを取ると思われる。このための設備投資は新たに1兆円以上が投入されるだろう。

ついこの間のことであるが、東芝デバイスのトップにお目にかかる機会に恵まれた。東芝の中に残っている半導体部門はかなり好調であり、パワーデバイスについては「作っても作っても足りない」(東芝デバイス福地社長)ほどの活況なのだ。自動車のIoT化が進むことにより大きな主役に躍り出るパワーデバイスは日本勢に大きな福音をもたらすのだ。

さて、筆者はこうした様々な要因を分析した上で2019年の半導体市場は横ばいから微増になると予想する。つまりは55兆〜56兆円くらいの金額を想定するが、トランプの振り上げたこぶしが下ろされることになれば話は別である。今のところ市況が後退しているメモリの回復は来年5月頃と見込まれており、この2つを考えあわせれば来年下期に再び上昇機運に乗ってくることは十分にあり得ると思っている。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉


編集注
1. セミコンポータルは、IoTをITの一つと捉えており、半導体をけん引する技術はやはりITだと考えている。ITのメガトレンドの一つがIoTであり、AI、5G、セキュリティと並んでITトレンドの一つである。4~5年前のITのメガトレンドはクラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルであったが、これらは今やITの技術インフラとなっている。
2. 半導体はセキュリティを確保しやすいことは事実だが、万全ではない。認証を受けたものだけが、入ることのできるコンテナ(あるいは部屋)のファイヤウォール(防火壁)をしっかり作ったうえで、セキュリティを確保しておかなければ、暗号キーでさえ、盗まれかねない。例えば暗号キーはあるセキュアなメモリ領域に保管していなければ、半導体チップにアクセスされると簡単に暗号キーを盗まれ、データを読まれてしまう。このため、半導体チップ内もシステム同様、セキュアな領域を確保していなければならない。

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