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中国半導体は決して侮れない存在になる〜世界が変貌を遂げる時の違和感

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「中国は共産主義と資本主義とのハーフのような政策を展開し、急成長を遂げてきた。これをアブノーマルなことと認識する人は数多い。しかし、産業革命が起きた時に当時のオピニオンは実にこれを否定するものが多かった。時代が大きな変貌を遂げる時に、生まれる違和感を避けてはならない」。

これは東京大学にあってIoT/センサーの分野をオピニオンリードしている教授の言葉である。明治維新から150年を数えることになるが、清(現在の中国)は阿片戦争に敗れたとはいえ、1800年代前半においては、アジアにおける最大の国家であったのだ。それが一気に転落し、一時期は貧困そのものという体たらくに陥った。

ところが、である。1992年の南巡講話を手始めに小平による改革が始まってからというものは、共産主義を維持しつつも、資本主義を導入するという離れ技に打って出た。そこからの急成長には目を見張るものがあり、はっと気がつけば我がニッポンはGDP第2位の座を中国に譲ってしまった。そしてまた世界の有識者はみな中国が2030年までには米国を抜き去り、ぶっちぎりの世界トップに躍り出るとも指摘し始めた。

さて、今日にあって中国の半導体消費シェアは50%に達し、世界最大となった。そしてまた、弱い弱いと言われた国産半導体売り上げは年率20%成長を続け、2020年には15兆円近くまで伸びるとの予想も出てきている。

半導体設備投資という点でも中国の存在感はいやが上にも増している。2018年には中国の半導体生産ラインに対する設備投資は世界第2位に上がると言われており、2020年以降には韓国を抜いて世界第1位になるという意見も強まってきた。確かに最先端プロセスでは、米国が装置供給にストップをかけているために及ばないところがある。しかし、中国政府は2020年までには14/16nmプロセスの半導体を大量生産するとぶち上げている。

筆者は数カ月前までは、こうした中国政府の半導体推進策についてかなり冷ややかな見方をしてきた。中国政府を中心に半導体ファンドは10兆円以上が集まっているという情報があり、実に17ヵ所で新工場が建設されており、雨あられの巨大投資が断行されている。つまりは、半導体における世界制覇の野望がはっきりと見えている。しかし、いかんせん技術者がいない。また熟練したオペレーターも圧倒的に不足している。こうした状況下ではいくら打ち上げ花火をあげても実際には作れないと考えていた。

「太陽電池や液晶の投資状況を見ても、中国のやり方は行政における補助金が90%を占め、企業はたったの10%しか出さない。いわばかつての日本の公共工事と同じやり方で成功している。また、ハイエンドの半導体プロセスエンジニアが1000人以上、サムスンやTSMC、そして一部日本企業から中国半導体メーカーに移籍している。移籍料は1億円というまことしやかな噂もある」。

これは半導体製造装置メーカーの大手幹部が筆者に囁いた言葉である。まさに、荒っぽいやり方が表面化してきたのだ。それでも人を集め、金の力にものを言わせれば、どのような苦難があっても乗り越えてしまう可能性を否定できない。中国が世界帝国の地位から一気凋落したのは第1次産業革命に出遅れたからに他ならない。このことを決して中国は忘れてはいない。IoT、次世代半導体などをコアとする第4次産業革命は、中国にとって大反転のビッグチャンスでなければならないのだ。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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