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米中貿易戦争は中国半導体にマイナス〜米製造装置入手できず投資減退へ

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米中貿易戦争の激化による中国のダメージは予想以上に大きいと言ってよいだろう。既に国営企業の株式時価総額は200兆円が吹っ飛んだとも言われており、これは並大抵のことではない。当然のことながら、中国企業の設備投資意欲は急速に減退し、工作機械、建設機械などには減速感が著しくなってきた。工作機械の最近の中国向け受注は30%減、50%減という日本企業は数多い。

そしてまた、はっきりと中国企業の利益が一気に下がってきたことが懸念される。中国の上場約3500社の2018年7〜9月期は純利益が前年同期比7%増となっており、4〜6月期の23%増から大きく後退したのだ。製造業の設備投資抑制がすべてに影響している。これが民生に影響しないわけがない。スマホの売り上げも減退し、スーパー、百貨店などの小売業も急速に落ち込んでいる。そしてまた中国の新車販売は7月から前年を割り込み、自動車全体では7〜9月期に2桁マイナスとなってしまった。EVブームが加速するどころの話ではない。

「中国における半導体設備投資の急拡大には多くの期待がかかっている。とりわけ半導体製造装置や電子材料業界は、中国製造2025の効果による半導体工場新増設に備えている。しかし最近になって、中国のDRAM工場に米国の最先端装置は出さないという米国政府の方針がほぼ固まってきた。こうなれば話は変わってくる」。

こう語るのは今や半導体業界最古参のアナリストとして著名な南川明氏(IHSグローバル調査ディレクター)である。南川氏によれば、トランプ大統領の基本姿勢はまさに好戦的以外の何ものでもないという。今起きていることは貿易戦争ではなく、米中冷戦といってよいほどの緊張感が高まっているのだ。貿易摩擦の影響は、たとえ一時的であってもエレクトロニクス市場をスローダウンさせることは間違いない。

「中国の半導体設計能力はかなりのレベルまで高まっている。なにしろAIチップを作れるほどのデザイン力があるのだ。しかしながら、米国の半導体製造装置が手に入らなければ中国は設計できても製造できない。これでは中国製造2025も絵に描いた餅になってしまう」(南川氏)。

それにしても世界の半導体の40%は中国が消費しており、そのうち50%は米国製の半導体を使っている。トランプ大統領の方針をそのまま推し進めれば、確かに中国の台頭を食い止めることはできるが、一方で米国半導体メーカーの対中輸出にも大きな影響が出るわけであり、いわば痛み分けとなってしまう。

こうした状況を考え合わせれば、中国における半導体の巨大投資はここに来て遠のいてきたとの分析もできるかもしれない。トランプ大統領というたった一人の男によって半導体設備投資を巡る情勢がここまで変化を余儀なくされるとはだれも考えなかっただろう。そして米国USTRは、中国の産業スパイの実状をしっかりと調べ上げており、全ての証拠をそろえたという。「知財権侵害を食い止める!」というトランプの主張はいわば錦の御旗になるわけであり、今回の米中貿易戦争はそう簡単に治まるという代物でないことは明らかであろう。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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