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モバイルDRAMの設備投資が再開されてきた!!〜3次元NANDの量産化はまだ先

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パソコンおよびデジタル家電、さらにはスマートホンやタブレット端末のメインメモリとして活躍しているDRAMの市場に活気が戻ってきている。2012年は市況低迷の影響から、設備投資が大幅に抑制され、これがとりわけ製造装置メーカー、材料メーカーにかなりの影響を与えてきたのだ。

ところがここにきてスマートホンやタブレット端末向けの需要が好調であることから、各社とも市況好転は確実なものと判断している。DRAM業界全体の2013年のビット成長率は20〜30%と予測され、依然低水準に留まっている。しかしながら、スマホやタブレットなどのモバイル用DRAMに限れば50%以上の伸びが期待できる状況となっている。

モバイルDRAMでは現状3X nmが中心であるが、2013年は2X nm世代がより大きなウエイトを占めると見られ、この微細化投資も拡大することは確実であり、装置メーカーには少しく追い風が吹くだろう。

一方で、パソコン向けは不調が続きスマホやタブレット向けが好調であることから、各社とも汎用DRAMからモバイルDRAMへの転換投資を加速する。サムスン、SKハイニックス、マイクロン/エルピーダの3大メーカーは、こぞってモバイル転換投資に積極姿勢を見せているのだ。

NANDフラッシュメモリーも2012年後半から大口価格、スポット価格ともに上昇している。メモリーメーカーが生産と投資を絞ってきたことで、需給バランスがよくなり始めたことが要因だろう。直近で32GビットMLC(多ビット/セル)の大口価格は2.6ドル前後まで回復している。さらにパソコン向けSSDの需要立ち上がりも想定されており、微細化投資がこちらでも加速していく。

東芝は四日市工場で最先端の1Y nm世代の量産準備に向け、製造装置を導入中。サムスンも第16ラインで19nm世代の能力増強に着手している。ただし微細化については、思ったほど、ビットコストが下がらないという根本的な問題がある。つまりは、ダブルパターニングの本格導入でプロセスコストが上昇してしまうのだ。この代替技術として期待される3次元NANDもいまだ量産化のメドはついていない。

2013年のモバイルDRAM向けの設備投資は微細化が中心となるが、2014年以降はウェーハ投入能力そのものの増強が大きく期待できる情勢だと言えるだろう。

産業タイムズ社 代表取締役社長 泉谷 渉
(2013/04/05)

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