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半導体産業のこれからを議論するワークショップを開催

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最近、いろいろなところから日本の半導体産業はどうなるのでしょうか、という意見をいただき議論する機会が増えている。中には、数千億円をかけてしっかりしたIDMを作ろう、もっとリーダーシップの強い企業を作ろう、と考えておられる方々もいる。一方で、ファブライトやファブレスへ向かうべきと述べる方もいる。いずれの方たちも共通している思いは、日本の半導体産業を何とかしなければならない、ということである。

これまで世界の半導体産業を取材してきたとが、一度はダメになった国の半導体産業が復活した例として米国と英国が日本にとって参考になるかもしれない。米国はセマテックの共同コンソシアムで先端技術を開発したおかげで復活した、と思われている節があるが、米国を取材した限り、セマテックに期待したのは低コスト技術の開発であった。コスト競争力を付けるためだ。

米国企業は、それぞれがどうやって成長できるか、を追及した。インテルやTIは、自分たちの強みと弱みを分析し、これから成長していける市場トレンドとも重ね合わせて、戦略を立てた。サイプレスは日本の高品質製品を見習って品質管理を強化し、高速SRAM分野に特化した。これからはデジタルエレクトロニクス時代だともてはやされた1980年代、リニアテクノロジーのボブ・スワンソンCEOは、アナログに特化したベンチャー企業を立ち上げた。デジタル時代こそA-Dコンバータ、D-Aコンバータ、アナログフロントエンド/バックエンドが必須となると彼は見たからだ。

英国では80年代、インモス、プレッシー、マルコーニという大手半導体が消滅した。インモスの並列処理マイクロプロセッサであったトランスピュータ部門がSTマイクロエレクトロニクスに買収され、セットトップボックス用のMPEGチップの設計に生かされた。その後、スピンオフしてImagination Technologiesの設立につながった。1990年ごろ誕生したAdvanced RISC Machines社はRISCチップをファブレスとして売りたかったが資金が足りなくてIPビジネスをはじめ、今日のARM社に至った。プレッシーはセミコンポータルで紹介したように数奇の運命をたどり、2010年に再出発した(参考資料1)。英国の強みは何と言っても設計である。だからファブレス半導体メーカーやIPベンダーが続々生まれた。

今、日本の半導体産業は縮こまっている場合ではない。日本は、復活したこういった企業を見習い、自分たちの強みと弱み、市場のメガトレンドを考えながら、方針を明確にすべきである。似たような企業同士をただ合併させることは、世界では行われていない。成長の道筋が見えないからだ。世界と競争していくためには、やはり世界に目を向けるべきだろう。「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」である。私が世界で行われていることを報道しても、「その企業だからできることでわが社ではできない」といった言い訳を必ず聞かされてきた。しかしそう言った方々がその後成長を遂げたという例を見たことがない。

成長戦略は、各社が各社なりの強みと弱みを考えて立てる概念であり、似たような会社が一緒になっても成功しなかったことはこれまでの歴史が証明している。だからこそ、世界が今何を考え、それを自社にどう生かすか、という視点は成長していく上で重要だと考えている業界人は多い。

こういった理由で、セミコンポータルはこれまでグローバル化のセミナーSPIフォーラムを開いてきたが、今度は形を変えて、もう少し気楽なワークショップという形で自由な議論を広げたいと思い、11月2日の「SPIフォーラム 第2回ワークショップ 半導体産業のゆくえ1」を企画した(参考資料2)。学会でのワークショップと同様、自由なディスカッションを最大の目的とする。軽い飲食をとりながら議論を深めていきたい。自社に持ち帰って議論をさらに深めることこそ、参加者の企業が成長するためのステップとなるだろう。


参考資料
1. 今度はファウンドリとしてよみがえった英プレッシーセミコンダクタ (2012/02/26)
2. SPIフォーラム 第2回ワークショップ 半導体産業のゆくえ1

(2012/10/26)

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