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外資系メーカーが日本へ続々進出〜世界に誇る労働力と最強の素材力を評価

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東日本大震災の影響がまだ残っているこの日本に、続々と外資系メーカーが進出し始めていることは一種の驚きだ。半導体では、すでに米テキサスインスツルメンツは米スパンションが進出していた福島県会津若松の工場を買収しており、先ごろイスラエルのジャズセミコンダクターが兵庫県西脇に進出を決めた。

さらに外資系の大手2〜3社が日本に工場進出することはほぼ確実な情勢となっており、筆者が所属する半導体産業新聞はこの詳細情報の取得に全力を挙げている。また数日前には、パソコンの世界最大手であるヒューレットパッカード(HP)が、なんと主力の中国工場を日本に移転させるという衝撃の発表を行った。日本で製造すればコストは4〜5倍も跳ね上がるというのに、日本のものづくりの確かさを信じて移転を決めたというのだ。外資系の自動車向け材料メーカーのマーレーもまた、先ごろ福岡県直方に新工場建設を決めた。また、ベルギーに本拠を構える非鉄金属大手のユミコアは、横浜に光学ガラス関連の新工場進出を決めた。まさに雨あられの外資系の日本進出ラッシュなのだ。

世界一高い電力、世界一高い水、世界一高い労働力、世界一高いインフラコストの日本に、なにゆえに外資系工場が次々と進出してくるのか。これまで欧米系の工場進出と言えば、ひたすら中国が主役であり、日本はジャパンパッシングとさえ言われ、まったく無視された存在であった。しかるに、東日本大震災は二つのことを浮き彫りにした。それは、世界のどこよりも高い日本人のモラル、謹厳実直な労働力、きっちりとものづくりをする忍耐力をまずは世界に示したのだ。そしてまた、サプライチェーンがずたずたになったことで、自動車もスマートフォンも液晶テレビも、日本の素材がなければ作れないということを世界に示した。ニッポンの素材力インフラこそ、世界一流だ、との確信が外国に広がったことの意味は大きい。

産業タイムズ社 取締役社長 泉谷 渉

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