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Li+電池のバラ色成長予想に陰り〜お家芸の材料では日本勢の優位が継続

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ボーイング787の不具合は国内外に多くの波紋を呼んでいる。1機あたりの推定価格が約200億円であり、800機を作る計画であるからして16兆円の大型商談が予想されているのだ。ところが、787の安全性に問題があると認定されれば、この生産計画は著しく狂ってしまう。炭素繊維、リチウムイオン電池をはじめとする多くの先端部材を、ボーイングに供給している日本の部品/素材メーカーには大打撃となってしまうだろう。

さて、リチウムイオン電池の世界市場は現状で約1兆円であり、2016年には2兆4000億円が見込まれ、バラ色の成長予想が描かれている。しかしながら、次世代環境車の本命ともいわれる電気自動車(EV)の普及が、思った以上に進まないことで、リチウムイオン電池の出荷状況も決して明るいとはいえない状況だ。自動車関係者によれば、EVの普及はかつての計画よりは2年以上遅れるだろう、との予想が広がっている。

一方で、リチウムイオン電池を育てた応用製品であるビデオカメラ、ノートパソコン、携帯電話の低迷が続いている。今後はスマートフォンやタブレット端末がビッグマーケットとして注目されるものの、やはり車載が伸びなければ、バラ色の成長予想に陰りが出てくることは間違いない。

ほんの数年前まで日本勢はリチウムイオン電池市場で圧倒的な強さを誇ってきた。三洋電機、パナソニック、ソニーなどが市場をリードしてきたが、ここにきて韓国勢のサムスン、LGが徹底的な巨大投資をすることで日本勢をキャッチアップしてしまった。ソニーなどはもうリチウムイオン電池はもう売り払ってもいい、というネガティブな判断をしているともいう。

2012年の国別の正確な出荷統計はまだ正確には出てきていないが、おそらく韓国企業が約50%近いシェアを持ち、日本企業は35%前後まで落ちたと見られる。かつては日本勢が60〜70%のシェアを持ってブッチ切っていたというのに、メモリ半導体や液晶と同じくまたもや韓国勢によって蹴散らかされたのだ。

サムスンやLGの強みは、ノートパソコン、携帯電話、スマホなどの巨大な内製アプリがあることだ。しかし日本勢は車載向けについては、技術面でも量産面でもかなりリードしている。また、家庭用、工場用、病院用など大型2次電池の分野でも先行しているのは明らかだ。

一方、リチウムイオン電池の材料分野では今だに日本勢のポジションは高いところにある。正極材については、日亜化学が相変わらず強く世界トップの20%シェアを握っている。負極材については日立化成が35%のシェアを持ち、優位が続いている。セパレータ分野は旭化成が40%近いシェアを持ち、これを東レが20数%のシェアで追いかけるという展開。電解液についても宇部興産が20%強のシェアで世界トップを走り、三菱化学が15%シェアで追いかけるという状況だ。

デバイスで負けても材料で勝つ、という日本企業の方程式はこの分野でも揺らいではいない。しかしそれにしても、期待を集めるEV向けがあまり盛り上がらず、航空機向けも少しく黄色信号がともっている状況下で、リチウムイオン電池自体の高い伸び予想がトーンダウンすれば、日本の材料メーカーにもやはり大きな影響が出るだろう。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷渉

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