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Intelマレーシア見学記(4):後工程工場にはベールに包まれた研究開発部門が!

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世界最大級の半導体後工程工場であるIntelマレーシア工場(同国ペナンおよびクリム)のクリーンルームで行われている後工程での作業の様子を過去3回にわたり写真で紹介してきたが、今回は、同工場のベールに包まれた研究開発部門である「Design & Development Lab」を紹介しよう。

マレーシア工場ペナンキャンパスには、主に量産前/開発中のCPUの動作検証(バリデーション)と量産を進めるための基礎技術開発を行なっている「Design & Development Lab」がある。同研究所に所属する社員しか入室できない秘密の組織で、退室の際に金属探知機による身体検査が行われるほどセキュリティ管理が厳格だった。今回はその一部が初めて報道関係者に公開された。今まで社外の者どころか他部署の従業員にも公開したことはなかったという秘密のベールにつつまれた組織である。

Intel デザイン・エンジニアリンググループ VP 兼 マレーシアデザインセンター 所長のSursh Kumar Perabala(スレッシュ・クマル・ペラバラ)氏によると、デザイン開発ラボの役割は、「(1)Eコア・IP動作検証」、「(2)製造歩留向上のためのデザイン・テスト協業」、「(3)ポスト・シリコン動作検証」、「(4)電気的動作検証」、「(5)電力・性能動作検証」、「(6)アーリーカスタマー・エンゲージメント」の6つだという(図1参照)。以下にそれぞれの業務を、写真を使って説明しよう。なお、ラボ内写真撮影および筆記用具持ち込み禁止のため、写真は、著者撮影の図1を除き、すべてIntel側が撮影したものである。


図1 Intelマレーシア工場内の「Design & Development Lab」の6つの任務を説明するIntel デザイン・エンジニアリンググループ VP 兼 マレーシアデザインセンター 所長のSursh Kumar Perabala(スレッシュ・クマル・ペラバラ)氏 出典:Intelマレーシア工場ペナンキャンパス講堂にて著者撮影

図1 Intelマレーシア工場内の「Design & Development Lab」の6つの任務を説明するIntel デザイン・エンジニアリンググループ VP 兼 マレーシアデザインセンター 所長のSursh Kumar Perabala(スレッシュ・クマル・ペラバラ)氏 出典:Intelマレーシア工場ペナンキャンパス講堂にて著者撮影


(1) Eコア・IP動作検証

第12世代以降のCoreプロセッサには、シングルコアの処理性能を重視する「高性能コア(Pコア)」と、各種入出力(I/O)処理に必要十分な性能を発揮し低消費電力重視の「高効率コア(Eコア)」が内蔵されている。このうち、第12世代Coreプロセッサから実装されるようになった「高効率コア(Eコア)」の動作検証は、マレーシア工場のDesign & Development Labが分担している。


図2 Eコア・IP動作検証用のIntel内製装置 出典:Intel


(2) 製造歩留向上のためのデザイン・テスト協業

CPU製品の量産ラインに組み込まれるテスト機材の開発を担っている。ここで開発された機材や技術は、ペナン島の対岸にあるクリムキャンパスで製造され、量産ラインで活用されている。

チップ製造時の歩留まりを上げるために、どのような設計をすると歩留りが上がるかを検討し、テスト中に発見された改善点は、米国の設計チームや製造チームにフィードバックされ、次のフォトマスク作成に反映される。

図3 開発中のCPUテスト装置の内部:中央のテストステージにCPUチップが自動搭載される 出典:Intel


(3)ポストシリコン動作検証

CPUの試作品や量産テスト品が完成した際に行われるテスト工程である。メモリ、ストレージなどの周辺デバイスや拡張カードなど周辺機器を装着し、実際に動かしてみて問題がないかを確認する。完全には自動化されてはいない。ここで得られた知見は、量産ラインにおけるテストに反映される。


図4 多画面表示が問題なく動作するかの検証 出典:Intel


図5 長時間に渡るポストシリコン動作検証現場 出典:Intel


(4) 電気的動作検証

CPUでサポートされているような機能が、問題なくスペック通りに動作しているかどうかをオシロスコープなどの機器を使いながらアナログ的に確認するための検証作業。


図6 PCI Express Gen 5の電気的動作検証 出典:Intel


(5) 電力・性能動作検証

開発中や量産前の試作段階にあるCPUの動作面での安定性や性能の検証。定格のスペックやそれより高い電力や温度やクロックで期待通りの性能が出ているか確認する。実際のCPUは、製品ごとに「供給電力」「動作クロック」「温度」のパラメータの組み合わせから「想定性能」が定義されている。

図7 電力・性能動作検証のためのテスト装置 出典:Intel


(6) アーリーカスタマー・エンゲージメント

新しいCPUには新しいマザーボードが必要になるが、できるだけ早くそれぞれの顧客(=PCメーカー)向けの検証システムを作り顧客に提供するための早期顧客サポート業務である。CPUの試作品が、それぞれのPCメーカーが設計したマザーボード上で正常に動作するか試験を行っていた。


図8 顧客であるPCメーカーのマザーボードに周辺機器を搭載して、試作CPUをテスト 出典:Intel


Hattori Consulting International 国際技術ジャーナリスト 服部毅

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