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ニッポンの底力は実装にあり〜いまだ世界シェア30%、JISSOは世界共通言語

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日本電子回路工業会(JPCA)が創立50周年を迎えた。この記念となる展示会が6月13日〜15日に東京ビッグサイトで開催された。半導体産業新聞も主催者の一角に加わっており、様々な企画のお手伝いをさせていただいた。

同工業会にあって副会長を務める山本治彦氏は感慨深げに以下のように振り返る。「半導体や液晶をはじめとして日本のエレクトロニクスが大きく後退している中にあって、ニッポンの電子回路業界は頑張っている。この分野で日本勢の世界シェアはいまだなお30%を握るのだ。」

電子回路基板は半導体や電子部品を支える技術として進展を遂げ、世界で5兆円のマーケットを築くに至った。日本勢の活躍は目覚しく、JISSOは今や世界標準語となっている。日本勢の築いた電子回路基板製造技術、電子回路実装技術は世界の先頭を走り、多くの標準化も達成してきた。

しかしながら半導体がこの50年間に集積度で1億倍、スピードで1万倍という驚異的な変化を遂げたことに対し、プリント回路の密度は1千倍に留まっている。つまりはまだまだ微細化の余地はあり、研究開発の進展が大いに期待される分野なのだ。

スマートフォンが昨年段階で世界出荷5億台レベルとなり、これまでのITの主役であるパソコン3億5000万台を軽々と抜き去った。タブレット端末も大きく伸びており、デジタルカメラや携帯電話の世界もさらに、小さく薄く軽くの世界を極めていくだろう。こうしたモバイル機器にあっては、バッテリーや電源に多くの面積をとられてしまうため、実装面積はどうしても少なくなる。これがゆえに高密度実装基板の技術が必要となってくるのだ。

新世代の基板として期待されるのがフレキシブルプリント基板(FPC)であり、この世界最大手である日本メクトロンの小林俊文社長は、今後の傾向について次のように語る。「FPCの多層化を急ピッチで進めなければならない。なにしろ最近のFPCにはカメラ、マイクロフォン、アンテナ、スピーカーなどの機能部品が多く搭載され始めており、実装技術が重要になる。ロールツーロールで作りこむ技術がモノをいう。私どもを含め、日本のFPCに関する技術の集積はレベルが非常に高い。ここでは世界に負けたくないとの思いが強い」。

半導体の歴史においてバイポーラ、nMOS、pMOSという技術の進展の上に、切り札ともいうべきCMOSが登場する。しかしながら当初、CMOSの欠点はバイポーラのECLと比べると、なんとしてもスピードに欠けることであり、実装回路をドライブするパワーが小さいことであった。CMOSは微細化の進展により電流ドライブ能力を上げ、実装基板は高密度化によってCMOSのドライブ能力を助けた。まさにCMOS半導体の力を引き出すことに、世界に誇るニッポンの高密度プリント基板と実装技術が大きく貢献したことは間違いない。

パナソニック、ソニー、シャープなどかつて世界の勝ち組であった日本の家電メーカーが全軍総崩れとなる中で、日本のエレクトロニクス関係者の顔は暗い。あっちこっちのガード下の赤提灯でため息をつきながら酒をガブ飲みしているのは、まあ大概は電機業界の人間だろう。韓国、台湾などのアジア勢に打ちのめされ、もう二度と立ち上がれないとの声もある。しかしながら、こうした情勢だからこそ、日本の技術者には胸を張れと言いたい。電子回路業界は中小企業が多いにもかかわらず、世界の投資ラッシュの中で生き残り、いまだトップシェアを持っているのだから。あきらめることはない。高付加価値の作りこみ、違う分野の技術の融合をやらせたら日本人の右に出るものはいない。

半導体業界のトップアナリストである南川明氏は元気のない日本勢に対し、以下のように檄を飛ばすのだ。「ソニーも京セラもシャープも、みんなみんな、かつては中小企業でありベンチャーであった。敗戦の焦土の中から立ち上がったソニーの創業者は次のように言い切った。『我々には食べる物もなく、金もなく、作りこむ工具すらない。この胸にあるのはただ一つ、世界にかける夢と愉快なる工場を作ることだ』。この精神を今こそ思い出すべきだろう」。

産業タイムズ社 代表取締役社長 泉谷 渉

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