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東北・北関東に国家的支援の経済特区作れ!〜西日本/海外への工場流出歯止め策

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筆者が、かの3/11の大衝撃ともいうべき地震を経験した時、東京・西荻窪の商店街にいた。ただちに電話がかかってきたのはデジタルカメラメーカーと車載関連メーカーであった。いずれもルネサスエレクトロニクスの被害状況をすぐ知りたいということであった。

東日本大震災で被災した東北・北関東エリアには、半導体、液晶などの材料・部品の工場が非常に数多い。これが世界の自動車生産にも大きな影響を与え、スマートフォンの量産にも供給不安を起こしかねない。こうした状況下で、多くの部材の調達が、韓国、台湾、中国などに流れている。東北エリアの本格的な復興を待っていては、シェアを海外勢に取られるだけだ、という日本メーカーの判断があり、今後、西日本エリアに大増強の号令が飛ぶことは間違いないだろう。また、東北の工場を九州や大阪など西日本にそのまま移設してしまうというケースも十分に考えられる。つまりは、被災された企業やそこで働く人たちには不幸なことであるが、企業論理で言えば、設備投資を待つわけにはいかない。また、生産シェアを海外勢に取られるわけにはいかない。それゆえに、西日本にある工場を増強、または新工場の建設を西日本に計画するということは避けられない情勢になっている。

こうなれば、東北・北関東エリアから工場が逃げ出すということにもなりかねない。そこで政府が手を打たなければならないのは、東北経済特区という考え方だろう。つまりは、道州制移行について東北エリアを先行させ、そこに徹底的な国家的支援を与えることが重要だ。つまりは、東北エリアに工場を作る企業に対してその30〜50%を日本政府が補助するというぐらいの思い切った政策を取らなければ、東北の再生はなく、西日本に製造が偏っていってしまう。今こそ政府の大胆な復興策が必要なのだ。

ところで、石原慎太郎東京都知事の指摘するとおり、パチンコと自販機だけで福島原発すべてに匹敵するほどの電気を消費していることもよくわかった。自販機メーカーは今後、ヒートポンプの電力効率をより高めた最先端機種に切り替えるべきだ。つまりは、日本が得意とする技術であるヒートポンプをこの大震災を契機に、より一層加速すればよいのだ。

また、パチンコ屋の電飾があまりに派手すぎるということであれば、設置台数を絞った上で有機ELやLEDを駆使した新型パチンコ台に換えるべきだ。それならば消費電力は少ない。もちろん、店内の照明もすべて次世代照明に切り替えるべきだ。こうしたパチンコ屋の省エネ投資が、日本が得意とする有機ELやLEDの産業を加速することは間違いない。

産業タイムズ 取締役社長 泉谷 渉

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