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MEMSモーションセンサーを利用、12個のコマンドをプログラムできるASIC

携帯機器を楽しくする機能部品が登場した。携帯機器に新しい遊び感覚のユーザーインターフェースをつけられるMEMSモーションセンサーとそのアルゴリズムを組み込んだASIC製品を米Kionix社が開発した。このソリューションを例えばスマートフォンに使えばそのスクリーンを1回軽くたたくと拡大し、2回たたくと縮小するなど楽しいユーザーインターフェースを設計できる。3軸センサーなので、スクリーンの前後、左右、上下それぞれを1回あるいは2回たたくと自分の望む機能を付加できる。

このMEMSセンサー内蔵ASICのKXTF9は、携帯電話、ナビゲーションシステム、ゲーム機などの民生機器への応用を狙ったもの。ニューヨーク州アイサカにあるKionix(カイオニクスと発音)社セールス・マーケティング担当バイスプレジデントのEric Eisenhut氏は、「最優先マーケットは民生の得意な日本」とする。任天堂のWiiは日本のみならず米国でも根強い人気がある。ユーザーインターフェースを充実させたりゲーム機そのものに使ったりするなど、日本の民生機器メーカーへの期待は大きい。


Kionix社のEric Eisenhut氏
Kionix社のEric Eisenhut氏

この3軸加速度計には1回あるいは2回のトントンという軽い叩きを認識できるアルゴリズムをASICに組み込んでおり、±X、±Y、±Z方向に1回あるいは2回の最大12までのタップコマンド(1回あるいは2回のトントンと叩くコマンド)を実行できる。そのコマンドはユーザーが自分の欲しい機能をプログラムする。MEMSの3軸加速度センサーは±X、±Y、±Z方向およびタップが1回であるか2回であるかを検出する。その検出データをASICにコマンドとして組み込んでいる。

このコマンドは、スイッチとしても使える。例えばスマートフォンのスクリーン面を1回叩くと電話、側面を左から1回叩くとナビ、底を1回叩くとインターネット接続、というような設定も可能だ。加えて、方向の検出と、動き停止のアルゴリズムも持っている。このセンサーの知識と組み込みアルゴリズムの知識の二つを持つことで、よりユーザーの要求に合ったソリューションを提供できるという強みがある。

MEMS内蔵の加速度計KXTF9には、業界標準となっているデジタルインターフェースI2Cを持ち、ユーザーがプログラムできるサンプリング速度でA-D変換できるA-Dコンバータを内蔵する。その分解能は8ビットあるいは12ビットにするか選択できる。また加速度の範囲を2g、4g、8gの中から選択できる。カットオフ周波数を選べるデジタルのハイパスフィルタを搭載している。3mm角で厚さ0.9mmmの10ピンのLGAパッケージに入っている。従来の同社のKXSD9およびKXTE9センサーとピンコンパチ。1.8V〜3.6Vで動作する。Kionixから開発ツールとソフトウエアサポートを使える。


(2009/05/07 セミコンポータル編集室)

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