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13年の半導体設備投資は過去最高の予想〜市場が伸びないのになぜ投資を拡大

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半導体の市場予測ほど当たらないものはない。日刊スポーツやダービーニュースの競馬の予想欄の方がよっぽど当たるくらいなのだ。これゆえ、技術についてもマーケットについても大胆な予測をして失脚した記者やアナリストの数は計り知れない。

「強誘電体メモリーは、いずれ2兆円の市場を築く。この技術開発や設備投資に乗り遅れたやつはみんな墓場行きさ」。かつて半導体産業新聞のライバルであった媒体が、随分と昔に堂々と張った論説である。筆者は臆病でかつ、こずるい記者なので、このような大向こうをうならせる予測は決してやらない。ただ地べたを這いずり回るような取材の積み重ねで、間違いなくその方向に向かうと思ったときだけ、ズバッと書かせてはいただく。

ちなみに強誘電体メモリーのマーケットなど、現状にいたっても実に”ちゃっちい”もので、話題にすらならない。そういえば、DRAMの世界においても、かつて「ラムバスが絶対の主流になる。これを信じないやつはほとんどバカだ」と明言していた輩もいるが、今となってはただ虚しいだけだ。

さて、SEMIの市場調査によれば、2012年の前工程ファブ装置設備投資は 横ばいである見通しであったが、5月の予測では前年比2%増 の395億ドルに修正された。 2013年には17%増の463億ドルとなり、過去最高を更新するとアナウンスしている*。この発表を見て、あるエレクトロニクスメーカーは驚嘆のあまり絶句した。なぜなら、世界の半導体市場は2010年から3年連続ほぼ3000億ドル前後で横ばい状況が続き、まったく力強い成長の足取りが見えない。ドライバ役であるPC、液晶テレビ、一般的な携帯電話の市場の弱さを見れば、半導体がかつてのようなカリスマ成長神話を続けるとはとても思えないからだ。

それにもかかわらずSEMIは大胆にもファブ設備投資の上方修正を行った。もちろんスマートフォンやタブレット端末という新世代のデバイスが伸びることを前提に期待的数値として各社が増強に走る、というのが一般的な見方だろう。しかしながらこの投資上昇にはウラがあると思えてならない。

投資急上昇の要因の一つとして、十分に考えられることは3Dトライゲートトランジスタへの切り替えに伴う新たな装置需要だ。思えばインテルがかつてプレーナ型のシリコンゲート技術を確立し、半導体の事実上の量産技術を絶対のものにして以来、トランジスタ構造はほぼ40年間に渡ってまったく変わってこなかった。つまりは、半導体のデバイス構造は延々と長い期間に渡って平面構造であった。今回の3D トライゲートトランジスタとは、要するに3次元立体構造のトランジスタのことを指しており、40年ぶりのトランジスタ革命が起きようとしているのだ。このことで装置はかなり大幅に変わることになる。次世代プロセスが現在の延長線上の技術ではなく、トランジスタそのものにメスを入れるのであれば、設備投資が増大するのは当たり前のことだからだ。

それにしても、世界の半導体設備投資がどれだけ増大の方向にあっても国内勢は元気がない。国内大手半導体メーカー12社の2012年度設備投資は、前年度に対し25.4%も少ない4406億円にとどまる(半導体産業新聞調べ)。エルピーダメモリが破たんし、ルネサスが経営難に陥り、パナソニックがサプライズの大型赤字を出している現状において、強気の計画など立てられるわけもない。しかしながら、もう一度思い返してみよう。80年代後半に日本勢の大攻勢によりギリギリまで追い詰められたインテルが、起死回生の切り札としてDRAMを捨て、MPU一本に絞り、世界チャンピオンに返り咲いた苦難の歴史を思えば、ニッポン半導体にも同じことができるはずだ。

再び壁を突破:半導体ファブの装置設備投資は2012年も2013年も成長し史上最高額へ ファブ建設投資も大きく改善

(株)産業タイムズ社 代表取締役社長 泉谷渉

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