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スーパープレミアム家電は新市場を創出〜パナを先頭に日立、シャープも追従

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「通常の家電製品はいまや低価格化とそこそこの機能が達成されたことで、言わば枯れた製品となっている。世界中どこへ行ってもテレビ、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫などは当たり前の常置製品であり、誰もが買える製品であるために付加価値がなくなっている。ところがここにきて、とりわけ日本企業が前面に打ち出したスーパープレミアム家電はかなりの力を見せ始めた」。

こう語るのは大手証券会社のIT/家電担当の有力アナリストである。さてスーパープレミアム家電であるが、その先頭に立つのが、家電の帝王であるパナソニックであり、家電を担当するアプライアンス部門の売り上げは2016年3月期で微減の2兆2694億円となったが、営業利益は実に45%増の722億円となった。特に白物家電事業をけん引しているのはプレミアム製品であり、日本におけるプレミアム製品の構成比率は44%を占め、アジアでも34%、中国でも32%に達している。高価格であってもウルトラ付加価値がつけば売れるという証左と言えるだろう。

創立70周年を迎えたソニーもまたコンシューマ製品が盛り返してきた。また注力分野として期待しているのがVR製品とAI・ロボットであり、いずれもソニーが得意とする民生部門の核弾頭となる。PS4は4000万台を軽々超えてきており、ハードではゲームの世界チャンピオンに輝いている。また、アイボ以来のロボット製品を作ることもすでに発表している。おそらくは、感動を呼ぶ家庭用ロボットが中心となるだろう。こうした日本の家電企業の復活はひとえにスーパープレミアムというバリューで勝負するという戦略にあるのだ。

シャープのオーブンレンジ、ヘルシオシリーズは実売価格18万円前後でも月6000台は売れている。これは赤外線ムーブセンサで食材ごとの温度差を見分け、冷凍品、冷蔵品、常温品の食材が混ざっていても一気に調理できる。さらに過熱水蒸気によるウォーターヒート技術を駆使する。「まかせて調理機能」は8〜10分で100種類のスピードメニューを作ってしまう。

日立アプライアンスもシャープとほぼ同様の製品を作り、ヘルシーシェフとして売り出し16万円の価格ながら月に5000台は売れている。シャープとほぼ同機能を持ちながらLED照明を従来比で8倍の明るさとし、調理中の状況が良く見えるようにした。

家電ベンチャーのバルミューダはトースターの常識を覆したプレミアム品を作り上げた。コンビニパンをホテルブレッド並みに焼き上げるウルトラ技術を使い、どんなに安いパンでも高級品に変えてしまう。価格は2万4730円とプレミアムにしては安いので、かなりの評判。

さて、パナソニックは2018年度に全社10兆円の売り上げを狙うが、このうち2兆3000億円は家電事業が担うことになる。この時点で国内外すべてのプレミアム家電の構成比を30%以上に高める考え。ヘアドライヤーはぶっちぎりトップシェアをもち、日本においては約63%の人が多少高くてもプレミアム家電を買うという趣向をうまくキャッチしていく考え。ナノケアシリーズは累計700万台を出荷し、国内シェアは約2割。微粒子イオンを採用し、髪をトリートメントできる世界初のドライヤーで市場価格2万円でも飛ぶように売れている。その他にも15万円で美しくなれるパナソニックビューティーといわれる製品群を取り揃えており、プレミアムな女性にはプレミアムな美容家電が必要と世界の富裕層に訴えている。さらに、米国IBMと提携しワトソンを活用したAI住宅を世界に展開していく。いわば、スマートホームのAI版であるが、これによりプレミアム家電もすべてIoT対応としていく考えだ。

ところで、韓国のサムスン電子もスーパープレミアム家電に全力を挙げる姿勢を打ち出しており、LGエレクトロニクスはプレミアム家電のおかげで営業利益が140%増にもなっている。90万円のテレビ、70万円の冷蔵庫などがバカ売れしており360万円のテレビも発売予定。例えば、同社のシグネチャー冷蔵庫はドアを二回叩けば冷蔵庫内に照明が付き、ガラスを通じて冷蔵庫の内容物を確認できるのがウケている。また、クロネコヤマトは今後拡大するプレミアム家電に対応し、延長保証のプレミアムサービスを開始している。日韓のスーパープレミアム家電をめぐる開発競争は今後ますます加速していくだろう。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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