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メカからエレキへ、MEMSセンサーに沸くCEATEC Japan2007

出展社数895社・団体、全小間数3199小間と過去最大の規模を示したCEATEC Japan2007では、さまざまなセンサーが注目された。加速度センサーや磁気センサーは小さくなり、ナビゲーション用途に向け地磁気センサーも小さくなった。寸法はミリ単位になり、携帯電話機やゲーム機に搭載しても無理のない大きさを実現できるようになった。

携帯応用といっても従来の応用ではない。例えばST Microelectronicsは、マナーモード時など電話に出られない場合に携帯電話機のケースをダブルクリックすると、電話を止められる機能に向けたタッピングセンサーを開発した。この基本は加速度センサーである。逆に加速度センサーの応用がこれまでのようなエアバッグ検出やゲームのジョイスティック、HDDの衝撃防止などの応用から、広がりつつある。

携帯電話を利用したナビゲーションシステムといっても、GPSからの位置を検出するだけでは使えない。ユーザーが向いている方角を示すための地磁気センサーを使う。携帯電話に入れるためには小型化が欠かせない。アルプス電気は、2.5mm×2.5mm×0.7mm(厚さ)という小型の地磁気センサーを開発、2008年1月から発売する。

ST Microelectronicsは、X軸、Y軸、Z軸方向の地磁気センサーと3軸方向の加速度センサー、信号処理用のASICを一つのパッケージに収めた複合センサーを開発、2007年末までにサンプル出荷を行い、08年第1四半期に量産体制に入る計画だ。


ST Microelectronics複合センサー


静電容量の変化を利用するタッチセンサーは、Apple社のiPhoneなどで注目を集め、各社一斉に注力している製品であるが、携帯電話のGUIとしての役割だけではなく、いろいろな応用の広がりを見せている。たとえば、センサーメーカーの大手、オムロンはタッチスイッチをメカスイッチに置き換えを狙った8および16チャンネルの制御チップを展示した。人間の指と電極との間の静電容量を利用するため、電極のパターンさえあればタッチセンサーとして機能する。テンキーやキーボードのボタンの代わりに使えばボタン間の凹部にゴミがたまる心配はない。押しボタンのクリック感の代わりにLEDで入力を認識する。

京都のコーデンシは2cmから18cmの距離を2.65Vから3.35Vの範囲で検出測定する測距センサーを開発した。11月に量産を開始する。これはLEDと受光素子から成り、反射光の検出位置における抵抗比で距離を測定する。物流現場での物体検出などの用途を考えている。



MEMSを手掛けるメーカーは極めて多くなった。大手部品メーカーに加え、ホシデンや北陸電気工業などの中堅メーカーも加速度センサー、マイクロフォンなどを展示した。

一方でMEMS技術はセンサーだけではなく、医療用の薬液注入ポンプや超微細な注射針、小型燃料電池の電解液容器など、さまざまな応用へと広がりを見せている。ST Microelectronicsはインシュリン注射用のナノポンプや5×5の注射針をMEMS技術で試作した。細い針なので痛みが少ないという。一度に吐出する量は150nlとわずかだが、圧電式のポンプで薬液を送り出す。2008年の商品化を狙っている。



STは燃料電池の電解質を閉じ込め、水素を導入する構造もMEMS技術で作っている。燃料電池は5.8cm×4.6cm×0.4cmと小型で、平均600mW、ピーク電力1.4Wという性能を持つ。2009年までに4×3×0.4cmで平均2.5W出力を目指すという。


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