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ニッポン家電産業の逆襲が始まっている!! 〜主役はIoTと有機EL

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世界初とでも言うべき、とんでもないディスプレイを見せていただく機会に恵まれた。それは、ソニーとパナソニックの有機EL部門が統合したJOLEDが作り上げた約20インチの印刷法による有機ELディスプレイである。これにはかなり参った。漆黒の奥深さ、モビリティのすばらしさ、コントラストの鮮やかさ、そして何よりも切れのある画像に筆者は打ちのめされた。

「印刷法でここまで行くとは全く想像していなかった。これは大画面TVにも行けますね」とJOLEDの東入來信博社長に感想を述べたところ、言葉をにごして彼は「いやあ、そこまではまだまだ」と笑っておられた。しかし筆者は見逃さなかった。顔はいくら笑いの表情を作ってはいたものの、眼は笑っていなかったことを。ギラリと光っていたその眼は、「やってやるぜ! 今に見ていろ!!」と言うかのごとくであった。

JOLEDは周知のように、パナソニックとソニーの有機EL事業が合体し、国策版の有機ELカンパニーとして立ち上げられた。「これぞ世界と勝負する有機ELを作ってみせる」という気合で創られた。これまでは印刷法による有機ELは難しいとされ、事実上世界で完全に成功したメーカーはいなかった。しかしJOLEDは京都の技術センターで試作レベルではあるが、「まっこと」作り上げてしまったのだ。歩留まりが問題になるが、それでも突き進むしかないとの強い意志を示していたことにも驚きであった。

印刷法は当然のことながらステップ数が少なく、かなりのコストダウンになるため、量産に成功すれば何といっても価格競争力がある。おまけに、画像の美しさも群を抜いており、これが2020年の東京オリンピック時における8KハイビジョンTVに間に合えば、もう一度日本ブランドのTV復活につながる。ソニーのTV技術陣に話を聞く機会があったが、彼らは「TVは決してあきらめてはいない。必ずや巻き返して見せる」との意気を示していた。今は世界3位で、サムスン、LGに大きく離されているが、もう一度「世界一のトリニトロン」の栄光に返り咲くことを考えているのは間違いないだろう。

ここに来て、日本を代表する家電メーカーであるパナソニックも、プレミアムまたはスーパー家電といわれる家電製品を多く投入している。IoT時代に対応し、インテリジェント化した家電を開発し、世界の高所得者層をターゲットに勝負をかけていく考えだ。パナソニックの白物家電はここに来て復調が目覚ましい。全11部門で黒字を計上し、この分野における国内シェアは30%以上に引き上げトップに立ったのだ。

ソニーもまたお家芸ともいうべきCMOSイメージセンサーを活用し、IoT時代における家電の完成形に向けて全力を上げている。日立製作所も白物家電の製品開発に人工知能(AI)を導入することを打ち出した。開発中の製品をモニターが使う様子を撮影し、手元の動きやとまどう仕草をディープラーニングで分析する。それを使い勝手の改善や新たなニーズの発掘につなげていくという。

モータの大手である日本電産も主力製品のインテリジェント化を考えている。モータに32ビットマイコンを搭載し、ASIC、センサモジュールを貼り付けることによって自律的に判断する頭脳付きのモータを、家電や車載などIoT時代に対応する製品として育てていくのだ。

さあ、諸君、眼を見張りたまえ!! 負けに負け続けたニッポン家電産業の逆襲の姿をしっかりととらえようではないか。

産業タイムズ社 代表取締役社長 泉谷渉

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