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シャープ、超小型チューナ技術の一部を明らかに

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 シャープは先月、携帯電話向けの地上デジタル1セグメント放送受信用のチューナモジュールVA3A5JZ912を発表したが、Wireless Japan 2007でその技術的な内容を一部公開した。7月からサンプル出荷を始めた、この地デジチューナは、大きさが7.3mm角で厚さが1.25mmときわめて小さいため、携帯電話の薄型化に向く。

2007年の1月に発売されたモデルVA35JZ9910と比べると、体積比で45%も小さくなった。そのVA35JZ9910がその1年前のモデルと比べると体積比で19%しか小型化できなかったことからすると、今回の新型1セグチューナはテレビ付き携帯電話の薄型化に威力を発揮する。


地上デジタル1セグメント放送受信用チューナーモジュール


このチューナモジュールは、RFチューナICと復調用のOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)デジタル変調ICの2チップ構成で、それぞれのICチップを新たに開発した。RFチューナICにはウェーハレベルCSPパッケージを採用、小型化を図り、OFDM復調ICも小型化したが、その詳細は明らかにしない。ウェーハレベルCSPパッケージはワイヤーボンディングを使わないため、寄生インダクタンスの小さなRF回路を実現できる。シャープはこのRF回路にSiGeのBiCMOSプロセスを使い、高性能化を実現した。OFDM復調ICはCMOSプロセスで、ワイヤーボンディングで実装している。

モジュール全体の消費電力は85mWと従来の100~200mWよりも小さい分だけ、電池が長持ちするというメリットもある。小型化技術の詳細には触れないが、同社はLTCC(低温焼成積層セラミック)基板や、シミュレーション技術によるセラミック層の厚みや絶縁層の厚み、層間距離、部品配置などについて研究している。LTCC(低温焼成積層セラミック)基板は、部品を埋め込める今後の高密度実装技術として注目されている。シミュレーションはノイズの低下や分布定数回路設計など、高周波設計に欠かせない。今回の製品にこれらの実装技術を使ったかどうかについては明らかにしないが、こういった高度な実装技術を駆使することで、さらなる小型・低消費電力のモジュール実現の道を開くことになる。

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