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新しい原理のタッチパネルが続出、iPhone・DSLiteに続く応用開拓へ

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タッチパネルディスプレイが米アップル社のiPhoneや任天堂のDSLiteなどのヒット商品によって新たなユーザーインターフェースとして見直されてきている。マイクロソフトのWindows 7ではタッチパネルをサポートすると言われている。特に、指1本ではなく複数の指でジェスチャー操作できる手法がiPhoneに導入されて以来、タッチパネルへの関心が高まっている。横浜のみなとみらいで開かれたFPD International 2008において、新しい原理に基づくタッチパネル技術が次々と展示された。

これまでのタッチパネルは表示板が摩耗するなど、稼働寿命が6ヵ月〜18ヵ月と短く、たとえばPOSシステムでは使用現場の30%が何らかの故障を起こしていると言われている。耐久性はタッチパネルの弱点だった。タッチパネル研究所の見積もりによれば、従来は圧倒的に抵抗膜方式が市場の72%を占め、静電容量方式(20%)に差をつけていた。特に液晶ディスプレイ搭載のタッチパネルは抵抗膜方式が90%以上もあるとしている。

最も単純な抵抗膜方式は、パネルのX方向両端とY方向両端に電圧をかけておき、その電圧すなわち抵抗値の分割でX,Yの距離を対応させたもの。XとYが交わる点で接触が不十分だったり、抵抗膜が擦れて値が変わってしまったりすれば距離を知りえない。

今回の展示会では、米F-origin社は新しい原理に基づく8インチパネルと15インチのPOS(point of sales)用パネルを展示した。液晶膜の上に透明電極膜やガラスなどを追加する必要がないため、輝度を保つことができる。このため消費電力を上げなくても済む。しかも抵抗方式の課題であった耐久性の問題がない。

原理は、ディスプレイの4隅のうちの3点とタッチした位置との距離を測定するのに、3点における力(圧力)とその向き(スロープ)を検出することで、見積もるというもの。1秒間に1000点ものサンプルをとって圧力、スロープから距離の関係を計算する。コード効率のよいアルゴリズムを考案したため、市販のMCUにソフトウエアを組み込むこともできる、と同社社長兼CEO(最高経営責任者)のJoe Carsanaro氏はいう。


F-origin社の圧力を利用する原理のタッチパネル

F-origin社の圧力を利用する原理のタッチパネル


ワコムは、ペン方式のタッチセンサーだが、筆圧とペンの傾きも検出し、より手書きのタッチを表現できるタッチパネルを展示した。ペン内部にLC共振回路を組み込み、筆圧がかかると静電容量Cが変化して共振周波数の変化を検出する。タブレット面には位置検出用のコイルを多数設けておき、充放電期間とパターンから℃のコイルからの信号なのかを検出するという新しい方法である。その時に外部に流れる磁界のパターンとペンを傾けた時の磁界の乱れを計算して傾きを検出する。


ペンの筆圧や傾きも考慮したタッチパネル

ペンの筆圧や傾きも考慮したタッチパネル


韓国のLGは、52インチと大きなLCD画面に60個のLEDと3個のCMOSラインセンサーを組み合わせて、2本指のジェスチャーで拡大・縮小・あるいは平べったく縮小するような画面を得られるようなタッチスクリーンを展示した。位置の分解能はLEDの数やラインセンサーの数によるが今回展示したものでは1画素よりも小さいという。

F-originやワコム、LGとも検出のアルゴリズムをそれぞれ独自に開発しており、検出するための賢いソフトウエア競争にタッチスクリーンの舞台は移りつつある。


(2008/10/31 セミコンポータル編集室)

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